会計の基礎知識

財務とは?会計や経理との違い・主な仕事内容や注意点をわかりやすく解説

財務とは?会計や経理との違い・主な仕事内容や注意点をわかりやすく解説

財務とは、企業の資金を管理・調達・配分し、経営判断を数字で支える仕事です。会計・経理が過去の取引を正確に記録する仕事であるのに対し、財務は資金繰りや投資判断を通じて、企業の将来を設計します。

本記事では、財務・会計・経理の違いを整理したうえで、財務の主な仕事内容や求められるスキル、実務で注意すべきポイントを体系的に解説します。

財務の全体像を理解することで、経営判断の背景が見え、実務やキャリア形成にも自信をもって向き合えるようになるでしょう。

目次

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財務とは?

財務とは、企業の資金を管理・調達・配分し、経営判断を数字で支える役割です。

経理や会計が、過去の取引を正確に記録・報告する仕事であるのに対し、財務は売上・利益・現金残高・借入金・キャッシュフロー(自由に使える現金)などの数字をもとに、将来の資金繰りや投資判断を行って企業の成長と存続を支えます。

ここでは、企業の実態を多角的に把握し意思決定につなげる役割として、財務が知るべき財務状況について解説します。

財務が知るべき財務状況とは?

財務が把握すべき「財務状況」とは、決算書の数字をそのまま見るのではなく、銀行・投資家・経営者など各ステークホルダーが、何を重視するかを踏まえて読み取ることです。

財務諸表は共通の資料ですが、銀行・投資家・経営者では、重視する指標が、以下のとおり異なります。

ステークホルダー別の重視指標

  • 銀行:返済可能性を重視するため、実質自己資本・流動比率・債務償還年数などで倒産リスクを見る
  • 投資家:企業の成長性に注目するため、ROE(自己資本利益率)やROIC(投下資本利益率)といった資本効率を重視する
  • 経営者:資金が尽きないことが重要なため、フリーキャッシュフロー(自由に使える現金)や現預金残高を常に監視する

返済・成長・資金維持という異なる関心を理解しなければ、融資判断や投資評価、資金繰りの意思決定を誤るでしょう。

正しく財務状況を理解することで、資金不足になるリスクを早期に察知できるだけでなく、銀行や投資家からの信頼が高まり、資金調達や投資の選択肢が広がります。

財務と会計・経理の違い

財務は、会計や経理と混同されやすい言葉ですが、役割と視点が異なります。ここでは、それぞれの目的や時間軸の違いを整理し、実務でどう使い分けるべきかを解説します。

財務と会計・経理の違いを適切に把握することで、自分はいま何を求められているのか、次にどのような役割を担えるのかが明確になり、業務理解はもちろんキャリア設計にも役立つでしょう。

  
区分役割時間軸主な業務
財務将来のお金をどう使うか判断する未来資金繰り・資金調達・投資判断
会計会社全体のお金を数値で把握・報告する過去〜現在決算書作成・財務分析・経営報告
経理日々のお金の動きを正確に記録する過去仕訳・記帳・請求・支払処理

会計との違い

会計は、過去を正しく伝える仕事であるのに対して、財務は未来を判断する仕事です。

会計は、企業活動を会計基準に基づいて数値化し、株主や税務署などに過去の業績を正確に報告することが目的です。一方、財務は会計データを材料として、資金繰り・投資・資金調達など将来に向けた意思決定を行います。

会計が利益を重視するのに対し、財務は資金の流れと将来の資金余力を重視します。

たとえ利益が出ていても、現金が回らなければ事業の継続は困難です。会計は診断、財務は治療と考えると違いが理解しやすいでしょう。

会計については、以下の記事でもわかりやすく解説しているので参考にしてくださ い。

【関連記事】
会計とは?経理・財務・簿記との違いから業務 率化のポイントまで解説

経理との違い

経理が、正確に記録する役割であるのに対し、財務は数字を使って判断する役割を担います。

経理は、仕訳入力・請求書発行・決算書作成などを通じて、発生した取引を漏れなく正確に記録することが主な業務です。一方、財務は取引データをもとに、将来の資金不足や投資効果を予測し、経営判断を支えます。

