
四半期決算とは、1年を4つに区切って行う決算のことです。上場企業では四半期決算短信を開示する必要があるため、四半期決算は必ず行います。中小企業は四半期決算を行う義務はありませんが、任意で行っている会社もあります。
本記事では、四半期決算の目的や必要書類、スケジュールなどについて詳しく解説します。
目次
四半期決算とは
四半期決算とは、1年を四期にわけて3ヶ月に1回実施する決算のことです。それぞれ3ヶ月毎に1Q・2Q・3Q・4Qとも呼ばれます。なお、第2四半期決算は年度の折り返しであるため「中間決算」とも呼ばれますが、開示手続きの基本的な流れは他の四半期決算と同様です。
決算の種類は以下のとおりです。
決算の種類
- 本決算(年次決算)
- 中間決算(半期決算)
- 四半期決算
- 月次決算
四半期決算の対象となる期間は、会計年度が新しくなる月から3ヶ月です。具体的なタイミングについては後述します。
それぞれの決算の目的や時期、決算の種類などについて詳しく知りたい方は別記事「決算とは?行う目的・時期・必要書類などをわかりやすく解説」をご覧ください。
四半期決算の目的
四半期決算は、主に上場企業の経営状況をタイムリーに判断することを目的に行われます。
四半期報告書を公開することで、投資家や株主は投資を行うための判断ができ、経営者は自社の経営方針や今後の戦略を練るための判断材料にできます。
廃止された四半期報告書との関係
四半期報告書とは、有価証券報告書の内容を補完することを主な目的としていた書類です。
有価証券報告書とは、企業が事業年度毎の経営状況を外部に開示するために作成する法定書類であり、金融商品取引法により上場企業などに提出が義務付けられていました。
しかし、現在は金融商品取引法の改正により、2024年4月から提出義務が廃止され、証券取引所の規定に則り、四半期の決算状況については四半期決算短信の開示に一本化されています。
詳しくは別記事「四半期報告書が廃止されたことによる企業への影響を詳しく解説」をご覧ください。
四半期決算で開示する資料
前述のとおり、四半期決算で四半期報告書を作成・提出する義務がなくなり、現在は四半期決算短信による提出と報告だけで統一されています。
四半期決算短信はサマリーと添付資料で構成されており、一般的には1枚目にサマリー情報、その後ろに添付資料という構成になっています。
四半期決算短信の様式は各証券会社により異なりますが、四半期報告書廃止の影響で従来の四半期報告書と同等の情報開示が求められる場合もあります。
サマリー
サマリーは表題から始まり、経営成績や財政状態のほか、投資者が業績を予測するための情報などを簡潔にまとめたものを記載します。投資家が投資の判断を行う上で有用な情報を、任意で追加することも可能です。
サマリー情報を記載する際の注意事項は以下のとおりです。
記載上の注意 | 内容 |
---|---|
ページ番号、目次 | 四半期決算短信のサマリーにはページ番号や目次は不要 |
自社ロゴの使用 | 自社のロゴマークの使用はOK ※公益財団法人財務会計基準機構に加入している場合は、1ページ目の右上に会員マークを表示 |
勘定科目 | 様式にある勘定科目を自社で使用していない場合、それに相当する勘定科目を記載(「売上高」→「営業収益」など) |
端数処理 |
・100万円単位で表示する場合:100万円未満を切捨て ※100万円未満は四捨五入しても良い ・銭単位で表示する場合:銭未満を四捨五入 ・%で表示する場合:小数第一位未満を四捨五入 |
添付資料
添付資料は、サマリーに記載している数値の背景や経緯を適切に理解できるように開示するためのものです。
四半期決算短信に添付する資料は主に以下のとおりです。
四半期決算短信に添付する資料
- 経営成績等の概況
(経営成績、財政状態、キャッシュ・フローなど) - 会計基準の選択に関する基本的な考え方
- 連結財務諸表及び注記
必要な添付資料は状況により異なりますので、全ての上場企業が同様の資料を揃えるわけではありません。また、証券会社によっても必廃寺範囲が異なるため、添付資料などの要件は証券会社の規約に則り準備します。
四半期決算の流れ
四半期決算を行うための流れは以下のとおりです。
