仮想通貨とは、銀行などの金融機関を通さずにインターネット上で取引できるデータ資産のことをいいます。暗号通貨とも呼ばれています。
仮想通貨で利益が20万円を超える場合には確定申告が必要です。これは年末調整をしている会社員でも同様です。
本記事では、仮想通貨(暗号資産)に確定申告は必要か、どのタイミングで所得が発生するか、そして所得額の計算方法まで解説します。
目次
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仮想通貨(暗号資産)で利益があったら確定申告は必要?
仮想通貨(暗号資産)とは、銀行などの金融機関を通さずに、インターネット上で取引できるデータ資産のことをいいます。
仮想通貨(暗号資産)の取引を行い、20万円を超える利益を得た場合は確定申告が必要です。また、仮想通貨(暗号資産)の取引による利益が20万円以下だとしても、ほかの所得との合計が20万円を超える場合には確定申告が必要となります。
仮想通貨(暗号資産)を所持しているだけでは確定申告をする必要はありません。確定申告が必要になるのは、以下のケースです。
仮想通貨(暗号資産)関連で確定申告が必要になるケース
- 仮想通貨(暗号資産)を売却した際に利益を得た場合
- 仮想通貨(暗号資産)で商品を購入した場合
- ほかの仮想通貨と交換した場合
また、会社員のように1社から給与所得を得ている人でも、仮想通貨(暗号資産)による所得が1年間で20万円を超える場合は確定申をしなければなりません。
学生や主婦(主夫)など、家族の扶養に入っている人で、1年間の所得が43万円(住民税の基礎控除額)を超えた場合は確定申告をする必要があります。
仮想通貨(暗号資産)で得た所得は「雑所得」に該当する
税制上、所得は10種類に分けられています。2017年12月に国税庁が発表した「仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)」で、仮想通貨(暗号資産)で得た利益は雑所得になると定められました。
雑所得とは、ほかの9つの所得のいずれにも分類されない所得が該当します。
出典:国税庁「No.1300 所得の区分のあらまし」
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仮想通貨(暗号資産)にかかる所得税は総合課税の対象
所得税は総合課税の対象となります。総合課税とは、給与所得や事業所得などのすべての所得を加算して、その合計額に対して課税される課税方法です。
日本の所得税は累進課税を採用しており、所得が増えるほど税率が高くなります。
たとえば、給与所得を得ている会社員の課税所得が270万円の場合、所得税率は10%です。しかし、仮想通貨(暗号資産)で70万円の利益が出ると、給与所得の課税所得270万円と合算して、所得合計が340万円となります。
所得合計が340万円になると、税率は20%となるため、給与所得のみと比べると10%も税率が上がることになるのです。
所得税率の速算表
課税対象の所得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000円〜1,949,000円 | 5% | 0円 |
1,950,000円〜3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円〜6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円〜8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円〜17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円〜39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
仮想通貨(暗号資産)に似た所得に、株式やFX、投資信託で得た所得(譲渡所得)がありますが、これらは申告分離課税となるため、他の所得と分離して一律20.315%の税率となります。
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仮想通貨(暗号資産)で所得が発生するタイミング
上述したように仮想通貨(暗号資産)を購入して、保有しているだけでは課税対象とはなりません。
仮想通貨(暗号資産)で所得が発生するタイミングは主に以下のケースです。
仮想通貨(暗号資産)で所得が発生する主なケース
- 仮想通貨(暗号資産)を売却したとき
- 仮想通貨(暗号資産)で決済をしたとき
- ほかの仮想通貨(暗号資産)を購入したとき
- マイニングで仮想通貨を取得したとき
1. 仮想通貨(暗号資産)を売却したとき
