確定申告の基礎知識

医療費控除でいくら返ってくる?計算方法と手続きの仕方

節税の種は、意外なところに転がっているもの。歯科医院での定期的な歯垢の除去で払った医療費や、不妊治療や妊娠・出産の費用のほか、介護費用などを申告することで所得税が返ってくるとしたら、いかがでしょうか。個人的に使った医療費だからといって領収書を捨ててしまっていては、もったいないですよ。
ここでは、医療費控除を申告する場合の具体的な手続きや計算方法のほか、控除の対象になるもの、医薬品の購入費用にまつわる新制度などについてご紹介します。

医療費控除の計算法

目次

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医療費控除とは?還付と計算方法について

医療費控除は、所得控除のひとつで、1年に一定額以上の医療費がかかった場合に控除が認められます。基本的には、医療費が1年に10万円以上かかった場合が目安となります。
なお、医療費控除は自分が医療機関を受診した分だけでなく、扶養している家族の分(離れて暮らしている場合も可)の分も計上することができます。

医療費控除の計算方法

医療費控除の計算についてですが、まず年間で支払った医療費を計算します。計算の際は領収書が必要ですので、しっかり保管しておきましょう。
次に、高額療養費制度の払い戻し分や保険会社から支払われた保険金の額を計算し、支払った医療費から差し引きます。
基本的に医療費控除は、10万円がベース。保険金などを差し引いた金額から10万円を引いても支払った医療費が余る場合は、医療費控除の対象となります。

<医療費控除の計算方法>

支払った医療費 (合計)               円(A)
保険金などで補填される金額                    円(B)
差引金額(A-B) (赤字のときは0円)         円(C)
確定申告書A第一表の「所得金額」の合計欄+退職所得金額                    円(D)
D×0.05 (赤字のときは0円)         円(E)
Eと10万円のいずれか少ないほうの金額                    円(F)
医療費控除額(C-F) (最高200万円、赤字のときは0円)  円(G)


参考:
所得から差し引かれる金額(所得控除)を計算する|確定申告に関する手引き等|国税庁

医療費控除の還付金

医療費控除のメリットは、一定額を還付金として確定申告後に受け取ることができる点です。
また、どのくらいの金額が還付されるかどうかは、医療費控除分に所得税率(以下の速算表を参照)をかけることで計算できます。所得税率は、195万円以下で5%、4,000万円超で45%と、所得金額が高いほど高くなるため、所得金額が高いほど使った医療費に対して還付金が返ってくる割合も高くなります。

<所得税の速算表>

課税される所得金額  税率  控除額
195万円以下 5% 0円
195万円超330万円以下 10% 97,500円
330万円超695万円以下 20% 42万7,500円
695万円超900万円以下 23% 63万6,000円
900万円超1,800万円以下 33% 153万6,000円
1,800万円超4,000万円以下 40% 279万6,000円
4,000万円超 45% 479万6,000円


参考:
所得税の税率│所得税│国税庁

<医療費控除の還付金計算シミュレーション>
・課税所得500万円、控除対象になる医療費控除分10万円の場合
医療費控除分10万円×所得金額の税率20%=還付金20,000円

・課税所得2,000万円、控除対象になる医療費控除分10万円の場合
医療費控除分10万円×所得金額の税率40%=還付金40,000円

医療費控除の申告の方法は?

医療費控除を申告したい場合は、確定申告の所定の場所に医療費を記載しなければなりません。

確定申告の医療費記載欄

引用元:国税庁

確定申告書の第一表と第二表に医療費の記載欄がありますので、計算後の金額を記載するようにしましょう。 なお、医療費を申告する際は、別途明細書の提出が必要です。明細書は、医療機関ごと、及び支払いを受けた人ごとに記載をしていく必要があります。

医療費の明細書

引用元:国税庁

複数の医療機関を受診しており、計算が複雑な場合は、国税庁の医療費集計フォームなどを利用して計算を行うとスムーズに計算することができます。

参考:
医療費控除の準備:平成28年分 確定申告特集|国税庁

医療費10万円以下でも医療費控除が受けられるケース

基本的に医療費控除額は、1年間に支払った医療費が10万円を超えた分であることをご紹介しました。
しかし、医療費が10万円に満たない場合でも、医療費控除が受けられるケースがあります。年間の総所得金額が200万円に満たない場合、医療費控除額は、総所得金額の5%を年間医療費から差し引いた額となるのです。
例えば、総所得金額が100万円であった場合、50,000円を超える医療費は医療費控除の計算に組み込むことができるのです。

