会計の基礎知識

洗替法とは?切放法・差額補充法との違いや仕訳をわかりやすく解説

監修 前田 昂平(まえだ こうへい) 公認会計士・税理士

洗替法とは?切放法・差額補充法との違いや仕訳をわかりやすく解説

洗替法(あらいがえほう)とは、会社の資産と負債に対する会計上の評価方法のひとつで、期末の評価によって再評価した資産と負債を帳簿価額に戻すために、翌期開始時に逆取引を実施する手法です。

本記事では、洗替法とは何か、洗替法以外の評価方法、洗替法の仕訳を解説します。

目次

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洗替法とは

洗替法(あらいがえほう)とは、会社の資産と負債に対する会計上の評価方法のひとつです。洗替法では、期末の評価によって再評価した資産と負債を帳簿価額に戻すために、翌期開始時に逆取引を実施します。

そもそも資産と負債の評価方法には、「取得原価主義」と「時価評価主義」の2つのパターンがあります。

取得原価主義は帳簿価額を取得価額のまま計上しますが、時価評価主義は資産や負債を時価で再評価します。

つまり、洗替法にはこれら2つの要素が適用されているといえます。

洗替法以外にも、資産と負債の評価方法として「切放法」「差額補充法」があります。

資産と負債の項目によって評価方法は異なり、たとえば棚卸資産には洗替法、売買目的有価証券には洗替法または切放法、貸倒引当金には洗替法または差額補充法が用いられるケースがあります。

切放法とは

切放法では、洗替法とは異なり逆取引を行わず、資産と負債の帳簿価額は再評価後のままとします。この方法は、売買目的有価証券の評価差額の会計処理に用いられるケースが多くあります。

差額補充法とは

差額補充法では、期末の評価によって再評価した資産と負債の差額を翌期に補正する処理を行います。この方法は、売掛債権や貸付金に係る貸倒引当金などの流動資産に用いられるのが一般的です。

洗替法の仕訳

洗替法の代表的な仕訳例として、貸倒引当金を洗替法で処理する場合と、売買目的有価証券を洗替法で処理する場合を紹介します。

貸倒引当金とは、将来発生する貸倒のリスクに備えて計上する引当金のことです。取引先の売掛金や貸付金などに対して計上することがあります。

一方の売買目的有価証券とは、時価の変動により利益を得ることを目的として保有する有価証券を指します。

【関連記事】
貸倒引当金とは?計算方法や勘定科目の種類、仕訳について解説

貸倒引当金を洗替法で処理する場合

中小企業などが貸倒引当金を計上する場合、洗替法を用いて処理を行います。

たとえば、決算時に売掛金10万円に対して評価を行い、貸倒引当金7万円を計上する場合の仕訳例は以下のとおりです。


  
借方貸方
貸倒引当金繰入額70,000円貸倒引当金70,000円

計上した貸倒引当金は、年度毎に再評価を行い、洗替法で処理します。

前期末に計上した貸倒引当金7万円はそのままで、当期末の貸倒引当金が5万円になった場合の仕訳は以下のとおりです。

前期末の貸倒引当金を貸倒引当金戻入額として計上したのち、当期末の貸倒引当金を計上します。


  
借方貸方
貸倒引当金70,000円貸倒引当金戻入額70,000円
貸倒引当金繰入額50,000円貸倒引当金50,000円

売買目的有価証券を洗替法で処理する場合

売買目的有価証券や社債などを現金10万円で取得した場合の仕訳は以下のとおりです。


  
借方貸方
売買目的有価証券100,000円現金100,000円

10万円で取得した売買目的有価証券が、期末における時価評価額で12万円だった場合は以下のような仕訳になります。


  
借方貸方
売買目的有価証券20,000円有価証券評価益20,000円

反対に、時価評価額が取得時よりも下落し、8万円だった場合は以下のとおりです。


  
借方貸方
有価証券評価損20,000円売買目的有価証券20,000円

決算時の再評価では2万円の時価評価損益を計上し、評価益が出ている場合は翌期首に以下のように計上します。


  
借方貸方
有価証券評価益20,000円売買目的有価証券20,000円

反対に2万円の評価損が出ている場合は、翌期首に以下のように逆仕訳を計上します。


  
借方貸方
売買目的有価証券20,000円有価証券評価損20,000円

このように、洗替法は前期末に計上した仕訳を逆転させて、帳簿価額を取得価額に戻す処理を行います。

まとめ

洗替法は、資産負債の評価を時価に基づいて行い期末に反映させ、翌期首には取得原価に戻すことで、取得原価主義を維持しつつ時価評価の影響を反映させる方法です。

洗替法など時価評価の方法を適切に理解し、企業の財務状況を正しく判断できるようにしましょう。

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よくある質問

洗替法とは?

洗替法は、期末の評価によって再評価した資産と負債を帳簿価額に戻すために、翌期開始時に逆取引を実施する会計上の評価方法です。

詳しくは記事内「洗替法とは」で解説しています。

洗替法と切放法の違いは?

洗替法と切放法の違いは、翌期開始時に期末の評価による再評価をそのままにするかどうかにあります。洗替法は再評価した資産と負債を帳簿価額に戻すための逆取引を行うのに対して、切放法は期末の評価をそのまま帳簿価額にする点で異なります。

洗替法は棚卸資産を処理する際などに使われ、一方の切放法は固定資産を処理する際などに使われます。

詳しくは記事内「切放法とは」をご覧ください。

監修 前田 昂平(まえだ こうへい)

2013年公認会計士試験合格後、新日本有限責任監査法人に入所し、法定監査やIPO支援業務に従事。2018年より会計事務所で法人・個人への税務顧問業務に従事。2020年9月より非営利法人専門の監査法人で公益法人・一般法人の会計監査、コンサルティング業務に従事。2022年9月に独立開業し現在に至る。

前田 昂平

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