
ROIとは、Return on Investmentの略称で、日本語では投資利益率といいます。投資した金額に対する利益率を数値化するため、費用対効果を算出する際には欠かせない指標です。
この記事では、ROI(投資利益率)の概要や算出方法、ROAS・ROA・ROEとの違いなどについて解説します。より高い投資効果を目指すためにも、ぜひ参考にしてみてください。
目次
ROI(投資利益率)とは?
ROIとは、Return on Investmentの略称で、投資した費用に対してどのくらい利益が出ているかを示す指標です。日本語では投資利益率と呼びます。
行った投資の効果を検証する際に役立つ指標で、他の投資との比較や、今後の投資を検討する際の材料として活用できます。そのため、投資を行った際は定期的にROIを活用して、その効果を検証することが重要です。
ROIの理想の数値は?
ROIの理想的な数値は、事業内容や業種などの要素によって異なります。比較対象とする同業他社や、過去の事業とあわせて調査することで、目指すべき数値が見えてくるでしょう。
たとえば、事業投資やマーケティング投資の目安となるROIの数値は、以下のとおりです。
- 事業投資:10%〜20%
- マーケティング投資:200%〜300%
これらの数値を上回る場合は、理想的なROIだといえるでしょう。
ROIの算出方法
ROIを計算する際は、以下の計算式を活用します。
<ROIの算出方法>
ROI = (利益 ÷ 投資額) × 100
具体的な例として以下2つを紹介するので、参考にしてみてください。
ROIの算出例
<ROIの算出例①>
◾️不動産投資に1,000万円投資し、1,500万円の利益が得られた場合
※保有期間の家賃収入などは考えないものとする
ROI = (1,500万円 ÷ 1,000万円) ×100
ROI = 150%
<ROIの算出例②>
◾️200万円をマーケティング投資に充て、300万円の利益が得られた場合
ROI = (300万円 ÷ 200万円) ×100
ROI = 150%
利益の求め方
上述のように、ROIを算出する際にはまず利益を求めなければなりません。利益を求める際に用いる計算式は、以下のとおりです。
<利益の求め方>
利益 = 売上 - 原価 - 投資金額
なお、先ほど紹介した事例における利益の計算例は、以下を参考にしてみてください。
利益の算出例
<利益の算出例①>
◾️不動産投資に1,000万円投資し、1,500万円の利益が得られた場合
(売上:3,000万円、原価:500万円、投資金額:1,000万円とする)
利益 = 3,000万円 - 500万円 - 1,500万円
利益 = 2,000万円
<利益の算出例②>
◾️200万円をマーケティング投資に充て、300万円の利益が得られた場合
(売上:600万円、原価:100万円、投資金額:200万円とする)
利益 = 600万円 - 100万円 - 200万円
利益 = 300万円
ROAS・ROA・ROEとの違い
ROIと間違われやすいよく似た用語として、主に以下があげられます。
- ROAS(Return on Advertising Spend)
- ROA(Return On Assets)
- ROE(Return on Equity)
それぞれの大まかな違いは、何を分母とし、何を分子として算出するかという点にあります。
ROASは、ROIと同様に、特定の事業に投資した費用に対する費用対効果を表します。一方のROAとROEは、資本や資産に対して利益がどのくらいかを見る指標です。
以下では、それぞれの用語について詳しく解説していきます。
ROAS
ROAS(Return on Advertising Spend)とは、事業にかけた広告費用の回収率を示す指標です。算出するための計算は、以下の式を活用して行います。
<ROASの計算式>
ROAS = ROAS = 広告による売上 ÷ 広告費用 × 100
ROASの具体例は、以下のとおりです。
ROASの具体例
◾️Web広告に400万円を投資し、500万円の売上を得た
ROAS = (500万円 - 400万円) ÷ 400万円 × 100
ROAS = 25%
ROA
ROA(Return On Assets)とは、企業の総資産に対する当期純利益の割合を示す指標です。日本語では、総資産利益率と呼びます。
ROAを算出するための計算方法は、以下のとおりです。
<ROAの計算式>
ROA = 当期純利益 ÷ 総資産 × 100
ROAの具体例は、以下のとおりです。
ROAの具体例
◾️総資産が1億円の企業の当期純利益が、2,000万円だった場合
ROA = 2,000万円 ÷ 1億円 × 100
ROA = 20%
なお、ROAについて詳しく知りたい方は、別記事「ROA(総資産利益率)とは?計算式やROE(自己資本利益率)との違いを解説」をあわせてご確認ください。
