会計の基礎知識

借入金の基礎知識を押さえよう!リスク管理と経理処理

借入金の基礎知識を押さえよう!リスク管理と経理処理

安定的な経営を行っていくためには、充分な事業資金を確保しておく必要があります。会社の資金繰りを考える際に、借入金を活用する場合も出てきます。無理な借入を防ぐためには、あらかじめ基礎知識やメリット、デメリットおよびリスクなどについて押さえておくことが大切です。さらに借入金依存度や借入金月商倍率などの指標を含めて、借入についてのポイントを押さえていきましょう。
[監修:筧 智家至(公認会計士・税理士)]

目次

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借入金とは?

借入金は企業が銀行などの金融機関から資金調達を行って、借り入れた資金のことを指し、他人資本とも言われます。いわゆる融資によって得られた資金であり、返済時には利息を上乗せして返す必要があるものです。

経理上は貸借対照表に記載するものであり、借入金は負債にあたるため貸方に記入します。どの程度の借入額が適正かは企業規模や融資条件などによって異なるため、その都度細かくチェックしていく必要があります。
融資を受ける際には事業計画書の作成や、決算書の説明が求められます。資金調達を円滑に行うためには、事前に準備をしっかりと整えてから借入を行うことが大切です。

借入金の種類

借入金は返済期限の違いによって、「短期借入金」と「長期借入金」の2つに分けられます。

同じ借入金であっても、すぐに返さなければならないものと長期間かけて返済するものとでは返済計画などのリスク管理の方法も違ってきます。それぞれの特徴について見ていきましょう。

短期借入金と長期借入金

短期借入金とは、返済期限が1年以内に訪れるものを指します。その一方で、長期借入金は返済期限が1年以上ある借入金のことです。

早めに返さなければならない借入金が多いほど、会社の資金繰りに意識を向けておく必要があります。また、長期借入金であっても返済期限に一括して返済するのではなく、借入返済予定表に従って分割返済していく場合もあります。

主な借入先

主な借入先

会社が事業資金を調達するための借入先はさまざまです。最も一般的なものとしては銀行からの借入であり、都市銀行・地方銀行・信用金庫・信用組合などに融資の申込を行うことができます。

都市銀行や地方銀行はまとまった資金を調達でき、金利が低めに設定されているといった特徴があるものの、審査が厳しいといった面があります。その一方で、信用金庫や信用組合は審査のハードルが低いと言われており、中小企業でも利用しやすいと言われています。

また、政府系金融機関である日本政策金融公庫は中小企業の支援を積極的に行っており、銀行融資を断られてしまった場合でも利用可能です。日本政策金融公庫の融資は固定金利であり、金利も低めに設定されているので計画的に活用できます。

地方自治体のなかには、企業側が支払う金利の一部を負担してくれる制度融資を行っているところもあります。制度融資とは、金融機関・地方自治体・信用保証協会が連携して融資を行う仕組みであり、自治体によって利率や返済期間などが異なっているのが特徴です。

ビジネスローンや不動産担保ローンなど貸付業務を行うノンバンクから事業資金を調達することもできます。借入先としては、消費者金融会社・クレジットカード会社・信販会社・リース会社などがあげられるでしょう。ノンバンクでは金利が高めに設定されているため、長期の借入には向いていません。短期的な利用に留めて、他の資金調達方法と組み合わせていくことも大切です。

借入金のメリット、デメリットおよびリスク

借入にあたっては、借入の際の金利が低く、支払う金利以上の利益を事業活動によって出せる場合にメリットが生まれてきます。また、豊富な資金を持つことで、大量仕入れなどを行う際に値引き交渉ができ、コストダウンにつなげていくこともできます。

また、借入実績を作ることで金融機関との信頼関係ができ、いざというときに資金調達をスムーズに行える側面もあります。取引先に対しても借入余力を示せるため、安心して取引を行える会社として見られます。

ただ、借入金は返済期限までに金利を上乗せして返す必要があるので、会社規模に見合わない借入金は経営を圧迫する要因となってしまいます。返済が滞ってしまえば、会社の信用を一気に低下させることにもつながるため、借入を行うときには慎重に判断していく必要があるのです。

単に目先の資金繰りを改善するだけではなく、事業の将来性や採算性を充分に考慮したうえで、借入を検討していく必要があります。

借入金利・利息と借入期間

借入を行うときには、金融に関する用語の意味や利息の計算方法を正しく押さえておくことが大切です。それぞれのポイントについて、詳しく解説していきます。

金利・利子・利息の言葉の違い

金融機関などから融資を受ける際には、金利・利子・利息といった用語を目にしますが、それぞれの意味をよく理解しておきましょう。

金利とは借り手側が元金に上乗せして支払うお金の割合のことです。利子は借り手側が貸し手側に支払うものであり、元金に金利を掛けることで計算されます。利息とは時間の経過に応じて、貸し手側が元金に上乗せして受け取るお金のことになります。

借入期間が長ければ長いほど、元金にかかる利子を支払う期間が長期化し、借り手側は支払う返済額と利息金額の合計が増えてしまうため、あらかじめ返済シミュレーションを行っておくことが大事だと言えます。

利息の計算方法

借入を行うと融資条件にもとづいて、返済を行っていく必要があります。月々の返済額は支払う利息も含めて考えておくことが重要です。利息の計算式としては以下のようになります。

