監修 橋爪 祐典 税理士
途上与信とは、クレジットカードやローンなどの契約締結後に、金融機関が利用者の信用状況を定期的に確認する再審査のことです。
途上与信で確認される信用情報によっては、与信枠や今後の利用に影響する可能性もあるため、日常的に信用を高く維持することが大切です。
本記事では、途上与信の概要や目的、審査内容、流れを解説します。また、途上与信で信用情報の評価を下げないためのポイントもあわせて解説するので、途上与信で良好な評価を保ちたい人は参考にしてください。
目次
はじめての経理はfreee会計で簡単・安心・確実に
経理未経験でも、freee会計で帳簿や決算書を作成できます。銀行口座と同期すると、複雑な仕訳を自動化したり、日々の記帳を行うと、1クリックで決算書を作成できたり、初心者の方でも安心して進められます。
途上与信とは?
途上与信とは、クレジットカードやローンなどの契約後に、金融機関が利用者の信用状況を継続的に確認する審査制度のことです。契約締結時の審査とは異なり、利用期間中に定期的または必要に応じて実施されます。
金融機関は途上与信で利用者の返済能力や信用度の変化を把握できます。途上与信の結果次第では、利用限度額の引き下げや新規貸付の停止などの措置が取られることも少なくありません。
【関連記事】
与信管理とは?取引先の信用を見極め、スムーズに取引を行うポイントを解説
債権管理とは?業務効率化のコツや債権未回収によるリスク分散法などを解説
信用審査の種類
信用審査には大きく分けて次の3つの種類があり、実施されるタイミングや目的が異なります。
- 初期与信:クレジットカードやローンの新規申込時に行われる審査
- 途上与信:契約後の利用期間中に実施される継続的な審査
- 信用承認(オーソリゼーション):買い物やキャッシングの都度行われる審査
信用審査は一度だけでなく、契約前から契約後まで段階的に行われており、金融機関はこれらの信用審査を通じて総合的なリスク管理を行っています。
途上与信と法定途上与信の違い
途上与信と法定途上与信の主な違いは、以下のとおりです。
| 途上与信 | 法定途上与信 | |
|---|---|---|
| 定義 | カード会社が独自に行う再審査 | 貸金業法に基づいて義務付けられた審査 |
| 実施タイミング | 定期的(3〜6ヶ月ごと)、増枠申請時、延滞発生時など | カード更新時、利用残高が一定額を超えた場合など |
| 目的 | 信用リスクの管理 | 過剰貸付の防止、多重債務の抑制 |
途上与信は金融機関が独自の判断で任意に実施する審査です。実施頻度や基準は各社が自由に設定でき、必要に応じて柔軟に行われます。増枠申請時や延滞発生時などに実施されます。
一方、法定途上与信は貸金業法で義務化された審査です。貸金業者は、利用残高が一定額を超えた場合などに実施しなければいけません。
途上与信が実施されるタイミング
途上与信は、月次または四半期ごとなど定期的に実施される場合と、利用状況に応じて実施される場合があります。
利用状況に応じた臨時の審査が実施される場合は、具体的に以下のようなタイミングです。
- 利用限度額の引き上げ申請があったとき
- 短期間に高額利用があったとき
- 支払延滞が発生したとき
金融機関は複数のタイミングで信用状況を確認し、適切なリスク管理を行っています。
途上与信の目的
金融機関が途上与信を実施する背景には、さまざまな目的があります。途上与信の主な目的は、以下のとおりです。
- 信用リスクの管理
- 支払延滞の防止
- 与信枠の調整
- 不正利用の検知
利用者と金融機関にとって健全な取引関係を維持するうえで大切な知識であるため、しっかり理解しておきましょう。
信用リスクの管理
途上与信で利用者の返済能力や信用度の変動を継続的に監視できます。契約時の審査だけでは、その後の利用者の状況変化を把握できません。
途上与信で収入の減少や他社借入の増加など、リスク要因の早期発見が可能です。これにより貸倒れリスクを最小限に抑えられます。
支払延滞の防止
途上与信は支払延滞を防止する役割も果たします。他社での返済トラブルや借入額の急増などの情報から、延滞リスクが予測可能です。
信用リスクが高い利用者には、与信枠の調整や注意喚起によって、深刻な延滞に発展する前に対策を講じられます。
このように、金融機関は回収不能を回避し、利用者は信用情報の悪化を避けられます。
与信枠の調整
途上与信の結果に基づいて、利用限度額の調整が可能です。
信用状況が改善した利用者には限度額の引き上げが検討され、信用リスクが高まった利用者には限度額の引き下げや利用停止などの措置が取られます。
また、与信枠の調整は過度な借入を防ぎ、利用者を多重債務から守ります。各利用者の状況に応じた柔軟な与信管理で、適正な融資バランスが保たれるでしょう。
不正利用の検知
