会計の基礎知識

中間決算とは?目的・行う時期・スムーズに行うためのポイントを解説

監修 鶏冠井 悠二

中間決算とは?目的・行う時期・スムーズに行うためのポイントを解説

中間決算とは、企業が当該事業年度の半期時点で行う決算のことです。上場企業など一定の要件を満たす企業には中間決算が法律で義務付けられており、法定の期限までの対応が必要です。

中間決算は実施義務のない企業にとっても、経営状況の可視化や本決算の負担軽減など多くのメリットをもたらします。

本記事では、中間決算の対象となる企業や実施時期、提出期限、実施のメリット、スムーズに行うためのポイントを解説します。

目次

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中間決算とは

決算とは、企業の1年間の収益と費用を集計し、その年の資産・負債・純資産の状況をまとめた決算書を作成し報告する一連の業務のことです。当該事業年度の半期時点で行う決算が中間決算です。

事業年度の期間は一般的に1年であるため、中間決算はその半分にあたる6ヶ月が経過した時点で行われます。その際、資産・負債・純資産の状況などをまとめた報告書を作成します。

中間決算が義務付けられている企業

金融商品取引法により有価証券報告書の提出が義務付けられている企業は、半期報告書を提出しなければなりません。すなわち、中間決算を行う必要があります。

半期報告書の提出期限は、以下の通りです。

企業区分半期報告書の提出期限
半期報告書の提出期限上場企業
(特定事業会社除く)
事業年度開始後6ヶ月を経過した日から45日以内
上場特定事業会社
(銀行・保険会社など)
事業年度開始後6ヶ月を経過した日から60日以内
一定の要件を満たす非上場企業一定の要件を満たす非上場企業事業年度開始後6ヶ月を経過した日から3ヶ月以内
出典:金融庁「第55回企業会計審議会監査部会 事務局資料」

上場企業には、半期報告書の提出が義務付けられています。また、非上場企業であっても、株券の所有者数が1,000人以上など有価証券報告書の提出義務がある場合には、半期報告書の提出が必要です。

出典:金融庁「第55回企業会計審議会監査部会 事務局資料」
出典:e-Gov法令検索「金融商品取引法|第二十四条の五」

中間決算を行う目的・メリット

中間決算にはさまざまなメリットがあるため、法律上の実施義務がない企業でも実施するケースがあります。

中間決算を行うメリット

  • 期の途中に事業の最新状況を確認し経営判断に活かせる
  • 投資家や金融機関に経営状況を共有できる
  • 本決算の負担を軽減できる

事業年度末のみ決算を行っている場合、事業活動の状況を年に1回しか確認できません。そのため、事業内容に問題点があっても把握や改善対応が遅れる可能性があります。

ですが、期の途中で中間決算を行えば、経営課題を早期に把握し、事業の最新状況を踏まえた経営判断が可能となります。

さらに、中間決算を行って投資家や金融機関に経営状況を共有し、積極的に情報開示を行えば、ガバナンスが確立された企業であると示すことができる点もメリットです。企業としての信頼獲得・向上につながります。

また、本決算時に1年分の収支をまとめて処理すると大きな業務負担がかかりますが、半年時点で中間決算を実施しておけば本決算の業務負担を軽減できます。

中間決算はいつ行う?

中間決算は、事業年度の半期が経過した時点で行います。企業の事業年度は一般的に1年であるため、半分にあたる6ヶ月が経過した時点を半期として中間決算を行います。

4月始まり3月末決算の企業であれば、事業年度の開始から6ヶ月後の9月末が中間決算のタイミングです。中間決算では4月から9月までの6ヶ月間の損益を集計したうえで、9月末時点の資産・負債・純資産の状況をまとめて決算書を作成します。

中間決算と似た用語との違い

決算処理や税金の申告を適切に行うためには、よく似た用語を混同しないよう、それぞれの意味を正しく理解しておきましょう。

以下では、中間決算と似た用語との違いを解説します。

本決算・四半期決算・月次決算と中間決算の違い

本決算・四半期決算・月次決算と中間決算では、決算を行うタイミングや法的な義務の有無に違いがあります。それぞれの決算の違いは、以下の通りです。

決算の種類実施時期法的義務の有無
本決算事業年度末義務あり(会社法に基づく全ての法人に義務)
中間決算事業年度の半期終了時点上場企業など一部に義務あり
四半期決算四半期ごと(3ヶ月ごと)義務なし
※報告書提出義務は2024年4月廃止
※上場企業は取引所規則により実施が実質必要
月次決算毎月末義務なし(任意)

株式会社・合名会社・合資会社・合同会社では、会社法により事業年度ごとに貸借対照表など計算書類の作成が義務付けられており、本決算の実施は法的義務です。

また、金融商品取引法により、上場企業などでは本決算・中間決算を行って報告書を作成する必要があります。

一方で、四半期決算や月次決算の実施は法的に義務付けられていません。以前は一定の要件を満たす企業に四半期報告書の提出義務がありましたが、金融商品取引法改正により、2024年4月から提出義務は廃止されました。

