最終更新日:2023/08/21

住民税には所得割と均等割があり、それぞれ税率や税額が異なります。また、自身の状況に応じて計算方法が異なるのも住民税の特徴です。
本記事では住民税の税率と計算方法について詳しく解説します。また、所得割・均等割の詳細や非課税になるケースについても紹介しているので、自身の状況に当てはめながら納税額の計算の参考にしてください。
目次
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住民税とは
住民税とは、自身の居住する地域に対し、一定の所得を得ている人が納める税金のことです。
道府県民税と市町村民税が、まとめて各市町村により課税および徴税されます。また、東京都の場合は道府県民税、および区市町村民税と呼ばれます。各自治体の行政サービスに必要な経費として住民税が活用されています。
住民税の徴税方法には主に、所得割・均等割の2種類があります。それぞれの詳細については次の項目にて解説します。
また、住民税を納めるタイミングは納税者の就労規則状況などに応じて変動します。
自営業者や個人事業主(普通徴収)
・市区町村より送付される納税通知書に記載のある期日まで、年4回に分けて納付
給与所得者(特別徴収)
・対象の年の6月から翌年5月までの給与から天引き
65歳以上の公的年金受給者(特別徴収)
・振り込まれる公的年金から天引き
住民税の所得割とは
所得割とは、住民税の課税方法のひとつで前年度の所得金額に一定の税率を乗じて課税されるものをいいます。
所得割の税率は以下のとおりです。内訳は異なるものの、いずれの場合も税率自体は10%で統一されます。
標準税率 | 指定都市の税率 |
---|---|
・道府県民税:4%
・市町村民税:6% |
・道府県民税:2%
・市町村民税:8% |
住民税の均等割とは
均等割とは、非課税対象者を除くすべての人に定額で課税される住民税のことです。所得割と同様、1月1日時点で国内に住所をもつ人が課税対象になります。
なお、事務所や家を持っていても該当地域に住所がない場合、所得割は課税対象外であるのに対し、均等割は課税対象となります。
均等割の基本的な税額は、以下のとおりです。
道府県民税 | 市町村民税 |
---|---|
1,500円 | 3,500円 |
また、地域に応じて独自の税額が設定されている場合もあるため、自身の居住地域の税額は、自治体のホームページや窓口で確認しましょう。
出典:総務省「市町村税関係資料」
住民税の計算方法
住民税は給与収入や事業収入など、1年間で得た収入が課税の標準となり、以下の流れで計算します。
住民税の計算の流れ
- 総所得金額の算出
- 課税所得額の算出
- 所得割の課税額の計算
- 均等割の加算
ここでは、以下<例1>と<例2>をもとに、計算例を含めて解説していきます。
<例1>
会社員・30代・独身・年収350万円の場合
<所得控除>
・基礎控除:43万円
・社会保険料控除:17万5,680円
<税額控除>
・寄付金控除:2,800円(寄付額30,000円 ー 2,000円 × 10%)
<例2>
個人事業主(年収400万円 / うち必要経費85万円)・30代・配偶者(収入98万円)の場合
<所得控除>
・基礎控除:43万円
・配偶者控除:33万円
・社会保険料控除:55万6,600円
・生命保険料:3万5,000円
1.総所得金額の算出
総所得金額とは、1月1日から12月31日までの収入から、必要経費や給与所得控除などの法的控除額を引いた額のことをいいます。
総所得金額は以下の計算式を用いて計算します。
総所得金額 = 合計所得金額 - 必要経費(- 損失の繰越控)
総所得金額には、給与所得・事業所得・利子所得・不動産所得・配当所得など、総合課税の対象となるすべての所得が含まれます。
給与所得の場合は、給与所得控除額を算出するため以下の計算式を用いて所得額を算出します。
給与収入金額 | 2019年までの給与所得控除額 | 2020年からの給与所得控除額 |
---|---|---|
162万5,000円以下 | 収入金額 × 40% (65万円に満たない場合は65万円) | 55万円 |
162万5,000円〜180万円以下 | 収入金額 × 40% (65万円に満たない場合は65万円) | 収入金額 × 40% - 10万円 |
180万円〜360万円以下 | 収入金額 × 30% + 18万円 | 収入金額 ×30% + 8万円 |
360万円〜660万円以下 | 収入金額 × 20% + 54万円 | 収入金額 × 20% + 44万円 |
660万円〜850万円以下 | 収入金額 × 10% + 120万円 | 収入金額 × 10% + 110万円 |
850万円〜1,000万円以下 | 収入金額 × 10% + 120万円 | 195万円(上限) |
1,000万円〜 | 220万円(上限) | 195万円(上限) |
上記の計算方法に合わせた計算例は以下のとおりです。
<例1>
-
給与所得控除額:
3,500,000 × 30% + 80,000 = 1,130,000(円) -
総所得額:
3,500,000 -1,130,000 = 2,370,000(円)
-
総所得額:
4,000,000 - 980,000 = 3,020,000(円)
