確定申告の基礎知識

ひとり親控除とは?対象者や寡婦控除との違いについて解説

ひとり親控除とは?対象者や寡婦控除との違いについて解説

ひとり親控除とは、扶養している子どもがいるひとり親が、子どもの人数に関わらず一律35万円の所得控除および30万円の住民税控除を受けられる制度として2020年に始まりました。

類似した制度の寡婦(夫)控除では未婚のひとり親は対象外でしたが、ひとり親控除では婚姻歴がなくても控除を受けられるようになりました。

本記事では、ひとり親控除の詳細や申請方法、寡婦控除との違いについて詳しく解説します。

目次

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ひとり親控除とは?

2020年より施行された「ひとり親控除」とは、扶養している子どもがいるひとり親が所得税や住民税の控除を受けられる制度です。

後述する要件にすべて該当する場合は、所得税や住民税の所得控除が受けられます。

出典:国税庁「No.1171 ひとり親控除」

ひとり親控除導入の背景

以前は未婚の女性や男性が子どもをひとりで扶養していても、離婚または死別により独身となったケースでしか税制優遇である寡婦(夫)控除を受けることができませんでした。

ひとり親の家庭において経済的負担は大きく、婚姻歴の有無で区別したり親が男性か女性かによって差があったりするのは不平等であるとされ、婚姻歴や男女の差を問わない「ひとり親控除」が導入されました。

ひとり親控除が導入されたことで寡夫控除は廃止となっており、後述する寡婦控除についても内容が見直されています。

ひとり親控除で受けられる控除額

ひとり親控除に該当した場合は、以下の金額がそれぞれ所得から控除されます。

ひとり親控除で受けられる控除額

  • 所得税:一律35万円
  • 住民税:一律30万円

控除を受けるためには確定申告または年末調整で申告する必要があります。また、給与所得 者の扶養控除等(異動)申告書を勤務先や日本年金機構に提出することで、給与や公的年金などからの源泉徴収で適用されます。

ひとり親控除の適用要件

ひとり親控除を受けるには、控除を受ける年の12月31日の時点で結婚していない、または配偶者の生死が明らかでない人のうち、以下の要件すべてに当てはまる必要があります。

ひとり親控除を受けるための条件

  • 事実婚の関係にある人がいない
  • 生計を同一にする子どもがいる
  • 所得金額が合計で500万円以下である

出典:国税庁「No.1171 ひとり親控」

この要件は、その年の途中までの状況ではなく、あくまで12月31日の時点で要件を満たしているかどうかがポイントです。

事実婚の関係にある人がいない

婚姻届を提出していなくても、男女が事実上夫婦同様の意思を持って共同生活をしている場合は事実婚となり、ひとり親控除の対象外となります。

事実婚に該当するかは、住民票の続柄に「夫(未届)」または「妻(未届)」の記載の有無によって判断します。

生計を一にする子どもがいる

生計を一にするとは、必ずしも同居を要件とするものではなく、別居している場合であっても生活費や学資金・療養費などを送金していれば認められます。

また、子の年齢に制限はなく、その年分の総所得金額等が48万円以下であり、他の人の同一生計配偶者や扶養親族になっていなければ対象となります。ただし、子ども以外の扶養親族(祖父母・親・孫など)はひとり親控除の対象外です。

なお、子どもが16歳以上かつひとり親控除の要件に該当する場合は、ひとり親控除と扶養控除の併用が可能です。

所得金額が合計で500万円以下である

事業所得・不動産所得・給与所得・雑所得などを合計した合計所得金額が500万円以下でなければひとり親控除の対象にはなりません。

また、合計所得金額に遺族年金や疾病手当金などの「非課税所得」は含まれません。

寡婦控除とは

寡婦控除とは、原則としてその年の12月31日の現況で「ひとり親」に該当せず、以下の要件のいずれかに当てはまる場合に適用される所得控除です。

  • 夫と離婚したあとに結婚しておらず、扶養親族がいる人で合計所得金額が500万円以下の人
  • 夫が死別したあとに結婚していないまたは夫の生死が明らかでない人で、合計所得金額が500万円以下の人(この場合、扶養親族の有無は問わない)

