確定申告の基礎知識

確定申告とは?全くわからない人向けにやり方・対象者をわかりやすく解説!

監修 北田 悠策 公認会計士・税理士

確定申告とは?全くわからない人向けにやり方・対象者をわかりやすく解説!

確定申告は、1月1日から12月31日までの1年間の所得と、その所得に対する所得税を計算し、税務署に申告・納税する手続きを指します。所得税以外にも、法人税や消費税なども確定申告の対象です。

確定申告には期間が設けられており、所得税の確定申告は毎年2月16日から3月15日(※)です。(※)開始日と最終日が土日の場合は翌月曜日に繰り越し

期限を過ぎてしまうとペナルティが科せられる可能性もあるため、対象者は忘れずに確定申告を行いましょう。

本記事では、所得税の確定申告のやり方や対象者を全くわからない人・初めての人向けに、わかりやすく解説します。確定申告の流れやケース別のやり方もまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

目次

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確定申告とは

確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間の所得と、その所得に対する所得税を計算し、税務署に申告・納税する手続きのことです。

1年間で源泉徴収された税金や予定納税額などがある場合には、その過不足を確定申告によって精算します。

1年間の所得に関する所得税に対して、予定納税額または源泉徴収税額が多ければ税金の還付が受けられます。反対に、予定納税額または源泉徴収税額のほうが少なければ不足分を納税しなければなりません。

確定申告はなぜ必要?

確定申告が必要なのは、日本が所得税の納税に「申告納税制度」を採用しているためです。

申告納税制度とは、納税者自身が納税額の計算から納税までを行う制度のことで、確定申告はこれを指します。


申告納税制度の仕組み

会社員など年末調整を受けている人や、1年間の所得が一定額以下で確定申告の義務がない人を除き、収入を得ている人は所得に応じた所得税を申告・納税する必要があります。

確定申告の義務があるのにしなかったり、確定申告期間を過ぎたりしてしまうと、本来収める税金にペナルティが科せられる可能性があるため、確定申告の対象者は必ず期限内に確定申告を行いましょう。

確定申告と年末調整との違い

確定申告と年末調整の違い

確定申告と年末調整はいずれも1年間の所得を確定したうえで、所得税額を申告・納税する手続きです。手続きの目的は共通していますが、対象者・申告期間・申告できる控除の種類に違いがあります。

年末調整は、会社が従業員に代わって所得税の申告・納税までを行う手続きのことで、基本的に会社に所属している会社員やアルバイト・パートなどの給与所得者が対象です。

給与所得者は、毎月の給与やボーナスから概算で所得税が差し引かれます(源泉徴収)。源泉徴収は概算の所得税額が差し引かれているため、過不足のないように年末調整という精算手続きが行われます。

一方、確定申告は対象者が個人で行う手続きです。会社に所属している人でも、一定の要件に該当する場合や、年末調整の対象外である控除を受けたい場合には個人で確定申告をしなければなりません。

確定申告の対象となる人

確定申告の対象に該当するかどうかは1年間の所得額や条件によって異なります。確定申告の要否は国税庁のホームページを確認しましょう。

ここでは、確定申告が必要となる以下の代表的なケースを解説します。

1. 個人事業主やフリーランスで年間所得が基礎控除額を超える人

企業に属さず、個人事業主やフリーランスとして働く人の所得は「事業所得」に該当します。個人事業主やフリーランスの人はまず、1年間で事業所得が95万円以上ある人は確定申告が必要かどうか確認しましょう。

この95万円とは、原則として全ての納税者の所得金額から差し引かれる基礎控除の額を指します。

2025年度税制改正で、基礎控除の金額が見直されました。2025年分の確定申告以降、基礎控除の金額は以下のとおり変更されます。

合計所得金額基礎控除額
改正後改正前
2025年分・2026年分2027年分
132 万円以下95万円48万円
132万円超336万円以下88万円58万円
336万円超489万円以下68万円
489万円超655万円以下63万円
655万円超2,350万円以下58万円
出典:国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について(源泉所得税関係)」

その年の所得が95万円以下の場合は、基礎控除を適用することで所得が0円となるため、確定申告の必要はありません。


所得額が基礎控除の95万円以下であれば確定申告は不要

ただし、基礎控除以外にも適用される所得控除がある場合や源泉徴収をしている場合は、確定申告をすることで還付を受けられる可能性があります(還付申告)。
▶︎ 基礎控除以外の所得控除を確認する

2. その年の給与収入が2,000万円を超える人

会社員やアルバイト・パートなどの給与所得者は、会社が従業員に代わって所得税の申告・納税を行うため(年末調整)、個人での確定申告は原則必要ありません。

しかし、その年の給与所得が2,000万円を超える場合は年末調整の対象外であるため、確定申告が必要です。

後述の「納税する所得税額の計算方法」に基づいて税額を算出し、納めるべき税額がある場合には個人で確定申告を行う必要があります。

3. 副業の所得が年間20万円を超える人

会社員などの給与所得者で年末調整を受けている場合でも、副業など本業以外での所得が20万円を超える場合は確定申告が必要になる可能性があります。

なお、副業などで受け取った所得の種類によって、所得税額の算出方法が異なるので注意しましょう。

たとえば、副業で給与を受け取った場合には「給与所得」、報酬を受け取った場合は「事業所得」もしくは「雑所得」に分類されます。

【関連記事】
本業と副業で確定申告は別々に必要?ダブルワークの納税方法を解説
副業所得20万円以下でも確定申告と住民税の申告は必要?20万円ルールを徹底解説!

4. 公的年金の受給額が一定基準を超えている人

公的年金を受給している人で、以下2つの条件のいずれかを満たしている場合には、確定申告が必要になる可能性があります。

  • 公的年金の収入金額(源泉徴収の対象となる場合)が400万円を超える場合
  • 公的年金を含む雑所得以外の金額が20万円を超える場合

出典:国税庁「公的年金等を受給されている方へ」

また上記に該当しなくても、確定申告不要制度の対象外となる場合は個人で確定申告をしなければなりません。

【関連記事】
年金受給者は確定申告が必要?必要な人・不要な人を事例別に解説

5. 給与所得者で年末調整を受けていない人

日雇いや単発のアルバイトなどで得た収入も「給与」に該当します。ただし、これらの働き方の場合は源泉徴収がされないため、年末調整もされません。

企業側で年末調整が行われず、給与収入が年間160万円を超える人は、個人で確定申告が必要になる場合があります。

ただし、労働条件によっては源泉徴収の対象となり、企業が年末調整を行う場合もあります。年末調整の対象かどうかわからない人は勤務先に早めに確認しておきましょう。

上記以外にも、株取引で一定の利益がある人や、不動産所得・譲渡所得がある人も確定申告の対象となる可能性があります。

【関連記事】
確定申告はいくらからが義務?事業所得者や給与所得者の所得税などを詳しく解説!
会社員で確定申告が必要な人とは?ふるさと納税や副業など事例別にやり方を解説

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確定申告をすることで還付を受けられる人

確定申告の義務がない人でも、所得控除や税額控除の要件を満たしていたり、源泉徴収された税金や予定納税した税金が納め過ぎになっていたりする場合には、確定申告をすることで還付を受けられる可能性があります。

確定申告で還付が受けられる可能性のある代表的なケースは以下のとおりです。

手続き自体は確定申告と同じですが、還付申告は義務ではなく任意になるため、しなくても罰則などは特にありません。

① 1年間の医療費が10万円を超えた人

病気やケガによる通院・歯科治療・介護・妊娠・出産にかかった費用は、確定申告で「医療費控除」の対象になります。ただし、医療費控除は年末調整の対象外であるため、会社員でも個人で確定申告をしなければ適用されません。

医療費控除とは、1月1日〜12月31日の1年間で支払った医療費が10万円(総所得金額が200万円未満の人は総所得金額×5%)以上だった場合に受けることのできる所得控除のひとつです。

