会計の基礎知識

現金出納帳をエクセルで作成する方法(無料テンプレート付き)

監修 安田亮 安田亮公認会計士・税理士事務所

現金出納帳をエクセルで作成する方法(無料テンプレート付き)

現金出納帳とは、日々の現金の入出金を記録・管理するための帳簿で、現金の流れを正確に把握するために不可欠なものです。手書きで管理されることもありますが、エクセルを活用すれば計算ミスを防げるため、効率的に管理できます。

本記事では、現金取引の多い企業経営者や個人事業主、フリーランスの方に向けて、エクセルで現金出納帳を作成する方法を4つの具体的なステップで解説します。また、すぐに使える無料のテンプレートも用意していますので、現金管理の際にお役立てください。

目次

はじめての経理はfreee会計で簡単・安心・確実に

経理未経験でも、freee会計で帳簿や決算書を作成できます。銀行口座と同期すると、複雑な仕訳を自動化したり、日々の記帳を行うと、1クリックで決算書を作成できたり、初心者の方でも安心して進められます。

現金出納帳の基本的な仕組み

現金出納帳は「金銭出納帳」ともいい、現金の流れや残高を正確に把握するための帳簿です。現金取引の内容をリアルタイムで把握するために、入金伝票や出金伝票などをもとに、いつ・何のために・どこから(どこへ)・いくら受け取ったか(支払ったか)を詳しく記載します。

経理業務で使用する帳簿は、「決算書」を作るために作成が義務付けられている「主要簿」と、任意で作成する「補助簿」の2種類です。


現金出納帳の基本的な仕組み

現金出納帳は補助簿に該当する帳簿です。作成の義務はありませんが、主要簿に記載しにくい細かい取引状況を記録・管理する役割を持ちます。

【関連記事】
現金出納帳とは?作成するメリットや記載項目について解説

現金出納帳を作成したほうがよいケース

現金出納帳は、日々の現金の流れを正確に把握し、資金管理を適切に行う必要があれば作成しましょう。具体的には、以下のようなケースが該当します。

現金出納帳を作成したほうがよいケース

  • 現金取引の多い企業
  • ビジネスオーナー・個人事業主
  • フリーランス・副業をしている人
  • 組織や団体の会計担当者

現金取引の多い企業

現金取引には、現金の紛失や盗難、売上の計算ミス、従業員による不正などのリスクがつきものです。現金出納帳を作成すれば、誤りや不自然な点を早期に発見でき、大きなトラブルを防げます。

また、現金出納帳は税務申告の際にも役立ちます。税務調査では、現金の流れが明確に記録されているかを確認されます。現金出納帳がない企業は不適切な経理処理を疑われる可能性があるため、現金出納帳を作成して現金の取り扱いや管理が適切であることを証明しましょう。

ビジネスオーナー・個人事業主

事業における日々の現金の流れを正確に把握することで、経営状況の透明性が確保でき、適切な判断ができます。また、確定申告の際には収入と支出の明細が求められるため、現金出納帳は証拠書類になります。

取引先や金融機関との信頼関係を築くうえでも、現金出納帳を始めとした帳簿の適切な作成・管理が欠かせません。現金出納帳は、事業規模が拡大した際の資金繰り計画の立案や、経費削減のポイントの発見にも有用です。

フリーランス・副業をしている人

フリーランスで複数のクライアントと取引がある場合、取引先ごとの入金状況や未収金の管理もしやすくなります。

また、副業をしている人であれば、副業の収入や経費に関する現金出納帳を付けることで、本業の収入と区別して管理できます。

事業としてではなく、単発で少額の収入があった場合は雑所得として扱われますが、継続的な事業として認められる規模・収入の場合は事業所得になります。いずれのケースでも、収支を明確に記録しておけばスムーズに申告作業を進めることが可能です。

さらに、現金出納帳を作成すれば、活動にかかるコストや収益の傾向がわかります。副業やフリーランスとしての取り組みを見直したい場合や、将来的に事業化を検討している場合にも、日々の記録を活用できます。

まだ収入が多くなかったとしても、早い段階から収支を記録する習慣を身に付けましょう。

組織や団体の会計担当者

部活動・PTA・マンション管理組合・NPOなど、会費や寄付金を扱う団体では、メンバーへの説明責任を果たすために、透明性の高い会計管理が求められます。現金出納帳があれば現金の動きを常に可視化し把握できるため、総会や定例会での収支報告が滞りなく進み、会計監査にも迅速に対応可能です。

継続的に現金出納帳を記録することで、年間の支出傾向や収入の変動を把握できます。こうしたデータを分析すれば、次年度以降の収支見込みを予測できるようになり、より現実的な予算計画や資金配分の立案が可能です。

