会計の基礎知識

人時売上高の目安はいくら?計算方法や利益を出すための改善策を紹介

監修 橋爪 祐典(税理士)

人時売上高の目安はいくら?計算方法や利益を出すための改善策を紹介

人時売上高とは、ひとりの従業員が1時間にどれだけの売上を生み出しているかを示す指標で、店舗の生産性を測るうえで欠かせない数値です。

人時売上高を正しく設定することは、感覚的なシフト管理から脱却し、利益を生み出す店舗運営を実現するために重要です。

人件費率だけを見ていても、最適な人員配置を判断することは難しく、ピーク時の人手不足や閑散時の人件費の無駄につながることがあります。

本記事では、一般的な人時売上高の目安を紹介し、自店の利益計画に基づいて「必要人時売上高」を算出する具体的な方法を解説します。

目次

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人時売上高とは

人事売上高とは、労働1時間あたりの売上高


人時売上高とは、1時間あたりにひとりの従業員が生み出す売上額を示す指標で、店舗の生産性を測る重要な数値です。

人件費率だけではわかりにくい「働き方の効率」を可視化でき、シフトや人員配置の最適化に役立ちます。

目安として、飲食店では一般的に3,000〜4,000円程度が平均的な水準とされるケースが多く、また優良な店舗では5,000円以上を目指すことが多いとされています。

業態(ファストフード、カフェ、居酒屋など)や立地・客単価・営業時間・オペレーション構造によって適正値は変わるため、自店に合った目標設定とその裏付けをもつことが重要です。

ただし平均値にとらわれず、自店の利益計画にあわせて目標を設定することが重要です。

人時売上高の計算方法

人時売上高は、業界平均よりも自店の利益計画から逆算して算出することが重要です。計算式は、以下のとおりです。

必要人時売上高 = 実質平均時給 ÷ 目標人件費率

ここでの実質平均時給とは、給与だけでなく社会保険料や交通費など、会社が実際に負担しているコストを含めた時給を指します。こういったコストを考慮しないと、目標設定が甘くなりがちです。

目標人件費率は、売上に対して人件費と食材費をあわせて60%以内に収めるといった店舗全体の利益計画をもとに決定します。

人時売上高の目安

飲食業における人時売上高は、一般的に3,000〜4,000円程度が平均的な水準とされ、収益性の高い店舗では5,000円前後を目標とするケースも多く見られます。

しかし、これらはあくまで平均的な参考値であり、立地や業態、客単価、地域の時給水準によって理想的な数値は異なります。

まずは一般的な目安で現状を確認したうえで、実際のデータから目標値を設定することが、利益を生む店舗運営への第一歩です。

freee会計」なら、売上・人件費・原価などのデータを自動集計し、人時売上高や利益率をリアルタイムで可視化、すばやい経営判断が可能になります。

人時売上高を改善するメリット

ただ人件費を削減するだけでなく、生産性の向上から従業員の公平な評価、さらには顧客満足度まで、多岐にわたるメリットを理解することで、より戦略的な店舗経営へとつながります。

ここでは、人時売上高を改善する4つのメリットを解説します。

生産性を高められる

人時売上高を経営指標に置くことで、店舗全体の生産性を根本から高める効果が期待できます。従業員一人ひとりの労働時間というコストから、どのように最大の売上である付加価値を生み出すかという、意識改革を現場にもたらすからです。

改善へのアプローチで重要なのは、闇雲な人員削減ではなく、業務プロセスの無駄を削減することです。

たとえば、作業マニュアルを整備して新人教育の時間を効率化したり、ITツールを導入して単純作業を自動化したりすることなどが挙げられます。

こうした取り組みを通じて、労働量ではなく、サービスの質を向上させ、利益を出せる経営体質を実現できるでしょう。

生産性分析を駆使した効率的な経営については、以下の記事で詳しく解説しています。

【関連記事】
生産性分析を駆使して効率の良い経営を|生産性分析の手法について

人員配置の目安にできる

人時売上高は、これまで経験や勘に頼っていたシフト作成を、データに基づいた最適な人員配置に変えるための、有効な目安となるでしょう。

具体的には、次の計算式を活用することで、曜日や時間帯ごとに必要な労働時間を算出できます。

売上予測 ÷ 目標人時売上高 = 必要な労働時間

必要な労働時間を把握することで、お客様が少ないアイドルタイムにスタッフを配置しすぎて人件費の無駄を発生させたり、ピークタイムに人員が不足したりすることを回避できます。

たとえば、ディナーのピークに売上15万円を予測し、目標人時売上高が5,000円なら、以下の計算式で必要な労働時間を算出可能です。

150,000円(売上予測) ÷ 5,000円(目標人時売上高) = 30時間(必要な労働時間)

