会計の基礎知識

消耗品費とは?具体例や雑費との違いから仕訳方法まで解説

監修 羽場 康高 社会保険労務士・1級FP技能士・簿記2級

消耗品費とは?具体例や雑費との違い、仕訳方法について解説

消耗品費とは、文房具などの消耗品の購入費や、購入価格が10万円未満または使用可能期間が1年未満の什器備品の購入費を仕訳するときに使う勘定科目です。

業務で使用する消耗品・備品は多岐にわたるため、具体的な取引内容が分かるように適切に記帳を行うことが求められます。また消耗品費と似た勘定科目である「雑費」との使い分けにも注意が必要です。

本記事では、消耗品費の概要や該当する費用の例から仕訳方法、雑費との違いまで詳しく解説します。

目次

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消耗品費とは

消耗品費とは、以下のいずれかに該当する費用です。

消耗品費に該当するもの

  • 帳簿・文房具・用紙・包装紙・ガソリンなどの消耗品購入費
  • 取得価額が10万円未満か使用可能期間が1年未満の什器備品の購入費

出典:国税庁「帳簿の記帳のしかた-事業所得者用」

たとえば、日常的に使用する文房具や用紙などの購入費用は消耗品費として計上します。仕事用に購入したソフトウェアなども、購入金額が10万円未満の場合は、消耗品費に計上できます。

10万円以上の物品を購入した場合、基本的には「固定資産」として計上します。固定資産は、取得に伴う支出を使用期間にわたって費用として配分していく「減価償却」の対象となり、単年度の費用として処理することはできません。

なお、取得価額が10万円未満か判定する際、取得価額に消費税を含めるかどうかは経理処理方式によって変わります。税抜経理方式を適用している企業では消費税抜の価額、税込経理方式を適用している企業では消費税込の価額が取得価額となります。

【関連記事】
減価償却の計算をおこなう適切なタイミングとは?

【一覧】消耗品費の例

業務で使用する消耗品・備品の種類は多岐にわたります。消耗品費に該当する費用として、たとえば以下のものの購入費があげられます。


費用の種類具体例
事務用品 ・ボールペン
・鉛筆
・ノート
・ファイル
・印鑑
・各種封筒
・名刺
・請求書や領収書などの各種伝票
・コピー用紙 など
日用品 ・ティッシュペーパー
・トイレットペーパー
・ゴミ袋
・石鹸
・洗剤
・電球・蛍光灯
・お茶やコーヒー など

消耗品費はいくらまで計上できる?

消耗品費として計上できるのは、購入金額が10万円までの場合です。購入金額が10万円未満であれば「消耗品費」として、10万円以上の場合は「固定資産」として計上します。

「取得金額が10万円未満か、10万円以上か」は、通常1単位として取引される / 機能する、その単位ごとに判定するものとされています。たとえば応接セットの場合、テーブルと人数分の椅子が揃って応接セットとして機能するため、一式を1単位と捉え、それらの合計金額が10万円以上になるかどうかで判定します。

なお、消耗品費として計上できる費用の年間の上限金額は定められていません。

中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例

「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」とは、一定の要件を満たす中小企業の場合、30万円未満の減価償却資産(少額減価償却資産)を購入して事業のために使用し始めたときに、購入費用を損金として単年度で処理できる特例制度です。

10万円以上の備品は原則固定資産として計上し、複数年にわたって減価償却しますが、この特例制度の適用によって、30万円未満の備品の購入費用を全額、購入した年に計上できます。

特例を適用できるのは、少額減価償却資産を2006年4月1日から2026年3月31日までの間に取得・使用し、以下の要件を満たす場合です。

特例制度の対象となる中小企業の要件

  • 資本金または出資金が1億円以下であること
  • 大規模法人に発行済株式の2分の1以上を所有されていないこと
  • 複数の大規模法人に発行済株式の3分の2以上を所有されていないこと
  • 常時使用する従業員の数が500人以下(一定の法人については300人以下)
  • 青色申告者であること

なお、特例制度を適用する際は、一般的に消耗品費ではなく「減価償却費」の勘定科目で仕訳します。


出典:国税庁「No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」
出典:国税庁「No.5432 措置法上の中小法人及び中小企業者」

雑費とは

雑費とは、販管費(販売費及び一般管理費)のうち、どの科目にも振り分けられない費用を計上するための勘定科目です。一時的・臨時的に発生した、ほかの費用と比べて少額の支出を雑費として扱います。

