確定申告の基礎知識

事業所得になる副業と雑所得になる副業は何が異なるのか

副業は確定申告のときに、事業所得と雑所得のどちらを選ぶべきなのでしょうか。事業所得の方が雑所得よりも所得税の負担が有利になる制度があります。副業の事業所得と雑所得の判断基準や、事業所得で申告するメリットなどについてまとめました。

事業所得になる副業と雑所得になる副業は何が異なるのか

目次

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事業所得と、雑所得、どちらが得な制度があるのか

事業所得と雑所得の比較

確定申告で事業所得と雑所得は、必要経費を収入から差し引けるという点では同じです。しかし、事業所得には、雑所得にはないお得な制度があります。特に、青色申告は、事業所得と不動産所得に限って申請することで利用できる申告方法で、雑所得よりも有利となるものが多いです。

給与所得等との損益通算

事業所得や雑所得は、給与所得などと合算して、所得税が計算されます。事業所得の場合は、副業で赤字が出た場合に、給与所得などから損失を引くことができますが、雑所得では損失をほかの所得から引くことができません。(参考:国税庁

青色申告特別控除

青色申告で65万円の特別控除を受けるためには、複式帳簿による記帳を行い、確定申告の際には「貸借対照表」と「損益計算書」も提出することが必要です。また不動産所得は事業的規模でないと65万円の特別控除は受けることができません。青色申告では、簡易帳簿による記帳で、10万円の特別控除を受ける方法もあります。(参考:国税庁

青色事業専従者給与

生計を同一とする家族に対する給与は必要経費とはできませんが、事業所得では事前の申請など、要件を満たすことによって、経費として算入できます。

白色申告の白色事業専従者控除では、配偶者86万円、その他の親族50万円と金額が決められています。青色申告の青色事業専従者給与では、上限の設定もなく、妥当性のある金額であれば、全額経費として算入が可能です。(参考:国税庁

純損失の繰り越しと繰り戻し

事業所得で青色申告を行っている場合には、赤字をほかの所得から控除しても控除できない額があるとき、損失額を3年間繰り越して、所得から控除ことができます。また、前年の所得から繰り戻して控除して、所得税の還付を受けることも可能です。(参考:国税庁

30万円未満の少額減価償却資産の特例

事業などのために購入したパソコンや車などの資産は、10万円を超えるものは、通常は1年で経費とすることができません。しかし、事業所得では青色申告していると、平成30年3月31日までに取得した30万円未満の物に限り、一括で経費とすることができます。ただし、上限は合計300万円と定められ、150万円以上になると固定資産税が課されます。
(参考:国税庁

副業を事業所得にするための基準

これまでみてきたように、事業所得は雑所得と比較して有利になる制度が多いです。
しかし、確定申告の際に事業所得として申告すれば自動的に事業所得になるかというとそうではありません。税務署から指摘を受け事業所得として認められなかった場合、修正申告をすることになります。
このため、事業所得・雑所得の定義と、副業が事業所得として認められる基準について知っておく必要があります。

事業所得、雑所得とは

まずはそれぞれの所得の定義について見ていきましょう。国税庁によると、事業所得とは下記のように定義されています。

事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得をいいます。
ただし、 不動産の貸付けや山林の譲渡による所得は事業所得ではなく、原則として不動産所得や山林所得になります。
参考:国税庁「No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得)」

事業とは、独立・継続・反復して行われる仕事のことです。その仕事を独立・継続・反復していると個人事業であり、事業所得があると認められます。このため、会社員であっても副業による事業所得がある場合は個人事業主となります。
参考:国税庁「No.6109 事業者とは」

なお、雑所得とは下記にあるように、事業所得を含む他の9種類の所得に当てはまらない所得をさします。

雑所得とは、他の9種類の所得(※)のいずれにも当たらない所得をいい、公的年金等、非営業用貸金の利子、著述家や作家以外の人が受ける原稿料や印税、講演料や放送謝金などが該当します。
参考:国税庁「No.1500 雑所得」

所得の定義はありますが、確定申告の際に事業所得と雑所得、どちらにすべきか、明確な基準は設けられていません。
このため、確定申告を行っても事業所得とは認められず修正を求められることがあります。