このような客観的な数値を基準に、スタッフのスキルや習熟度を考慮して最終的な人数を決定することで、根拠のあるシフト管理が可能になるでしょう。

従業員を公平に評価しやすくなる

人時売上高という客観的な指標は、従業員の評価を公平にし、チーム全体のモチベーションを向上させる効果も期待できます。

「頑張っているように見える」などの曖昧で主観的な評価ではなく、チームとして目標の数値を達成できたかという共通の基準をもつことで、店舗への貢献度が可視化されます。

これにより、生産性の高い働き方をしたチームを正当に評価し、納得感のあるフィードバックやインセンティブの付与が可能です。

たとえば、AチームとBチームの勤務時間帯で人時売上高に差があった場合、その原因を感情論ではなくデータで分析できます。

データをチームのスコアとして共有し、改善を楽しむ文化を醸成することが、主体的な労働環境を築く鍵となるでしょう。

顧客満足度の向上につながる

適切に管理された人時売上高の改善は、顧客満足度の向上に直結します。

これは、効率化によって生まれた時間や人員の「余裕」を、サービス品質の向上に再投資できるためです。

たとえば、セルフレジを導入して会計業務の労働時間を削減した分、フロアのスタッフがお客様のお出迎えやお見送り、料理の説明といった丁寧な接客に時間をかけられるようになります。

お客様にとっては、会計待ちのストレスがなくなり、より手厚いサービスを受けられるという良質な体験につながります。

人時売上高を改善する方法

人時売上高を効果的に改善するには、感覚ではなく仕組みで生産性を高めることが重要です。

ただ労働時間を削るのではなく、同じ時間でより多くの成果を生み出す工夫が求められます。ここでは、店舗運営に役立つ5つの改善アプローチを紹介します。

業務プロセスを最適化する

人時売上高を改善する最初のステップは、日々の業務に潜む「ムダ・ムラ・ムリ」をなくす業務プロセスの最適化です。

特に仕込みや開店・閉店作業、ピークタイムの動き方など、毎日繰り返される業務フローに非効率な点が隠れているケースは少なくありません。

誰が担当しても同じ品質と時間で作業を完了できるよう、写真付きのマニュアルを作成して作業を標準化しましょう。また、デリバリーと店内飲食の注文が交錯しがちな店舗では、専用の動線を確保するだけでも生産性は大きく向上します。

まずは現場のスタッフから「やりにくい作業」や「時間がかかる工程」をヒアリングし、改善のヒントを得ることから始めるのが効果的です。

ツールを活用する

モバイルオーダーやセルフレジなどのITツールを導入すれば、注文受付や会計といった単純作業を自動化し、スタッフの手間を大幅に削減できます。

浮いた時間を接客や提案などの付加価値業務に回せば、売上アップと人時売上高の改善が同時に実現可能です。効率化の鍵はどの業務がボトルネックかを見極めることです。

freee会計」を使えば、売上・人件費データを自動集計し、どの時間帯・業務で改善効果が高いかを可視化できます。

データを活用した店舗経営で、生産性向上と利益の両立を目指しましょう。

人員配置を最適化する

データに基づいた人員配置の最適化は、人時売上高の改善に不可欠です。重要なのは、単に人数をあわせるのではなく、スタッフの習熟度を考慮した「適材適所」のシフトを実現することです。

同じ5人の労働力でも、全員が新人である場合と、経験豊富なベテランが含まれる場合とでは、対応できる業務量や売上は異なります。そこで有効なのが、スタッフのスキルレベルを数値化する「実効稼働係数」という考え方です。

たとえば、新人スタッフを0.6人分、標準的なスタッフを1.0人分として計算し、チーム全体の合計係数が必要な労働力を満たすようにシフトを組みます。

これにより、店舗のパフォーマンスを維持しながら、計画的に新人教育を行うといった戦略的な人員配置が可能になり、シフトの質が格段に向上します。

従業員の成果を適切に評価する

従業員のモチベーションは、生産性を左右する重要な要素です。人時売上高の目標と実績をチーム全体で透明性高く共有し、その成果を適切に評価する仕組みは、スタッフの主体的な改善意欲を引き出します。

大切なのは、この数値を個人の評価ツールとしてではなく、チームで目標達成を目指すための「共通のスコアボード」として活用することです。

たとえば、週次のミーティングで時間帯ごとの実績を共有し、目標を達成したチームの工夫やノウハウを全員で学ぶ場を設けます。

「金曜ディナーチームの取り組みが素晴らしかった」と具体的に賞賛することで、成功事例が横展開され、店舗全体のレベルアップにつながるでしょう。

従業員にスキルアップを促す

従業員一人ひとりのスキルアップは、チーム全体の生産性を底上げし、人時売上高を継続的に向上させるための最も効果的な投資と言えます。

スキルレベルの高い従業員は、作業スピードが速くミスが少ないだけでなく、複数のポジションをこなせるため、急な欠員が出た際にも柔軟に対応でき、店舗運営の安定化に貢献します。