たとえば「3ヶ月後に資金が不足しないか」「設備投資は回収できるか」といった問いに答えるのが財務の仕事です。両者を兼任する場合でも、経理は記録者・財務は戦略家として、意識的に思考を切り替えることが重要です。

経理の業務内容は、以下の記事でも詳しく解説しています。

【関連記事】
経理の仕事は難しい?業務内容や業務を効率化 る方法について解説

財務の主な5つの仕事内容

財務の仕事は、お金の管理や集計だけではありません。ここでは、財務担当者が実務で担う5つの主要な役割を整理します。

経営計画の策定から、予算管理・資金調達・資金管理・外部対応まで、企業の成長と安定を支える具体的な業務内容を理解することで、財務が何をする仕事なのかが具体的に見えてくるでしょう。

会社の方向性にあわせた財務計画をつくる

会社の方向性にあわせた財務計画は、経営者のビジョンを実行可能な数字に落とし込む仕事です。

「売上を伸ばす」「事業を拡大する」といった方針だけでは、現場は動けません。財務は、目標達成に必要な、具体的な投資額や回収時期を整理し、いつ・どこに・いくらリソースを使うか数値で示します。

具体的には、中期経営計画を策定し、PL(損益計算書)だけでなく、BS(貸借対照表)やキャッシュフローの将来予測を行います。さらに、計画が崩れた場合を想定して複数のシナリオを用意することで、経営判断の精度を高められるでしょう。

事業運営に必要な予算を立てて進捗を管理する

事業運営に必要な予算管理は、事業計画が想定どおりに進んでいるかを確認し、早期に軌道修正するための仕事です。

財務は、中期計画を単年度・月次の予算に落とし込み、売上やコストの進捗を継続的に把握します。重要なのは数字をあわせることではなく、予算と実績に差が生じた要因を分析し、将来の着地見込みを見直すことです。

これにより、資金不足や業績悪化を事前に察知し、手遅れになる前に経営判断を修正しやすくなります。他にも広告費の超過や入金遅延といった兆候を現場と共有し、対策を事前に講じやすくなり、経営判断を前倒しで支えられます。

成長に必要な資金を確保する

成長に必要な資金調達の確保は、企業の成長を持続させるために不可欠な財務の中核業務です。

財務は、自社の成長段階や財務状況に応じて、銀行融資(デットファイナンス)や出資(エクイティファイナンス)などの中から、最適な資金調達方法を選択します。その際、資金の使いみちや回収・返済の見通しを明確にした事業計画が欠かせません。

こうした計画をもとに、金融機関や投資家へ数字を根拠に説明・交渉できるかどうかが、資金調達の成否を左右します。

手元資金や資産を適切に運用・管理する

手元資金や資産を管理する目的は、利益の有無にかかわらず、事業を継続できる状態を維持することです。

財務は、資金繰り表を用いて数ヶ月先までの入出金を把握し、資金不足の兆候を早期に察知します。さらに、売掛金の回収改善や在庫削減、余剰資金の運用などを通じて、資金の流れを最適化します。

日々の資金管理は、黒字倒産を防ぎ、企業の存続を支える重要な役割といえるでしょう。

投資家対応や監査への準備・報告を行う

財務は、投資家や金融機関など外部ステークホルダーとの信頼関係を構築する役割も担います。

財務状況や経営方針を正確に説明することは、企業の信用や評価に直結するため、単に数値を開示するのではなく、その背景や将来戦略をあわせて伝えることが重要です。

たとえば、今期は利益が一時的に減少していても「新規事業への先行投資により広告費や人件費が増加した結果であり、来期以降の売上拡大を見込んでいる」と説明できれば、投資家や金融機関は短期的な数字だけでなく、中長期的な成長性を評価できます。

また、監査対応や内部統制の整備は負担になるものの、ガバナンス強化は資金調達条件の改善や企業価値向上につながる重要な取り組みです。

財務に求められるスキル

ここでは、財務担当者として実務を担い、経営判断に貢献するために欠かせないスキルを整理します。

会計知識・コミュニケーション力・分析力という3つの観点から、なぜそれが必要なのか、どのように実務で活かされるのかを具体的に解説します。

財務諸表を読み解く会計知識

財務に求められる会計知識とは、決算書をつくる力ではなく、財務諸表を読み解き、経営判断につなげる力です。

財務諸表とは、BS(貸借対照表)・PL(損益計算書)・CF(キャッシュフロー計算書)の3つを指し、企業の安全性・収益性・資金の流れを把握するための重要な資料です。

