確定申告の基礎知識

【2023年最新】確定申告書の書き方を記入項目別にわかりやすく解説

最終更新日:2023/05/19

【2023年提出分】確定申告書の書き方を記入項目別にわかりやすく解説

確定申告とは、1年間の売上から経費を差し引いた所得や所得税を算出して税務署へ申告する手続きのことをいいます。

2023年提出分(2022年分)からの確定申告では確定申告書Aが廃止され、確定申告書Bに統合された「令和 年分の所得税及び復興特別所得税の申告書」を使用します。なお、2021年分以前の確定申告を行う場合は、従来通り確定申告書Aや確定申告書Bの書式で問題ありません。

本記事では、2023年提出分の確定申告書の書き方や必要書類の入手方法などを解説します。

目次

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2023年提出分の確定申告書から新様式になる

2023年提出分(2022年分)からの確定申告は確定申告書Aが廃止され、確定申告書Bに統合された「令和 年分の所得税及び復興特別所得税の申告書」を使用します。

なお、2021年以前の確定申告は、従来の確定申告書Aと確定申告書Bの書式で問題ありません。

【関連記事】
【2022年(令和3年分)】確定申告の必要書類と準備するものは? ケース別にまとめました

2023年提出分(2022年分)以降用の確定申告書

令和4年分の所得税等の確定申告書 (案)
出典:国税庁「令和4年分の所得税等の確定申告書 (案)」

確定申告書Aは、主に給与所得者である会社員が使用しており、確定申告書Bは所得に関係なく誰もが使える申告書でした。

2023年提出分から確定申告書が統一されたことで、給与所得者である会社員も個人事業主やフリーランスの人と同様の確定申告書を使用することになります。

確定申告書を使用する所得

  • 給与所得
  • 公的年金
  • 雑所得
  • 配当所得
  • 一時所得給与所得
  • 事業所得
  • 不動産所得
  • 利子所得
  • 配当所得
  • 給与所得
  • 公的年金
  • 雑所得
  • 譲渡所得

後述で確定申告書の書き方を詳しく解説していきます。

2023年提出(2022年分)以降の確定申告書の書き方

確定申告書は第一表と第二表の2つの書類で構成されています。確定申告書の第一表は大きく5つの項目に分かれています。


令和4年分の所得税等の確定申告書 (案)
出典:国税庁「令和4年分の所得税等の確定申告書 (案)」

(1)収入金額等

確定申告書第一表「収入金額等」

「収入金額等」の欄には、確定申告をする年の収入を記入します。この項目に該当する収入は以下のとおりです。

各項目記入する内容
事業:営業等㋐個人事業主やフリーランスの収入
事業:農業㋑農業で得た収入
不動産㋒不動産で得た収入
(土地や建物の貸付、地上権などの権利の貸付、船舶や航空機の貸付)
配当㋓株の配当や投資信託の分配で得た収入
給与㋔会社員やアルバイト・パートの給与収入
雑:公的年金等㋕国民年金などの公的年金で得た収入
雑:業務㋖事業ではない業務(例:副業)で得た収入
雑:その他㋗「公的年金等㋕」「業務㋖」以外で得た収入
総合譲渡:短期㋘所有期間が5年以内の土地や建物、株式を譲渡して得た収入
総合譲渡:長期㋙所有期間が5年を超える土地や建物、株式を譲渡して得た収入
一時㋚営利目的ではなく継続的に生じる収入以外で得た収入
(懸賞の賞金品や競馬の払戻金など)

区分には、以下の内容に該当する数字を記入します。

内容記入番号
税務署長の承認を受けて、電子帳簿保存を行っている場合1
会計ソフトなどを使用して記帳している場合(1に該当する場合は除く)2
総勘定元帳や仕訳帳などを備え付けて、日々の取引を複式簿記にしたがって記帳している場合(1、2に該当する場合は除く)3
日々の取引を複式簿記以外の簡易な方法で記帳している場合(2に該当する場合は除く)4
上記のいずれにも該当しない場合(記帳の仕方が分からない場合も含む)5
出典:国税庁「手順2 収入金額等、所得金額を計算する」