1年間で支払った医療費から受け取った保険金や給付金を引いた額から10万円を差し引いた金額が控除されます。

なお、上述した通院・治療費だけでなく、電車やバスでの通院交通費(付き添い人も含む)、処方箋で発行された薬代なども医療費控除の対象となります。

▶︎ 医療費控除の確定申告のやり方は、記事下部で詳しく解説しています。

② 住宅ローン控除(初年度)を申請する人

マイホームを建てるときや、省エネ・バリアフリーなど特定の改修工事を行う際には、住宅ローンを利用できます。住宅ローンを組んで住まいを購入すると、住宅ローン控除が適用されます。

住宅を購入・入居した翌年の確定申告期間から住宅ローン控除を受けることができます。ただし、住宅ローン控除を受ける初年度は年末調整の対象外となるため、個人で確定申告をしなければなりません。

たとえば、2025年12月1日に住宅ローンを組んで一軒家を購入した場合、翌年の2026年2月16日(月)〜3月16日(月)の確定申告期間に申告します。

会社員の場合、2年目以降は年末調整で適用されるので、確定申告は不要になります。このとき、会社に必要書類を提出するのを忘れないように注意しましょう。

▶︎ 住宅ローン控除の確定申告のやり方は、記事下部で詳しく解説しています。

③ ふるさと納税をした人

ふるさと納税をすると、自己負担額2,000円を差し引いた残りの寄附額が、所得税と住民税から控除されます。


ふるさと納税の仕組み

ふるさと納税の還付を受けるためには、確定申告またはワンストップ特例の申請が必要です。

寄附先が5自治体以内で、寄附金控除を受ける以外に確定申告をする必要のない人であれば、ワンストップ特例制度から申請したほうが確定申告よりも簡単な手続きで寄附金控除を受けることができます。

しかし、以下のいずれかに該当する場合は、確定申告をしなければ寄附金控除を受けることができません。

  • ふるさと納税をした自治体が6ヶ所以上ある
  • 寄附した自治体のうちワンストップ特例の申請書が提出できなかった自治体が1ヶ所以上ある
  • 給与所得者でふるさと納税のほかにも確定申告が必要な控除がある

④ 事業で赤字が出た人

事業で赤字が出た場合に確定申告(損失申告)を行うことで、ほかの所得の黒字と相殺できる制度があります。

損益通算

事業所得・不動産所得・譲渡所得・山林所得のいずれかで赤字が発生した際、その年のほかの所得と相殺することができ、これを損益通算といいます。

たとえば、個人事業主が事業所得で赤字を出した年に不動産所得がある場合、損益通算により赤字分を差し引けます。結果として、課税対象の所得額を減らすことが可能です。


出典:国税庁「No.2250 損益通算」

純損失の繰越し(繰越控除)

青色申告では、事業で赤字を出した場合にその損失額を「原則として翌年から最長3年間」まで繰り越せる制度があります。純損失を翌年以降に繰り越すことで、翌年以降の黒字と相殺でき、余計な税金を払わずに済む可能性があります。

つまり、前年の赤字分だけ課税所得を減らすことができ、その分節税ができる仕組みです。

ただし、純損失の繰越しができるのは、事業所得・不動産所得・譲渡所得・山林所得に限られ、損益通算を行っても赤字が残る場合に適用されます。

また、繰越控除を受けるには、純損失の生じた年に青色申告書を提出し、その後も連続して確定申告書を提出する必要があります。

⑤ 災害や盗難、横領で資産に損害があった人(雑損控除)

災害や盗難・横領によって損害があった場合には、雑損控除を受けることができます。雑損控除は年末調整の対象外となるため、会社員などの給与所得者であっても個人で確定申告をしなければなりません。

雑損控除は納税者本人だけでなく、納税者と同一生計の親族(総所得金額等が58万円以下に限る)の資産の損害も対象となります。

ただし適用されるのは、生活に必要な資産の損害に限られ、趣味・嗜好を目的とした資産は雑損控除の対象外です。

なお、その年の所得額が合計で1,000万円以下の人は「災害減免法による所得税の軽減免除」も適用が可能ですが、雑損控除との併用はできないため、いずれか一方を自身で選択する必要があります。

⑥ 年の途中で退職し、年内に再就職していない人

年の途中で退職し、年内に再就職すると、原則として新しい勤務先で前の勤務先の給与を含めて年末調整をしてもらうことが可能です。

ただし、年内に再就職をしていないと年末調整がされず、源泉徴収されていた所得税が未精算のまま残ってしまいます。また、年末調整をしないままだと社会保険料控除・扶養控除・基礎控除などの所得控除の適用がされません。

そのため、年内に再就職をしていない場合には個人で確定申告をすることで、払い過ぎていた分の還付を受けられる可能性があります。


出典:国税庁「No.1910 中途退職で年末調整を受けていないとき」

⑦ 「退職所得の受給に関する申告書」を提出していない人

退職所得の受給に関する申告書とは、退職時の手当(退職金)などを受ける人が勤務先に提出する書類です。

これを事前に提出していれば、退職金の支給時に所得税が適正に源泉徴収されるため、退職金に関する確定申告を個人で行う必要がありません。

退職所得の受給に関する申告書を提出していない場合、退職所得控除を含めた課税対象額が計算されません。そのため、受け取る退職所得の全額に対して一律20.42%の所得税・復興特別所得税が源泉徴収されます。

この場合、退職所得額や諸条件によって異なりますが、一般的に確定申告を行うことで源泉徴収された税額が還付される可能性があります。

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確定申告をする必要がない人

企業に属している会社員やアルバイト・パートの場合は、企業が年末調整で所得税の申告・納税をするため、原則として個人の確定申告は不要です。これは企業が本人に代わって手続きを行うためです。

個人で確定申告をする必要がない人の代表例は以下のとおりです。

確定申告の必要がない人

  • 給与収入が2,000万円以下かつ副業などの年間所得が20万円以下の人
  • 年金にかかる雑所得が年間400万円以下かつ年金以外の所得が年間20万円以下の人
  • 個人事業主やフリーランスなどで事業所得が95万円以下の人

確定申告の対象となる「所得」とは

確定申告は、1月1日から12月31日までの1年間の「所得」をもとに、所得税を算出し納税を行います。所得とは、自身の手元に入ってきた「収入」から必要経費を差し引いた金額のことを指します。


所得額は収入から必要経費を引いた額

一方、収入とは自分の手元に入ってくるお金の総称です。そのため、金銭だけではなく現物給与も含まれることがあります。

所得は10種類に区分される

所得は、所得税法により内容に応じて以下の10種類に区分されています。


所得の区分内容課税方法
①給与所得勤務先から受ける給料、賞与(ボーナス)などの所得総合課税
②事業所得農業・漁業・製造業・卸売業・小売業・サービス業その他の事業から生ずる所得総合課税
③利子所得公社債や預貯金の利子、合同運用信託や公社債投資信託の収益の分配などで収入がある場合に発生する所得分離課税
④配当所得株主として得た配当や、投資信託などから得た所得分離課税
⑤不動産所得不動産・船舶・航空機などの貸付から収入がある場合に発生する所得総合課税
⑥退職所得勤務先から受ける退職手当や厚生年金基金等の加入員の退職に基因して支払われる厚生年金保険法に基づく一時金などの所得分離課税
⑦山林所得山林を伐採して譲渡し、立木のままで譲渡することによって生ずる所得分離課税
⑧譲渡所得資産の譲渡から得た収入がある場合に発生する所得分離課税
⑨一時所得臨時的に得た収入や、たまたま得た収入がある場合に発生する所得総合課税
⑩雑所得ほかの所得のいずれにも当てはまらない収入がある場合に発生する所得総合課税
出典:国税庁「No.1300 所得の区分のあらまし」

