会計の基礎知識

個別注記表とは?役割と必要性について解説します

会社法により決算書には、会計を適正に処理するにあたり補足情報を記載して提供する必要があります。

その補足情報を一覧表示した書類のことを個別注記表といいますが、個別注記表を用意しなければならない法的根拠や、求められる記載内容をご紹介しましょう。

個別注記表とは

注記とは、決算書を読みとく際にヒントや参考になる内容を、補足するものです。

個別注記表はそれらを一覧にしたもので、重要な会計方針に関わる注記、貸借対照表に関わる注記、損益計算書に関わる注記など、それぞれの計算書類に記載されていた事項をまとめて記しています。これは、会社法にて計算書類として設定され、作成する必要があります。

会社法および会社計算規則に準じた手続き

会社法(平成17年法律第86号)の規定に基づいて定められた、会社計算規則(平成18年2月7日法務省令第13号)では、重要な会計方針にかかる事項に関する注記等の項目で、個別注記表を表示するよう求めています。

さらに、それ以外でも貸借対照表や損益計算書、そして株主資本等変動計算書によって、会社の財産または損益の状態を間違いのないように判断するための事項を、注記しなければならないのです。会社計算規則の第97条以下に記載のある内容に従って、注記を行いましょう。

なお、個別注記表は必ずしも1つの書面として整えなければならないものではないので、貸借対照表などの注記事項として記しても、問題はありません。

個別注記表に記載すべき項目(公開会社と非公開会社による違い)

個別注記表に記載が必要な事項は、同じ株式会社であっても公開会社であるか、そうでないかによって異なります。具体的な注記項目を見る前に、会社の種別について確認しておきましょう。

公開会社
発行株式のうち、譲渡制限株式が一部分でもある会社
公開会社でない株式会社
すべての株式の譲渡について会社の承認が必要である旨の定めを、定款においている株式会社

個別注記表には何が記載されているべきか

以下の項目名の横には、会計監査人設置会社ではない株式会社(公開会社を除く)に求められる個別注記表に記載すべき項目は(●)、会計監査人設置会社ではない公開会社に求められる記載すべき項目は(★)として、それぞれ示しています。

該当する事項がないときは、記載する必要はありません。それでは、各項目の簡単な説明をしましょう。詳細は、会社計算規則の第98条以下を参照してください。

記載項目 説明
継続企業の前提に関する注記 将来にわたって、会社として事業を継続するための前提として、重要な疑義を生じさせる事象(売上高の顕著な減少、債務の超過など)がある場合に、記載します。
重要な会計方針にかかる事項に関する注記(●)(★) 資産の評価基準や固定資産の減価償却の方法など、計算書類を作成するための基本事項を記載します。
表示方法の変更に関する注記(●)(★) 表示方法を他の方法に変える場合に、その内容や理由を記載します。
会計上の見積もりの変更に関する注記 会計上の見積もりを変更した場合は、内容や影響額を記載します。
誤謬の訂正に関する注記(●)(★) 企業会計基準の第24号、「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」にのっとって、会計処理を行う場合に注記が必要となります。
貸借対照表に関する注記(★) 資産が担保に供されていることや、減価償却累計額などを示す項目です。
損益計算書に関する注記(★) 関係会社との間の営業取引による取引高総額、営業取引以外のやりとりによる取引高総額をそれぞれ分けて、示します。
株主資本等変動計算書に関する注記(●)(★) 事業年度末日における、発行済み株式の数などを示します。
税効果会計に関する注記(★) 繰延税金資産や、繰延税金負債を記載します。
リースにより使用する固定資産に関する注記(★) ファイナンス・リース取引の借主となる株式会社が、通常の売買取引にかかる方法にのっとって会計処理を行っていない場合に、リース物件に関する事項を記載します。
金融商品に関する注記(★) 金融商品の状況や、時価に関する記載をします。
賃貸等不動産に関する注記(★) 賃貸等不動産の状況や、時価に関する記載をします。
持分法損益等に関する注記 関連会社がある場合、その会社に対する投資金額などを記載します。
関連当事者との取引に関する注記(★) 親会社や子会社等をはじめとする、関連当事者との間に取引がある場合(法人・個人問わず)、相手先の名称・関係性や取引の内容、議決権の数の割合などを記載します。
一株当たりの情報に関する注記(★) 一株当たりの純資産額や、当期純利益額などを示します。
重要な後発事象に関する注記(★) 事業年度の末日後に、翌事業年度以降の財産や損益に重要な影響を及ぼす事柄が発生した場合、その内容を記載します。
連結配当規制適用会社に関する注記 当該事業年度の末日が最終の事業年度の末日となる際は、その後連結配当規制適用会社となる旨を記載します。
その他の注記(●)(★) これまでの項目の内容以外で、貸借対照表等、損益計算書等、株主資本等変動計算書等によって、会社の財産や損益の状態を正確に判断するために必要な事項を記載します。

個別注記表の記載例

では、個別注記表の記載例を見てみましょう。これは、中小企業庁から公開されている資料です。実際に記載する項目は、それぞれの企業によって異なります。

出典: 中小企業庁:「中小企業の会計34問34答」から個別注記表の様式例

終わりに

個別注記表を記すことで、会社の現在の状況がわかりやすくまとまります。

将来にわたる会社の健全性をしっかり把握するためにも、個別注記表が果たす役割は大きいです。ミスのないように、会社計算規則に準じてしっかり整理するようにしましょう。

クラウド会計ソフト「freee」

会計freee

クラウド会計ソフトfreeeなら会計帳簿作成はもちろん、日々の経理業務から経営状況の把握まで効率的に行なえます。ぜひお試しください!

知識総合トップへ戻る