(2)所得金額等

確定申告書第一表「所得金額等」

「所得金額等」では、収入から必要経費を差し引いて算出した金額を、各所得の欄に記入します。それぞれの計算方法や書き方については以下の記事を確認してください。

なお、⑥については、給与所得控除と所得金額調整控除が控除された後の金額を記載します。

【関連記事】
収入金額等、所得金額の計算方法と記入方法
所得とは? 収入との違いや種類別の計算方法を解説

(3)所得から差し引かれる金額

確定申告書第一表「所得から差し引かれる金額」

「所得から差し引かれる金額」には該当する以下の所得控除の額を記入します。

所得控除一覧

控除の種類概要控除額
雑損控除災害や盗難、横領によって損害を受けた時に適用される以下のいずれか多い方

・(差引損失額)-(総所得金額等)×10%
・(差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円
医療費控除一定額以上の医療費を支払った場合に適用される
※生計を同じくする配偶者やその他の親族も含まれる
(支払った医療費-保険金などで補填される金額)-10万円

※その年の所得金額が200万円未満の人は所得金額×5%
社会保険料控除健康保険料や国民年金保険料などの社会保険料を支払った場合に適用される
※生計を同じくする配偶者やその他の親族も含まれる
支払った保険料の合計
小規模企業共済等掛金控除小規模企業共済の掛金を支払った場合に適用される支払った掛金の合計額
生命保険料控除生命保険や介護医療保険、 個人年金保険で、支払った保険料がある場合に適用される一定の方法で計算した金額
(最大12万円)
地震保険料控除地震保険料を支払った場合に適用される一定の方法で計算した金額
(最大5万円)
寄附金控除ふるさと納税や認定NPO法人等に対して寄附をした場合に適用される「寄附金支出合計額」と
「所得 ×40%」
のいずれか少ない方-2,000円
障害者控除納税者や控除対象配偶者、扶養親族が障害者である場合に適用される一人につき、
・障害者27万円
・特別障害者40万円
・同居特別障害者75万円
寡婦控除その年の12月31日時点で「ひとり親」に該当しない寡婦に適用される
※寡夫控除は、2020年度分より、ひとり親控除に変更
27万円
ひとり親控除納税者がひとり親であるときに適用される
※ひとり親控除は2020年分の所得税から適用
35万円
勤労学生控除学校に行きながら働いている場合に適用される
※ただし、合計所得金額が75万円以下
27万円
配偶者控除配偶者の合計所得が48万円以下の場合に適用される
(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
・一般控除対象配偶者は最大38万円
・老人控除対象配偶者は最大48万円
(控除対象配偶者のうち年齢が70歳以上)
配偶者特別控除納税者の合計所得が1,000万円以下で、配偶者の合計所得が48万円超133万円以下である場合に適用される配偶者の所得金額によって
最大48万円
※令和2019年分以前は38万円
扶養控除16歳以上の子どもや両親などを扶養している場合に適用される・一般控除対象扶養親族は38万円
・特定扶養親族は63万円
(扶養親族が19歳以上23歳未満)
・老人扶養親族は最大58万円
基礎控除全ての人に適用される所得金額によって最大48万円

