確定申告の基礎知識

【個人事業主・自営業者向け】確定申告のやり方や注意点、初めてのポイントを解説

監修 北田 悠策 公認会計士・税理士

【個人事業主・自営業者向け】確定申告のやり方や注意点、初めてのポイントを解説

個人事業主や自営業の人は、年間の事業所得が95万円を超えると確定申告が必要です。

確定申告には青色申告と白色申告の2種類があります。それぞれ必要な帳簿や書類が異なり、節税効果にも差があります。

節税を重視する場合は、青色申告の活用が一般的です。ただし、自分に合った方法で正しく確定申告を行うには、事前に必要書類や手続き方法を十分理解しなければなりません。

本記事では、個人事業主が初めて確定申告を行う場合のやり方や注意点、押さえておくべきポイントを詳しく解説します。

目次

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確定申告とは

確定申告とは、1年間の所得金額に応じて所得税を計算し、申告・納税する手続きのことです。

個人事業主は、毎年1月1日から12月31日までの所得から所得税を計算し、翌年2月16日から3月15日までの間に、税務署に対して申告と納税をする必要があります(期限が土日に重なる場合は、翌平日に繰り越されます)。

確定申告のやり方や対象者について知りたい人はこちらの記事からチェック!


▶︎ 確定申告とは?全くわからない人向けに申告の流れ・対象者について解説!

2025年分の確定申告スケジュールは、以下のとおりです。

2025年分の確定申告(2026年申告)スケジュール

  • 2026年2月16日(月)〜2026年3月16日(月)
    ※2026年3月15日が日曜日であるため、月曜日の3月16日が最終期限となります。

個人事業主・自営業者は自分で確定申告が必要?

個人事業主や自営業者は、原則として自分で確定申告を行う必要がありますが、1年間の所得金額によっては不要となる場合があります。

個人事業主・自営業者が確定申告を行う必要があるケースは以下のとおりです。

個人事業主・自営業者で確定申告が必要なケース

  • 1年間の所得金額が95万円を超える場合

※2025年の税制改正により、基礎控除額は一律48万円から、所得に応じて最大95万〜最小58万円へと見直されました。そのため、2025年度以降は所得金額が95万円を超える場合に確定申告が必要です。

出典:国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」

また、給与所得を受け取っている会社員は通常年末調整を行うため確定申告は不要ですが、以下の要件に該当する場合は、確定申告が必要になることがあります。

給与所得者で確定申告が必要なケース

  • 副業の所得(副業が給与所得の場合は給与収入)が20万円を超える場合
  • 給与所得の金額が2,000万円を超える場合
  • 勤務先からの年末調整を受けていない場合
  • 同族会社の役員などで、その会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている場合 など

個人事業主・自営業者で確定申告が不要になる条件

個人事業主・自営業者であっても、以下の条件に当てはまる場合は確定申告が不要です。

個人事業主・自営業者で確定申告が不要なケース

  • 年間の事業所得が95万円以下である場合

2025年の所得分からは、基礎控除が所得に応じて最大95万円に引き上げられたため、確定申告が必要となる基準も95万円となります。合計所得金額が95万円以下なら、課税所得が0円となり、確定申告する必要がありません。

なお、上記に該当し確定申告が不要な場合でも、確定申告を行うことで還付を受けられる場合があります。主なケースとして挙げられるのは以下のとおりです。

確定申告によって還付を受けられるケース

  • 源泉徴収された報酬を受け取っている場合
  • 医療費控除や寄附金控除、住宅ローン控除などを適用する場合 など

上記のケースでは「還付申告」として確定申告を行うことで、納め過ぎた税金が還付される可能性があります。

なお、すでに確定申告を済ませたあとに控除の申告漏れに気づいた場合は「更正の請求」によって税金の還付を求めることが可能です。

還付申告を詳しく知りたい方は、別記事「還付申告とは?対象となるケースや確定申告・年末調整との違いを解説」をあわせてご確認ください。

個人事業主の確定申告方法の種類

個人事業主が行う確定申告の方法には「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。これらは記帳方式・申請条件・税制上の優遇措置などにおいて違いがあります。

青色申告

青色申告とは、書類の事前提出や複式簿記による記帳が必要ですが、税制上の優遇措置が受けられる申告方法です。白色申告と比べて記帳や手続きに手間がかかるものの、メリットの大きい申告方法といえます。