四半期決算の流れ
- 帳簿を元に期間中の仕訳を全て完了させ、金額を確定させる
- 期をまたぐ取引の仕訳を整理する(決算整理仕訳)
- 財務諸表の作成
- 必要に応じて公認会計士によるレビューをうける
帳簿のデータと実際の残高を突合し、各勘定科目の金額が一致するかを確認しましょう。その後、決算整理仕訳を行い、貸借対照表や損益計算書、キャッシュ・フロー計算書などの財務諸表を作成します。
四半期決算短信では、監査人や公認会計士によるレビューは任意となります。しかし、会計不正や内部統制に不備があった場合など、一定期間監査人によるレビューが義務化される場合があります。
四半期決算を開示するタイミング
四半期決算単信の開示とは、企業の投資家や取引先、税務署などのステークホルダーに、四半期の業績や収益などの決済の結果を公表することをいいます。
四半期決算短信を開示するタイミングは、四半期末後45日(休日の場合は翌営業日)となります。
3月を決算とした場合のスケジュールは以下のとおりです。
対象期間 | 四半期決算短信の開示期日 |
---|---|
第1Q(第一四半期) 4/1~6/30 | 8/15まで |
第3Q(第三四半期) 10/1~12/31 | 2/15まで |
※第2Q(7/1~9/30)は中間決算、第4Q(1/1~3/31)は本決算と同時期となります。
四半期決算の注意点
四半期決算の注意点は以下のとおりです。
四半期決算の注意点
- 四半期決算短信はわかりやすく作成する
- 四半期決算の期日は守る
- 監査人のレビューが必要なケースがある
四半期決算短信はわかりやすく作成する
四半期決算短信や企業が開示する情報を投資を行う上での判断材料としている一般の投資家が増えています。誰でも理解できる情報となるよう、開示資料はわかりやすく作成しましょう。
作成のポイントは以下のとおりです。
四半期決算短信の作成ポイント
- 業界の人でなくてもわかるよう、専門用語は欄外へできる限り注釈をつける
- 難しい表現はできる限り避け、具体的な文章にする
- 資料は図やグラフを活用し、視覚的にわかりやすい表示にする
- 重要な文章や数字は色をつけたり、下線や太字などを活用し強調する
四半期決算の期日は守る
前述のとおり、四半期決算の開示は四半期末後45日となっています。
期日を過ぎる場合、遅延の理由や開示時期の見込み、計画などについて提示する必要があり、証券会社へも連絡を入れる必要があります。期日超過による作業負担が増えてしまうため、期日は必ず守るようにしましょう。
監査人のレビューが必要なケースがある
基本的には四半期決算における監査人のレビューは任意ですが、要件に該当する場合は開示前に監査人のレビューを受けることが義務付けられています。
任意でレビューを受ける際はレビュー前後どちらで開示しても構いませんが、レビュー前に開示した場合はレビュー後にも改めて開示する必要があります。
出典:株式会社東京証券取引所「決算短信・四半期決算短信 作成要領等」
まとめ
四半期決算は、投資家だけでなく経営者にとっても経営状態をより細かく把握できる機会となります。
上場企業でなければ四半期決算を行う義務はありませんが、経営状況の把握や、経営戦略の立て直しのきっかけとなるため、手順や必要書類について覚えておきましょう。
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よくある質問
四半期決算は廃止された?
金融商品取引法の改正により2024年4月から四半期決算報告書が廃止となり、証券会社の規則に則った四半期決算短信に一本化されました。四半期決算短信の作成のため、今後も四半期決算は行う必要があります。
詳しくは記事内「廃止された四半期報告書との関係」をご覧ください。
四半期決算で提示するものは?
四半期決算で提示する四半期決算短信は「サマリー」と「添付資料」で構成されています。
詳しくは記事内「四半期決算で開示する資料」をご覧ください。
四半期決算はいつまでに開示する?
四半期決算は四半期末後45日(45日後が休日の場合は翌営業日)までに開示する必要があります。
詳しくは記事内「四半期決算を開示するタイミング」をご覧ください。