途上与信は不正利用やなりすましの発見にも役立ちます。通常と異なる利用パターンや急激な借入増加は、不正利用の可能性があります。
定期的に信用情報を審査することで、第三者による不正利用の早期検知が可能です。また、組織的な詐欺行為や犯罪利用の兆候も把握できます。
途上与信で確認される内容
途上与信ではさまざまな信用情報が総合的に確認されます。途上与信で確認される主な内容は、以下のとおりです。
- 過去の支払履歴
- クレジットカードやローンの借入状況
- 属性情報
これらの情報は信用情報機関に登録されており、金融機関が照会することで確認できます。
過去の支払履歴
途上与信では延滞の有無や頻度、延滞期間など、クレジットカードやローンの返済履歴が確認されます。
過去24ヶ月分の支払状況が表示され、遅延や未払いは明確に識別できます。1日でも遅れれば記録に残るため、支払期日を厳守することが大切です。債務整理や自己破産などの金融事故情報も確認対象です。
良好な支払履歴を維持することが、高い信用評価につながります。
クレジットカードやローンの借入状況
クレジットカードのキャッシング枠やショッピング枠の利用状況など、現在の借入総額や契約件数も確認の対象です。
他社を含めた総借入額が返済能力に見合っているかについて評価されます。短期間に複数の申し込みや契約があると、資金繰りに困っていると判断されることもあるでしょう。
また、各種ローンの残高や返済期間も確認対象です。総合的な債務状況から、追加融資の可否や限度額の妥当性が判断されます。
属性情報
氏名や生年月日、住所などの個人情報が確認されます。これらの情報に変更があった場合、速やかに届け出ることが必要です。
また、勤務先情報も大切な確認項目のひとつです。転職や退職は返済能力に影響するため、変更時には金融機関へ連絡しましょう。年収情報も定期的に更新され、与信判断の貴重なデータとなります。
途上与信の流れ
途上与信の主な流れは、次の3ステップです。
- 定期的な情報収集
- 収集した情報の分析と評価
- 与信判断
金融機関がどのように審査を進めるのかについて理解し、普段から信用情報を良好に保ちましょう。
1. 定期的な情報収集
金融機関は定期的に信用情報機関に対し、利用者の最新情報を照会・取得します。
収集される情報には、他社での借入状況や返済履歴が含まれます。さらに、申込情報や照会履歴なども確認対象です。
また、複数の信用情報機関から情報を収集することもあります。これにより包括的な信用状況を把握できます。
2. 収集した情報の分析と評価
収集した信用情報をもとに、独自の評価基準で分析・評価が行われます。
返済履歴の良否や借入総額、利用率などが総合的に評価されます。過去の傾向や変化のパターンも分析対象です。金融機関は、スコアリングシステムで信用リスクを数値化し、将来的な延滞リスクを予測します。
3. 与信判断
分析結果に基づいて、具体的な対応が決定されます。
信用状況に問題がなければ現状維持または限度額引き上げが検討され、リスクが高いと判断された場合には限度額の引き下げや新規貸付の停止が行われます。場合によっては利用停止や強制解約となることもあるでしょう。
大きな変更は利用者に通知されます。ただし、軽微な調整は通知なしで実施されることもあります。
途上与信で信用情報の評価を下げないためのポイント
途上与信で信用情報の評価を下げないための主なポイントは、以下のとおりです。
- 期限内の返済を徹底する
- 借入状況を管理する
- 信用情報を定期的に確認する
途上与信で良好な評価を維持するために、日常的な信用管理を意識しましょう。
期限内の返済を徹底する
1日の支払遅延でも信用情報に記録されるため、すべての支払いを期限内に完了させることが大切です。
口座振替の場合は、引落日前日までに十分な残高を確保することが必要です。給料日と引落日のタイミングを考慮して資金管理をしましょう。
また、複数のカードやローンがある場合は、支払日をカレンダーで管理すると支払遅延を防ぎやすくなります。
自動引落の設定や督促メールの活用も有効です。万が一遅れそうな場合は、事前に金融機関へ相談するとよいでしょう。
借入状況を管理する
多重債務や返済困難などのリスクを回避するため、借入総額を常に把握しておくことが大切です。
また、年収に対する借入比率が高くなりすぎないように注意が必要です。一般的には年収の3分の1以内が適正とされています。短期間に複数の借入を申し込むことも避けましょう。
利用していないカードも与信枠として計算されることがあるため、不要なクレジットカードの解約も有効です。
信用情報を定期的に確認する
定期的に自分の信用情報を開示請求しましょう。開示請求する際の代表的な信用情報機関は、以下の3つです。
- CIC(シー・アイ・シー)
- JICC(日本信用情報機構)