財務は利益だけを見るのではなく、営業キャッシュフローが出ていない要因や、ROE(自己資本利益率)の改善が本業によるものか、借入増によるものかまで分析する必要があります。

財務諸表については、以下の記事でわかりやすく解説しています。

【関連記事】
財務諸表とは?作成する目的や読み方、分析方 をわかりやすく解説

金融機関や経営陣とのコミュニケーション力

財務の仕事では、銀行や経営陣など相手の立場に応じて、数字の意味をわかりやすく伝え、判断につなげる説明力が不可欠です。

銀行は返済能力を重視し、経営陣や投資家は成長性や資金力を重視するため、同じ数字でも、相手によって伝えるポイントを変えなければなりません。専門用語を並べるのではなく、判断の妥当性を相手の関心軸に応じてわかりやすく説明することが求められます。

また、資金繰りの悪化をはじめ、不都合な情報を早期に共有する誠実さも重要です。財務は交渉と信頼構築の仕事であり、数字を扱う対話力が会社の業績にも影響します。

市場動向や競合分析などビジネスを総合的に分析する力

財務には、数字の背景にあるビジネスや市場を読み解く力が求められます。

財務数値はあくまで事業活動の結果であり、その数字が生じた原因は、事業環境や経営判断にあります。そのため、売上目標や投資計画を立てる際は、過去の実績だけでなく、競合の動き・市場トレンド・為替・物価といった外部要因も踏まえた分析が不可欠です。

SWOT分析(自社の強み・弱み・機会・脅威を整理する手法)で事業環境を構造的に整理し、それを数値シミュレーションに落とし込む姿勢が、経営判断の精度を高め、財務の分析力を養ってくれるでしょう。

財務を担当するメリット

財務は単なる管理業務ではなく、経営判断に深くかかわるポジションです。

ここでは、財務を担当することで得られる視点の変化や企業への貢献度、キャリア面での価値を整理します。経営視点が身につく・会社を動かせる・市場価値が高まるという3つの観点から、財務ならではのメリットを具体的に解説します。

判断力や数字感覚など経営に役立つ視点が身につく

財務を担当すると、数字を使って経営判断を行う視点が身につきます。

財務は限られた資金をどこに使えば効果的かを常に考えることが必要です。そのため、特定の部門や拠点など部分的な数字ではなく、会社全体を見渡した判断力が養われます。

たとえば、売上は立つが回収が遅い取引に対し、財務は資金繰りへの影響を踏まえて慎重な判断を下します。リスクとリターンを数字で捉える経験を積むことで、経営者視点で考えられる思考が身につくでしょう。

数字に裏付けられた判断ができるようになることで、経営や事業運営の意思決定力の向上も期待できます。

企業の経営改革に貢献できる

財務は、数字を通じて企業の体質を改善できる仕事です。資金調達条件の見直し・投資効率の改善・不採算事業の整理など、財務の判断ひとつでキャッシュフローや利益構造は変化します。

たとえば、銀行交渉によって金利負担を下げたり、撤退ラインを明確にして無駄な支出を止めたりすることで、企業の経営基盤は強化されます。バックオフィスでありながら、経営のアクセルとブレーキを握れる点が財務の特徴です。

数字を使って会社を強くする実感を得られるのは、財務ならではのやりがいといえるでしょう。

キャリアにおける市場価値が高まる

財務経験をもつ人材は、転職市場で高く評価されるため、財務は今後のキャリアアップにプラスになるでしょう。

経理人材は確保できても、資金繰り管理・銀行交渉・予算と実績を踏まえた経営判断まで担える財務人材は、将来の予測や経営視点といった実務経験が不可欠なため確保が難しい存在です。