たとえば、個人事業主として働く人の所得の多くは事業所得、会社員が副業で得た所得は雑所得に該当することが一般的です。

【関連記事】
所得とは? 収入との違いや種類別の計算方法を解説

【初めての人向け】確定申告のやり方を手順に沿って解説

ここからは確定申告の準備から申告・納税までのやり方を手順に沿って解説します。


STEP0. 青色申告と白色申告どちらにするかを決めよう
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STEP1. 必要書類を準備しよう
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STEP2. 確定申告書を作成しよう
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STEP3. 税務署へ確定申告書と必要書類を提出しよう
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STEP4. 所得税の納付をする、もしくは還付金が振り込まれているか確認しよう
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STEP5. お疲れ様でした!帳簿は大切に保管しておきましょう

STEP0. 青色申告と白色申告どちらにするかを決めよう

確定申告には、青色申告白色申告の2つの申告方法があります。確定申告の準備を始める前に、どちらで申告するかを決めておきましょう。


青色申告と白色申告の違い

青色申告とは

青色申告は白色申告と比べて、特別控除などによる節税効果が高いというメリットがあります。具体的には以下のような優遇措置が設けられています。

  • 最大65万円の青色申告特別控除を受けられる
  • 青色事業専従者給与を必要経費にできる
  • 純損失の繰越しと繰戻しが可能
  • 貸倒引当金を計上できる
  • 少額減価償却資産の特例がつかえる

ただし、確定申告を青色申告で行う場合は、確定申告をする年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を所轄の税務署に提出しなければなりません。その年の1月16日以後に開業した場合は、その事業開始等の日から2ヶ月以内が提出期限となります。

開業した年から青色申告する場合は「開業届」とあわせて提出しましょう。

税制上のメリットが大きい青色申告ですが、白色申告に比べて会計処理や書類作成に手間がかかる点に注意が必要です。

【関連記事】
青色申告とは?白色申告との違いや豊富なメリット、必要な準備・書類を解説

白色申告とは

白色申告は、青色申告に比べて提出書類が少なく帳簿付けも簡単ですが、税制上の特典が少ない申告方法です。また、白色申告であれば事前の手続きもありません。

青色申告承認申請書を提出していない場合は、自動的に白色申告となります。

事業を開始したばかりで事業収入が少ない人は、控除の恩恵も少なくなるため、白色申告のほうが手間をかけずに手続きができます。

ただし、赤字の場合は翌年以降に損失を繰り越せる青色申告の方が有利になることがあるので、2つの申告方法のメリット・デメリットをよく理解してから選ぶようにしましょう。


白色申告よりも青色申告のほうが節税効果が高い

【関連記事】
白色申告とは?青色申告との違いやメリット・やり方を解説
確定申告は青色申告と白色申告の2種類!それぞれのメリット・デメリットをわかりやすく解説

STEP1. 必要書類を準備しよう

確定申告に共通して必要な書類は以下のとおりです。

確定申告書

令和7年分の確定申告書 第一表・第二表
令和7年分の確定申告書 第一表・第二表
出典:国税庁「令和7年分の所得税等の確定申告書 (案)」

所得税の確定申告書には第一表・第二表・第三表・第四表の4種類の用紙があります。上図の第一表と第二表は、確定申告をする全員が提出しなければなりません。

なお、第三表は申告分離課税の対象となる所得がある人、第四表は損失の申告をする人がそれぞれ提出します。

確定申告書は国税庁のホームページや税務署の窓口、確定申告会場などで入手できます。確定申告書の入手方法は、以下のとおりです。

確定申告書の入手方法

  • 国税庁のホームページからダウンロードする
  • 国税庁の確定申告書等作成コーナーから出力する
  • 税務署や市区町村役場の税務課、確定申告相談会場で受け取る
  • 税務署から郵送で取り寄せる
  • 確定申告に対応した会計ソフトを利用する

確定申告書は手書き以外にも、国税庁の確定申告書作成コーナー会計ソフトを活用すれば効率的に作成が可能です。

項目別の書き方については別記事「確定申告書の見方と書き方を項目別にわかりやすく解説」をあわせてご確認ください。

マイナンバーがわかる書類

確定申告にはマイナンバーが記載された本人確認書類が必要です。

マイナンバーカードがあればそれだけで本人確認が完了します。通知カードや個人番号が記載された住民票を利用する場合には、運転免許証・健康保険証・パスポートなどを別途用意しなければいけません。


控除を受けるために必要な各種控除証明書

所得控除や税額控除の中には確定申告時に各種控除証明書が必要になるものがあります。

たとえば、医療費控除を受けるためには医療費控除の明細書、ふるさと納税をして寄附金控除を受けるためには寄附金額を証明する書類の添付が必要です。

基礎控除など証明書が不要な控除もあるので、国税庁のページから確認して早めに用意しておきましょう。

収入がわかる書類

確定申告書には、収入額を記載する必要があります。そのため、収入がわかる書類を用意しなければなりません。

個人事業主で青色申告する場合は「青色申告決算書」、白色申告をする場合は「収支内訳書」がこれにあたります。

なお、会社員や年金受給者が確定申告する場合は、収入がわかる書類(給与所得の源泉徴収票や退職所得、公的年金等の源泉徴収票など)の添付は不要です。

口座番号がわかる通帳など(税金の還付を受ける場合)

確定申告で税金を払いすぎていたことが発覚した場合には還付を受けることができます。

所得税が還付される場合は確定申告書に銀行口座を記載する必要があるので、通帳やカードなどの口座番号がわかるものを用意しておきましょう。

【関連記事】
確定申告の還付金はいつ振り込まれる?e-Tax・書面提出の違いや計算方法を解説

上記以外にも、会社員や年金受給者、個人事業主など、所得や控除の種類などによって必要書類が異なります。詳しくは別記事「確定申告の必要書類・添付書類は?準備するものをケース別にわかりやすく解説」をあわせてご確認ください。

STEP2. 確定申告書を作成しよう

確定申告書の作成は、主に以下の方法があります。

確定申告ソフト

確定申告ソフトは、日々の記帳を簡略化し、確定申告書やそのほか必要書類の作成を効率化できます。

freee会計では、〇✕形式の質問で確定申告書やそのほか必要書類を作成できます。必要な計算は自動で行ってくれるため、計算・入力ミスを削減でき、初めて確定申告をする人におすすめのツールです。

確定申告ソフトは利用料がかかる点がデメリットですが、freee会計なら月額980円(※年払いで契約した場合)から利用できます。


確定申告書を会計ソフトで作成するメリット・デメリット

確定申告書等作成コーナー

国税庁が提供している「確定申告書等作成コーナー」でも確定申告書の作成が可能です。作成開始のボタンをクリックし、案内に沿って所得などの金額を入力していくと、自動的に計算を行ってくれます。

無料で利用できるので、コストをかけずに確定申告書を作成できます。

ただし、日々の記帳などは別で用意しなければなりません。日々の会計業務も効率化したい人には、確定申告ソフトのほうがおすすめです。


確定申告書を確定申告書等作成コーナーで作成するメリット・デメリット

手書き

確定申告書のフォーマットは、税務署の窓口でもらったり、国税庁のホームページからダウンロードしたりして無料で入手できます。

手書きの場合は、計算ミスや記入漏れがないかなど確認要素が多いため、確定申告が初めての人はほかの手段を選ぶほうが安心です。

また、手書きの確定申告書はe-Taxでの提出ができません。青色申告で65万円の特別控除を受けるには、電子帳簿保存またはe-Taxでの申告が必要です。


確定申告書を手書きで作成するメリット・デメリット

確定申告書を手書きで作成する人は、別記事「確定申告書の見方と書き方を項目別にわかりやすく解説」を参考にしてください。

税理士へ代行依頼

会計知識がなく不安な人は、税理士に代行依頼する方法もあります。

日々の記帳から経費精算、確定申告の手続きまで会計業務を全て任せられる場合もあるため、事務工数が大幅に削減されます。また、会計まわりのことで悩んだときの相談も可能です。