以下では、雑費に該当する費用の例・消耗品費との違いを説明します。

【一覧】雑費の例

雑費として扱われることの多い費用の例として、以下のものが挙げられます。

雑費の例

  • 事業所の引越し費用
  • 事業所内のクリーニング代
  • 粗大ごみの処分費用
  • サービスのキャンセル料

ただし企業によっては、上記の費用を雑費以外の勘定科目を使って仕訳するケースもあります。

【関連記事】
雑費とはどのような勘定科目?消耗品費との違いや仕訳方法などを解説

消耗品費と雑費の違い

消耗品費と雑費の違いは、「支出の対象が使用によってなくなる(=消耗・消費する)ものかどうか」です。

消耗品費は比較的短い期間で消耗・消費する物品に関する費用を計上するために用い、雑費はあるサービスを受けたときに一時的に発生する費用を計上する際に用います。

消耗品・備品を購入したときの仕訳方法

消耗品や備品を購入したときの仕訳方法には以下の2種類があります。

消耗品・備品の購入費用の仕訳方法

  • 勘定科目「消耗品」を用いて資産として計上する
  • 勘定科目「消耗品費」を用いて費用として計上する

それぞれの仕訳方法について、具体例を税込方式で紹介します。

勘定科目「消耗品」を用いて資産として計上する例

消耗品や備品を購入したとき、勘定科目「消耗品」を使って資産として計上し、使用した分は決算時に勘定科目「消耗品費」に振り替えます。

1パック10冊入り1,000円のノートを5パック、合計5,000円を現金で購入し、3パックを使用したときの仕訳例は以下の通りです。

<購入時の仕訳>

借方貸方
消耗品5,000円現金5,000円

<決算時の仕訳>

借方貸方
消耗品費3,000円消耗品3,000円

勘定科目「消耗品費」を用いて費用として計上する例

消耗品や備品を購入したとき、勘定科目「消耗品費」を使って費用として計上し、未使用分は決算時に勘定科目「消耗品」に振り替えます。

1パック10冊入り1,000円のノートを5パック、合計5,000円を現金で購入し、3パックを使用したときの仕訳例は以下の通りです。

<購入時の仕訳>

借方貸方
消耗品費5,000円現金5,000円

<決算時の仕訳>

借方貸方
消耗品2,000円消耗品費2,000円

決算時に未使用分を会社の資産へ変更する場合、勘定科目は貯蔵品としても問題ありません。

記帳する際に気をつけたいポイント

消耗品や備品を購入した際、記帳する際に気をつけたいポイントは主に次の3つです。

記帳時のポイント

  • 補助科目を使う
  • 摘要(てきよう)欄を使う
  • 毎日記帳する

補助科目を使う

勘定科目の内容をより詳細に分類するために、勘定科目の下に設ける補助的な科目を「補助科目」といいます。

「消耗品費」の補助科目として「事務用品」「パソコン用品」などの区分をあらかじめ設けておくと、何に対してどれくらいの費用がかかったのか、内訳を集計しやすくなります。

補助科目を細かく設定すればより詳細な帳簿管理が可能になりますが、増やしすぎると記帳作業が複雑になり、かえって手間が増える場合もあります。使用頻度の高い項目のみを細分化したり、決算や分析に必要な粒度にしたりと、業務内容や管理の必要性を踏まえて設定しましょう。

摘要(てきよう)欄を使う

各種帳簿や伝票に設けられた「摘要(てきよう)」欄は、取引について詳しく記すメモ欄の役割を果たします。摘要欄に記載する項目の例としては、以下が挙げられます。

摘要欄に記載する項目

  • 購入品の名称
  • 購入数
  • 購入先の店名

領収証に「文房具代として」などと記載されていた場合でも、帳簿には具体的な内容を記しておきましょう。

毎日記帳する

消耗品費にかぎらず、なるべく毎日欠かさず記帳をしましょう。

まとめて記帳した場合、補助科目の設定や摘要欄にメモする内容を思い出すのに時間を要する可能性があります。日々の記録としてこまめに帳簿に記入すれば、スムーズに仕訳を行えて効率的です。また、会社の経営状況をタイムリーに把握できるメリットもあります。

まとめ

日々の記帳において、消耗品費は頻繁に使用される勘定科目です。

文房具などの消耗品の購入費や、購入価格が10万円未満または使用可能期間が1年未満の什器備品の購入費が「消耗品費」に該当します。他の科目に当てはまらない費用を計上する際に用いる勘定科目「雑費」との使い分けに注意しましょう。

消耗品や備品を購入したときの仕訳方法には、購入時に勘定科目「消耗品」を用いて資産計上するやり方と「消耗品費」を用いて費用計上するやり方の2種類があり、いずれの方法で仕訳しても問題ありません。どのような備品を購入したのか後から振り返りがしやすいように、補助科目や摘要(てきよう)欄をうまく活用して記帳を行いましょう。

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よくある質問

消耗品費の例は?

消耗品費には、ボールペンや鉛筆、ノートといった事務用品、ティッシュペーパーやゴミ袋といった日用品の購入費などが該当します。

詳しくは、記事内「【一覧】消耗品費の例」をご覧ください。

消耗品費と雑費との違いは?

消耗品費と雑費の違いは、「支出の対象が使用によってなくなる(=消耗・消費する)ものかどうか」です。

詳しくは、記事内「消耗品費と雑費の違い」をご覧ください。

監修 羽場康高(はば やすたか) 社会保険労務士・1級FP技能士・簿記2級

現在、FPとしてFP継続教育セミナー講師や執筆業務をはじめ、社会保険労務士として企業の顧問や労務管理代行業務、給与計算業務、就業規則作成・見直し業務、企業型確定拠出年金の申請サポートなどを行っています。

監修者 羽場康高

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