また、業界を問わず通用する知識である点も強みです。

将来的にはCFOなど経営中枢を担う道も見えてきます。財務に挑戦することは、長期的に市場価値を高める有効なキャリア投資です。

財務を担当する際の注意点

財務は企業の資金を預かる重要な役割であり、判断や対応を誤ると経営そのものに深刻な影響を与えます。

ここでは、財務を担当する際の注意点と、担当者が実務で陥りやすいリスクを整理します。

ミスを防ぐ仕組み・情報共有の姿勢・制度変更への対応という3つの視点を押さえることで、企業の信用を守り、安定した経営を支える財務体制を築けるでしょう。

数字の入力ミスや確認漏れを防ぐ体制をつくる

財務では、個人の注意力に頼らず、ミスが起きない仕組みを整えることが重要です。

振込金額の誤りや支払期日の失念は、即座に信用低下や資金トラブルにつながる恐れがあります。経理の仕訳ミスと異なり、送金後の修正は困難なため、財務でのミスは致命傷になりかねません。

そのため、作成者と承認者を分けるダブルチェック体制・手入力を減らすシステム化・業務フローの明文化など、人は必ずミスをするという前提に立った作業フローの構築が不可欠です。精神論ではなく、仕組みで防ぐことが、会社と担当者自身を守る効果的な対策です。

経営判断に影響する情報はタイムリーに共有する

財務では、経営判断に影響する情報をタイムリーに共有する姿勢が欠かせません。

資金繰りの悪化や入金遅延などの兆候を把握しているにもかかわらず、報告が遅れてしまうと、さらにリスクが増す恐れがあります。経営者が必要としているのは、詳細な報告ではなく、現状を早期に把握できるスピーディーな情報共有です。

たとえ不確実な情報でも、速やかに共有されれば、融資相談や支払条件の調整など対処法を考えられます。財務を担う際は、誠実で迅速な情報共有によって、経営陣との信頼関係を築くことが大切です。

法規制や会計基準の変更を常にキャッチアップする

財務担当者は、法規制や会計基準の変更を常にキャッチアップする姿勢が欠かせません。

税制改正や会計ルールの変更は、資金計画や実務フローに影響するため、対応が遅れれば法令違反のリスクが高まるだけでなく、本来活用できた税制優遇や助成制度を逃す可能性もあります。

財務は日常業務に追われがちですが、専門誌の購読・顧問税理士との情報共有・セミナー参加などを習慣化することで、最新情報を自らキャッチすることが重要です。最新ルールを把握し続けることが、経営判断の精度を高め、企業利益を守ることにつながるでしょう。

まとめ

財務は、会計や経理が作成した数値をもとに、資金繰りや投資判断、資金調達を通じて企業の将来を設計する役割を担います。

経理が過去を正確に記録する仕事であるのに対し、財務は未来の意思決定を支える仕事です。財務計画や予算管理、資金管理を適切に行うことで、黒字倒産を防ぎ企業の成長を支えます。

数字の正確性に加え、分析力やコミュニケーション力が求められる財務は、経営に直結する意思決定を担う役割です。資金繰りや投資判断の視点をもち、数字を経営判断につなげる意識で実務に取り組みましょう。

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よくある質問

財務と会計・経理との違いは何ですか?

財務と会計・経理との最大の違いは、見る時間軸と目的です。

会計・経理は、過去の取引を会計基準に沿って正確に記録し、株主や税務署へ報告することが主な役割です。一方、財務は経理データをもとに、将来の資金繰りや投資、資金調達を判断します。

たとえば、経理が昨年の利益を確定させるのに対し、財務は来月の資金計画や投資先などを考えます。記録が中心の経理に対し、財務は経営判断を支える役割を担っているのが特徴です。

詳しくは「財務と会計・経理の違い」で解説しています。

財務の業務内容には何がありますか?

財務の業務内容は、資金を切らさない管理と成長のための資金戦略です。

具体的には、資金繰り表の作成・支払管理・売掛金の回収といった資金管理が基本で、これにより黒字倒産を防ぎます。

さらに、銀行との融資交渉・投資判断・予算策定・予実管理など、成長に必要な資金をどう集め、どう使うかを考えるのも重要な業務です。

詳しくは「財務の主な5つの仕事内容」で解説しています。

財務に向いている人の特徴は何ですか?

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さらに、将来を見据えて複数の選択肢を比較し、合理的に判断する論理的思考力が求められるため、経営視点で会社を支えたい人に適した仕事です。

詳しくは「財務に求められるスキル」で解説しています。

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