マイホームを建てるときや省エネ、バリアフリーなど特定の改修工事をする際に利用できるのが住宅ローンです。住宅ローンを組んで住まいを購入すると、住宅ローン控除が適用されて所得税や住民税が控除されます。
ただし、住宅ローン控除を受けるためには適用要件を満たしていることや初年度に確定申告を行う必要があり、単に住宅ローンを組んだだけでは税金は控除されません。
本記事では、住宅ローン控除についてや申請方法、確定申告に必要な書類などについて詳しく解説します。
目次
- 住宅ローン控除とは
- 住宅ローン控除の控除額
- 住宅ローン控除の条件
- 2024以降クリアする必要がある省エネ基準
- 住宅ローン控除の申請方法
- 初年度は確定申告が必要
- 2年目以降は年末調整で申請できる
- 住宅ローン控除を確定申告で申請する際の必要書類
- 確定申告書
- 本人確認書類の写し
- 源泉徴収票
- (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
- 住宅ローンの年末残高等証明書
- 建物・土地の登記事項証明書
- 建物・土地の不動産売買契約書(請負契約書)の写し
- 住宅ローン控除を申請する際の確定申告書の書き方
- 新築又は購入した家屋等に係る事項
- 家屋や土地等の取得対価の額
- (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額
- 住宅ローン控除の確定申告書の提出方法
- 住宅ローン控除の申請を忘れても還付申告ができる
- まとめ
- 確定申告を簡単に終わらせる方法
- よくある質問
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住宅ローン控除とは
住宅ローン控除とは、一定条件を満たしたうえで住宅ローンを組んで家を建築したり購入したりした際に、所得税の控除を受けることができる制度で、正式名称を「住宅借入金等特別控除」といいます。
住宅ローン控除は家の建築や購入(中古住宅も含む)だけではなく、省エネ設備の導入やバリアフリーの改修工事といったリフォームを住宅ローンを組んで行ったときにも適用されます。
住宅ローン控除の適用を受けるためにはいくつかの要件がありますが、2022年以降であれば、住宅ローン残高の0.7%分の税金が13年間控除されます。ただし、借入の限度額や税金の控除額などは、住宅の種類および入居時期によって異なります。
住宅ローン控除の控除額
住宅ローン控除の控除額は、新築や買取再販住宅の場合は0.7%で適用期間は13年になります。中古住宅の場合は控除率は新築と変わりませんが、税額控除の適用期間は10年までです。
新築/既存等 | 住宅の環境性能等 | 令和4・5年入居の貸入限度額 | 令和6・7年入居の貸入限度額 | 控除期間 |
---|---|---|---|---|
新築住宅・買取 | 長期優良住宅・低炭素住宅 | 5,000万円 | 4,500万円 | 13年 |
再販 | ZEH水準省エネ住宅 | 4,500万円 | 3,500万円 | 13年 |
省エネ基準適合住宅 | 4,000万円 | 3,000万円 | 13年 | |
その他省エネ基準を満たさない住宅 | 3,000万円 | 0 | 13年 | |
既存住宅 | 長期優良住宅・低炭素住宅 ZEH水準省エネ住宅 省エネ基準適合住宅 | 3,000万円 | 10年 | |
その他の住宅 | 2,000万円 | 10年 |
出典:国土交通省「住宅ローン減税の概要について(令和4年度税制改正後)」
住宅ローン控除の条件
住宅ローン控除の適用を受けるための条件は、以下のようなものがあります。
新築住宅の場合の住宅ローン控除適用条件
- 工事完了または引渡しから6か月以内に入居していること
- 控除を受ける年分の12月31日まで居住していること
- 床面積が50m²以上あること且つ床面積の2分の1以上が居住用であること
- 控除を受ける年分の合計の所得金額が2,000万円以下であること
- 住宅ローンの借入期間が10年以上であること
- 2つ以上の住宅を所有している場合は、主として居住していると認められている住居であること
- 居住年とその前年、前々年の3年間に居住用財産を譲渡した場合の特例を利用していないこと
- 配偶者や特定の親族や特殊な関係の法人による贈与の住宅ではないこと
出典:国税庁「No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」
自分が入居するための住宅で、6ヶ月以内に入居することが条件です。また、入居するだけではなく、申請対象となるそれぞれの年の12月31日まで継続して住む必要があります。
また、2023年末までに建築確認を受けた新築住宅の場合には、床面積が40m²以上50㎡未満かつ、床面積の2分の1以上を居住用であれば住宅ローン控除が適用されます。ただしこの場合、控除を受ける年分の合計所得金額1,000万円以下でなければなりません。
上記の条件は新築住宅を購入または増改築した場合の条件で、中古住宅や買取再販住宅の場合は条件が異なります。たとえば中古住宅の場合は新耐震基準に適合していること(1982年以降に建築されていること)も条件に含まれます。
住宅ローン控除の各条件について詳しく知りたい方は、別記事「住宅ローン控除の対象とは?計算方法や確定申告の方法まとめ」をご覧ください。
2024以降クリアする必要がある省エネ基準
2022年に財務省が発表した税制改正大綱によると、2024年以降は建築確認を受ける新築住宅は、省エネ基準適合住宅以外の住宅は住宅ローン減税対象の適用外になると記載されています。
これは、2024年以降は住宅ローン減税の対象住宅は、省エネ基準適合住宅のみになるという意味です。現在、新築住宅を建てるプランがあるならば、省エネ基準適合住宅で建てる必要があります。
省エネ基準適合住宅の基準は以下になります。
省エネ基準適合住宅の基準
- 断熱性能等級4以上
- 一次エネルギー消費量等級4以上
断熱性能等級とは、建物の外部の面積あたりの断熱および日射遮熱性の基準です。一次エネルギー消費量等級4以上の要件をクリアするためには、開口部には複層ガラスを使用し隙間がないように断熱材でくるむ必要があります。