※所得の種類は、全部で10種類あります。具体的には、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得、雑所得です。

事業所得か、雑所得かを判断する基準

実際に申告の修正が求められた事例から、事業所得と雑所得の区別の基準について考えて見ましょう。事例は、平成26年9月1日の裁決です。大学の准教授が執筆及び講演等の業務から生じた所得を「事業所得」として確定申告したところ認められず、「雑所得」と判断されました。

所得税法第27条第1項及び所得税法施行令第63条に規定する「事業」については、その意義自体について一般的な定義規定を置いていないところ、その意味するところは、自己の危険と計算において独立して行う業務であり、営利性・有償性を有し、かつ、反復継続して業務を遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められるものであると解される。
そして、ある所得が事業所得に当たるか否かを判断するに当たっては、当該所得が社会通念上「事業」といえる程度の規模・態様においてなされる営利性、有償性、反復継続性をもった活動によって生じる所得か否かによって判断すべきであり、この場合において「事業」といえる程度の規模・態様においてなされる活動といえるかどうかは、自己の計算と危険においてする企画遂行性の有無、その者の精神的肉体的労務の投入の有無、人的・物的設備の有無、その者の職業・経験及び社会的地位等を総合的に勘案して判断すべきである。

参照:国税不服裁判所 (平成26年9月1日裁決)

判例によると、

  • 自己の危険と計算において独立して行う業務か
  • 営利性と有償性を有しているか
  • 反復継続して遂行されて営まれているか
  • 社会的地位が客観的に認められているか

が基準となっています。

「自己の危険と計算において独立して営まれているか」については、事業主が商品を仕入れたり、経費をかけたり、労力を費やしたりしているかということです。
また、一度だけ副業をしても、それは継続・反復とは言えません。さらに、売り上げが全くなく、社会一般で考えて「事業である」と考えられない場合も、同様です。

この判例では、申請者がいつどこで営業を行ったのか、どのように経費を使ったかなどの記録が明確ではなく、「取材活動や営業活動の事実は認め難く、少なくとも企画遂行性に乏しい」と判断されました。また、継続・反復して行っているものの、執筆物の一覧やデータが残っておらず、「実際にこれらの内容の執筆を行ったことによる収入金額もないため、これらの内容の原稿を執筆していたとは認められない」と、事業所得ではなく、雑所得と判断されました。

事業所得と雑所得、どちらを選ぶかの判断基準

副業が事業所得と雑所得のどちらに該当するか端的に言うと、片手間や趣味でやっていて、小遣い稼ぎ程度の収入を得ている場合には、雑所得ということになります。

サラリーマンなどの給与所得者が、休日を利用して、エッセイを書いて原稿料をもらう、読者モデルとして撮影料をもらうといったケースは、雑所得とされることがほとんどです。休日や平日の帰宅後にハンドメイド作品をつくり、オークションやフリーマーケットに出品して、利益を得ている場合にも雑所得になります。副業としてアフリエイトで収入を得ている場合も、事業所得として判断されることは難しいです。

FXは収入の規模が大きくなることも多いため、事業所得となるのではと考える向きもありますが、投機的な側面があるため、給与所得者の場合は雑所得とされることがほとんどです。雑所得の中でも、「先物取引に係る雑所得等」として、特例で分離課税となっているため、ほかの所得と合算されません。所得税15%と平成49年までは復興特別所得税2.1%、地方税5%となります。(参考:国税庁)

とはいえ、給与所得者でも副業を事業所得として申告して、税務署で認められているケースもあります。ただし、税務署に呼び出されて申告内容について問われたときに、事業と認められるだけの材料を揃えておくことが必要です。前述のように、収入規模と人的、あるいは物的にどの程度労力を費やして、事業として成立しているかがポイントとなります。給与所得者は副業を雑所得とみなされることが多いため、事業所得とするのはハードルが高いことを認識しておきましょう。

まとめ

サラリーマンなどの給与所得者の副業は、事業所得ではなく、雑所得にあたると税務署で判断されるケースがほとんどです。確定申告で副業を事業所得とする場合には、事前に住所地を管轄する税務署に相談しておきましょう。

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