保有している仮想通貨(暗号資産)を売却し、20万円を超える所得が発生すると確定申告が必要になります。たとえ保有している仮想通貨(暗号資産)の評価額が上がり、含み益が出たとしても、売却しない限りは所得は発生しません。
仮想通貨(暗号資産)を売却した際に発生した所得の計算は、「売却時の価格」から「取引時の1単位当たりの価額」を差し引いて算出します。
仮想通貨(暗号資産)を購入する際に手数料などが発生しますが、それらも取引時の価額に含めて計算します。
仮想通貨(暗号資産)を売却した際の所得の計算式
所得 =
売却時の価額 - 取引時の1単位当たりの価額 × 売却した数量
2. 仮想通貨(暗号資産)で決済をしたとき
仮想通貨(暗号資産)を決済に使用したタイミングで利益と損失が確定します。決済時の評価額が購入価格よりも高かった場合は、「仮想通貨を使用することで生じた利益」とみなされるため課税対象となります。
仮想通貨(暗号資産)で商品を購入した際の所得額の計算式は下記のようになります。
仮想通貨(暗号資産)で商品を購入した際の所得の計算式
所得 =
購入した商品の価額 - 仮想通貨(暗号資産)を購入したタイミングの価額
たとえば1BTCが10万円のときに1BTCを購入し、1BTCの評価額が40万円になったときに、ビットコインで40万円のパソコンを購入した場合の所得額は以下のようになります。
400,000円(パソコン代) - 100,000円(ビットコイン購入時の価額)
= 300,000円(所得)
3. ほかの仮想通貨(暗号資産)を購入したときき
保有している仮想通貨(暗号資産)で、ほかの仮想通貨(暗号資産)を購入した場合も、仮想通貨で商品を購入したときと同じように、取引があったタイミングで利益と損失が確定します。
仮想通貨(暗号資産)で、他の仮想通貨(暗号資産)を購入した際の所得の計算式は以下のとおりです。
仮想通貨(暗号資産)で他の仮想通貨(暗号資産)を購入した際の所得の計算式
所得 =
他の仮想通貨の購入価額 - 仮想通貨(暗号資産)を購入したタイミングの価額
前述の商品を購入した場合と同様の条件で、他の仮想通貨(暗号資産)を購入した場合の所得額の計算は以下になります。
400,000円(ほかの仮想通貨の購入価額) - 100,000円(仮想通貨購入時の価額) = 300,000円(所得)
4. マイニングで仮想通貨を取得したとき
仮想通貨(暗号資産)は、ブロックチェーンという技術を使って管理されており、取引が行われるとブロックを作成します。このブロックには、取引日時や取引した人、取引量と暗号資産という情報が記載されます。
ブロックの情報に不正がないかを、マイナー(採掘者)と呼ばれる人たちが確認して承認する作業があります。この確認と承認の作業のことをマイニングといい、マイニングを行うと、その作業の対価として仮想通貨(暗号資産)を無料で得ることができます。
マイニングで得た仮想通貨(暗号資産)は、受け取った時点で利益となるため、確定申告をしなくてはなりません。
ただし、マイニングを行うためには、高性能のパソコンが必要で電気代もかかります。これらを経費計上して、マイニングで得た仮想通貨(暗号資産)の時価から差し引いて所得を算出します。
マイニングで得た際の所得の計算式
所得 =
マイニングで得たタイミングの価額 - 必要経費
仮想通貨(暗号資産)で発生した所得額の計算方法
仮想通貨(暗号資産)の所得額の計算方法は、年間で一回だけ取引した場合と、複数回取引をした場合で異なります。1回だけ取引した場合の所得額の計算は難しくないのですが、複数回取引をした場合は注意が必要です。
たとえば、ビットコインを1BTC20万円のときに2BTCを購入し、1BTCが50万円のタイミングで1BTCを売却したとします。この場合は、差額の10万円が所得となります。
1回だけ取引をした場合の所得額の計算方法
・40万円で2BTCを購入(1BTC=20万円)
・50万円で1BTCを売却(1BTC=50万円)
所得額:
500,000円(売却時の評価額) - 200,000円(購入時の評価額) × 2(数量) = 100,000円
一方、複数回の取引を行った場合は仮想通貨(暗号資産)を売買するたびに、取引所ごとの所得を計算し、1年間の合計を所得額として申告しなくてはなりません。
この合計所得額の計算方法には、「移動平均法」と「総平均法」の2種類があります。
下記の取引データを例に、移動平均法と総平均法のそれぞれの計算方法を解説します。1度計算方法を選択すると、継続して使用するルールがあるので、自分にあった計算方法を選択するようにしましょう。
4月1日 | 5月25日 | 8月21日 | 10月12日 | 12月7日 | |
レート (1BTC) | 10万円 | 30万円 | 46万円 | 60万円 | 240万円 |
購入数 | 1BTC | 1BTC | 1BTC | ||