主な青色申告の税制優遇措置として挙げられるのは、以下のとおりです。

青色申告の税制上の優遇措置

  • 最大65万円の青色申告特別控除が受けられる
  • 青色事業専従者給与(家族への給与)を必要経費にできる
  • 純損失の繰越控除が3年間行える
  • 前年分の純損失の繰戻還付が行える
  • 少額減価償却資産の特例等を活用できる など

出典:国税庁「No.2070 青色申告制度」

※複式簿記で帳簿をつけ、期限内に確定申告書および貸借対照表・損益計算書を提出する必要があります。さらに、e-Taxでの電子申告または優良な電子帳簿保存による対応が条件です。

青色申告では、最大65万円の青色申告特別控除により納税額が抑えられるほか、青色事業専従者給与や純損失の繰越し・繰戻しなど、白色申告にはない制度を利用できます。

ただし、青色申告で申告できる所得には制限があります。青色申告で対象となる所得と対象外の所得は、以下のとおりです。

青色申告で対象外の所得

  • 給与所得を始めとした上記以外の所得

なお、青色申告を詳しく知りたい方は、別記事「青色申告とは?白色申告との違いや確定申告のやり方をわかりやすく解説」をあわせてご確認ください。

青色申告のメリット・デメリット

青色申告の主なメリット・デメリットは、以下のとおりです。

メリットデメリット
・最大65万円の特別控除を受けられる
・赤字を3年間繰り越せる
・家族への給与を経費にできる など
・事前の申請が必要
・複式簿記での記帳が必要
・給与所得などは青色申告の対象外 など

青色申告の最大のメリットは、最大65万円の青色申告特別控除を受けられる点です。課税対象となる所得を大幅に控除でき、所得税や住民税の節税に直結します。

また、事業で赤字が出た場合にその損失を翌年以降3年間繰り越せる「純損失の繰越控除」や、家族に支払った給与を経費にできる「青色事業専従者給与」の特例などがメリットです。

一方、最大65万円の青色申告特別控除を受けるには、複式簿記による記帳が必要な点は、デメリットです。

また、事業開始の年や青色申告へ切り替える年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があり、事前の準備が求められます。

青色申告が向いている人

青色申告は、以下のような人に向いています。

青色申告が向いている人

  • 節税を意識して行いたい人
  • 長期的に事業を継続する予定がある人
  • 赤字が出る年と黒字の年を相殺したい人 など

青色申告には最大65万円の特別控除があり、家族への給与を「専従者給与」として経費計上できるなど、白色申告に比べて控除や経費の適用範囲が広いため、節税を重視する人に適しています。

また、事業で発生した赤字を翌年以降の黒字と相殺できるため、計画的に事業を運営したい人や、収入の変動が大きい自営業者にとって有利な選択肢です。

白色申告

白色申告とは、簡易簿記による記帳で確定申告を行う、比較的手間の少ない申告方法です。

事前に税務署への承認手続きが不要なため、青色申告に比べて経理にかかる手間や負担を大幅に軽減できます。

特別控除は受けられませんが、確定申告書と収支内訳書を作成するだけで申告できる点が大きなメリットです。

なお、白色申告を詳しく知りたい方は、別記事「白色申告とは?青色申告との違いやメリット・やり方を解説」をあわせてご確認ください。

白色申告のメリット・デメリット

白色申告の主なメリット・デメリットは、以下のとおりです。

メリットデメリット
・記帳方法が簡単
・事前の申請が不要
・青色申告のような税制上の優遇措置がない

白色申告の最大のメリットは、事前の申請が不要であることと、帳簿付けが比較的簡単である点です。青色申告を始める年の3月15日まで(期限が休日の場合は翌平日)までに青色申告の申請をしなければ、その年は白色申告となります。

帳簿の記帳は、日々の収入と支出を記録するシンプルな「単式簿記」でよいため、取り組みやすいです。

一方、白色申告は、青色申告で受けられる最大65万円の特別控除や赤字を翌年に繰り越せる制度など、税制上の優遇措置がありません。また、家族への給与を経費にできる金額にも上限があるため、節税効果は青色申告に比べて限定的です。

なお、かつては帳簿作成の義務がありませんでしたが、2014年以降は、白色申告者にも記帳と帳簿の保存が義務化されました。そのため、現在は節税効果の高い青色申告を選択する個人事業主が増加傾向にあります。

