事業の展開や資金繰りに余裕がほしいとき、借り入れを検討するケースは少なくありません。本記事では、借入金に用いる勘定科目や仕訳例を解説します。

資金を借り入れるには、銀行や消費者金融のローンを利用する、自治体から融資を受けるなど、複数の方法があります。今回は、借入金の受け取りから返済まで、タイミング別の仕訳例を説明するため、ぜひ参考にしてください。

確定申告の基本をすべて解説！確定申告が初めてでもわかりやすい図解入りの解説記事はこちら

• 借入金とは？
• 借入金に用いる勘定科目
• 【短期借入金】
• 【長期借入金】
• 【支払利息】
• 借入金は経費にできる？
• 【事例で解説】借入金の仕訳例
• 借入金を受け取った場合
• 借入金・利息を返済した場合
• 決算で長期借入金から短期借入金に振り替える場合
• まとめ
• 経理を自動化し、日々の業務をもっとラクにする方法
• よくある質問

借入金とは、他者から借りた金銭であり、基本的に返済が義務付けられています。また、事業で資金を借り入れると、以下のメリットがあります。

「借入金＝借金」のイメージから、資金を借り入れることはマイナスだと考える人もいるでしょう。しかし事業で「資金繰りに余裕をもつ」ことは大切です。

たとえば、取引先が倒産してしまうなど予想外の出来事で売上がダウンした場合、資金に余裕がないと従業員への支払いなどが滞ります。万が一に備え、資金繰りに余裕をもたせるための借入金は、健全な事業運営につながります。

また新しい分野へ挑戦や事業拡大のためには、まとまった資金が必要です。事業を軌道に乗せる機会を逃さないために借入金を利用するのは、将来のための投資となるでしょう。

借入金の取引相手は、銀行だけでなく関連会社・消費者金融・親族・知人などを含みます。金融機関から借り入れる場合、次の4種類の方法があります。

証書貸付	借りる側と貸す側の間で金銭消費賃貸契約を結び、金銭消費賃借契約書を差し入れて借り入れを行う、4種のうちもっともメジャーな方法
手形貸付	金融機関に約束手形を振り出し、手形に記載された金額の融資を受ける方法
手形割引	他社が振り出した期日到来前の手形を、金融機関に買い取ってもらうことで融資を受ける方法。手形割引の場合は一般的に「手形売却損」で仕訳をする
当座貸越	決められた融資限度額内であれば、自由に融資・返済できる方法

上記のどの方法で借り入れた場合も、返済期間によって「短期借入金」または「長期借入金」に分けられます。

借入金に関して、会計処理する際に用いる勘定科目は以下の通りです。

• ・1年以内に返済期限が到来する借入金を仕訳する場合は【短期借入金】
• ・返済期限が1年を超える借入金を仕訳する場合は【長期借入金】
• ・借入金にかかる利息部分を仕訳する場合は【支払利息】

それぞれ詳しく見てみましょう。

「短期借入金」とは、金融機関や取引先から借りた金銭で、決算日の翌日を起算日として1年以内に返済する場合に用いる勘定科目です。貸借対照表では、「流動負債」として計上されます。

手形貸付は、1年以内の短期貸付であるケースが多い傾向にあります。「取引先からの入金待ちの間」など、短期的な借り入れを行った際に使う勘定科目と覚えておきましょう。

金融機関や取引先から借りた金銭で、返済期限が決算日の翌日から1年を超える場合に用いる勘定科目を「長期借入金」といいます。貸借対照表では、「固定負債」として扱われます。

金融機関から証書貸付で借り入れる場合、1年以上の長期貸付であるケースが一般的です。

同一の融資には、「1年以内」と「1年を超える」部分で分けて処理しなければなりません。その場合、長期借入金のうち、1年以内に返済する予定の借入金は「1年以内返済予定長期借入金」で仕訳しましょう。

借入金を返済する際、利息が生じた場合は「支払利息」で仕訳します。

支払利息とは、文字通り、ローンや借入金にかかる利子をいいます。利息だけ支払う間は、支払利息のみ計上しましょう。

また政府による新型コロナウイルス感染症の経済的影響を支援する特別融資などでは、無利子・無担保で資金を借りられるケースがあります。

【関連記事】
借入利息とは？ 仕訳に使う勘定科目や経費計上の可否を解説

借入金の元本部分は、単に金銭を借りて返すものであるため経費とはなりません。たとえば、個人事業主が消費者金融のビジネスローンを利用して、事業資金を借り入れた場合も経費の対象外です。