ただし、税理士や専門家に代行依頼するとほかの方法よりも費用がかかるデメリットがあります。


確定申告書を税理士に代行依頼して作成するメリット・デメリット

STEP3. 税務署へ確定申告書と必要書類を提出しよう

確定申告書の作成や必要書類の準備が整ったら税務署へ提出します。具体的な提出方法は以下のとおりです。

e-Tax(電子申告)

e-Taxとは、所得税や消費税などをはじめとした国税の申告や申請、納税に関するオンラインサービスです。最大65万円の青色申告控除を受けるためには、e-Taxからの電子申告が必須条件です。

また、e-Taxを利用すれば、税務署へ出向いたり郵送したりしなくても、自宅から簡単に確定申告が行えます。

e-Taxで電子申告を行うためには、マイナンバーカードとマイナンバーカードを読み取れるスマホ(またはカードリーダライタ)か、利用者識別番号と電子証明書(もしくは利用者識別番号+ID・パスワード)が必要です。

e-Taxでの確定申告は以下の手順で行います。

  1. 申告のための事前準備をする(電子証明書の取得など)
  2. 確定申告のデータを作成・送信する
  3. 送信結果を確認する

確定申告書等作成コーナーで作成してe-Taxから送信する方法のほか、会計ソフトを利用して作成から送信まで一貫して行う方法もあります。

【関連記事】
e-Tax(電子申告)で確定申告をするやり方とは?スマホでの流れや必要書類を解説
e-Taxの使用に必要な利用者識別番号とは?取得方法や確認方法について解説

郵送

確定申告書等の提出先は管轄の税務署です。郵送先の税務署については、国税庁のホームページから確認できます。

なお、確定申告書は信書に該当するため、「郵便物」または「信書便物」として郵送しなければなりません。

郵送で確定申告書等を提出する手順は以下のとおりです。

  1. 確定申告書の郵送先を調べる
  2. 封筒を用意して必要書類を同封する
  3. 郵便物または信書便物として郵送する

また、郵送での確定申告書提出日は消印の日付となるため、消印が3月16日(月)※を過ぎると期限後申告として扱われるので注意しましょう。※2025年度の確定申告期日

【関連記事】
確定申告書は郵送できる?郵送方法や封筒の書き方・注意点について解説

税務署へ直接持参

郵送と同様に、直接持参する場合は管轄の税務署へ提出しなければなりません。管轄の税務署は国税庁のホームページから確認できます。

税務署の開庁時間は、平日8:30〜17:00で土日祝は休みです。確定申告期間中は専用窓口が設けられており、申告内容や提出物に不備がないかをその場で確認してもらえます。

また、税務署には時間外収受箱が設置されています。時間外収受箱であれば土日祝でも24時間投函が可能ですが、その場で内容の確認をしてもらうことはできません。

STEP4. 所得税の納付をする、もしくは還付金が振り込まれているか確認しよう

確定申告は書類の提出(申告)だけでなく、所得税の納付までを期限内に行う必要があります。

所得税の納付方法

所得税の納付には以下の方法があり、状況に応じて自由に選択できます。

▼ キャッシュレスの納付方法
e-Taxによる口座引落(ダイレクト納付)
・振替納税
インターネットバンキングやATMからの納付
クレジットカード納付
スマホアプリ納付(30万円まで)

▼ キャッシュレス以外の納付方法
金融機関または税務署窓口での現金納付
・コンビニ納付
(1)QRコード(30万円まで)
(2)バーコード(納付書1枚につき30万円まで)


出典:国税庁「G-2 国税の納付手続(納期限・振替日・納付方法)」

還付金は指定口座に振り込まれる

確定申告書の「還付される税金の受取場所」の欄に記載した口座情報に基づき、還付金が振り込まれます。還付金の受け取り方法は、以下のとおりです。

  • 預貯金口座で受け取る
  • 公金受取口座で受け取る
  • ゆうちょ銀行窓口・郵便局窓口で受け取る

振込の目安は、確定申告書を税務署の窓口で提出または郵送した場合は1〜2ヶ月程度、e-Tax(電子申告)を利用した場合は3週間程度です。

還付金の金額や振込予定日などの処理状況は、e-Taxのマイページから確認ができます。

【関連記事】
還付申告とは?対象となるケースや確定申告・年末調整との違いを解説
確定申告の還付金はいつ振り込まれる?個人事業主が受け取れる主なケースも紹介

STEP5. お疲れ様でした!帳簿は大切に保管しておきましょう

帳簿や書類の種類によって異なりますが、確定申告期限の翌日から5〜7年間の保存が義務付けられています。大切に保管しておきましょう。

保存対象となる帳簿や書類は主に以下のとおりです。


青色申告
(65万円控除・55万円控除)
青色申告
(10万円控除)
白色申告
保存
帳簿
・総勘定元帳
・仕訳帳
・現金出納帳
・売掛帳
・買掛帳
・固定資産台帳など
・現金出納帳
・売掛帳
・買掛帳
・固定資産台帳
・経費帳など
・法定帳簿
・任意帳簿など
保存
書類
・決算関係書類(損益計算書・貸借対照表・棚卸表など)
・取引関係書類(請求書・領収証・契約書など)
出典:国税庁「記帳や帳簿等保存・青色申告」

【関連記事】
確定申告の必要書類・添付書類は? 準備するものをケース別にわかりやすく解説

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2025年分の確定申告期間はいつからいつまで?

2025年(令和7年)分の確定申告期間は、2026年(令和8年)2月16日(月)〜3月16日(月)までです。

上記の期間の申告・納税対象となるのは、2025年(令和7年)1月1日から12月31日までの1年間の所得と、その所得に対する所得税です。


令和7年度分の確定申告期間は令和8年2月16日から3月16日

所得税の納税義務があるのに確定申告をしなかったり、期間を過ぎてから申告をしたりした場合には、ペナルティが発生することがあります。

本来の納税額より多く払うことになるため、確定申告の対象者は必ず期限内に申告しましょう。

【関連記事】
確定申告しないとどうなる? デメリットと対処法を解説
確定申告期間はいつからいつまで?期限を過ぎた場合のペナルティや対処法について解説

還付申告は対象年度の翌年から5年間申告可能

還付申告とは、予定納税や源泉徴収で納めた所得税が本来納めるべき金額より多かった場合に、差額を返金してもらうための手続きです。

年末調整を受けている会社員であっても、医療費控除や雑損控除、寄附金控除などを適用できる場合があります。また、年の途中で退職している場合などは還付となるケースがあります。

還付申告は確定申告書を使用するため、手続き自体は確定申告と同じです。ただし、還付申告の場合は課税年度の翌年から5年間であればいつでも申告ができます。

たとえば、2025年(令和7年)分の還付申告期間は、2026年(令和8年)1月1日から2030年(令和12年)12月31日までです。


還付申告は課税年度の翌年から5年間申告が可能

期限内に確定申告できないときはどうする?

上述したように、確定申告期間を過ぎてしまうとペナルティが科せられる可能性があります。

ただし、以下の要件すべてに該当する場合は、原則1年以内の期間に限り、納税の猶予が認められることがあります。

【納税の猶予の要件】

  • 以下のいずれかに該当する
     1. 財産について災害を受ける、もしくは盗難にあった
     2. 納税者や家族が病気にかかる、もしくは負傷した
     3. 事業の廃業や休業をした
     4. 事業で著しい損失を受けた
     5. 上記の①から④に類する事実があった
  • 本来の期限から1年以上経過した後に、修正申告などにより納付すべき税額が確定した
  • 上記事実により、納付すべき国税を一時に納付することができないと認められる
  • 申請書が提出されている(上記⑥の場合は納期限までの提出)
  • 原則として担保の提供がある


出典:国税庁「No.9206 国税を期限内に納付できないとき」

また、確定申告期間内での所得税等の納税が難しいのであれば、延納制度を利用することで期限の延長ができます。

所得税等の延納制度とは、納期限までに本来納める税額の2分の1以上を納付すれば、残額の後日納付が認められる制度です。納付の延長期間は、原則として確定申告をした年の5月31日までです。