※要件を満たしても事実婚の関係にあたる人がいる場合は寡婦控除の対象外となる

出典:国税庁「No.1170 寡婦控除」

これまで男性のひとり親には寡夫控除がありましたが、性別の違いによる不公平な税制上の扱いを是正する目的で廃止となり、ひとり親控除へ統合となりました。

現在の寡婦控除は、子どもがいない女性への負担を考慮することが主な目的となっています。

ひとり親控除と寡婦控除との違い

ひとり親控除と寡婦控除では要件が一部重複する箇所もありますが、それぞれの控除の要件には以下のような違いがあります。


ひとり親控除寡婦控除
婚姻の事実の有無
/結婚歴
現在、夫または妻がいないまたは配偶者が生死不明な状態
※結婚歴の有無は不問

現在、事実婚にあたる人がいない
夫と離婚または夫を亡くした後、再婚していない
または夫が生死不明な状態
現在、事実婚にあたる人がいない
扶養要件生計を一にする子どもがいるその子どもの総所得金額が48万円以下扶養親族(親、祖父母、孫)がいる
※離婚した場合のみ
※死別した場合、扶養親族の有無は不問
所得税の控除額35万円27万円
住民税の控除額30万円26万円
控除対象者の性別男性・女性女性
所得制限
(合計所得金額)
500万円以下500万円以下

ひとり親控除は、結婚歴がなくても所得控除が利用できるという点が寡婦控除とは大きな違いです。これにより、今まで控除が受けられなかった未婚のひとり親が所得控除を受けられるようになりました。

ただし、ひとり親と寡婦控除の併用はできないため、両方の要件に該当している場合は、より控除額が大きいひとり親控除を利用します。

ひとり親控除が導入された際、ひとり親控除の要件に合わせてこれまでの寡婦控除の要件が一部見直されました。これまでは寡婦控除の対象者で扶養親族がいる場合、納税者本人の所得に制限はありませんでしたが、2019年からは合計所得金額が500万円以下であることも要件に追加されました。

この法改正により、今まで寡婦控除の対象であった人でも、控除対象外となってしまうことがあります。今まで寡婦控除を利用していた人や新たに寡婦控除の対象となりうる人は、改めて控除の要件を確認するようにしましょう。

扶養控除とは

扶養控除とは、納税者に所得税法上の控除対象となる扶養親族がいる場合に、一定の金額が所得税から控除される制度です。

その年12月31日時点で16歳以上であり、合計所得金額が48万円以下の扶養親族がいる場合は扶養控除の適用が可能となるほか、ひとり親控除や寡婦控除との併用も可能です。また、16歳未満の子どもには「子ども手当」が支給されるため控除対象外となります。

出典:国税庁「No.1180 扶養控除」

扶養控除や控除金額などについて詳しく知りたい方は、別記事「確定申告における扶養控除とは?配偶者控除との違いや控除金額についても紹介」をご覧ください。

ひとり親控除と扶養控除との違い

ひとり親控除の控除額が一律35万円に対し、扶養控除の控除額は扶養親族の年齢や同居または同居以外によって控除額は異なります。


ひとり親控除扶養控除
所得税の控除額35万円一般の控除対象扶養親族
(その年12月31日現在の年齢が16歳以上)
38万円
特定扶養親族
(​​その年12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満)
63万円
老人扶養親族(同居老親等以外の者)
(その年12月31日現在の年齢が70歳以)
48万円
老人扶養親族(同居老親等
(その年12月31日現在の年齢が70歳以)
58万円

ひとり親控除を受けられるか判断するポイント

ひとり親控除は要件を満たせば適用となりますが、ひとり親控除に該当したタイミングや自身の状況によっては適用となるケースとならないケースがあります。

1年(1月1日〜12月31日)の途中までひとり親だったケース

1年の途中まで未婚のひとり親であっても、その年の途中で結婚または事実婚の状態になった場合はひとり親控除は受けられません。

これは、ひとり親控除の基本要件に「その年の12月31日時点で」という要件が含まれているためです。そのため、1年の大半がひとり親の状態であっても、その年の12月31日までの間に結婚した場合もしくは事実婚の状態になった場合は、ひとり親控除の対象とはなりません。