一方、利息に関しては経費計上できます。そのため仕訳する際は、元本部分と利息で区分しましょう。

借入金を仕訳するタイミングは、以下の通りです。

各タイミングの仕訳例を説明するので、参考にしてください。

銀行から50万円の融資（1年以内に返済予定）を受け、預金口座に振り込まれた場合

借方		貸方
預金	500,000円	短期借入金	500,000円

銀行から500万円の融資（5年で返済予定）を受け、預金口座に振り込まれた場合

借方		貸方
預金	5,000,000円	短期借入金 長期借入金	1,000,000円 4,000,000円

5年で返済する借入金に関して、「短期借入金」の部分は「1年以内返済予定長期借入金」を用いて仕訳しても問題ありません。

短期で借り入れた金額のうち元本100万円と利息1万円を、預金から支払った場合

借方		貸方
短期借入金 支払利息	1,000,000円 10,000円	預金	1,010,000円

最初の数ヶ月は利息のみ支払う場合

借方		貸方
支払利息	5,000円	預金	5,000円

決算時、来年度に返済予定の長期借入金（元本50万円）短期借入金に振り替える場合

借方		貸方
長期借入金	500,000円	短期借入金	500,000円

「短期借入金」の部分は「1年以内返済予定長期借入金」を用いて仕訳しても問題ありません。

借入金とは、銀行や消費者金融、取引先などから借りた金銭をいいます。元本部分は経費になりませんが、利息は経費と認められます。

借入金は返済期間の長さによって、「長期借入金」や「短期借入金」などの勘定科目を使い分けましょう。仕訳するタイミングは、借入金を受け取ったとき・借入金や支払利息を返済したとき・長期借入金から短期借入金へ振り返るときです。

経理業務には日々の入出金管理だけでなく、請求書や領収書の作成から保存まで多岐にわたります。

シェアNo.1のクラウド会計ソフト(*1)「freee会計」では、面倒な仕訳や入力作業を自動化、必要書類も簡単に作成でき、経理業務にかかる時間を半分以下(*2)に削減できます。
※1.シミラーウェブ、ローカルフォリオ(2019年10月)
※2.自社調べ。回答数1097法人。業務時間が1/2以上削減された法人数

また、関連書類はクラウド内で保存が可能です。管理にかかるコストも削減でき、書類の破損や紛失の心配もありません。

数あるソフトの中でも、freee会計を導入するメリットをご紹介します。

銀行口座やクレジットカードを同期することにより、利用明細を自動的に取り込むことができます。取り込んだ明細から勘定科目の登録はもちろん、売掛金や買掛金の消し込み、資金の移動などの記帳も可能です。

明細を手入力ではなく自動的に取り込むため、入力の手間や漏れなく正確な帳簿を作成できます。

会社を経営するうえで重要なのはお金の流れです。freee会計では、お金の流れをリアルタイムで把握できるレポートを自動で作成できます。

たとえば「資金繰りレポート」を作成すると、今後のお金の出入りを踏まえた上で現金の残高推移を確認することができます。現金の動きを把握することで、資金ショートの防止につながります。

freee会計では、中小企業の決算関連書類を自動的に作成できます。

＜freee会計で出力可能な書類の一例＞

• 貸借対照表・損益計算書
• 仕訳帳・総勘定元帳
• 現金出納帳 など

PDFやCSVファイルに出力することも可能なため、士業の方への共有や社内での資料作成にも活用できます。

ほかにもfreee会計には、効率的な経理を実現するための機能が豊富に備わっています。

＜freee会計の機能例＞

• 見積書/請求書/納品書の発行
• 入金確認や消込、帳簿への反映
• 支払管理や振込ファイルの自動作成
• 証憑管理（電子帳簿保存対応）etc...

freee会計は、30日間の無料お試し期間を設けています。無料お試し期間でもサポート機能の利用も可能なので、気になる方はまず無料でお試しされることをおすすめします。

今すぐfreee会計を使ってみたい方は、freee会計アカウントの新規作成（無料）ページからお試しください。

借入金の元本部分は経費にできません。経費となるのは、利息部分のみです。

借入金に関して経費計上できるか知りたい方は、「借入金は経費にできる？」をご覧ください。

借入金の勘定科目は、返済期限までの長さによって「長期借入金」と「短期借入金」に分けられます。仕訳する際、元本部分と支払利息は区別しましょう。

「長期借入金」や「短期借入金」に関して詳しく知りたい方は、「借入金に用いる勘定科目」をご覧ください。