また、一次エネルギー消費量等級4の基準を満たすためには、高効率給湯器や太陽光発電など省エネ性能の高い設備機器を使用しなければいけません。
出典:国土交通省「令和4年度税制改正における住宅ローン減税の延長Q & A」
住宅ローン控除の申請方法
要件を満たしたうえで住宅ローン控除を申請するためには、確定申告を行う必要があります。1年目は確定申告が必要ですが、会社員の場合は2年目以降は年末調整でも行うことが可能です。
初年度は確定申告が必要
住宅ローン控除を受けるためには、新たに購入した住宅に入居した翌年に確定申告をする必要があります。初年度の確定申告は、どのような職業の人も行わなければいけません。
一般的に公務員や会社員など給与所得がある人は、複数の勤務先から給与が支給されている、給与収入が合計で2,000万円以上などの条件がない限り、個人での確定申告は不要です。
しかし、給与所得者が住宅を購入した場合は、初年度に限り住宅ローン控除を年末調整では申告できません。そのため、入居した翌年は管轄の税務署で確定申告を行います。
2年目以降は年末調整で申請できる
2年目以降は年末調整で住宅ローン控除を申請できます。2年目以降の年末調整で住宅ローン控除を行う際に必要な書類は、一般的な年末調整で提出する書類と以下になります。
年末調整で住宅ローン控除を行う際に必要な書類
- 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書兼年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書
- 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書と住宅借入金等特別控除申告書は、1枚の用紙にまとめられて送付されます。初年度に確定申告を行い、住宅ローン控除の手続きを行った場合、翌年以降毎年10月頃に勤務先を管轄する税務署から送られてきます。
住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書は、借入をしている金融機関から送られます。こちらの書類は金融機関によって名称が異なりますが、10月頃にローン残高が記載されて送られてきます。
2年目からの住宅ローン控除について詳しく知りたい方は、別記事「【年末調整】2年目からの住宅ローン控除申請の書類の書き方(記入例つき)」をご覧ください。
住宅ローン控除を確定申告で申請する際の必要書類
確定申告で住宅ローン控除を申請する場合には、以下の書類が必要です。
住宅ローン控除を確定申告で申請する際の書類
- 確定申告書
- 本人確認書類の写し
- 源泉徴収票
- 住宅借入金等特別控除額の計算明細書
- 住宅ローンの年末残高等証明書
- 建物・土地の登記事項証明書
- 建物・土地の不動産売買契約書(請負契約書)の写し
1つずつ詳しく見ていきましょう。
確定申告書
必要事項を記載した確定申告書が必要です。確定申告書は、国税庁のホームページからダウンロードできます。また、近くの税務署に直接出向いて入手することも可能です。
本人確認書類の写し
運転免許証やパスポート、健康保険証など本人確認書類の写しを用意しましょう。マイナンバーカードがなく通知カードしか所有していない人は通知カードのコピーも必要です。
マイナンバーカードがある場合は、本人確認書類に該当するのでマイナンバーカードのコピーだけで問題ありません。また、マイナンバーカードが記載された住民票のコピーや住民票記載事項証明書で代用することも可能です。これらの書類は、居住する市町村の役場で入手できます。
源泉徴収票
会社員などで給与所得がある場合は、源泉徴収票が必要です。源泉徴収票は、確定申告書の給与所得欄を記載するときに必要ですが、税務署への提出は不要です。もし、源泉徴収票を紛失した場合は、勤務先に再発行してもらいましょう。
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
特定増改築等の住宅借入金等特別控除額の計算明細書とは、住宅ローンの対象となる住宅の価格・広さ・年末残高などを記入するもので、住宅ローン控除を受けるために必要な書類です。
住宅借入金等特別控除額の計算明細書へ必要事項を記入する際には、売買契約書や登記事項証明書を参考にします。
もし、住宅ローンを連帯債務にしている場合は、連帯債務がある場合の住宅借入金等の年末残高の計算明細書もあわせて用意する必要があります。
どちらの書類も、国税庁のホームページでダウンロードが可能です。また、住まいのある地域の税務署で入手、または郵送でも取り寄せられます。
住宅ローンの年末残高等証明書
年末残高等証明書は、年末時点の住宅ローン残高が記載された書類で、借り入れを行っている金融機関から送られてくる書類です。複数の金融機関から住宅ローンの借り入れがある場合、すべての金融機関の年末残高証明書が必要です。
年末残高等証明書は、自分から取得する必要はありませんが12月末になっても届かない場合は金融機関に早めに問い合わせした方がよいでしょう。
建物・土地の登記事項証明書
建物・土地の登記事項証明書は、法務局で取得する登記簿のことをいい、住宅を取得した年月日や面積などが記載されているものです。法務局に出向いて取得するかオンラインでも申請できます。
建物・土地の登記事項証明書は確定申告の際に提出しなければいけませんが、(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書に不動産番号を記載すれば提出を省けます。
建物・土地の不動産売買契約書(請負契約書)の写し
建物や土地を取得した年月日や取得価額などが記された売買契約書の写しも必要です。確定申告で住宅ローン控除を行う場合は、土地の売買契約書と建物の工事請負契約書のコピーを用意してください。
不動産売買契約書は、土地や家の購入、建築を依頼した不動産会社や建築業者から入手できます。
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初心者でも安心して使えるシステムです。
確定申告が超ラクちんに!