出典:国税庁『No.1100 所得控除のあらまし

上記の所得控除のほかにも「税額控除」があります。所得控除が課税対象となる所得額を減らすのに対して、税額控除は税金そのものを減らすことができる制度です。

税額控除は後述「(4)税金の計算」の項目で記入します。

【関連記事】
確定申告の所得控除は15種類! 税額控除との違いも解説

(4)税金の計算

確定申告書第一表「税金の計算」

「税金の計算」に記入する項目は、以下のとおりです。

  • 課税される所得金額(⑫〜㉙)
  • 上の㉚に対する税額
  • 配当控除
  • (特定増改築等)住宅借入金等特別控除
  • 政党等寄附金等特別控除
  • 住宅耐震改修特別控除等
  • 差引所得税額
  • 災害減免額
  • 再差引所得税額(基準所得税額)
  • 復興特別所得税額
  • 所得税及び復興特別所得税の額
  • 外国税額控除等
  • 源泉徴収税額
  • 申告納税額
  • 予定納税額(第1期分・第2期分)
  • 第3期分の税額:納める税金
  • 第3期分の税額:還付される税金

課税される所得金額や、それに対する税額を計算し、該当する各項目に記入します。所得税や住宅ローン控除といった税額控除の金額のほかに、申告納税額などを記入します。

「課税される所得金額㉚」の欄には、(2)所得金額等の「合計⑫」から、(3)所得から差し引かれる金額の「合計㉙」の金額を差し引いた金額を記入します。

「上の㉚に対する税額㉛」には「課税される所得金額㉚」をもとに計算した所得税の金額を記入します。

所得税の金額は、下記の計算式で算出できます。税率と控除額は所得税の速算表を使用します。

所得税額の計算式と計算例

所得税額 = 課税所得金額 × 所得税率 - 控除額

<計算例>
1年間の課税所得金額が300万円だった場合の所得税額:
・3,000,000円×10%-97,500円=202,500円

所得税の速算表

課税所得金額税率控除額
1,000円〜1,949,000円5%0円
1,950,000円〜3,299,000円10%97,500円
3,300,000円〜6,949,000円20%427,500円
6,950,000円〜8,999,000円23%636,000円
9,000,000円〜17,999,000円33%1,536,000円
18,000,000円〜39,999,000円40%2,796,000円
40,000,000円以上45%4,796,000円
出典:国税庁「No.2260 所得税の税率」

(5)その他・延納の届出

確定申告書第一表「その他・延納の届出」

「その他」の欄には、以下に該当する金額を記入します。

  • 公的年金等以外の合計所得金額
  • 配偶者の合計所得金額
  • 専従者給与(控除)額の合計額
  • 青色申告特別控除額
  • 雑所得・一時所得等の源泉徴収税額の合計額
  • 未納付の源泉徴収税額
  • 本年分で差し引く繰越損失額
  • 平均課税対象金額
  • 変動・臨時所得金額

また、「延納の届出」の欄には、所得税等の第3期分の納める税金を延納する場合に記入します。

2023年提出分(2022年分)以降用の確定申告書 第二表の書き方

確定申告書の第二表は、11のブロックで分かれています。ここでは各ブロックごとに解説をします。


令和4年分の所得税等の確定申告書 第二票
出典:国税庁「令和4年分の所得税等の確定申告書 (案)」

A.住所・屋号・氏名

確定申告書 第二表「住所・屋号・氏名」

確定申告書 第二表の左上の欄には、住所・屋号・氏名を記入します。屋号がない場合は、未記入で問題ありません。

B.所得の内訳

確定申告書 第二表「所得の内訳」

それぞれの記入内容は以下のとおりです。

  • 所得の種類:所得区分
  • 種目:営業等や給与など、所得の種類
  • 給与などの支払者の名称・所在地等・収入金額・源泉徴収税額:
    源泉徴収票を参考に転記
  • ㊽源泉徴収税額の合計額:所得税等の源泉徴収税額の合計額

C.総合課税の譲渡所得、一時所得に関する事項

確定申告書 第二表「総合課税の譲渡所得、一時所得に関する事項」

「総合課税の譲渡所得、一次所得に関する事項(⑪)」の欄には、不動産を売却して譲渡所得を得た場合や、検証や福引の賞金(業務に関して受けるもの以外)のほか、競馬や競輪などの払戻金、生命保険の一時金や損害保険の満期払戻金などが該当します。