白色申告が向いている人

白色申告は、以下のような人に向いています。

白色申告が向いている人

  • 申告を簡単に済ませたい人
  • 事業規模が小さい人
  • 青色申告の申請期限に間に合わなかった・間に合わない人 など

白色申告は単式簿記による帳簿で済むため、複雑な経理に自信がない人や申告作業に手間をかけたくない人に適しています。また、事業を始めたばかりで売上や経費の規模が小さい人にも向いています。

また、青色申告の申請には事前の届出と期限があるため、申請時期に間に合わなかった場合や、急な開業で準備が整っていない場合には、まず白色申告から始めるのも現実的な選択肢です。

青色申告と白色申告の違い

青色申告と白色申告の主な違いをまとめると、以下のとおりです。

青色申告白色申告
概要税制上の優遇措置を受けられる申告納税制度税制上の優遇措置はないが、比較的簡易な手続きで行える申告納税制度
記帳方式複式簿記
※控除額によっては簡易(単式)簿記も可
簡易(単式)簿記
条件その年の3月15日まで(その年の1月16日以降に開業したときは開業後2ヶ月以内)に「青色申告承認申請書」を所管の税務署に提出なし
※青色申告の条件を満たせない場合は、白色申告となる
対象者不動産所得・事業所得・山林所得があり、青色申告の承認を受けた人青色申告の承認を受けていない・申請していない人
必要書類・確定申告書
・青色申告決算書
・本人確認書類
・各種控除申請書
・銀行口座がわかるもの など
・確定申告書
・収支内訳書
・本人確認書類
・各種控除申請書
・銀行口座がわかるもの など
メリット・最大65万円の特別控除を受けられる
・赤字を3年間繰越できる
・家族への給与を経費にできる など
・記帳方法が簡単
・事前の申請は不要
デメリット・事前の申請が必要
・複雑な記帳を求められる
・税制上の優遇措置が受けられない
出典:国税庁「No.2070 青色申告制度」

両者の大きな違いは、記帳方式です。青色申告で最大65万円の控除を受けるには複式簿記での記帳が必要ですが、白色申告は簡易簿記による記帳で申告できます。

なお、青色申告と白色申告の違いを詳しく知りたい方は、別記事「確定申告は青色申告と白色申告の2種類!それぞれのメリット・デメリットをわかりやすく解説」をご覧ください。

個人事業主の確定申告に必要な書類

確定申告で必要な書類には、青色申告と白色申告の両方で共通するものと、それぞれ特有のものがあります。以下では、申告方法ごとの必要書類を解説します。

出典:国税庁「確定申告書等の様式・手引き等(令和6年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告分)」

青色申告を行う場合の必要書類

青色申告で必要な書類は以下のとおりです。

青色申告で必要な書類

  • 確定申告書
  • 青色申告決算書※内訳は以下
  • 本人確認書類(マイナンバーカードなど)
  • 銀行口座がわかるもの
  • 医療費控除の明細書
  • 社会保険料控除などの関係書類
  • 住宅借入金控除などの関係書類 など

青色申告決算書の内訳】


  • 損益計算書
  • 「売上」「仕入」に関する内訳を記入する書類
  • 「減価償却」に関する内訳を記入する書類
  • 貸借対照表

出典:国税庁「〔令和6年分 所得税及び復興特別所得税の確定申告の手引き〕申告書に添付・提示する書類」

なお、青色申告で確定申告を行う場合は、青色申告を行う年の3月15日まで(その年の1月16日以降に開業したときは開業後2ヶ月以内)に税務署へ「開業届」と「所得税の青色申告承認申請書」を提出します。

開業届を詳しく知りたい方は別記事「開業届とは?書き方や提出に必要なもの、提出のメリット・注意点を解説」をご覧ください。

白色申告を行う場合の必要書類

白色申告で行う確定申告の必要書類は、以下のとおりです。

白色申告で必要な書類

  • 確定申告書
  • 収支内訳書
  • 本人確認書類(マイナンバーカードなど)
  • 銀行口座がわかるもの
  • 医療費控除の明細書
  • 社会保険料控除などの関係書類
  • 住宅借入金控除などの関係書類 など