2. 課税所得額の算出
課税所得を算出する際は、以下の計算式を使用します。
課税所得額 = 総所得金額 - 所得控除額の合計
所得控除とは、総所得額から差し引くことができるものをいいます。以下の項目が控除対象です。
所得控除の対象
- 雑損控除
- 医療費控除
- 社会保険料控除
- 小規模企業共済等掛金控除
- 生命保険料控除
- 地震保険料控除
- 障害者控除
- 寡婦控除
- ひとり親控除
- 勤労学生控除
- 配偶者控除
- 配偶者特別控除
- 扶養控除
- 基礎控除
上記の計算方法に合わせると、それぞれのケースは以下のように計算できます。
<例1>
-
所得控除額:
430,000(基礎控除)+ 175,680(社会保険料控除)=605,680(円) -
課税所得額:
2,370,000 - 605,680 = 1,764,320(円)
<例2>
-
所得控除額:
430,000(基礎控除)+ 330,000(配偶者控除)+ 556,000(社会保険料控除)+ 35,000(生命保険証控除)= 1,351,000(円) -
課税所得額:
3,020,000 - 1,351,000 = 1,669,000(円)
3. 所得割の課税額の計算
所得割の計算方法は、以下のとおりです。
所得割の課税額 = 課税所得額 × 税率(10%)- 税額控除額
税額控除とは、計算した納税額から差し引くことができるものをいいます。住民税の税額控除の対象は以下のとおりです。
税額控除の対象
- 配当控除
- 住宅借入金等特別税額控除
- 寄附金税額控除
- 外国税額控除
- 配当割額・株式等譲渡所得割額の控除
税額控除の対象がなければ、その分は計算せずに計算を進めます。
<例1>
所得割の課税額:1,764,320 × 税率(10%)- 2,800 = 173,632(円)
<例2>
所得割の課税額 = 1,669,000 × 税率(10%)= 166,900(円)
4. 均等割の加算
以下の計算方法を用いて均等割を加算することで、納税する住民税額を算出できます。
住民税の額 = 税額控除後の所得割額 + 均等割額
最後に均等割を加算して納税額の計算は完了です。
<例1>
納税額:73,632 + 5,000 = 178,632(円)
<例2>
所得割の課税額:1,669,000 × 税率(10%)= 166,900(円)
住民税が非課税になるケース
住民税は、収入・年齢・扶養家族の有無など、本人の状況によって非課税になる場合があります。
ここでは住民税が非課税になる以下2つのケースを解説します。
住民税が非課税になるケース
- 所得割が非課税になるケース
- 均等割と所得割が非課税になるケース
なお住民税の非課税に関しては、別記事「住民税非課税世帯とは?年収の目安や受けられる措置について解説」でも詳しく解説しているので、参考にしてください。
所得割が非課税になるケース
以下の条件に当てはまる場合は、所得割のみが非課税の対象になります。
所得割が非課税になる要件
-
同一生計配偶者または扶養親族がいる場合:
35万円 ×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+ 42万円 - 同一生計配偶者または扶養親族がいない場合:45万円
前年における総所得金額が、上記の金額以下の場合は所得税のみ非課税の対象です。
【関連記事】
住民税非課税世帯とは?年収の目安や受けられる措置について解説
均等割と所得割が非課税になるケース
以下の条件に当てはまる場合は、所得割だけでなく均等割も非課税になります。(東京23区の場合)
均等割と所得割両方が非課税になる要件
- 生活保護法による生活扶助を受けている場合
-
障害者・未成年者・寡婦またはひとり親で、前年の合計所得金額が135万円以下
(給与所得者の場合は、年収204万4,000円未満)の場合 - 前年の合計所得金額が以下の金額以下である場合(東京23区内の場合)
・同一生計配偶者または扶養親族がいる場合:
35万円 × (本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数) + 31万円
・同一生計配偶者または扶養親族がいない場合:45万円
均等割・所得割の両方が非課税になる要件は、自治体によって基準額が異なります。
【関連記事】
住民税非課税世帯とは?年収の目安や受けられる措置について解説
まとめ
住民税には、所得割・均等割の2種類があります。それぞれ税率・税額が異なるため、自身に支払い義務があるのかを把握しつつ、本記事で紹介した計算式など活用のうえ計算してください。
また、住民税の納税額は、各地方自治体の条例によって設定されているため、居住地によって納める税金の額が異なることがあります。この点も考慮して、自分が居住する自治体の条例を確認することが必要です。
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詳しくは記事内「住民税の所得割とは」と「住民税の均等割とは」をご覧ください。
住民税は年収いくらから支払う?
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詳しくは記事内「住民税が非課税になるケース」をご覧ください。