D.保険料控除等に関する事項

確定申告書 第二表「保険料控除等に関する事項」

「保険料控除等に関する事項」には、生命保険や国民年金保険料など、実際に支払った保険料の種類や金額を記入します。ここに記入する各種保険料は以下のとおりです。

  • 社会保険料控除
  • 小規模企業共済等掛金控除
  • 生命保険料控除
     ・新生命保険料
     ・旧生命保険料
     ・新個人年金保険料
     ・旧個人年金保険料
     ・介護医療保険料
  • 地震保険料控除
     ・地震保険料
     ・旧長期損害保険料

E.本人に関する事項

確定申告書 第二表「本人に関する事項」

「寡婦控除」「ひとり親控除」「勤労学生控除」「障害者控除」を受ける人は、「本人に関する事項」の該当する欄に丸(◯)をつけます。

寡婦、勤労学生の場合は、それぞれ該当する区分にチェックを入れてください。

F.雑損控除に関する事項

確定申告書 第二表「雑損控除に関する事項」

雑損控除を受ける場合は「雑損控除に関する事項」に、損害の原因や年月日、金額などの詳細を記入します。

G.寄附金控除に関する事項

確定申告書 第二表「寄附金控除に関する事項」

寄附金控除を受ける場合は「寄附金控除に関する事項」の欄に、寄付先の名称と寄付金額を記入します。

H.特例適用条文等

確定申告書 第二表「特例適用条文等」

住宅ローン控除が適用されている人は、居住開始年月日を記入します。

また、課税の特例や事業所得等の特例に関わる税額控除の対象となっている場合は、条文番号等を「特例適用条文等」の欄に記入します

特例適用条文等の記入例

  • 住宅借入金等特別控除の適用を受ける場合で、住宅の取得等が特定取得に該当しないとき「令和2年10月31日 居住開始」と記入します。
  • 収用交換などにより資産を譲渡した場合の特別控除の特例を受ける場合「措法33条の4」と記入します。

I.配偶者や親族に関する事項

確定申告書 第二表「配偶者や親族に関する事項」

配偶者控除や配偶者特別控除を受ける場合は、「配偶者や親族に関する事項」に配偶者の氏名や個人番号、生年月日などを記入します。

J.事業専従者に関する事項

確定申告書 第二表「事業専従者に関する事項」

個人事業主やフリーランスをしている人の家族や親族が、その事業に専従している場合は「事業専従者に関する事項」に、家族(事業従事者)のマイナンバーや支払った給与の金額などを記入します。

【関連記事】
青色申告の専従者給与 家族への給与支払いで節税効果を高める方法

K.住民税・事業税に関する事項

確定申告書 第二表「住民税・事業税に関する事項」

「住民税・事業税に関する事項」は、住民税の徴収方法や年金などの非課税所得・不動産所得などの金額を記載する欄です。

ふるさと納税をした場合は、「都道府県、市区町村への寄付(特例控除対象)」の欄に金額を記入します。

分離課税の所得がある場合は第三表も提出する

確定申告書 第三表
出典:国税庁「令和4年分の所得税等の確定申告書 (案)」

分離課税には、株式等の譲渡所得・配当所得・不動産の譲渡所得・山林所得が該当します。これらの分離課税の対象となる所得がある場合は、確定申告書の第一表と第二表以外にも、第三表の提出が必要です。

第三表の書き方をブロックごとに解説します。

a.住所・屋号・氏名

確定申告書 第三表「住所・屋号・氏名」

住所と氏名、フリガナを記入します。屋号がない場合は、未記入で問題ありません。

b.特例適用条文

確定申告書 第三表「特例適用条文」

第三表の特例適用条文には、マイホームを売却して利益があるなど、軽減税率の特例を適用する場合に記載します。適用される項目がない場合は、空欄で問題ありません。

たとえば、マイホームを売却した際に、譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」があります。


出典:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」

c.収入金額

確定申告書 第三表「収入金額」

土地や建物を譲渡した際の収益や株式などを売却して得た収益の額を該当する項目に記入します。

d.所得金額

確定申告書 第三表「所得金額」

第三表の所得金額には、収入金額の内容の所得を記入します。

マイホームを売却して特別控除を適用させる際には、この控除額を差し引いた金額を記入します。一般株式や上場株式などを売却した場合は、売却した金額から取引金額や手数料を差し引いた金額を記入します。

e.税金の計算(課税される所得)