出典:国税庁「【税金の納付】」

【関連記事】
確定申告期間はいつからいつまで?期限を過ぎた場合のペナルティや対処法について解説

【ケース別】確定申告のやり方・必要書類

ここからは、以下のケース別に確定申告のやり方・必要書類について解説します。

① 医療費控除の確定申告のやり方

医療費控除とは、1月1日〜12月31日の1年間で支払った医療費が10万円(総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額×5%)以上だった場合に受けられる所得控除のひとつです。

まずは、1年間に支払った医療費の総額が10万円以上(総所得金額が200万円未満の人は総所得金額×5%)あるかを確認しましょう。なお、医療費控除は納税者本人だけでなく、本人と生計を一にする家族の医療費も対象となります。


医療費控除を受けるときの確定申告の流れ

医療費控除の確定申告で必要な書類

医療費控除を受けるために必要な書類は以下のとおりです。

  • 医療費控除の明細書
  • 確定申告書(第一表・第二表)
  • マイナンバー確認書類および本人確認書類(写し)
  • 医療費控除の対象となる費用が記載されている医療通知書や領収書 *提出は不要

医療費控除の対象となる医療費の領収書などは、税務署へ提出する必要はありません。ただし、確定申告後5年間は保管が義務付けられています。

具体的な計算方法や各書類の書き方については、別記事「医療費控除とは?確定申告の流れや対象費用についてわかりやすく解説」をご確認ください。

② 住宅ローン控除の確定申告のやり方

住宅ローン控除を受ける初年度は確定申告をしなければなりません。2年目以降は年末調整で対応が可能です。

住宅ローン控除の確定申告は必要書類が多く、書類の入手時期にあわせて進める必要があります。各書類の入手から確定申告書作成までの具体的なスケジュールは以下のとおりです。


住宅ローン控除を受けるときの確定申告の流れ

住宅ローン控除の確定申告で必要な書類

住宅ローン控除の確定申告で必要な書類は以下のとおりです。

  • 確定申告書(第一表・第二表)
  • マイナンバー確認書類および本人確認書類(写し)
  • 源泉徴収票
  • 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
  • 住宅ローンの年末残高等証明書
  • 建物・土地の登記事項証明書
  • 建物・土地の不動産売買契約書(請負契約書)の写し
  • 住宅の区分に応じた証明書類

住宅ローン控除の適用条件や確定申告書の書き方については、別記事「住宅ローン控除を受けるための確定申告のやり方や必要書類を解説」をご確認ください。

③ ふるさと納税(寄附金控除)の確定申告のやり方

ふるさと納税を行うと、自己負担額2,000円を除いた寄附額が所得税および住民税から控除されます。

ふるさと納税(寄附金控除)の確定申告の流れは以下のとおりです。


ふるさと納税(寄附金控除)を受けるときの確定申告の流れ

ふるさと納税(寄附金控除)の確定申告で必要な書類

ふるさと納税(寄附金控除)の確定申告で必要な書類は以下のとおりです。

  • 寄付金受領証明書
  • 対象の年の源泉徴収票または収入がわかる書類
  • マイナンバー確認書類および本人確認書類(写し)
  • 確定申告書(第一表・第二表)

ふるさと納税をすると、寄附した自治体から「寄附金受領証明書」という書類が送付されます。確定申告時に必要になるため、大切に保管しておきましょう。

なお、e-Taxで確定申告する場合には紙の受領証明書の提出は不要です。

【関連記事】
確定申告でふるさと納税の控除を受けるには?やり方や必要書類についても解説

④ 事業で赤字が出たときの確定申告(損失申告)のやり方

事業所得・不動産所得・譲渡所得・山林所得のいずれかで赤字が発生した場合、その年のほかの所得と相殺できる「損益通算」という制度があります。

また、損益通算を行っても赤字が残る場合、青色申告であればその損失額を原則として翌年から最長3年間まで繰り越すことが可能です。

純損失を繰り越すことで、翌年以降の黒字と相殺でき、余計な税金を払わずに済む可能性があります。つまり、赤字になった年の翌年に黒字化しても、前年の赤字分だけ節税ができる仕組みです。

ただし、繰越損失の適用を受けるためには、毎年連続して確定申告書を提出し、損失申告しなければなりません。


事業で赤字が出たときの確定申告の流れ

事業で赤字が出たときの確定申告(損失申告)で必要な書類

事業で赤字が出たときの確定申告(損失申告)で必要な書類は以下のとおりです。

  • 確定申告書(第一表・第二表・第四表)
  • マイナンバー確認書類および本人確認書類(写し)
  • 損失を証明する書類* *被災事業用資産の損失を繰り替える場合

事業で赤字が出た場合の確定申告書の詳しい書き方などについては、別記事「青色申告の繰越損失とは? 適用の条件や申告書の書き方も解説」をご確認ください。

⑤ 株式を売却して利益があったときの確定申告のやり方

所有している株式を売却して利益があった場合は、原則として確定申告が必要です。ただし、給与所得の有無や株式投資で利用している口座の種類によって異なります。


株式を売却して利益があったときの確定申告の流れ
出典:国税庁「株式の売却をした方や配当等を受け取った方へ」

株式を売却して利益があったときの確定申告で必要な書類

株式を売却して利益があったときの確定申告で必要な書類は以下のとおりです。

  • 株式等にかかる譲渡所得等の金額の計算明細書
  • 確定申告書(第一表・第二表)
  • 確定申告書第三表(分離課税用)
  • 特定口座年間取引報告書
  • マイナンバー確認書類および本人確認書類(写し)

株式を売却して利益が出た場合のほか、損失の発生や配当金の受け取りがあった場合には、別途対応が必要になる可能性があります。

詳しくは別記事「株式投資の確定申告は必要?方法や必要書類なども解説」をご確認ください。

⑥ 年の途中で退職して年内に再就職していないときの確定申告のやり方

年の途中で退職して年内に再就職すると、原則として新しい勤務先で前の勤務先の給与を含めて年末調整が行われます。

ただし、年内に再就職をしていないと年末調整がされず、源泉徴収されていた所得税が未精算のままとなります。また、年末調整をしないままだと社会保険料控除・扶養控除・基礎控除などの所得控除の適用がされません。

そのため、年内に再就職をしていない場合は、個人で確定申告を行うことで払い過ぎていた分の還付を受けられる可能性があります。

この場合は、「確定申告のやり方を流れに沿って解説」を参考に確定申告を行いましょう。なお、還付を受けるには、退職した年の翌年1月1日から5年以内に申告が必要です。


出典:国税庁「No.1910 中途退職で年末調整を受けていないとき」

年内に再就職していないときの確定申告で必要な書類

年内に再就職していないときの確定申告で必要な書類は以下のとおりです。

  • 確定申告書(第一表・第二表)
  • マイナンバー確認書類および本人確認書類(写し)
  • 控除を受けるために必要な各種控除証明書
  • 給与所得の源泉徴収票*提出は不要
  • 口座番号がわかる通帳など

⑦ マイナポータルと連携した確定申告のやり方

マイナポータルとは、マイナンバーカードを利用した個人向け行政サービスのオンライン窓口です。

マイナポータルと連携することで、以下の控除証明書等のデータを一括取得し、確定申告書に自動入力が可能です。

マイナポータル連携により自動入力できる控除証明書等の種類は、以下のとおりです。


適用する控除
申告する収入
控除証明書等
医療費控除 医療費通知情報
ふるさと納税
(寄附金控除)
寄附金受領証明書・寄附金控除に関する証明書
生命保険料控除 生命保険料控除証明書
地震保険料控除 地震保険料控除証明書
住宅ローン控除 年末残高等証明書、年末残高等情報、住宅借入金等特別控除証明書
株式等にかかる譲渡所得等 特定口座年間取引報告書
社会保険料控除 社会保険料(国民年金保険料、国民年金基金掛金)控除証明書
雑所得
(公的年金等)
公的年金等の源泉徴収票
小規模企業共済等掛金控除 小規模企業共済等掛金控除証明書
給与所得 給与所得の源泉徴収票情報
出典:国税庁「マイナポータルと連携した所得税確定申告手続」