医療費控除の対象になるものとならないもの

所得税法第七三条2項で、税法上にいう医療費とは「医師又は歯科医師による診療又は治療、治療又は療養に必要な医薬品の購入その他医療又はこれに関連する人的役務の提供の対価のうち通常必要であると認められるものとして政令で定めるものをいう」と定義されています。

具体的には、以下の費用が医療費として控除の対象となります。

  • <医療費控除の対象となるおもな医療費>
  • ・病院や医院、歯科医院などで支払った治療費
  • ・病気やケガなどの治療や療養に必要な医薬品の購入費
  • ・病院やクリニック、助産所に行くための人的役務を受ける費用(自宅からの往復タクシー代など)
  • ・あん摩マッサージ指圧師・鍼灸師・柔道整復師などによる施術費
  • ・保健師・看護師・准看護師による療養の世話にかかった費用
  • ・助産師による分娩の介助にかかった費用
  • ・認定特定行為業務従事者として認定されている介護福祉士による、たんの吸引行為などにかかった費用

健康保険の範囲内など、著しく基準を超えない場合は、医療費控除として認められる可能性が高いです。

医療費控除として認められないもの

医療費控除においては、美容整形に関わるもの、人間ドックや健康診断など予防的な医療機関の受診などは認められていません(ただし、人間ドックをきっかけに治療すべき病気が見つかった場合は、例外的に人間ドック費用も医療費控除の対象となります)。

また、公共交通機関などを利用した通院にかかる交通費は基本的に認められていますが、自家用車で通院した場合のガソリン代や駐車場代は認められませんので注意が必要です。このほか、療養にあたって親族に支払った対価なども認められていません。

<医療費控除の対象>

医療費控除の対象 控除の対象に含まれるもの(例示) 控除の対象に含まれないもの(例示)
・医師、歯科医師による診療や治療の対価
・治療のためのあんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師などによる施術の対価
・助産師による分娩の介助の対価
・医師等による一定の特定保健指導の対価
・2012年4月1日以後に支払った介護福祉士等による喀痰吸引等の対価"
・医師等による診療等を受けるために直接必要なもので、次のような費用
・通院費
・入院の対価として支払う部屋代や食事代
・医師等の送迎費
・医療用器具の購入や賃借のための費用
・義手、義足、松葉杖や義歯等の購入の費用
・身体障害者福祉法などの規定により、都道府県や市町村に納付する費用のうち、医師等の診療費用などに当たるもの
・6ヵ月以上寝たきりの人のおむつ代で、その人の治療をしている医師が発行した証明書(「おむつ使用証明書」)のあるもの
・介護保険制度の下で提供される一定の施設・居宅サービスの対価"
・容姿を美化し、容貌を変えるなどの目的で行った整形手術の費用
・健康診断の費用
・自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車料金
・治療を受けるために直接必要としない、近視や遠視のための眼鏡等の購入費用
・保健師や看護師、准看護師による療養上の世話の対価 ・左記以外で、療養上の世話を受けるために特に依頼した人に支払う療養上の世話の対価 ・親族に支払う療養上の世話の対価
・治療や療養に必要な医薬品の購入の対価 ・かぜの治療のために使用した一般的な医薬品の購入費用
・医師等の処方や指示により、医師等による診療等を受けるため直接必要なものとして購入する医薬品の購入費用
・疾病の予防または健康増進のために供されるものの購入費用
・病院、診療所または助産所などへ収容されるための人的役務の提供の対価 ・病状から見て急を要する場合に病院に収容されるための費用 ・親族などから人的役務の提供を受けたことに対し支払う謝礼

参考:
所得から差し引かれる金額(所得控除)を計算する|確定申告に関する手引き等|国税庁

<医療費控除シミュレーション>
年間所得が400万円の個人。医療費控除は、原則どおり10万円を超えた分から適用されます。適用税率は、所得税が20%、住民税が10%となります。

病気で入院並びに通院をすることになり、荷物などを運ぶのに使った自家用車のガソリン代で1,000円、個室で入院するための差額ベッド代で50,000円、入院治療費に15万円、通院でのバス代4,000円、薬局で購入した医薬品に10,000円、疲労回復の栄養ドリンクに2,000円使ったとします。