取得価額 | 10万円 | 30万円 | 60万円 | ||
売却数 | 1BTC | 2BTC | |||
売却金額 | 46万円 | 480万円 |
移動平均法
移動平均法とは、仮想通貨を購入するたびに所得価額と残高を平均し、所得を計算する方法です。
最初に所得価額を計算するために、購入時の1BTCの平均額を算出し、取得価額と売却価額を差し引きます。
- 4月1日と5月25日の平均レート:(10万円 + 30万円) ÷ 2BTC = 20万円
- 8月21日に売却した1BTCの取得金額:1BTC × 20万円 = 20万円
- 所得(取得価額と売却金額の差額):46万円 - 20万円 = 26万円
次に12月7日に売却した際の所得を算出します。
- (20万円 + 60万円) ÷ 2BTC = 40万円
- 12月7日に売却したBTCの取得価額:2BTC × 40万円 = 80万円
- 所得(所得価額と売却金額の差額):240万円 × 2 - 80万円 = 400万円
2つの所得額が決まったら、合算をして所得合計を算出します。
26万円 + 400万円 = 426万円(所得合計)
このように移動平均法では、売却の度に所得を算出します。
総平均法
総平均法とは、1年間の購入平均レートを基に計算した所得価額の合計と、売却合計金額を差し引いて所得額を算出する計算方法です。
総平均法の計算例は以下のとおりです。
- 購入時の平均レート:(10万円 + 30万円 + 60万円) ÷ 3BTC = 33万3,333円
- 売却したBTCの取得価額合計:33万3,333円 × 3BTC = 約100万円
- 売却合計金額:(1BTC × 46万円) + (2BTC × 240万円) = 526万円
- 所得合計:526万円 - 100万円 = 426万円
通年で計算をした際は、移動平均法と同じ所得額になりますが、単年度で計算した場合は、どちらの計算方法を選んだかによって所得に差異が生じます。
どちらを選択しても問題はありませんが、国税庁によると2回以上に渡って同一の仮想通貨(暗号資産)を取得した場合は、移動平均法を用いるのが相当とされています。
同一の仮想通貨を2回以上にわたって取得した場合の当該仮想通貨の取得価額の算出方法としては、移動平均法を用いるのが相当です(ただし、継続して適用することを要件に、総平均法を用いても差し支えありません。)。
仮想通貨(暗号資産)で損益通算はできない
たとえ青色申告で確定申告をする場合でも、仮想通貨(暗号資産)は雑所得に分類されるため、損失が出たとしても損益通算はできません。
また、上場株式の売買で生じた損失は譲渡所得となるため3年間繰り越すことが可能ですが、仮想通貨(暗号資産)の取引で生じた損失は雑所得のため翌年以降に繰り越すことはできません。
確定申告の注意点
上述したとおり、仮想通貨(暗号資産)で得た所得が年間20万円(主婦や学生などの扶養されている人は43万円)を超える人は確定申告をする必要があります。
仮想通貨(暗号資産)の所得は、購入した取引所から毎年1月になると年間取引報告書が届くので、それを確認しながら算出してください。
確定申告の期間
確定申告は原則として、所得が発生した翌年2月16日から3月15日の間に確定申告書を所轄の税務署に提出します。3月15日が土日祝にあたる場合は翌月曜日が期限日となります。
確定申告のやり方や必要書類について詳しく知りたい方は、別記事「【2023年提出分】確定申告のやり方が分かる! 必要書類の準備から提出まで徹底解説」をあわせてご確認ください。
期限後に申告するとペナルティが発生する
確定申告の期限内に申告しないと、無申告加算税と延滞税が科せられる可能性があります。
無申告加算税は、本来納付する税額が50万円未満の場合は15%、50万円を超える部分は20%の税率がかかります。なお、税務署から指摘される前に自主的に申告をした場合は、無申告加算税の税率は5%に軽減されます。
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確定申告しないとどうなるの? 無申告のペナルティと対処法を解説
まとめ
仮想通貨(暗号取引)を売却したり、商品を購入したりして仮想通貨(暗号取引)による所得が20万円を超える場合は確定申告が必要です。
所得の計算方法は、移動平均法と総平均法の2種類がありますが、同一の仮想通貨(暗号資産)を2回以上取得する場合は、移動平均法で計算した方がよいでしょう。
また、所得が増えるほど税率が高くなる累進課税となっているほか、仮想通貨(暗号資産)の所得は雑所得に該当するため、損失が出たとしても損益通算ができないことは留意しておく必要があります。
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