マイナポータル連携による確定申告の手順は、以下のとおりです。

  1. マイナポータルで利用者登録
  2. 「確定申告の事前準備」ページで取得したい証明書等を選択
  3. マイナポータルとe-Tax・民間送達サービス・ねんきんネットを連携
  4. 民間送達サービスと証明書等を発行する企業との連携
  5. e-Taxのマイページで情報取得希望の登録(給与所得の源泉徴収票情報を取得する場合)
  6. 確定申告書の作成を開始

出典:国税庁「マイナポータルと連携した所得税確定申告手続」

なお、マイナンバーカードとその読み取りができるスマートフォン(またはICカードリーダ)が必要になるため、準備しておきましょう。

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納税する所得税額の計算方法

確定申告で実際に納税する所得税額は、以下の流れで算出します。

① 所得税の対象となる「課税所得」を求める

所得税の対象となるのは収入から必要経費を差し引いた「所得」です。

その所得から、所得控除を差し引いた額が「課税所得」となり、これにかかる所得税を納税する必要があります。なお、現物給与も所得税の対象となるので注意しましょう。


所得から所得控除を引いた額が課税所得

所得控除とは、納税者の個人的な事情や生活状況を考慮し、所得額から一定の金額を差し引く制度です。16種類の控除が設けられています。

所得控除一覧

控除の種類適用条件控除額
雑損控除災害や盗難、横領によって損害を受けた「(損害金額 + 災害等関連支出の金額 − 保険金等の額)− 総所得金額等 × 10%」と「(災害等関連支出の金額 − 保険金等の額)− 5万円」のいずれか多い方
医療費控除一定額以上の医療費を支払った
※生計を同じくする配偶者やその他の親族も含まれる
(支払った医療費 − 保険金などで補填される金額)− 10万円
※その年の総所得金額が200万円未満の人は総所得金額 × 5%
社会保険料控除健康保険料や国民年金保険料などの社会保険料を支払った
※生計を同じくする配偶者やその他の親族も含まれる
支払った保険料の合計
小規模企業共済等掛金控除小規模企業共済の掛金を支払った支払った掛金の合計額
生命保険料控除生命保険や介護医療保険、 個人年金保険で支払った保険料がある支払った保険料の合計額に応じて一定の方法で計算した金額
(最大12万円)
地震保険料控除地震保険料を支払った支払った保険料の合計額に応じて一定の方法で計算した金額
(最大5万円)
寄附金控除ふるさと納税をはじめ、国・自治体や認定NPO法人などに対して寄附をした「寄附金支出合計額」と「総所得金額等 × 40%」のいずれか少ない方から2,000円差し引いた額
障害者控除納税者や控除対象配偶者、扶養親族が障害者である一人につき、
・障害者27万円
・特別障害者40万円
・同居特別障害者75万円
寡婦控除その年の12月31日時点で「ひとり親」に該当せず、合計所得金額500万円以下など一定の要件を満たす寡婦
※寡夫控除は2020年度分よりひとり親控除に変更
27万円
ひとり親控除納税者が一定の要件を満たすひとり親である35万円
勤労学生控除学校に行きながら働いている
※ただし、合計所得金額が75万円以下
27万円
配偶者控除納税者の合計所得が1,000万円以下で、生計を同じくする配偶者の合計所得が48万円以下である
(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
納税者本人の所得金額と控除対象配偶者の年齢に応じた金額

・一般控除対象配偶者は最大38万円
・老人控除対象配偶者は最大48万円
(控除対象配偶者のうち年齢が70歳以上)
配偶者特別控除納税者の合計所得が1,000万円以下で、配偶者の合計所得が48万円超133万円以下である納税者本人の所得金額と控除対象配偶者の所得金額に応じた金額
最大38万円
扶養控除16歳以上の子どもや両親などを扶養している・一般控除対象扶養親族は38万円
・特定扶養親族は63万円
(扶養親族が19歳以上23歳未満)
・老人扶養親族は最大58万円
基礎控除原則、すべての人に適用納税者の所得金額に応じた金額
(最大48万円)
特定親族特別控除⽣計を同じくする特定親族(19歳以上23歳未満、合計所得金額が58万円超123万円以下)がいる特定親族の合計所得金額に応じた金額
(特定親族一人につき、最大63万円)

出典:国税庁「No.1100 所得控除のあらまし

それぞれの所得控除の要件や控除額については、別記事「税金の控除制度とは?所得控除・税額控除の種類や違いを解説」をご確認ください。

② 課税所得にかかる「所得税額」を求める

課税所得額を把握できたら、以下の速算表をもとに所得税額を算出します。


所得税の求め方

所得税の税率と控除額は、課税所得額に応じて7段階に分かれています。なお、課税所得額の1,000円未満は切り捨てて算出します。

所得税率の速算表

課税対象の所得金額税率控除額
1,000円〜1,949,000円5%0円
1,950,000円〜3,299,000円10%97,500円
3,300,000円〜6,949,000円20%427,500円
6,950,000円〜8,999,000円23%636,000円
9,000,000円〜17,999,000円33%1,536,000円
18,000,000円〜39,999,000円40%2,796,000円
40,000,000円以上45%4,796,000円
出典:国税庁「No.2260 所得税の税率」

③ 納税する「納税額」を求める

所得税額から税額控除を差し引いた額が最終的な「納税額」となります。


納税額の求め方

原則として確定申告をしなければ控除が適用されないため、該当する控除がないか必ず確認しましょう。なお、源泉徴収税額がある場合は、税額控除を適用したあとに差し引かれます。

税額控除の種類概要
配当控除総合課税の配当所得を受け取った場合、配当所得の金額の10%または5%に相当する金額が控除できる
外国税額控除海外で得た所得に対して、日本と外国の両方で税金が課される場合、日本の税金から一定額を控除できる
政党等寄附金特別控除 政党または政治資金団体に対する政治活動に関する寄付金のうち、一定額を控除できる
※寄附金控除(所得控除)との併用不可
認定NPO法人等寄附金特別控除 認定NPO法人等に対する寄附について、一定額を控除できる
※寄附金控除(所得控除)との併用不可
公益社団法人等寄附金特別控除公益社団法人などに対する寄附について、一定額を控除できる
住宅借入金等特別控除 自宅用の住宅を新築・購入した場合に、住宅ローンの年末残高に応じた金額を控除できる
※事業用部分は対象外
(特定増改築等)
住宅借入金等特別控除
自宅を増改築した場合に、住宅ローンの残高に応じて一定額を控除できる
※事業用部分は対象外
住宅耐震改修特別控除自宅用の住宅について住宅耐震改修をした場合に、一定の金額が控除できる
住宅特定改修特別税額控除バリアフリーや省エネ、多世帯同居などの改修工事を行った場合に、一定の金額が控除できる
認定住宅等新築等特別税額控除認定長期優良住宅または認定低炭素住宅の新築などをした場合に、標準的なかかり増し費用の一部を控除できる
試験研究を行った場合の所得税額の特別控除青色申告者が試験研究を行った場合に、試験研究費の額のうち一定割合の額を控除できる
給与等の支給額が増加した場合の特別控除青色申告書を提出する中小事業者または個人事業主が支払う給与などの額が、前年度より一定割合以上増加した場合、一部について控除できる

上記のほかにも、「試験研究を行った場合の所得税額の特別控除」や「高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の所得税額の特別控除」など、さまざまな税額控除があります。詳しくは国税庁のホームページ「税額控除」を参考にしてください。

確定申告ソフトや国税庁の確定申告書等作成コーナーを使えば、納税額を自動で計算でき、効率的かつ正確な申告書を作成できます。確定申告ソフトなら、日々の帳簿付けも一律で管理・自動化が可能です。