(借入残高×金利)÷ 365× 借入日数=利息

借入から返済までの日数が増えるほど利息も増加していくため、利息分も含めた返済に無理がないかをチェックしておきましょう。

借入金の勘定科目と仕訳

金融機関から融資を受けたときには、適切な経理処理を行って返済に支障が出ないようにしなければなりません。借入金1,000円、支払利息50円としたときの勘定科目と仕訳は以下の通りです。


《仕入時》
借方金額貸方金額
現預金1,000円借入金1,000円

現預金という資産と借入金という負債が増えた取引として、経理処理を行います。 その後、返済を行ったときの勘定科目と仕訳は以下のようになります。


《返済時》
借方金額貸方金額
借入金1,000円現預金1,050円
支払利息50円

借入金と現預金が減少し、支払利息という費用が発生したものとして経理処理をするのです。

PLとBSの観点で捉える

借入金が発生したときには、PL(損益計算書)とBS(貸借対照表)の両方の面で捉えていく必要があります。気をつけておきたいのは、借入金そのものは他人から借りたお金を返しているだけであるため、元金部分は費用にならないという点です。

これは、借入によって調達した資金を売上として計上できないためであり、当然ながら借入金の返済は費用とは見なされません。ただ、借入金に対する利息の支払い部分については費用として計上できます。

会社の財務状況を適切に把握するためには、会計ルールにもとづいて経理処理を行うとともに、PL・BSといった財務諸表を読み解いていく視点を持つことが大切です。

【関連記事】知っておくと便利な「貸借対照表」と「損益計算書」の深いつながり

借入金依存度

借入金依存度は、健全な経営が行われているかを判断する指標として活用されるものです。基本的な捉え方と計算方法について解説していきます。

借入金依存度とは?

企業は事業活動を行ううえで、銀行などの金融機関から資金調達を行う場合には、借入金による調達を行ったり、社債の発行による調達を行います。借入金は企業が蓄積している純資産とは異なり、返済期限に利子をつけて約束した期限に返済する必要があるため、過剰な借入は経営を圧迫させる要因となります。

借入金依存度は貸借対照表において、総資本の何%を借入によってまかなっているのかを見る指標です。

計算方法

借入金依存度の計算方法は、以下のようになります。

総借入額(短期借入金+長期借入金+割引手形残高+社債)÷
総資産×100=借入金依存度

適正な水準の目安

借入金依存度は企業の財務状況の健全性を示すものであり、業界・業種によって異なりますが一般的には50~60%程度が許容範囲と言われています。70%を超えてくると注意が必要であり、財務状況の見直しが必要です。

借入金月商倍率

借入金月商倍率は、借入金の合計額が売上の何カ月分にあたるのかを示す指標です。会社の資金繰りや事業展開を判断するために役立てられる指標であり、業界や業種によって適正な水準も異なります。

小売業・製造業であれば1.5~3.0倍、卸売業であれば0.8~1.5倍程度が1つの基準です。適正な範囲内であれば、借入余力がまだあると見なされます。

借入金月商倍率の計算方法

借入金月商倍率の計算方法は、以下の通りです。

総借入額(短期借入金+長期借入金+割引手形残高+社債)÷
月平均売上高=借入金月商倍率

たとえば、総借入額が1,000万円で月平均売上高が500万円の場合には、借入金月商倍率は2倍(2カ月)となります。決算書に記載された数値から算出が可能であるため、新たな融資を受けられるかどうかの判断材料となるのです。

借入時の保証料

銀行などの金融機関から融資を受ける際には、信用保証協会の保証付き制度融資を利用するケースもあります。このときに支払うのが信用保証料であり、借入額に応じて一定の割合(信用保証料率)が定められています。

一例として、満期一括返済である場合の信用保証料の計算方法は、以下の通りです。

借入額×信用保証料率×保証期間(月数)÷12=信用保証料

保証料の仕訳

信用保証料は一般的に、借入時に一括して支払います。たとえば、300万円を5年間の借入期間で借りて、信用保証料15万円支払ったときの仕訳は以下の通りです。


《借入時》
借方金額貸方金額
現預金3,000,000円借入金3,000,000円
支払利息150,000円現預金150,000円

まとめ

買掛金の適切な処理は、日々の取引をスムーズに行うだけでなく、会社の資金繰りを円滑にするためにも重要です。事業の拡大によって取引先が増えていけば、それだけ経理作業も増えていきます。取引先との良好な関係を保つためにも、買掛金の支払い漏れがないように意識を向けておくことが大切です。

クラウド型の会計ソフトを利用すれば、取引先ごとの買掛金を素早くチェックすることができます。日々の経理状況をきちんと把握するためにも、自社の実情に合わせた仕組みを整えてみましょう。

監修:筧 智家至(公認会計士・税理士)

慶応義塾大学商学部卒。監査法人トーマツにて会計監査、株式上場支援、企業の経営改善支援に従事。平成24年筧公認会計士事務所(現:税理士法人グランサーズ)を開設。常に現場に入り、経営者とともに課題に取り組み、経営者と常に相談しながら経営者のニーズに応え、解決策を導き出すことをモットーにしている。スタートアップ企業からIPO(上場)準備支援まで、あらゆる成長段階の企業のサポートをしており、税務会計顧問にとどまらない経営を強くするためのコンサルティングサービスに中小企業経営者の信頼と定評を得ている。東京商工会議所専門家エキスパート、セミナー実績多数。

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