この場合、ガソリン代と差額ベッド台、栄養ドリンク代は医療費控除の対象に含まれません。その他の費用を足し合わせると、16万4,000円で、医療費控除対象額は64,000円となります。

所得税の節税額:64,000円×20%=12,800円
住民税の節税額:64,000円×10%=6,400円

妊娠や出産、介護サービスに関する医療費控除

治療目的で医療機関を受診した場合でなくても、医療費控除の対象になるものがあります。

・妊娠・出産
定期検診や通院費用のほか、入院中の病院での食事も医療費控除に含めることができます。さらに出産で移動が困難な場合、タクシーを利用した分も医療費控除に含められます。

・介護サービス
単純な医療機関の受診だけでなく、介護サービスでも医療費控除は適用できます。おもな対象となるのは、訪問介護やリハビリテーション、ショートステイなどです。ケースによっては、訪問入浴介護やデイサービスなども対象とすることができます。

「セルフメディケーション税制」とは?

2017年から新たに始まった「セルフメディケーション税制」では、ドラッグストアなどの店頭で市販されている医薬品の購入費用も、医療費控除の対象に含むことができます。
高齢化社会の進展で、健康保険の使用頻度が高まり、政府や自治体の医療関連費用が膨らんでいます。そこで、公的保険制度をできるだけ維持するため、「病院に行かなくても、市販薬で治せる症状は、自分自身で治す」ことを推奨する新たな控除枠が作られたのです。

所得税や住民税が課される個人が、市販の医薬品の購入費用で医療費控除を行うためには、下記の条件を満たす必要があります。

・確定申告者本人が、健康保険組合や勤務先、自治体などが実施する予防接種や健康診断を受けて、確定申告書に領収書を添付していること

・パッケージに「セルフメディケーション 税控除対象」のマークが明記されている特定の医薬品(スイッチOTC医薬品)を、家族内(生計を一にする者)まで含めて、年間12,000円を超えて購入し、確定申告書にレシート・領収書を添付していること

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引用元:日本一般用医薬品連合会

※パッケージにマークがなくても対象医薬品に含まれる場合があります。念のためご確認ください。

参考:
セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)について |厚生労働省

セルフメディケーション税制が適用されると、スイッチOTC医薬品年間購入費の12,000円を超える部分について、その年の総所得金額から控除されます。月平均で1,000円を超えるスイッチOTC医薬品の購入費用が対象となる計算です。なお、買っただけいくらでも控除できるわけではなく、年間88,000円が控除額の上限となります。

<セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)シミュレーション>

その年に所得税率20%、住民税率10%が適用される所得の人が、セルフメディケーション税制対象の医薬品を年間30,000円購入した場合、医療費控除の額は18,000円となります。

所得税の節税額:18,000 × 20% = 3,600円
住民税の節税額:18,000 × 10% = 1,800円

領収書のない交通費は医療費控除できる?

医療費控除には、バスや電車などの公共交通機関での移動費を含めることができますが、領収書が発行されないものも多くあります。領収書のない場合は、いつ、どこの病院への受診でいくら払ったのかを記録しておきましょう。確定申告の明細書に記載する際は、通院のためにかかった交通費として合計金額を記載すれば問題ありません。

確定申告と生命保険料控除

医療費控除において、保険金は差し引かれるとご紹介しましたが、支払った保険料については、生命保険料控除として申請が可能です。
確定申告を行う際は、医療費と同じ所得控除の欄に該当します。生命保険料控除を受ける場合は、保険会社の控除証明書が必要となりますので、併せて用意しておきましょう。

確定申告を簡単に終わらせる方法

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基本情報の入力

事業の基本情報を入力!


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次に、確定申告書を作成する際に必要な情報を入力していきます。年度の取引の最終確認を行った後、◯✕形式で22個質問に答えていきます。

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まとめ

医療費控除は、確定申告が必要でない給与所得者などでも申告することができます。申告する際は、確定申告をすることになりますので、必要な書類は予め準備しておきましょう。なお、医療費における領収書などの証明書は、確定申告時に原本を提出する必要があります。
書類の準備や作成を少しでも簡単に終わらせるためには、最後にご紹介した会計ソフトを活用する方法もおすすめです。こちらの記事を参考に、医療費控除の申請や確定申告をスムーズに行っていただければ幸いです。

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