初めての確定申告に不安がある人や、準備・申告をスピーディーに進めたい人は、確定申告ソフトの活用も検討してみるとよいでしょう。

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確定申告のことで悩んだときの相談先

初めての確定申告で不明点や不安がある場合の主な相談先は、以下のとおりです。

確定申告のことで悩んだ場合の主な相談先

税務署窓口

税務に関して不明点がある場合は、所轄の税務署を訪れることで、確定申告の疑問点や書類作成について相談できます。

確定申告期間中であれば、申告書の内容の確認や検算の依頼も可能です。作成した申告書に不安がある人は、申告書を持参のうえ税務署の営業時間内に訪れるとよいでしょう。

開庁時間は、土日祝日を除く平日の午前8時30分から午後5時までです。相談は無料ですが、確定申告期間は混雑するため早めに訪れましょう。なお、事前に予約が必要な場合もあります。

各市町村の相談窓口

確定申告の時期は、相談窓口が開かれている自治体もあります。相談内容によって窓口が異なる場合や、予約が必要な場合もあるため、事前に所轄の税務署または各自治体のホームページを確認しましょう。

ただし、受け付けている相談内容は各種控除などに限られ、事業所得者の青色申告には対応していない場合がほとんどです。

税理士

毎月の収支管理・確定申告書の作成・代理申告・節税対策などを相談したい人は、税理士への依頼が安心です。

費用は確定申告の作成代行だけでも10万円からと高額ですが、依頼費用は経費計上できます。売上が安定していて、確定申告書を作成するのが難しい場合はひとつの選択肢として有用です。

会計ソフトの顧客サポート

会計ソフトで確定申告書を作成する場合、ソフトやツールによってはチャットやメールでの相談が可能です。

確定申告で利用する際は、カスタマーサポートが充実している会計ソフトがおすすめです。

確定申告にまつわるよくある質問

Q1. 2026年の確定申告ではいつからいつまでの収入を申告するの?

2026年(令和8年)の確定申告では、2025年(令和7年)1月1日から12月31日までの1年間の所得と、その所得に対する所得税を計算し、申告および納税をします。


令和7年度分の確定申告期間は令和8年2月16日から3月16日

所得とは、収入から必要経費を差し引いた額で、現物給与の所得も対象です。その所得から、所得控除を差し引いた額が「課税所得」となり、これにかかる所得税を納税する必要があります。

所得額や実際の納税額の計算方法については、記事内「納税する所得税額の計算方法」をご確認ください。

Q2. 確定申告は1月からでも可能?

確定申告の受付は、原則として2月16日から開始されます。2025年度分については2026年2月16日(月)から受付が始まります。

ただし、e-Tax(電子申告)を利用すれば1月から申告が可能です。

詳しくは、記事内「2025年分の確定申告期間はいつからいつまで?」をご覧ください。

e-Tax(電子申告)で確定申告をする場合に必要なものや手順については別記事「e-Tax(電子申告)で確定申告をするやり方とは?スマホでの流れや必要書類を解説」をご確認ください。

Q3. 確定申告をスマホでやるにはどうしたらいい?

e-Taxを利用すればスマートフォンからでも確定申告を行うことができます。ただし、マイナンバーカードやマイナポータルとの連携など、事前準備が必要です。

スマホでの確定申告のやり方については、別記事「スマホの確定申告のやり方を解説!マイナンバーカードなどの必要な準備とは」を参考にしてください。

Q4. 確定申告をe-Taxでやるにはどうしたらいい?

e-Tax(電子申告)を利用して確定申告するには、以下いずれかの方法を利用できます。

  • e-Tax対応の会計ソフトを利用する
  • e-Taxと会計ソフトを利用する
  • スマホで国税庁のWebサイトから作成する
  • PCで国税庁のWebサイトから作成する

それぞれのメリット・デメリットを理解して、自身のやりやすい方法を検討しましょう。

詳しくは別記事「e-Tax(電子申告)で確定申告をするには?利用方法やメリット・デメリットについて解説」をあわせてご確認ください。

Q5. 予定納税とは?

予定納税とは、納税する所得税額が一定額以上に達する見込みのある人が税金を先払いする仕組みです。

予定納税を行う必要があるのは、前年分の所得に対する納税額を基に計算される予定納税基準額が15万円以上の人です。予定納税額は、前年分の3分の2とされています。

予定納税を行う時期は7月と11月で、それぞれに納税額を分割して納付します。対象者は、期日までに納税義務を履行しましょう。

【関連記事】
予定納税とは?対象者・納付時期・方法および確定申告での還付や減額申請に関して解説

Q6. 青色申告と白色申告との違いは?

確定申告の方法には、青色申告白色申告の2つがあります。

簡単にまとめると、青色申告は節税効果が高いが、提出書類が多かったり記帳方法が複雑だったりと手間がかかります。一方、白色申告は青色申告に比べて手間はかかりませんが、節税効果も低いです。

それぞれの違いを以下にまとめました。


青色申告
(65万円控除・55万円控除)
青色申告
(10万円控除)
白色申告
事前申請ありなし
提出書類 ・確定申告書
・青色申告決算書(貸借対照表と損益計算書)
・第三表
(※)分離課税用、事業所得に加え譲渡所得がある場合

・第四表
(※)損失申告用、赤字で青色申告する場合
・確定申告書
・青色申告決算書
・損益計算書
・第三表
(※)分離課税用、事業所得に加え譲渡所得がある場合

・第四表
(※)損失申告用、赤字で青色申告する場合
・確定申告書
・収支内訳書
・第三表
(※)分離課税用、事業所得に加え譲渡所得がある場合
保存帳簿 ・総勘定元帳
・仕訳帳
・現金出納帳
・売掛帳
・買掛帳
・固定資産台帳 など
・現金出納帳
・売掛帳
・買掛帳
・固定資産台帳
・経費帳 など
・法定帳簿
・任意帳簿 など
保存書類決算に関して作成した棚卸表
記帳方法複式簿記簡易簿記
(単式簿記)
電子帳簿保存必須
(※)e-Taxの利用でも可
(※)65万円控除の場合
任意
不動産所得
の基準
アパートは10室以上
または貸家は5棟以上
なし
節税効果×
出典:国税庁「No.2070 青色申告制度」
出典:国税庁「No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」


青色申告と白色申告の違いを項目別に詳しく知りたい方は、別記事「青色申告と白色申告の違いをわかりやすく解説!確定申告前に正しく理解しておこう」をご確認ください。

Q7. 初めて確定申告する人におすすめの方法はある?

初めての確定申告に不安がある人や、忙しくて準備や提出に時間をかけられない人には、freee会計がおすすめです。

所得や控除額が自動計算された後、確定申告書に自動入力されます。必要項目の入力も〇✕の質問に答えていくだけなので、簡単に確定申告書の作成ができます。また、帳簿付けも自動仕訳で処理してくれるので、日々の会計処理にかかる手間も大幅に削減できるでしょう。


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Q8. マイナンバーカードがないけど確定申告できる?

マイナンバーカードがなくても、「マイナンバー」が確認できる書類があれば確定申告は可能です。マイナンバーカードをもっていない人は、通知カードもしくは住民票から自分のマイナンバーを確認できます。

確定申告時は、マイナンバーが確認できる書類とそのマイナンバーの持ち主であることを確認できる書類の2つを用意しましょう。


確定申告にはマイナンバーが記載された本人確認書類が必要
出典:国税庁「申告書に添付・提示する書類」

マイナンバーカードなしで確定申告をする方法は、別記事「確定申告はマイナンバーカードなしでできる? 注意点と2つの申告方法を解説」をご確認ください。

Q9. 新卒で入社する前にアルバイトしていたら確定申告は必要?

新入社員は一般的に3月に学校を卒業して4月から入社することが多いです。そのため、新卒入社する年の1月から3月にアルバイトをしていた場合には、入社後にその分を含めて年末調整をしなければなりません。

アルバイト先から源泉徴収票が発行されるので、それを新卒入社した企業に提出すれば、アルバイトの給与分を含めて年末調整をしてくれます。

会社員になってから確定申告が必要になるケースについては、別記事「会社員で確定申告が必要な人とは?ふるさと納税や副業など事例別にやり方を解説」をご確認ください。

Q10. 自分で確定申告するには?