個々の能力向上は、チーム全体でより少ない人数で効率的に店舗を回すことを可能にし、労働生産性を高めてくれるでしょう。

また、自身の成長を実感できる環境は、従業員の仕事への満足度を高め、離職率の低下にもつながります。

人時売上高を改善するときの注意点

人時売上高は、スタッフひとりあたりの生産性を可視化できる重要な指標です。

効率的な人員配置や利益改善に役立ちますが、数字ばかりを追うとサービス品質の低下や従業員の疲弊を招くおそれがあるため、次の点を心がけましょう。

数値目標とサービス品質のバランスをとる

人時売上高の改善において最も重要な注意点は、数値目標とサービス品質のバランスを常に意識することです。この指標は、あくまで健全な利益を確保するための手段であり、経営の目的ではありません。

人時売上高の数値だけを過度に追求し、無理な人員削減を行えば、サービスの提供遅延や接客態度の悪化を招き、顧客体験を著しく損なう恐れがあります。

目先のコスト削減と引き換えに、お店の評判やリピート客という長期的な資産を失っては本末転倒です。たとえば、8,000円を超えるような高すぎる目標を掲げてスタッフを減らした結果、ネガティブな口コミが増え、客足が遠のくといったケースも少なくありません。

そのため人時売上高を改善する際は、レビュー評価やクレーム件数といったサービス品質を示す指標も参考に舵取りを行いましょう。

過剰な効率化による従業員の負担増に注意する

効率化の追求が、従業員への過剰な負担につながらないよう、客観的に自店の状況を評価することが大切です。

スタッフの心身の健康やモチベーションを無視したトップダウンの改善は、現場の疲弊を招き、優秀な人材の離職を招くリスクもあります。

そのため、人時売上高を改善する際は、必ず現場の従業員を巻き込み、「どうすれば従業員がもっとラクに効率的に作業できるか」という視点で進めることが重要です。

定期的に従業員との面談の機会を設け、スタッフの声に耳を傾けることが、働きがいのある職場環境につながり、長期的な生産性向上を実現する鍵となるでしょう。

週次・月次のデータ分析を習慣化する

人時売上高の管理は、一度目標や仕組みを決めれば終わりというわけではありません。

お客様の来店傾向や季節、スタッフの習熟度など、店舗を取り巻く状況は常に変化します。そのため、必ず週次・月次でデータ分析を行い、改善を続けるPDCAサイクルを習慣化することが不可欠です。

特に、新たにデリバリーやテイクアウトを導入した場合、当初の想定以上に作業負担が増え、人時売上高が低下することもあります。

こうした変化に迅速に対応するためにも、定期的なデータ分析は欠かせません。まずは毎週決まった時間に振り返りの時間を儲けて、計画の評価や現場の原因、今後の対策などを検討することが大切です。

まとめ

人時売上高とは、スタッフひとりが1時間でどれだけの売上を生み出しているかを示す指標です。この数値を把握することで、人員配置やシフト計画の効率を数値で判断できるようになります。

感覚ではなくデータに基づいて改善を重ねれば、無駄な人件費を抑えつつ、サービスの質も保つことが可能です。

まずは自店の現状を数値化し、少しずつ理想の人時売上高に近づけていくことが、安定経営への第一歩です。

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よくある質問

人時売上高はなんて読む?

人事売上高は「じんじうりあげだか」と読みます。

人時売上高とは、1時間あたりにひとりの従業員が生み出す売上額を示す指標で、店舗の生産性を測る重要な数値です。

人時売上高が高いとはどういうこと?

人時売上高が高い状態とは、投入した労働時間に対して効率的に多くの売上を生み出せていて生産性が高いことを意味します。

たとえば、業務の標準化やITツールの導入が成功し、少ない人員でもスムーズに店舗運営できているケースが挙げられます。

しかし、極端に高い数値が出ているのは、単に人員を削りすぎスタッフが過度な負担を強いられ、サービスの品質が低下している危険信号かもしれません。

自店の数値が高い場合は、必ず口コミ評価や従業員の定着率といった他の指標とあわせて、人時売上高が健全なものであるかを判断することが不可欠です。

人時売上高の詳しい内容については「人時売上高とは?」を参考にしてください。

人時売上高はどれくらいが理想ですか?

飲食業における人時売上高の一般的な目安は3,000〜4,000円、多くの店舗が基準とする目標は5,000円前後です。

しかし、本当の意味での理想は、お店の経営状況から算出した数値になります。理想的な水準は、地域ごとの時給や家賃といったコスト構造によって異なるからです。

人時売上高の理想を導き出す計算式は、以下のとおりです。

必要人時売上高 = 実質平均時給 ÷ 目標人件費率

都心部で人件費が高い店舗が、郊外の店と同じ5,000円を理想としていては、利益を確保できない可能性があります。まずは一般的な目標である5,000円を意識しつつ、自店の理想値を算出しましょう。

人時売上高の目安については「人時売上高の目安」をご確認ください。

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監修 橋爪 祐典(はしづめ ゆうすけ)

2018年から現在まで、税理士として税理士法人で活動。中小企業やフリーランスなどの個人事業主を対象とした所得税、法人税、会計業務を得意とし、相続業務や株価評価、財務デューデリジェンスなども経験している。税務記事の執筆や監修なども多数経験している。

監修者 橋爪 祐典

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