また、会計上の不正やミスの早期発見にもつながるため、団体の財政健全性を維持するのに役立ちます。

現金出納帳に記載する項目

現金出納帳に記載する基本項目は、以下の6つです。

項目概要
日付取引が生じた日付(年月日)
勘定科目取引が該当する勘定科目
摘要取引の内容や取引先名を簡潔に
収入(入金額)現金が増えた場合の金額(税込)
支出(出金額)現金を支払った場合の金額(税込)
差引残高(現金残高)入金・出金後の現金の残高。入金時には前の残高にその分の金額を足し、出金時は残高から引いた金額

日付を記載する際、実際に現金が動いた(入・出金があった)日付と領収書や請求書の日付が異なる場合は、現金が動いた日付を採用しましょう。たとえば経費では、「旅費交通費」「消耗品費」などの勘定科目がよく使われます。

摘要欄には「パソコン◯台購入」や「株式会社〇〇に入金」のように、誰が見ても内容がわかるよう簡潔に書きましょう。

入・出金の欄は、税込で金額を記入します。差引残高の欄に記入した金額が、実際の現金残高と一致するかも確認してください。

エクセルでの現金出納帳の作り方3ステップ

現金出納帳は、エクセルなどの表計算ソフトを用いても作成できます。エクセルを用いて作る場合は、以下の3ステップで行います。

エクセルで現金出納帳を作る3ステップ

  1. 枠を作る
  2. 期首残高を記入
  3. 差引残高欄に数式を記入

1.枠を作る

まずは、テンプレートとなる枠を作ります。エクセルの1行目のセルに、以下の6つの項目名を記入し、罫線を引き枠を作りましょう。

項目ごとに列を適切な幅に広げるなど、内容が記入しやすいように調整します。特に取引内容を記入する「摘要」のスペースは広く取りましょう。このとき、項目ごと(特に、金額を記入する「入金」「出金」「差引残高」の欄)に異なる背景色を用いると、違う欄への誤記入を防ぎやすくなります。


枠を作る

2.期首残高を記入

差引残高の最上部のセル(下図「F2」)に、期首時点の現金残高(=期首残高)の金額を記入します。期首残高の左隣のセル(下図「E2」)に「期首残高→」と記入しておけば、期首残高であることが一目で把握できます。


期首残高を記入

3.差引残高欄に数式を記入

入金・出金を記入した際に差引残高から自動で金額が加減されるように、差引残高のF列に数式を記入します。

計算式は「=差引残高 + 入金 − 出金」のため、下図では「=F2+D3-E3」です。


差引残高欄に数式を記入

以降の差引残高にも同様の数式を記入するため、最初に数式を記入したセルから以降100セル程度を選択し、「Ctrl+D」のキーを押し、数式をコピーします。

これで、現金出納帳のベースのテンプレートが完成しました。


差引残高欄に数式を記入

【エクセルの便利なTips】金額の桁区切り

数字を3桁で区切り「,」を付与します。該当セルを選択し、右クリック→「セルの書式設定」を選択してください。

「分類」の「数値」を選び、「桁区切り(,)を使用する」にチェックを入れ、3桁区切りを選択し「OK」をクリックするとセルに桁区切りが反映されます。


【エクセルの便利なTips】金額の桁区切り

現金出納帳の書き方に関する注意点

エクセルの現金出納帳を使えば、金銭管理の効率はアップします。しかし、以下のケースでは注意が必要です。

現金出納帳のエクセル作成時に注意すべきケース

  • 月や期が変わる場合
  • 期末に現金出納帳を締める場合

月が変わる場合

月が切り替わる際は、記入欄の残り行数に関係なく必ず新たなタブやシートを用意しましょう。

月末最後の記帳が済み次第、その下の摘要に「合計」と入れ、入金額の合計と出金額の合計をそれぞれ記入して会計を締めます。次の行の摘要には「次月繰越」と入れ、翌月に繰り越す残高を記入します。


現金出納帳の書き方に関する注意点

翌月になったら、新規タブに再び項目を記入し枠を作ります。摘要欄の最上部には「前月繰越」と記入し、残高欄にその時点の現金残高を記入してください。

期末に現金出納帳を締める場合

期末(会計期間の最終日)に現金出納帳を締める場合も、前項と同じ手順で会計の締め作業を行いましょう。

期末の記帳が完了後は、記入欄の残りに関係なく仕切り線を引き、会計を締めます。その月の月末残高・入金額の合計・出金額の合計・期末残高を算出し、次の行の摘要に「次期繰越」と入れ、次の期へ繰り越す残高を記入します。

現金出納帳の更新タイミング

現金出納帳は、取引が発生したその日のうちに更新するのが理想です。日々の記帳習慣を身に付けることで、取引の記入漏れを防ぎ、常に正確な現金残高を把握できます。

領収書やレシートは、時間が経つと印字が薄くなったり、紛失したりするリスクがあります。そのため、受け取ったらできるだけ早めに記帳することが大切です。また、情報の消失などの万が一のトラブルに備えて、領収書やレシートをスマートフォンで撮影するなどバックアップを取っておくと安心です。