自分で確定申告をするには、国税庁が提供している「確定申告書等作成コーナー」では無料で確定申告書の作成ができます。所得や控除の計算は自動で行われるため、自分で計算・記入するよりもミスを減らせるでしょう。

ただし、帳簿などの必要書類は事前に別途用意しなければなりません。日々の会計業務も効率化したい場合は、確定申告ソフトの利用がおすすめです。

詳しくは、記事内「【初めての人向け】確定申告のやり方を手順に沿って解説」をご覧ください。

Q11. 必要経費にできる費用にはどんなものがある?

必要経費として計上できる主な費用・勘定科目は、以下のとおりです。


勘定科目具体例
租税公課個人事業税・事業利用資産の固定資産税・印紙税・事業用自動車の自動車税
荷造運賃運送料・箱やガムテープなどの梱包資材代
水道光熱費事務所の水道代・ガス代・電気代
旅費交通費事業に関係する交通費・宿泊費・コインパーキング代
通信費事業で使用する切手やはがき代・電話料金・ネット回線の使用料
広告宣伝費Webなどへの商品の広告掲載料・ポスターやチラシなどの印刷費
接待交際費取引先への接待の飲食代や贈答品代
損害保険料事務所の火災保険料・事業用の自動車の保険料
修繕費事業に関係する店舗や機械・器具などの修理代
消耗品費事業で使用する文房具やデスク・10万円未満のパソコン
減価償却費自動車や建物などの固定資産(法定耐用年数に応じて一部を経費計上する)
福利厚生費従業員の健康診断・慰安旅行などにかかる費用
給料賃金従業員に対する給料・手当・賞与
外注工賃外部に業務を発注した際にかかる費用
支払利息事業に関する借入金の利子・手形の割引料
地代家賃事業用の建物の家賃や礼金・駐車場代
貸倒損失回収できなくなった売掛金・貸付金
雑費上記のいずれにも該当しない事業に関係する費用
出典:国税庁「No.2210 必要経費の知識」

個人事業主が経費にできる費用については、別記事「個人事業主の確定申告経費では何をいくらまで落とせる?勘定科目一覧や必要書類を解説」をご確認ください。

Q12. アルバイトで確定申告が必要になる人は?

アルバイトで確定申告が必要になる主なケースは、以下のとおりです。

  • アルバイト先で年末調整が行われていない
  • 掛け持ちをしていて2ヶ所以上でアルバイトをしている
  • 年内にアルバイト先を辞めている
  • アルバイト先の給与以外に20万円以上の所得がある
  • 年末調整に必要な書類の提出を忘れた

Q13.確定申告しないとどうなる?

確定申告の義務があるのに申告しなかったり、確定申告期間を過ぎたりしてしまうと、無申告加算税や延滞税が課されることがあります。

また、無申告や所得の隠蔽が発覚した場合には、刑事罰が科される可能性もあります。

確定申告の義務がある人は、必ず手続きを忘れないようにしましょう。

【関連記事】
確定申告しないとどうなる?デメリットと対処法を解説

Q14 確定申告と年末調整の違いは?

確定申告は所得税額を申告する手続きであり、年末調整は給与所得者が所得税の過不足を精算する手続きです。

確定申告は納税者本人が行いますが、年末調整は企業が控除の計算から納税までを代行します。

詳しくは、記事内「確定申告と年末調整との違い」をご覧ください。

Q15. 2025年分の確定申告では定額減税はある?

2024年分の確定申告では、1人あたり所得税3万円・住民税1万円の計4万円が減税される定額減税制度がありました。2025年分の確定申告では定額減税制度の実施はありません。


出典:国税庁「定額減税と確定申告」

確定申告をかんたんに終わらせる方法

確定申告の期間は1ヶ月です。それまでに正確な内容の書類を作成し、申告・納税しなければいけません。

ほかにも、青色申告の場合に受けられる特別控除で、最大65万円を適用するためにはe-Taxの利用が必須条件であり、はじめての人には難しい場面が増えることが予想されます。

そこでおすすめしたいのが、確定申告ソフト「freee会計」の活用です。

freee会計は、〇✕形式の質問で確定申告に必要な書類作成をやさしくサポートします。また、所得額や控除額の計算は自動で行ってくれるため、計算・入力ミスの削減できるでしょう。
ここからは、freee会計を利用するメリットについて紹介します。

1.銀行口座やクレジットカードは同期して自動入力が可能!

確定申告を行うためには、1年間のお金にまつわる取引を正しく記帳しなければなりません。自身で1つずつ手作業で記録していくには手間がかかります。

freee会計では、銀行口座やクレジットカードの同期が可能で、利用した内容が自動で入力されていきます。

日付や金額を自動入力するだけでなく、勘定科目も予測して入力してくれるため、日々の記帳がほぼ自動化でき、工数削減につながります。

freee会計 管理画面イメージ4

2.現金取引の入力もカンタン!

会計ソフトでも現金取引の場合は自身で入力し、登録しなければなりません。

freee会計は、現金での支払いも「いつ」「どこで」「何に使ったか」を家計簿感覚で入力できるので、毎日手軽に帳簿付けが可能です。

自動的に複式簿記の形に変換してくれるため、会計処理の経験がない人でも正確に記帳ができます。

freee会計 管理画面の例1

さらに有料プランでは、チャットで確定申告について質問ができるようになるので、わからないことがあったらすぐに相談できます。また、オプションサービスには電話相談もあるので、直接相談できるのもメリットの1つです。

freee会計の価格・プランについてはこちらをご覧ください。

3.〇✕形式の質問に答えるだけで各種控除や所得税の金額を自動で算出できる!

各種保険やふるさと納税、住宅ローンなどを利用している場合は控除の対象となり、確定申告することで節税につながる場合があります。控除の種類によって控除額や計算方法、条件は異なるため、事前に調べなければなりません。

freee会計なら、質問に答えることで控除額を自動で算出できるので、自身で調べたり、計算したりする手間も省略できます。

freee会計 管理画面の例2

4.確定申告書を自動作成!

freee会計は取引内容や質問の回答をもとに確定申告書を自動で作成できます。自動作成した確定申告書に抜け漏れがないことを確認したら、税務署へ郵送もしくは電子申告などで提出して、納税をすれば確定申告は完了です。

また、freee会計はe-Tax(電子申告)にも対応しています。e-Taxからの申告は24時間可能で、税務署へ行く必要もありません。青色申告であれば控除額が10万円分上乗せされるので、節税効果がさらに高くなります。

e-Tax(電子申告)を検討されている方はこちらをご覧ください。

freee会計 管理画面の例3

freee会計を使うとどれくらいお得?

freee会計には、会計初心者の方からも「本当に簡単に終わった!」というたくさんの声をいただいています。

税理士などの専門家に代行依頼をすると、確定申告書類の作成に5万円〜10万円程度かかってしまいます。freee会計なら月額980円(※年払いで契約した場合)から利用でき、自分でも簡単に確定申告書の作成・提出までを完了できます。

余裕をもって確定申告を迎えるためにも、ぜひfreee会計の利用をご検討ください。

まとめ

確定申告の概要から対象となる人、手続き方法までを紹介しました。

確定申告は、確定申告書をはじめとする必要書類をそろえた上で、確定申告ソフト、手書き、確定申告書等作成コーナーなどで申告書を作成して提出まで行います。

令和7年分(2025年分)の確定申告期間は、令和8年(2026年)2月16日(月)から3月16日(月)までです。事前にできる準備を進めて、期間内に遅れずに提出を進めていきましょう。

監修 北田 悠策(きただ ゆうさく)

神戸大学経営学部卒業。2015年より有限責任監査法人トーマツ大阪事務所にて、製造業を中心に10数社の会社法監査及び金融商品取引法監査に従事する傍ら、スタートアップ向けの財務アドバイザリー業務に従事。その後、上場準備会社にて経理責任者として決算を推進。大企業からスタートアップまで様々なフェーズの企業に携わってきた経験を活かし、株式会社ARDOR/ARDOR税理士事務所を創業。

北田 悠策

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