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住宅ローン控除を申請する際の確定申告書の書き方
住宅ローン控除を申請するときの確定申告書の書き方を紹介します。
新築又は購入した家屋等に係る事項
「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」の「新築又は購入した家屋等に係る事項」の欄の居住開始年月日に入居日を記載しましょう。取得対価の額は、契約書に書かれていますが、建物は消費税込みで土地は消費税が非課税にしなければいけないので注意が必要です。
総(床)面積は登記事項証明書を元に記入、居住部分の(床)面積の欄は事務所や店舗などに使用している部分がなければ100.00と記載します。
家屋や土地等の取得対価の額
「家屋や土地等の取得対価の額」の「あなたの持分に係る取得対価の額等」は、共有者がいなければ取得対価の額と同じ金額を記入します。
次に、「居住用部分の家屋又は土地等に係る住宅借入金等の年末残高」の項目の「新築、購入及び増改築等に係る住宅借入金等の年末残高」は、住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書を参照に記入しましょう。
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額
「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」に住宅の購入額やローン残高などの必要情報を記載したうえで住宅ローン控除額を算出します。ここで算出した住宅ローン控除額を確定申告書の「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額」の欄に転記します。
また、書類の1番下、「控除証明書の交付を要しない場合」の欄では丸をつけないようにしましょう。丸をつけると税務署から控除証明書の発行はされません。翌年以後は年末調整で控除を受けるため、丸で囲まないようにします。
住宅ローン控除の確定申告書の提出方法
確定申告の書類の提出方法には、税務署に持っていく・税務署に郵送する・e-Taxで電子申告の3つの方法があります。
税務署に持参する場合は、担当者に不明な点を相談しながら書類を作成できますが、e-Taxを利用すれば税務署に足を運ぶ時間や書類を郵送する費用などを省けます。
住宅ローン控除の申請を忘れても還付申告ができる
確定申告は、毎年2月16日~3月15日までの1ヶ月です。もしこの期間に住宅ローン控除の申請を忘れても5年以内であれば還付申告ができます。
還付申告の期間は、確定申告の対象となる年の翌年1月1日から5年間です。5年間の還付申告の期限が過ぎてしまった場合は、払い過ぎた所得税の還付はできません。
また、住宅ローン控除は所得税で控除しきれなかった場合、翌年の6月から支払う住民税で控除されることになっています。そのため、住民税で住宅ローンの控除を受けるためには、納税通知書が発送される前に申告を済ませなければいけません。
なるべく、住宅購入の翌年に確定申告をするのが望ましいといえるでしょう。
まとめ
住宅ローン控除は、住宅ローンを組んで家の購入、建築、増改築などをするときに税金を控除できる制度です。
適用要件を満たせば、新築の場合13年間所得税や住民税が控除されます。住宅ローン控除を受けるためには、購入や建築の翌年に確定申告を行う必要があります。2年目以降は年末調整で処理できるので、初年度は忘れずに申請を行いましょう。
確定申告を簡単に終わらせる方法
確定申告には青色申告と白色申告の2種類があります。どちらを選択するにしても、期限までに正確な内容の書類を作成し申告しなければいけません。
確定申告書を作成する方法は手書きのほかにも、国税庁の「確定申告等作成コーナー」を利用するなどさまざまですが、会計知識がないと記入内容に悩む場面も出てくるでしょう。
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住宅ローン控除の確定申告のやり方は?
確定申告に必要な書類を用意し、確定申告書を作成します。書類は税務署に直接出向いて提出するか郵送またはe-Taxで提出ができます。
詳しくは記事内「住宅ローン控除の申請方法」をご覧ください。
住宅ローン控除の確定申告を忘れたら?
原則として確定申告ができるのは毎年2月16日〜3月15日までです。しかし、忘れてしまった場合、5年以内であれば還付申告が可能です。
詳しくは記事内「住宅ローン控除の申請を忘れても還付申告ができる」をご覧ください。
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詳しくは記事内「住宅ローン控除を確定申告で申請する際の必要書類」をご覧ください。