監修 北田 悠策 公認会計士・税理士

会計上の「収益」は、企業が営業活動やそのほかの活動で得る資産の増加分のことで、商品・サービスの販売による売上高、受取利息や受取配当金、固定資産の売却益などが含まれます。
収益には、営業収益、営業外収益、特別利益の3種類があります。また、利益・売上・収入などは収益と混同しやすい用語のため、正しく理解しましょう。
本記事では、収益とは何か、収益の種類、収益と利益・売上・収入の違いなどを解説します。
目次
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収益とは
会計上の収益とは、企業が営業活動やそのほかの活動で得る資産の増加分です。
商品の販売やサービスの提供による売上高のほか、受取利息や受取配当金など本業以外の活動から発生したものも収益に含まれます。
収益に該当する勘定科目として、以下のようなものが挙げられます。
勘定科目 | 概要 |
---|---|
売上高 | 商品・サービスの販売による収益 |
受取配当金 | 株式や出資金に対する配当金、信用金庫・信用組合からの剰余金分配など |
受取利息 | 金融機関への預金や企業への貸付金に対する利息など |
雑収入 | 本業以外の収入で金額が小さいもの |
貸倒引当金戻入額 | 貸倒引当金の戻入額(貸倒引当金が残った場合などで使用) |
有価証券売却益 | 有価証券を売却して得られた利益 |
固定資産売却益 | 固定資産を売却して得られた利益 |
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収益は3種類に分類できる
収益は、営業収益・営業外収益・特別利益の3種類に分類できます。
「営業収益」は売上高など本業での収益、「営業外収益」は受取配当金など本業以外の活動での収益をそれぞれ意味します。また、固定資産売却益など、通常の事業活動と関わりがない一時的な収益は「特別利益」に分類されます。
営業収益
営業収益とは、企業の本業となる営業活動によって生み出される収益です。たとえば商品の販売やサービスの提供が本業の場合、それらを通じて得た収益が営業収益に該当します。
サービスなど形のないものの対価として得た収益は「営業収益」、形のある商品の対価として得た収益は「売上高」という形で使い分けがなされることもあります。
なお、営業収益と似た言葉として「営業利益」がありますが、こちらは企業が本業で稼いだ利益であり、売上高から売上原価や販管費を差し引いた金額です。
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営業外収益
営業外収益とは、本業以外の活動から得た収益です。受取配当金・受取利息・貸倒引当金戻入額・有価証券売却益などが該当します。
営業外収益は、損益計算書では経常損益計算の区分に含まれます。営業利益に営業外収益を加えた金額から営業外費用を差し引くことで、経常利益を計算できます。
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特別利益
特別利益は、通常の事業活動と関わりがないところで一時的に発生した収益を指します。該当するのは、固定資産売却益・保険料差益・投資有価証券売却益・前期損益修正益などです。
特別利益は、損益計算書では純損益計算の区分に含まれます。経常利益に特別利益を加え、特別損失を差し引いて税引前当期純利益を計算し、さらに法人税などを差し引いて当期純利益を計算します。
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収益との違いを押さえたい用語
収益との違いを押さえたい用語として、利益・売上・収入が挙げられます。
それぞれ混同しやすい用語ですが、経営状態を把握するためにも、その違いを理解しましょう。収益と利益・売上・収入の違いをそれぞれ解説します。
収益と利益の違い
利益は、収益から費用を差し引いた金額です。
「収益」は商品やサービスの売上高などを指すのに対し、「利益」は収益から費用を差し引いた企業としての儲けを意味します。
利益の種類には以下の5つがあり、それぞれ内容や金額が異なります。
利益の種類と概要
- 売上総利益:売上高から売上原価を差し引いた金額。粗利とも呼ばれる。
- 営業利益:売上総利益から販管費を差し引いた金額。企業が本業で得た利益。
- 経常利益:営業利益に営業外収益を加えた金額から、営業外費用を差し引いた金額。本業以外で発生した損益も加味した総合的な収益力を表す。
- 税引前当期純利益:経常利益に特別損益を加減した、税引き前の最終的な利益。
- 当期純利益:税引前当期純利益から各種税金を差し引いた1年の最終的な利益。
収益と売上の違い
売上は、企業が商品やサービスを提供して得る対価の総額です。
売上には、本業となる営業活動とは直接関係のない取引から発生した営業外収益や、通常の事業活動とは関わりがないところで一時的に発生した特別利益は含まれません。
一方、収益には、売上など企業の本業となる営業活動から得られる営業収益のほか、営業外収益・特別利益が含まれます。この点で、売上は収益の一部であるという見方ができます。
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収益と収入の違い
収益と収入では、言葉の意味や発生のタイミングが異なります。
収益は、企業の営業活動やそのほかの活動などによって生じるものであり、活動が行われた時点で発生するものと考えられます。一方、収入は実際に入ってくる現金を表すもので、現金が企業に入ってきた時点で収入が発生したことになります。
たとえば、ある商品が購入された場合、取引が成立した時点で収益が発生し、収入は代金が振り込まれた時点で発生します。
まとめ
会計上の収益とは、企業が営業活動やそのほかの活動で得る資産の増加分を指し、種類は営業収益、営業外収益、特別利益の大きく3種類です。
収益に似た用語には、利益・売上・収入などがあり、細かな意味はそれぞれ異なります。明確に区別せずに使われることもありますが、正しい意味を知っておくと企業の経営状態が把握しやすくなります。
ぜひ収益の意味を理解して、会計業務や経営状態の把握に役立てましょう。
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よくある質問
収益とはどのようなもの?
会計上の収益とは、企業が営業活動やそのほかの活動で得る資産の増加分です。
収益には、企業の本業となる営業活動によって生み出される「営業収益」、本業以外の活動から得られる「営業外収益」、通常の事業活動と関わりがないところで一時的に発生した「特別利益」が含まれます。
収益の概要や種類について、詳しくは記事内「収益とは」「収益は3種類に分類できる」をご覧ください。
収益と利益の違いは?
収益は、具体的には商品・サービスの売上などを指すのに対し、利益は収益から費用を差し引いた金額を指します。
収益と利益の違いについて詳しくは記事内「収益と利益の違い」をご覧ください。
監修 北田 悠策(きただ ゆうさく)
神戸大学経営学部卒業。2015年より有限責任監査法人トーマツ大阪事務所にて、製造業を中心に10数社の会社法監査及び金融商品取引法監査に従事する傍ら、スタートアップ向けの財務アドバイザリー業務に従事。その後、上場準備会社にて経理責任者として決算を推進。大企業からスタートアップまで様々なフェーズの企業に携わってきた経験を活かし、株式会社ARDOR/ARDOR税理士事務所を創業。
