青色申告の基礎知識

農業所得を得た場合は?白色申告と青色申告での確定申告について

確定申告では、所得の種類によって所得税の計算方法などが変わってきますが、農業所得者の場合はどうでしょうか。農業所得を得た場合、白色申告、または青色申告でそれぞれどのような手続きを行っていく必要があるか解説していきます。

農業所得の分類は?

農業所得の分類

所得は、事業所得のほか、不動産所得や給与所得、雑所得などいくつかの所得に分けることができます。農業所得は、確定申告書の収入や所得の欄を見て分かるように、事業所得に分類される所得です。事業所得とは、事業を営むことによって生じる所得のことを指します。

〇事業所得における所得の計算
事業所得の発生する事業では、売上のほか、事業を営むうえで仕入や交通費、通信費といった経費が発生すると考えられます。そのため、売上から必要な経費を引いた額が、事業所得として算出されることになります。

農業所得者の白色申告での記帳

事業所得では、所得計算上、売上と経費を明らかにする必要があるということを解説しました。これは、農業所得においても例外ではありません。売上と経費を計算するうえで、具体的にどのような記帳が必要となるのか、白色申告と青色申告に分けて確認してみましょう。

〇白色申告では簡易な記載が可能

白色申告では簡易な記載が可能

白色申告については、収入と経費、それぞれで簡易な記帳が認められています。表のように、帳簿については決まりがありませんので、必要な事項を記載したうえで、自身で分かりやすいようにまとめて置けばよいということです。

〇収穫に関して
基本的に農作物の収穫については穀物以外であれば詳細を記帳する必要がありません。穀物の収穫であった場合は、収穫した年月日のほか、種類と数量の記帳が必要です。

収穫に関して

複数の収穫物がある場合は、一覧にしておくと分かりやすいですね。なお、収入、経費共に収穫に関しての記帳は同様です。

〇売上や消費に関して
売上や収穫した農産物などにおいて家事消費した場合は、取引を行った年月日、相手方、金額の記帳が必要となります。原則は取引ごとに記載することになりますが、白色申告では少額の場合や請求書などで請求額が確認できる場合は、日々の合計を一括で記帳することが可能です。また請求書など取引が明確に分かるものがあれば、現金に動きがあったときに記帳できる現金主義を用いることができます。

なお、農産物などを生産している場合は、売れ残った分などを家庭で消費する場合もあると思います。家事消費した場合は相手方と該当する部分が明確ですので、その都度記帳する必要はなく、年末に一括で処理することが可能です。

〇事業における費用に関して

事業における費用に関して

表は国税庁の農業所得者における白色申告での記帳の例ですが、費用を記帳する場合は、経費の区分を明らかにしたうえで、取引年月日、支払先、金額、取引の事由について記載する必要があります。なお、収入における簡易記帳と同様に、少額の場合は日々の合計を一括記帳、また事業用の消費は一括記帳することが可能です。さらに、支払った際に計上する現金主義、収穫していない農産物や育成中の畜産について年度末に整理することができます。

・未収穫・未成熟の農産物や畜産物における整理
農業の場合、収穫や出荷までに期間を要することが考えられます。現実に収入となる期間を考慮して、月末に経費を整理することが可能です。具体的には、収穫や成熟するまで関係する費用を累積していき、収穫または成熟したと年に累積額を減価償却することになります。なお、原則的には通常の減価償却費と考えは同じで、10万円未満である場合は一括で必要経費として算入されます。なお、20万円未満の場合は、白色申告者でも一括償却または3年での均等償却を選択することが可能です。

農業所得者の青色申告での記帳

農業所得は事業所得のひとつですから、青色申告で確定申告することが可能です。青色申告をするには、「所得税の青色申告承認申請書」を事前に提出しておく必要があるので注意しましょう。青色申告にしたい場合の期限は申告を行う年の3月15日まで、新たに事業をはじめた場合は3か月以内となりますので注意しましょう。期限内に申請書の提出が行われなかった場合は、自動的にその年の申告は白色申告となります。

〇65万円の青色申告特別控除を受ける場合
農業所得で65万円の青色申告特別控除を受けたい場合は、正規の簿記の原則に従って、貸借対照表及び損益計算書を作成できる帳簿の記載が必要となります。なお、記帳については、複式簿記での記帳が必要です。

〇簡易記帳について
なお、10万円の青色申告特別控除の場合は、簡易記帳で認められます。農業所得者の簡易記帳は、基本的には現金の流れを記載する「現金出納帳」、売上・仕入れに関わる「売掛帳」「買掛帳」、経費に関する「経費帳」、ほかに「固定資産台帳」、「農産物受払帳」が必要です。ただし、取引によっては、必要な帳簿は変わってきます。

〇農産物受払帳

農産物受払帳

現金出納帳や売掛帳などはほかの所得でも見られますが、農産物受払帳は農業所得の場合の特別な帳簿だと言えます。なお、記載にあたっては、一部簡略化することが可能です。

・収穫にあたって
穀類以外は省略化で、穀類も数量のみの記載が認められています。

・販売にあたって
穀類以外の販売で、数量や単価が分からない場合は、金額のみの記載が可能です。

・家事消費について
家庭などで消費した場合は、年末に一括して記載することができます。

農業所得者の確定申告は?

農業所得者の確定申告

青色申告で貸借対照表と損益計算書を添付する、白色申告で収益内訳書を添付するという意味では通常の確定申告と大きな違いはありません。ただし、確定申告書に添付する貸借対照表と損益計算書または収益内訳書は、農業所得用に特化したものが用意されていますので、そちらを利用するようにしましょう。

青色申告決算書(農業所得用): http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/yoshiki01/shinkokusho/pdf/h25/11.pdf
収支内訳書(農業所得用)※白色申告: http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/yoshiki01/shinkokusho/pdf/h26/08.pdf

まとめ

農業所得がある場合は、基本的にはほかの事業所得と記載の手順は似ていますが、収穫時や発育や成熟期までの累積など農業所得独自のルールも存在します。もしものときのために、収穫や売上など動きがあったときは、資料を保存しておくほか、金額や内容など詳細を記録しておくと安心でしょう。

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