ただし、上場企業では取引所の規則に基づき、四半期決算短信の開示が求められているため、引き続き四半期決算を行う必要があります。

なお、四半期決算や月次決算を行えばその時点の経営状況を把握できるなどメリットがあるため、法的義務はないものの、これらの決算を行う企業もあります。

出典:e-Gov法令検索「会社法」
出典:e-Gov法令検索「金融商品取引法」

中間申告・仮決算と中間決算の違い

中間申告・仮決算は税法上の用語であるのに対し、中間決算は税法上の用語ではなく、広く一般的に用いられている会計用語です。

用語主な目的・内容税務上の扱い
中間決算半期の業績・財務状況の把握、社内・対外報告税法上の用語ではない
(一般的な会計用語)
中間申告法人税・消費税の中間納付のために行う手続き税法上の用語
仮決算中間申告のために半期時点で行う決算処理税法上の用語

中間申告・仮決算は、法人税・消費税の納税・申告に関する用語です。前年度の税額が一定額以上の企業には、中間申告による法人税と消費税の納税が義務付けられています。

中間申告の方法は、「前年度実績を基準とする中間申告(予定申告)」と「仮決算に基づく中間申告」の2種類です。

中間申告の方法概要
予定申告前年度の税額をもとに中間申告納付税額を算出する方法
仮決算に基づく中間申告半期で仮決算を行い、中間申告納付税額を算出する方法

予定申告では前年度の実績をもとに納付税額を算出しますが、仮決算に基づく中間申告では、その年度の直近の事業状況をもとに仮の決算を行い、納付税額を算出します。

仮決算に基づく中間申告は、事業年度開始日から6ヶ月が経過した時点で行うため、「事業年度の途中で決算処理を行う」という点で中間決算と共通しています。

【関連記事】
消費税の中間納付(中間申告)とは?対象や時期、計算方法について解説

出典:国税庁「中間申告の方法」
出典:国税庁「法人税のあらましと申告の手引」

中間決算をスムーズに行うためのポイント

中間決算をスムーズに行うための主なポイントは次の2つです。

中間決算をスムーズに行うためのポイント

  • 中間決算を行う目的を明確にする
  • 会計ソフトを使って決算業務を効率化する

以下でそれぞれ解説します。

中間決算を行う目的を明確にする

中間決算は、法律で義務付けられているからと形式的に実施するのではなく、目的を明確にしたうえで実施することが重要です。目的が曖昧なまま中間決算を実施すると、経理担当者の負担が増えるだけで終わってしまい、中間決算のメリットを活かせません。

法律上の義務があるか否かに関わらず、中間決算を行う場合は「経営判断に把握し改善策を講じる」「投資家へ積極的に情報開示を行って信頼向上につなげる」など、目的を明確にしましょう。

会計ソフトを使って決算業務を効率化する

中間決算は、収支の集計期間が6ヶ月間と短いものの、本決算と同様に決算書作成などの手間がかかります。作業負担を減らすためには、決算業務を効率化しましょう。

中間決算に伴う負担を軽減するなら、会計ソフトの導入がおすすめです。会計ソフトを導入すれば、自動入力・自動仕訳によって会計業務を効率化でき、手作業よりも早く入力・仕訳を完了できます。

まとめ

上場企業では、中間決算の実施が義務付けられています。上場企業の半期報告書の提出期限は、事業年度開始から6ヶ月が経過した日以後、45日以内です。

中間決算を行えば、経営状況の可視化や、投資家や金融機関からの信頼向上、本決算の負担軽減などのメリットを享受できます。そのため、法律上の義務がない企業でも、中間決算を行うケースがあります。

本決算・四半期決算・中間申告など類似する用語との違いを理解し、目的を明確にしたうえで進めましょう。

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よくある質問

中間決算は大企業・中小企業いずれにも義務付けられている?

中間決算の義務は、金融商品取引法により定められており、大企業と中小企業のいずれも対象となることがあります。

詳しくは記事内「中間決算が義務付けられている企業」をご覧ください。

中間決算はいつ行う必要がある?

中間決算を行うのは事業年度の半期時点です。事業年度が4月から翌年3月までの1年の企業の場合、事業年度が開始して6ヶ月後の9月末が中間決算のタイミングです。

詳しくは記事内「中間決算はいつ行う?」をご覧ください。

監修 鶏冠井 悠二(かいで ゆうじ)

コンサルタント会社、生命保険会社を経験した後、ファイナンシャルプランナーとして独立。「資産形成を通じて便利で豊かな人生を送って頂く」ことを目指して相談・記事監修・執筆業務を手掛ける。担当分野は資産運用、保険、投資、NISAやiDeCo、仮想通貨、相続、クレジットカードやポイ活など幅広く対応。現在、WEB専門のファイナンシャルプランナーとして活動中。

監修者 鶏冠井 悠二

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