確定申告書 第三表「税金の計算(課税される所得)」

「総合課税の合計額⑫」と「所得から差し引かれる金額㉙」は、確定申告書の第一表から転記した金額を記入します。

「⑫対応分 77」には、「総合課税の合計額⑫」から「所得から差し引かれる金額㉙」の金額を引いた額を記入します(1,000円未満の端数を切り捨て)。

「⑫対応分 77」以降は、以下の対応分の金額を記入します。

  • 66 67 対応分76:短期譲渡の「一般分66」「軽減分67」の対応分の所得金額
  • 68 69 70 対応分77:長期譲渡の「一般分68」「特定分69」「軽課分70」の対応分の所得金額
  • 71 72 対応分80:「一般株式等の譲渡71」「上場株式等の譲渡72」の対応分の所得金額
  • 73 対応分81:「上場株式等の配当等73」の対応分の所得金額
  • 74 対応分82:「先物取引74」の対応分の所得金額
  • 75 対応分83:「山林75」の対応分の所得金額
  • 76 対応分84:「退職76」の対応分の所得金額

f.税金の計算(税額)

確定申告書 第三表「税金の計算(税額)」

「税額」の欄には、「課税される所得」に記入した金額ごとに税率をかけて税額を計算します。

「85から92までの合計93」は、「75 対応分83」から「82 対応分90」の税額の合計を記入して、確定申告書 第一表の「上の㉚に対する税額又は第三表の93」に転記します。

g.その他

確定申告書 第三表「その他」

確定申告をする際に差し引く繰越損失や翌年以降に繰り越す損失がある場合に記入します。具体的にこの項目に記入するのは、一般株式や上場株式の譲渡や株式の配当金、先物取引で損失が発生した場合です。

h.分離課税の短期・長期譲渡所得に関する事項

確定申告書 第三表「分離課税の短期・長期譲渡所得に関する事項」

「分離課税の短期・長期譲渡所得に関する事項」には、以下の項目を記入します。

  • 区分:「短期 一般」「長期 一般」など
  • 所得の生ずる場所:譲渡した住所
  • 必要経費:必要経費の金額
  • 差引金額:収入金額から必要経費を差し引いた金額
  • 特別控除額:控除の金額

i.上場株式等の譲渡所得等に関する事項

確定申告書 第三表「上場株式等の譲渡所得等に関する事項」

「上場株式等の譲渡所得等に関する事項」には、「上場株式等の譲渡所得額等の源泉徴収税額の合計額101」の金額を記入します。

たとえば、上場株式を売却して得た所得が100万円の源泉徴収税は以下のようになります。

  • 譲渡所得の金額:100万円
  • 税率:20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%)
  • 源泉徴収税額:100万円 × 20.315% = 203,150円

j.退職所得に関する事項

確定申告書 第三表「退職所得に関する事項」

「退職所得に関する事項」には、「一般」「短期」「特定役員」の区分に該当する収入金額や退職所得控除額を記入します。

退職金の所得控除額の計算方法は、「(収入金額-退職所得控除額)×課税対象となる退職金」です。退職所得控除額は以下になります。

勤続年数退職所得控除額
20年以下 40万円 × 勤続年数
(80万円に満たない場合には、80万円)
20年超800万円 + 70万円 × (勤続年数 - 20年)
出典:国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」