毎日の更新が難しい場合は、週1回など無理のない頻度を設定すると習慣化しやすくなります。決算期が近づいてからまとめて記帳しようとすると、記入ミスや記入漏れのリスクが高まるため、まとめての記帳は避けたほうがリスクを回避できます。

現金出納帳エクセルテンプレートのダウンロード(無料)

本記事で紹介した現金出納帳のエクセルテンプレートは、下記のリンクより無料でダウンロードできます。自動計算の関数も設定済みのため、ダウンロード後すぐに業務に取り入れられます。基本的な項目を記載していますので、よく使う勘定科目はプルダウンとして設定するなど、ぜひ自由にカスタマイズして、日々の業務にお役立てください。

月や期が切り替わる際には、ページをコピーして新しい記入シートを作成してください。

現金出納帳エクセルテンプレートをダウンロード

まとめ

現金出納帳は、現金の流れを管理するうえで欠かせない重要な帳簿です。エクセルで現金出納帳を作成・管理することは、業務効率化に大きく貢献します。自動計算機能や関数を活用することで、手作業による集計ミスを減らし、記入や管理の負担低減にもつながります。

エクセルの現金出納帳テンプレートは、3ステップで作成できます。基本形を作成したあとは、自社の運用にあわせてカスタマイズしましょう。

正確な決算をするためには、日々の現金の流れを正確に記録・管理することが不可欠です。表計算ソフトウェアであるエクセルの機能を最大限に活用し、効率的な現金管理を実現しましょう。

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それぞれの特徴についてご紹介していきます。

一度の入力で複数の業務が完了。重複作業や転記作業はほぼ発生なし!

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見積書・請求書をfreee会計で発行すると、書類へ入力した金額をもとに、自動で入金管理・売上仕訳まで完了。銀行口座やクレジットカード、POSレジなどと同期すれば、自動で利用明細を取り込み、勘定科目の登録はもちろん、売掛金や買掛金の消し込み、入金仕訳などの記帳も簡単に行えます。

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freee会計は一度の入力で複数の業務が完了するうえ、自動入力・自動仕訳によって手作業の少ない経理を実現します。

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freee会計には、正しい決算書を作るためのチェック機能も充実。預金残高との一致や会計ルールとの整合性をfreeeが自動判定し、修正が必要そうなリストを自動作成します。修正後は、ボタンクリックひとつで貸借対照表・損益計算書などの決算書が作成可能です。

<作成可能な書類例>


  • 貸借対照表・損益計算書
  • 仕訳帳・総勘定元帳
  • 固定資産台帳
  • 試算表
  • 現金出納帳 など

PDFやCSVファイルへの出力も可能なため、士業の方への共有や、社内での資料作成にも活用できます。また、領収書1枚・仕訳1件単位でコメント機能を使ってやりとりできるため、士業の方ともスムーズにコミュニケーションがとれます。

インボイス制度・電子帳簿保存法に完全対応!

インボイス制度や電子帳簿保存法に完全対応


freee会計では、取引先の登録番号が国税庁データに存在するかを自動照合し、適格請求書が適切かを判断するなど、インボイス制度に対応した機能をご利用いただけます。

また、紙書類はスキャンしてfreeeのファイルボックスに保管すれば、電子保存も可能。完全ペーパーレスな経理体制を実現できます。

機能更新にインストールが不要なクラウド型だからこそ、今後の法改正にも自動対応でき、常に最新の状態でソフトをご利用いただけます。

よくある質問

エクセルで現金出納帳を作るときに必要な項目は?

現金出納帳を作る際に必要な項目として、日付・勘定科目・摘要・入金・出金・差引残高が挙げられます。これらの項目に正確な情報を記載することで、取引の内容を一目で把握できるようになり、透明性の高い会計管理を実現できます。

詳しくは記事内、「現金出納帳に記載する項目」をご覧ください。

エクセルのテンプレートの作り方は?

エクセルの現金出納帳のテンプレートは、「項目を記入する」「罫線を引く」「期首残高のセルに金額を記入する」「差引残高のセルに数式を記入する」という4つのステップを踏むことで簡単に作成できます。

詳しくは記事内、「エクセルでの現金出納帳の作り方3ステップ」をご覧ください。

現金出納帳のエクセルテンプレートはどこにある?

現金出納帳のエクセルテンプレートは、無料でダウンロードできます可能です。自分で現金出納帳を一から作る時間がない場合は、すでに完成したテンプレートを利用しましょう。

詳しくは記事内、「現金出納帳エクセルテンプレートのダウンロード(無料)」をご覧ください。

監修 安田 亮(やすだ りょう)

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

監修者 安田亮

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