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個人事業主の確定申告のやり方と手順

個人事業主が確定申告を行う際の流れは、以下のとおりです。

個人事業主の確定申告の流れ・手続きの手順

  1. 開業届を提出する
  2. 確定申告書を作成し必要書類を準備する
  3. 確定申告書と必要書類を提出する

なお、確定申告の流れは、別記事「確定申告のやり方をわかりやすく解説!個人事業主や会社員が自分でやるには?」もあわせてご確認ください。

①開業届を提出する

新たに事業所得・不動産所得・山林所得のいずれかを得る事業を開始した人は、開業日から1ヶ月以内に開業届の提出が必要です。開業届を提出することで、正式に個人事業主として扱われます。

青色申告を希望する場合は、原則として確定申告を行う年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を税務署に提出しなければなりません。

なお、その年の1月16日以後に新たに事業を開始または不動産の貸付けを始めた場合は、業務開始日から2ヶ月以内が提出期限です。

青色申告承認申請書の提出が間に合わなかった場合、その年の確定申告は白色申告で行います。

開業届について詳しく知りたい方は、別記事「開業届とは?書き方や提出に必要なもの、提出のメリット・注意点を解説」を確認しておきましょう。

②確定申告書を作成し必要書類を準備する

確定申告書の作成に取りかかる前に、1年分の帳簿を確認し、収入や経費などの収支内容を整理します。

この内容をもとに、青色申告の場合は青色申告決算書に、白色申告の場合は収支内訳書に記入し、最後に確定申告書を作成するとスムーズです。

確定申告は、原則として所得があった年の翌年の3月15日が期限です。社会保険料控除・生命保険料控除など、適用を受ける予定の控除がある場合は、控除証明書などを事前に用意しておきましょう。

医療費や生命保険料の控除証明書は、確定申告前の時期に自宅へ送付されるのが一般的です。

③確定申告書と必要書類を提出する

確定申告書と必要書類が用意できたら、所轄の税務署へ提出します。提出方法は以下の3つです。

確定申告の提出方法

  • 税務署へ直接持参して提出
  • 税務署へ郵送
  • e-Tax(電子申告)によるオンライン提出

青色申告特別控除の最大額65万円を受けるには、e-Taxによる電子申告または優良な電子帳簿保存が必須条件となります。

e-Taxについて詳しく知りたい方は、別記事「e-Tax(電子申告)で確定申告をするやり方とは?スマホでの流れや必要書類を解説」をあわせてご確認ください。

個人事業主の確定申告書の作成方法

個人事業主が確定申告書を作成する方法は、主に以下の5つが挙げられます。

個人事業主の確定申告書の作成方法

  • 確定申告ソフトで作成する
  • 確定申告書等作成コーナーで作成する
  • e-Taxで作成する
  • 書面(手書き)で作成する
  • 税理士に依頼して作成する

なお、確定申告書の作成方法は、別記事「【令和版】確定申告書等作成コーナーを使いこなそう!利用方法から申告まで」もあわせてご確認ください。

確定申告ソフトで作成する

確定申告ソフトを利用して作成する場合は、納税額の自動計算が可能です。また、銀行口座やクレジットカードと連携でき、領収書をスマートフォンで読み込むことも可能なため、日常の取引を自動的に記帳できる点が大きなメリットです。

作成した確定申告書はそのままオンラインで申請できるため、効率的に済ませたい場合は、確定申告ソフトの利用が有効です。

確定申告書等作成コーナーで作成する

国税庁が提供する「確定申告書等作成コーナー」では、オンラインで確定申告書を作成できます。納税額の自動計算にも対応しているため、案内にしたがって情報を入力するだけで、納税額が自動で算出されます。

また、誰でも無料で使用できる点も大きなメリットです。費用をかけずに手軽に作成したい場合は、確定申告書等作成コーナーを利用しましょう。

出典:国税庁「確定申告書等作成コーナー」

e-Taxで作成する

e-Taxでは、申告だけでなく確定申告書の作成もできます。また、確定申告ソフトなどで作成したデータを取り込み、申告のみを行うことも可能です。

e-Taxでの確定申告書の作成方法を詳しく知りたい方は、「e-Tax(電子申告)で確定申告をするやり方とは?スマホでの流れや必要書類を解説」をご確認ください。

出典:e-Tax「国税電子申告・納税システム」

書面(手書き)で作成する

税務署などで配布されている紙の確定申告書を利用すれば、書面(手書き)での作成が可能です。パソコン操作が苦手で手書きで済ませたい人や、取引件数が少ない人に向いています。