例:勤続年数が9年4ヶ月だった人の退職所得控除額

40万円 × 10年 = 400万円

勤続年数は端数を切り上げするため、9年4ヶ月の勤務年数の場合は10年として計算をします。

損失申告がある場合は第四表も提出する

確定申告書 第四表
出典:国税庁「令和4年分の所得税等の確定申告書 (案)」

損失申告とは、事業で損失が出た場合にその損失分を繰り越すための申告のことをいいます。損失申告がある場合は、確定申告書の第一表と第二表だけではなく、第四表の提出も必要となります。

損失申告に該当するケース

  • 所得金額が赤字の場合/li>
  • 所得金額から雑損控除額を控除すると赤字になる場合/li>
  • 所得金額から繰越損失額を控除すると赤字になる場合

第四表の書き方をブロックごとに解説します。

1. 損失額又は所得金額

確定申告書 第四表「損失額又は所得金額」

「経常所得66」には、確定申告書 第一表の①から⑥までの合計額に、⑩の金額を足した金額を記入します。

「経常所得66」以降は、以下の該当する区分や金額を記入します。

2. 損益の通算

確定申告書 第四表「損益の通算」

「2 損益の通算」には、「1 損失額又は所得金額」の66から71の金額を転記します。

ただし、「分離譲渡69」は「1 損失額又は所得金額」の金額が黒字の場合には転記不要です。

3. 翌年以後に繰り越す損失額

確定申告書 第四表「翌年以後に繰り越す損失額」

翌年以後に繰り越す損失額がある場合は、該当欄に金額を記入します。

「青色申告者の損失の金額」は青色申告をしている人で、かつ「損失額又は所得金額の合計額80」の特定純損失の金額がある場合に計算して記入します。

計算方法は、以下81欄の計算式でAから順番に算出し、Gの金額を金額の先頭に△を付けて「青色申告者の損失の金額」に記入します。

<81欄の計算式>

A78欄の金額
B確定申告書 第一表の①と②欄の合計額
C確定申告書 第一表の③欄の金額
D確定申告書 第四表の「1損失額又は所得金額」の「シ」と「ソ」欄の赤字の合計額
E確定申告書 第四表の「 2 損益の通算」の70欄の金額
FB+C+D+E
GAとFのいずれか少ない方の金額

4. 繰越損失を差し引く計算

確定申告書 第四表「繰越損失を差し引く計算」

「4 繰越損失を差し引く計算」には、前年から繰り越した損失の金額と、確定申告をする年分から差し引く損失、翌年に繰り越す損失の金額を記入します。

確定申告書を記入するときに参照する源泉徴収票の項目と見方

給与所得の源泉徴収票
出典:国税庁「令和 年分 給与所得の源泉徴収票」

勤務先で源泉徴収票をもらった人は、源泉徴収票を参照しながら確定申告書を作成します。

源泉徴収票に記載されている内容は以下のとおりです。

項目概要
支払金額1年間に会社から従業員に支払われた給与・賞与の合計額
給与所得控除後の金額支払金額から給与所得控除の控除額を差し引いた金額
所得控除の額の合計額社会保険料控除など従業員が受けられる控除の合計額
源泉徴収税額 支払金額から給与所得控除などの所得控除の額の合計額を差し引いた「課税所得金額」に、所得税率を掛けて算出した金額
※所得税率は、課税所得金額によって決定
社会保険料等の金額従業員の毎月の給料から天引きされた厚生年金・健康保険・雇用保険の合計額
生命保険料の控除額
地震保険料の控除額
従業員が受けられる生命保険料控除や地震保険料控除の控除額
住宅借入金等特別控除の額従業員が住宅ローンを利用して住宅の新築や購入、増改築をして一定の要件にあてはまる場合に受けられる住宅ローン控除の控除額
控除対象配偶者
控除対象扶養親族
16歳未満の扶養親族
配偶者控除の対象となる配偶者、扶養控除の対象となる扶養親族、扶養控除が適用されない16歳未満の扶養親族の情報が記載
支払者従業員に給与を支払った会社の住所、会社名および電話番号が記載