現在ひとり親である人で、今後婚姻届を提出する予定がある場合には、ひとり親控除の申請内容や婚姻届の提出時期などに注意しましょう。

1年(1月1日〜12月31日)の途中でひとり親となったケース

離婚や配偶者の死亡により1年の途中でひとり親となりその年の12月31日時点で結婚しておらず、扶養する子どもがいればひとり親の対象です。

また、結婚せずに子どもが生まれた場合にも、12月31日時点で独身であり子どもを扶養してればひとり親控除の対象となるため、忘れずに申請しましょう。

年末調整後に離婚や出産によってひとり親控除の基本要件に該当した場合、または申請の漏れがあった場合には、あとから確定申告を行うことでひとり親控除を受けられます。

ひとり親で養育費を受け取っているケース

離婚後に元配偶者から養育費の支払を受けている場合は、ひとり親控除の対象外となる可能性があるため注意が必要です。

養育費を支払っている元夫または元妻が子どもの扶養者であると、その子どもは元夫または元妻の扶養親族とされ、養育費を受け取っている元妻または元夫の扶養親族とは認められない場合があります。

養育費を受け取っている側はひとり親控除を受けられない可能性がありますので、疑問があれば必要に応じて税理士や税務署の相談窓口などで事前に確認しましょう。

離婚し、子どもと別居しているが養育費を支払っているケース

上述のとおり、自身の子どもが離婚した元妻または元夫と同居している場合でも、養育費を支払っていればひとり親控除が適用される場合があります。

適用されるのは、状態的に生活費や学費を送金しており、養育費の支払目的が子どもの扶養義務を履行するため、かつ支払が子どもの成人または大学卒業までと決められている場合などです。

ただし、財産分与や慰謝料と養育費をまとめて支払っていて養育費の具体的な金額が不明な場合や、子どもと同居している元妻や元夫も控除対象にあたる場合にはどちらか一方しかひとり親控除の適用を受けられないため注意が必要です。

同一生計の子どもが16歳以上のケース

子どもの年齢が16歳以上の場合、扶養控除とひとり親控除の両方が適用されます。

ひとり親控除の場合、基本要件が満たされていれば子どもの年齢は問われないため、子どもの年齢に関わらず控除の要件に該当する場合は忘れずに申告しましょう。

ひとり親控除の申請方法

ひとり親控除の申請方法は年末調整か確定申告のどちらかで、申請者の所得税の納税方法によって異なります。

年末調整で申請する場合

公務員や会社員であれば、11月~12月頃に行われる勤務先の年末調整で申請をします。その場合は、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の「ひとり親」の項目をチェックしましょう。

寡婦・ひとり親などのチェック欄


年末調整で申請を忘れてしまった場合や、年末調整の申請後からその年の12月31日までの間にひとり親控除の対象者となった場合には、別途個人で確定申告をする必要があります。

確定申告で申請する場合

個人事業主やフリーランス・年末調整で申請できなかった人は、確定申告で控除の申請を行います。

確定申請書の第一表と第二表に以下のように記載します。

  • 確定申告書第一表:「寡婦控除・ひとり親控除」の欄に「350,000」、区分に「1」と記入する
  • 確定申告書第二表:「本人に関する事項」欄の「ひとり親」に〇をつける

<確定申告書 第一表>

確定申告書第一表


<確定申告書 第二表>
確定申告書第二表


確定申告書の書き方について詳しく知りたい方は、別記事「【2024年最新】確定申告書の書き方を記入項目別にわかりやすく解説」をご覧ください。

まとめ

ひとり親控除とは、扶養している子どもがいるひとり親が所得税や住民税の控除を受けられる制度であり、所得税は35万円、住民税は30万円の所得控除が適用されます。

ひとり親控除を受けるためには、控除を受ける年の12月31日の時点で結婚していない、または配偶者の生死が明らかでない人が原則としてあり、その他いくつかの要件全てに当てはまらなければ対象となりません。

ひとり親控除は、寡婦控除との併用は認められていませんが、扶養控除との併用が可能です。自身がどの所得控除を利用できるのかをよく確認して、忘れずに申請しましょう。

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よくある質問

ひとり親控除と寡婦控除はどちらが得?

ひとり親控除の方が寡婦控除より控除額が大きいことから、両方の要件に該当している場合はひとり親控除を利用しましょう。

また、ひとり親控除は結婚歴がない未婚のひとり親でも所得控除を利用できる点が寡婦控除との大きな違いです。

詳しくは記事内「ひとり親控除と寡婦控除との違い」をご覧ください。

ひとり親控除の申請方法は?

ひとり親控除の申請方法は、申請者の所得税の納税方法によって異なり、年末調整か確定申告のどちらかで申請します。

公務員や会社員であれば11月〜12月頃に行われる年末調整、個人事業主やフリーランス・年末調整で申請できなかった人は確定申告で申請します。

詳しくは記事内「ひとり親控除の申請方法」をご覧ください。

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