- 個信センター(全国銀行個人信用情報センター)
信用情報を開示請求することで、登録されている情報の正確性を確認できます。誤った情報が登録されていた場合は、速やかに訂正の手続きを行いましょう。身に覚えのない照会履歴があれば、不正利用の可能性も考えられます。
まとめ
途上与信は、クレジットカードやローンの契約後に実施される継続的な信用審査です。金融機関は定期的または必要に応じて信用情報を確認し、リスク管理や与信枠の調整を行っています。
途上与信では、支払履歴や借入状況、属性情報などが総合的に審査されます。評価結果によっては、利用限度額の変更や利用停止などの措置が取られることもあるでしょう。
良好な信用評価を維持するためには、期限内の返済徹底と借入状況の適切な管理が必要です。定期的に自分自身の信用情報を確認し、健全な信用取引を心がけましょう。途上与信を正しく理解することで、長期的な信用力の向上につながります。
途上与信では、返済状況や借入残高、日々の取引内容が総合的に審査されます。つまり、日常のお金の管理そのものが信用力に直結すると言えるでしょう。
普段から資産や負債などを正確に把握し、説明できる状態にしておくことが大切です。そこで役立つのが、日々の経理と資金状況を一元管理できる会計ソフトです。
freee会計なら、取引データを自動で整理し、経営状況を可視化できます。途上与信に強い体制を構築するためにも、freee会計を使ってみてはいかがでしょうか。
はじめての経理でも、自動化で業務時間を1/2以下にする方法
経理業務は日々の入出金管理のほか、請求書や領収書の作成・保存、仕訳作成まで多岐にわたります。
シェアNo.1のクラウド会計ソフト*1「freee会計」は、面倒な入力作業や仕訳を自動化し、見積書や請求書も簡単に作成できるため、経理業務にかかる時間を半分以下*2に削減できます。
※1リードプラス「キーワードからひも解く業界分析シリーズ:クラウド会計ソフト編」(2022年8月)
※2 自社調べ。回答数1097法人。業務時間が1/2以上削減された法人数
また、一度の入力で複数の業務が完了するため、重複作業や転記作業はほぼ発生しません。
数ある会計ソフトの中でも、freee会計が選ばれる理由は大きく分けて以下の3つです。
- AI-OCR機能で自動入力・自動仕訳
- 全国ほぼすべての銀行・160以上の外部サービスと連携
- 充実のサポート体制
それぞれの特徴についてご紹介していきます。
AI-OCR機能で自動入力・自動仕訳
領収書・受取請求書などをスマホのカメラで撮影しfreee会計に取り込めば、読み取り機能(OCR機能)が取引先名や金額などをAI解析し、仕訳に必要な情報を自動で入力。そのまま支払管理・仕訳まで自動で作成できます。
全国ほぼすべての銀行・160以上の外部サービスと連携
freee会計は全国ほぼすべての銀行やクレジットカード、決済サービスなどと連携可能。同期していれば自動で利用明細を取り込むので、勘定科目の登録はもちろん、売掛金や買掛金の消し込み、入金仕訳などの記帳が、freee会計の画面だけで行えます。
さらに、地代家賃や役員報酬など定期的に入金・支払金が発生する取引は、登録さえしておけばfreee会計が自動で記帳まで完了します。
充実のサポート体制
freee会計には、経理をするうえでの不安を解消できる充実したサポートコンテンツを用意しています。
それでも解決できないお悩みはfreeeの専任スタッフにご相談いただける体制も整っているため、はじめて経理される方でも安心して始めることができます。
よくある質問
途上与信と法定途上与信の違いは何ですか?
途上与信は金融機関が任意で実施する審査で、法定途上与信は貸金業法で義務化された審査です。
また、途上与信は顧客の返済能力の変化を把握し、延滞防止や利用限度額の適切な管理、不正利用の早期発見などを目的としています。一方、法定途上与信は、法令遵守に基づき、過剰与信を防止します。
詳しくは記事内「途上与信と法定途上与信の違い」をご覧ください。
途上与信で何を見るのですか?
途上与信では、信用情報機関に登録されているさまざまな情報が確認されます。主なチェック項目は、過去の支払履歴や延滞の有無です。
クレジットカードやローンの現在の借入総額や契約件数も確認の対象です。また、氏名や住所、勤務先などの属性情報の変更もチェックされます。これらの情報を総合的に分析し、信用リスクや返済能力が評価されます。
詳しくは記事内「途上与信で確認される内容」をご覧ください。
監修 橋爪 祐典(はしづめ ゆうすけ)
2018年から現在まで、税理士として税理士法人で活動。中小企業やフリーランスなどの個人事業主を対象とした所得税、法人税、会計業務を得意とし、相続業務や株価評価、財務デューデリジェンスなども経験している。税務記事の執筆や監修なども多数経験している。