源泉徴収票が交付される時期は、会社が年末調整を行ったあとになります。

【関連記事】
源泉徴収票とは? わかりにくい見方を解説。大事な数字を理解しよう

確定申告の内容を間違えた場合

確定申告書の提出後に納税額の間違いに気付いた場合は、「更正の請求」と「修正申告」のいずれかを行う必要があります。

一度提出した確定申告書に間違いが見つかった場合や記載漏れに気付いた場合は、確定申告の期限内(2月16日から3月15日)であれば、「訂正申告」で確定申告を何度でもやり直せます。

 訂正申告更正の請求修正申告
修正のタイミング確定申告期間内確定申告後確定申告後
修正の内容修正内容全般申告した税額が実際よりも多い 申告した税額が実際よりも少ない
(還付を多く申告)
必要書類 ・修正した確定申告書
・提出済みの添付書類のコピー
・所得税及び復興特別所得税の更正の請求書
・その事実を証明する書類
・確定申告書
・所得税及び復興特別所得税の修正申告書(第五表)
申告方法郵送 所轄の税務署窓口
または
郵送
所轄の税務署窓口
申告時期確定申告の期限内法定申告期限より5年以内過少申告に気付いたらすぐに申告
出典:国税庁「申告が間違っていた場合」

【関連記事】
確定申告の間違いはどう修正する? 条件別、訂正・修正申告と更正の請求について解説

確定申告書入手方法と提出期間

確定申告書は以下の方法で入手できます。

確定申告書の入手方法

  • 国税庁のWebサイトから確定申告書をダウンロードする
  • 確定申告書等作成コーナーから出力する
  • 税務署や市区町村役場の税務課、確定申告相談会場で受け取る
  • 税務署から郵送で取り寄せる
  • 確定申告に対応した会計ソフトを利用する

そのほか確定申告に必要な書類については、別記事「【2022年(令和3年分)】確定申告の必要書類と準備するものは? ケース別にまとめました」をあわせてご確認ください。

確定申告書の提出期間

確定申告を行う期間は原則として、所得が発生した翌年2月16日から3月15日です。

確定申告の期限を過ぎてしまった場合は、期限後申告として扱われ、「無申告加算税」や「延滞税」が科せられる可能性があるので注意が必要です。

また、確定申告の期限が過ぎてしまったとしても、できるだけ早めに申告することでペナルティは軽くなります。確定申告をし忘れてしまったと気付いた場合は、一日でも早く申告するようにしましょう。

【関連記事】
確定申告しないとどうなるの? 無申告のペナルティと対処法を解説

2023年提出(令和4年分)の確定申告アップデート情報

2023年(令和4年分)提出の確定申告アップデート情報

確定申告期間:2023年2月16日(木)〜2023年3月15日(水)まで
※ 所得税 / 贈与税の申告・納税期間:2023年3月15日(水)まで
※ 個人事業者の消費税等の申告・納税期間:2023年3月31日(金)まで

<2023年(令和4年分)から変わること>

  1. 確定申告書Aが廃止され、確定申告書Bの様式で一本化されます。
    (正式名称:令和 年分の所得税及び復興特別所得税の申告書)
  2. 副業収入を「事業所得」として申告するには帳簿や請求書の保存が原則必須となります。(出典: 国税庁
  3. 住宅ローン控除の適用期限が4年延長し、2025年12月31日までに入居した人が対象なります。
    そのほか控除率や所得要件の変更内容についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

詳しくは国税庁ホームページ「令和4年分 確定申告特集」をご参照ください。

まとめ

2023年提出分の確定申告から、給与所得者である会社員も個人事業主やフリーランスなどと同じ確定申告書を使用します。確定申告書の内容を把握して、記入漏れなどがないようにしましょう。

