会計の基礎知識

法人実効税率とは?表面税率との違いから推移や計算式まで解説

監修 鶏冠井 悠二

法人実効税率とは?表面税率との違いから推移や計算式まで解説

法人実効税率(法人税実効税率)とは、企業が所得に対して実質的に負担する税率のことです。実効税率をもとに税額を計算することで、実際の税負担がいくらになるのかを確認でき、資金繰りなど事業経営に関する検討を行う際に役立ちます。

法人実効税率の計算で考慮する税金は、法人税・地方法人税・法人住民税・法人事業税・特別法人事業税の5種類です。事業税(法人事業税・特別法人事業税)の損金算入の影響を考慮することで、実際の税負担を算出できます。

本記事では、法人実効税率の計算式や表面税率との違いを解説するとともに、日本の現在の実効税率や過年度の推移を紹介します。

目次

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法人実効税率とは

法人実効税率(法人税実効税率)とは、企業が所得に対して実質負担する税率のことです。

企業が負担する税金には法人税・地方法人税・法人住民税・法人事業税・特別法人事業税の5種類があります

※2026年4月からは防衛費増額の財源の一部として、防衛特別法人税の導入が予定されています

これらは単純に税率を足し合わせて算出するのではなく、法人事業税が損金(経費)として扱われる影響を考慮して計算する必要があります。この調整を行ったうえで求められる税率が「実効税率」です。

実効税率を使えば、課税所得に対する実際の税金額を把握できるため、利益計画や資金繰りのシミュレーションなどにも活用できます。

また、法人実効税率と似た言葉に「法定実効税率」があります。法定実効税率とは、企業が所在する国、または地域の法律で定められている税率で計算した実効税率を指します。

表面税率との違い

表面税率とは、税法上定められた法人税等の税率を単純に合計して算出した税率です。一方で実効税率は、実態に近い納税額を求めるために使われるもので、事業税の損金算入が反映されています。

法人の実効税率と表面税率の主な違いは以下の3つです。

実効税率表面税率
用途実際の税負担額を把握するために用いる税金の申告・納付時の税額計算に用いる
計算方法事業税の損金算入の影響を考慮して算出する税法上定められた法人税等の税率を単純に合計して算出する(損金は加味されない)

法人実効税率の現在の数値と過年度の推移

日本の法人実効税率(資本金1億円超の外形標準課税適用法人)は29.74%です。実効税率は、企業にとって「手元に利益を残せるかどうか」に直結するため、一般的には低い方が望ましいとされています。

2014年度は34.62%でしたが、法人税改革により2015年度以降は段階的に引き下げられ、政府が改革の目標として掲げていた「法人実効税率20%台」を実現しています。

出典:財務省「法人課税に関する基本的な資料」

法人実効税率の計算式

法人実効税率の計算式は以下の通りです。

法人実効税率 =
( 法人税率 ×( 1 + 地方法人税率 + 法人住民税率 )+ 法人事業税率* )÷( 1 + 法人事業税率
※特別法人事業税率を含む

たとえば、資本金1億円以下の外形標準課税不適用法人を前提とすると、各税目の税率が法人税23.2%・地方法人税10.3%・法人住民税7.0%・法人事業税7.0%・特別法人事業税37%の企業であれば、法人実効税率は33.58%と計算できます。

以下では、法人実効税率の計算に使われる5種類の税金について解説します。

出典:企業会計基準委員会「税効果会計に係る会計基準の適用指針」

法人税

法人税は、法人の企業活動によって得られる所得に対して課される税金です。益金の額から損金の額を差し引いて所得金額を算出し、税率をかけて税額控除額を差し引くと法人税額を計算できます。

法人税の税率は原則として23.2%です。ただし、資本金1億円以下の法人の所得で年800万円以下の部分には15%の税率が適用されます。

出典:国税庁「法人税のあらましと申告の手引」
出典:国税庁「No.5759 法人税の税率」

地方法人税

地方法人税は、法人税と同様に法人の所得に対して課される税金です。地方財源の偏りをなくして地域格差を是正することを目的として、2014年度税制改正で創設されました。

名称に「地方」と付くため地方税の一種と誤解されがちですが、地方法人税は国税のひとつです。税率10.3%を法人税額に乗じれば地方法人税額を算出できます。

出典:総務省「地方法人税(国税)」

法人住民税

法人住民税は、地域社会の費用についてその構成員である法人に課される税金で、事業所のある地方自治体に対して法人が納める地方税です。

法人住民税には都道府県民税と市町村民税があり、法人税割と均等割によって構成されます。法人税割の税率や均等割の税額は、資本金の金額などによって変わります。

出典:総務省「法人住民税・法人事業税」

法人事業税

法人事業税は、法人が行う事業そのものに課される税金です。法人が事業活動を行うときには地方団体の各種行政サービスの提供を受けることから、そのために必要な費用を分担すべきとの考え方にもとづいて課せられます。

法人事業税には、付加価値額に応じた「付加価値割」、資本金等の額に応じた「資本割」、所得に応じた「所得割」があります。

業種や法人形態、資本金額などによって税率が変わり、資本金1億円以下の普通法人等に対しては所得割のみが課される仕組みです。

出典:総務省「法人住民税・法人事業税」

特別法人事業税

特別法人事業税は、地方法人課税における税源の偏在を是正するため、2019年度の税制改正で創設された税金です。

特別法人事業税の税率は法人の種類によって異なります。基準法人所得割額または基準法人収入割額に特別法人事業税の税率を乗じて算出した税額を納付します。

出典:総務省「地方法人課税の偏在是正」

まとめ

法人実効税率は、法人税・地方法人税・法人住民税・法人事業税・特別法人事業税の5種類の税金の税率をもとに計算します。

実効税率は法人の規模や種類によって変わるので、自社の実効税率を計算して確認してみましょう。

単純に税率を足し合わせる表面税率とは違い、事業税の損金算入を考慮に入れる実効税率をもとに税額を計算することで、実際の税負担額を把握できます。

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よくある質問

法人実効税率と表面税率の違いとは?

表面税率は、税法上定められた法人税等の税率を単純に合計した税率です。実効税率とは違い、事業税の損金算入が反映されていません。

詳しくは記事内「表面税率との違い」をご覧ください。

法人実効税率の計算式は?

法人実効税率は、法人税・地方法人税・法人住民税・法人事業税・特別法人事業税の5種類の税金を考慮して計算します。

法人実効税率 =
( 法人税率 ×( 1 + 地方法人税率 + 法人住民税率 )+ 法人事業税率* )÷( 1 + 法人事業税率
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詳しくは記事内「法人実効税率の計算式」をご覧ください。

監修 鶏冠井 悠二(かいで ゆうじ)

コンサルタント会社、生命保険会社を経験した後、ファイナンシャルプランナーとして独立。「資産形成を通じて便利で豊かな人生を送って頂く」ことを目指して相談・記事監修・執筆業務を手掛ける。担当分野は資産運用、保険、投資、NISAやiDeCo、仮想通貨、相続、クレジットカードやポイ活など幅広く対応。現在、WEB専門のファイナンシャルプランナーとして活動中。

監修者 鶏冠井 悠二

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