ROE
ROE(Return on Equity)とは、企業の自己資本に対する当期純利益の割合を示す指標です。日本語では、自己資本利益率と呼びます。
ROEを求めるための計算式は、以下のとおりです。
<ROEの計算式>
ROE = 当期純利益 ÷ 自己資本 × 100
ROEの具体例は、以下のとおりです。
ROEの具体例
◾️自己資本が5,000万円で、当期純利益が2,500万円だった場合
ROE = 2,500万円 ÷ 5,000万円 × 100
ROE = 50%
なお、ROEについて詳しく知りたい方は、別記事「ROE(自己資本利益率)とは?求め方やROEからわかることを解説」をあわせてご確認ください。
ROIを高めるためのポイント
ROIを高めるには、以下の2つのポイントを意識しましょう。
ROIを高めるためのポイント
- コスト削減
- 収益性の向上
コスト削減
売上額が同じであっても、原価や経費などのコストが下がれば利益率は向上します。たとえば、元々原価が2,000円だったものが1,500円に抑えられれば、大幅なコスト削減につながり、利益率の向上が見込めます。
また、人件費や旅費交通費などの経費に無駄がある場合は、削減することでROIの向上につながります。ROIの数値が芳しくない場合、まずは削減できるものがないかどうか確認しましょう。
収益性の向上
ROIの計算における「利益」が増えれば増えるほど、数値は向上します。利益を増やすには、販売数や単価を上げるなどして、収益性の向上を図る必要があります。
たとえば、ターゲットに合わせた付加価値をつけて、高価格帯の商品を用意する施策などは効果的です。また、単品販売だけではなくセットでの販売を行うことで、一度に得られる売上が増えます。
コスト削減とあわせて収益性の向上ができれば、ROIは一気に高まるでしょう。
ROIを活用することによるメリット・デメリット
ROIを活用する際には、メリット・デメリットを把握したうえで、他の数値と比較しながら分析する必要があります。
ROIを活用することによるメリット
ROIを活用すると、事業の費用対効果を数値化して確認できます。事業に投資したお金がどれくらいの利益につながっているか、効果を明確に可視化できるのが特徴です。
また、費用対効果を、プロジェクトごとや他社との比較材料として使用できるのもメリットといえます。ROIを分析することで自社の課題を見つけるきっかけにもなるため、業務改善を検討するきっかけとして活用できるでしょう。
ROIを活用することによるデメリット
ROIは、投資額に対する利益の割合を算出する指標であるため、長期的な評価には不向きです。
ROIでは、利益がどのくらいの期間をかけて得たものかを考慮しないため、定番の製品のための投資などの場合、最終的なROIの数値を図りにくいという側面があります。
また、キャッシュフローのタイミングも考慮しないため、ROIをどの期間で測定するべきかなどを明確に決めておかなければ、数値を比較する際にデータの信用度が下がってしまいます。
そのほか、顧客満足度や社会的価値などの数値化できない施策の評価において、ROIは向いていません。あくまでも数値化できる投資効果を可視化する指標であることを、あらかじめ覚えておきましょう。
まとめ
ROIとは、投資した費用に対してどのくらい利益が出ているかを示す指標のことです。日本語における投資利益率を指し、費用対効果を明確に検証するうえで欠かせない指標といえます。
ROIには、ブランド力や顧客満足度などの数値化できない施策には活用できないデメリットがありますが、ROAやROEなどをあわせて活用することで多角的な検証が可能です。この記事で紹介した内容を参考に、より効果的な投資や事業へつなげてみてください。
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よくある質問
ROIってなに?
ROIとは、投資した費用に対してどのくらい利益が出ているかを示す指標のことです。ROIを検証することで、投資の効果を数値化して把握できるだけではなく、今後の投資への検討材料としても活用できます。
詳しくは、記事内「ROI(投資利益率)とは?」をご覧ください。
ROIの計算方法は?
ROIを計算する際は、「ROI = (利益 ÷ 投資額) × 100」の計算式を用います。これによって算出された%が、ROIの数値です。
詳しい計算方法や事例については、記事内「ROIの算出方法」をご覧ください。
ROIはどれくらいが理想?
ROIの理想となる数値は、業種や事業内容などによって異なります。たとえば、事業投資であれば10%〜20%くらいが、マーケティング投資であれば200%〜300%が大まかな目安です。
詳しくは、記事内「ROIの理想の数値は?」をご覧ください。