個人事業主が納める税金の種類については、別記事「個人事業主にかかる税金は何種類? 課税される条件と計算方法」を参考にしてください。

確定申告を簡単に終わらせる方法

確定申告には青色申告と白色申告の2種類があります。どちらを選択するにしても、期限までに正確な内容の書類を作成し申告しなければいけません。

確定申告書を作成する方法は手書きのほかにも、国税庁の「確定申告等作成コーナー」を利用するなどさまざまですが、会計知識がないと記入内容に悩む場面も出てくるでしょう。

そこでおすすめしたいのが、確定申告ソフト「freee会計」の活用です。

freee会計は、〇✕形式の質問で確定申告に必要な書類作成をやさしくサポートします。必要な計算は自動で行ってくれるため、計算ミスや入力ミスを軽減できます。
ここからは、freee会計を利用するメリットについて紹介します。

1.銀行口座やクレジットカードは同期して自動入力が可能!

1年分の経費の入力は時間がかかる作業のひとつです。freee会計に銀行口座やクレジットカードを同期すると、利用した内容が自動で入力されます。

また、freee会計は日付や金額だけでなく、勘定科目も予測して入力します。


freee会計 管理画面イメージ4

溜め込んだ経費も自動入力でカンタン!

2.現金取引の入力もカンタン!

freee会計は、現金での支払いも「いつ」「どこで」「何に使ったか」を家計簿感覚で入力できるので、毎日手軽に帳簿づけが可能です。自動的に複式簿記の形に変換してくれるため、初心者の方でも安心できます。


freee会計 管理画面の例1

さらに有料プランでは、チャットで確定申告について質問ができるようになります。オプションサービスに申し込めば、電話での質問も可能です。

freee会計の価格・プランについて確認したい方はこちらをご覧ください。

3.〇✕形式の質問に答えると、各種控除や所得税の金額を自動で算出できる!

各種保険やふるさと納税、住宅ローンなどを利用している場合は控除の対象となり、確定申告することで節税につながる場合があります。控除の種類によって控除額や計算方法、条件は異なるため、事前に調べなければなりません。

freee会計なら、質問に答えることで控除額を自動で算出できるので、自身で調べたり、計算したりする手間も省略できます。


freee会計 管理画面の例2

4.確定申告書を自動作成!

freee会計は取引内容や質問の回答をもとに確定申告書を自動で作成できます。自動作成​​した確定申告書に抜け漏れがないことを確認したら、税務署へ郵送もしくは電子申告などで提出して、納税をすれば確定申告は完了です。

また、freee会計はe-tax(電子申告)にも対応しています。e-taxからの申告は24時間可能で、税務署へ行く必要もありません。青色申告であれば控除額が10万円分上乗せされるので、節税効果がさらに高くなります。

e-tax(電子申告)を検討されている方はこちらをご覧ください。

freee会計 管理画面の例3

完成した確定申告書を提出・納税して確定申告が完了!

freee会計を使うとどれくらいお得?

freee会計には、会計初心者の方からも「本当に簡単に終わった!」というたくさんの声をいただいています。

税理士などの専門家に代行依頼をすると、確定申告書類の作成に5万円〜10万円程度かかってしまいます。freee会計なら月額980円(※年払いで契約した場合)から利用でき、自分でも簡単に確定申告書の作成・提出までを完了できます。

余裕をもって確定申告を迎えるためにも、ぜひfreee会計の利用をご検討ください。

よくある質問

確定申告書のAとBの違いは?

確定申告書Aは、主に給与所得者である会社員が使用しており、確定申告書Bは所得に関係なく誰もが使える申告書でした。2023年提出分(2022年分)以降の確定申告では確定申告書Aが廃止され、確定申告書Bと統一されたものを使用することになります。詳しくはこちらをご覧ください。

確定申告書の作成方法は?

確定申告書は第一表と第二表の2つの書類で構成されています。項目ごとの書き方についてはこちらを参考にしてください。

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