確定申告書を紙で入手する方法は、主に以下のとおりです。

確定申告書を紙でもらう方法

  • 国税庁のWebサイトからダウンロードする
  • 税務署の窓口で直接もらう
  • 税務署から郵送してもらう
  • 確定申告ソフトやアプリからダウンロードする
  • 確定申告相談会場で直接もらう

なお、確定申告書のもらい方を詳しく知りたい方は、別記事「確定申告書はどこでもらえる?書き方や注意点もわかりやすく解説」をあわせてご確認ください。

税理士に依頼して作成する

確定申告の作業は、全て税理士に依頼することもできます。費用がかかりますが、確定申告の手間を削減できることに加え、経費や節税について専門的な相談ができる点は大きなメリットです。

確定申告が正しくできているか不安な場合や、確定申告の手間を省くことに費用以上のメリットを感じる場合は、税理士への依頼を検討しましょう。

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個人事業主が確定申告する際の注意点

個人事業主は確定申告を自分で行わなければなりません。確定申告する際の注意点は以下のとおりです。

個人事業主が確定申告する際の注意点

  • 経費として取り扱える項目と取り扱えない項目がある
  • 確定申告をしないとペナルティが生じる
  • 所得税の確定申告が不要でも住民税の申告が必要
  • 会社員の副業でも確定申告が必要なケースがある

経費として取り扱える項目と取り扱えない項目がある

所得税は、収入から必要な経費を差し引くことで算出します。経費は事業との関連性があるかどうかで判断され、収入を得るために必要な費用が「必要経費」として認められます。

具体的には、商品を仕入れた代金・消耗品費・旅費・交通費などが経費の対象です。ほかにも、自宅をオフィスとして使用する場合は、家賃・水道光熱費・通信費なども家事按分を行ったうえで経費として計上できます。

経費を正しく計上し申告することで、課税所得が減り、税金の負担を軽減できます。

出典:国税庁「No.2210 必要経費の知識」

経費について詳しく知りたい方は、別記事「経費とは?計上できる費用や税金との関係をわかりやすく解説」をあわせてご確認ください。

確定申告をしないとペナルティが生じる

確定申告が必要であるにもかかわらず行わない場合、「無申告加算税」や「延滞税」などのペナルティが課されます。

無申告加算税とは、確定申告が期限後申告となる場合に課される附帯税です。税率は、納付すべき税額や期限後申告のタイミングによって、5~30%の範囲で変動します。

納付すべき税額税率(税務調査後)税率(税務調査の事前通知後)税率(税務調査の事前通知前)
50万円以下の部分15%10%5%
50万円超300万円以下の部分20%15%
300万円超の部分30%25%
出典:国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」

延滞税とは、納付期限までに納税しなかった場合に課税される附帯税です。期限の翌日から納付する日までの日数に応じて、利息に相当する金額が課されます。延滞税の割合は、国税庁のWebサイトにある「延滞税の割合」を参考にしてください。

ほかにも、重加算税が課せられたり、青色申告が取り消されたりする可能性もあります。

【関連記事】
確定申告しないとどうなる?デメリットと対処法を解説
無申告課税とは?確定申告の期日が遅れたらペナルティも発生?

出典:国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」
出典:国税庁「延滞税の割合」

所得税の確定申告が不要でも住民税の申告が必要

2025年分以降、事業所得や不動産所得が95万円以下※の場合は、確定申告を行う必要はありません。しかし、確定申告が不要でも、原則として住民税の申告は必要です。

なお、確定申告を行う場合は、税務署から市区町村へ情報が共有されるため、住民税の申告を別途行う必要はありません。

また、青色申告を行っている個人事業主は、赤字の年であっても確定申告を行うのが望ましいです。

青色申告には、赤字を翌年以降3年間にわたって繰り越せる優遇措置があります。赤字の年に確定申告しておけば、黒字になった年の所得と相殺できます。

赤字の確定申告では、事業所得欄の冒頭に「△」を付け、マイナス金額であることを明示してください。

※2025年の所得分の確定申告からは、基礎控除の引き上げにより95万円が基準となります。

なお、住民税の申告について詳しく知りたい方は、別記事「住民税申告とは?確定申告との違いや申告書の提出方法・期限などを解説」をあわせてご確認ください。

会社員の副業でも確定申告が必要なケースがある

会社員の副業では、所得金額が20万円を超えると確定申告が必要になります。

会社員の場合、収入が会社からの給与のみであれば、給与から所得税が源泉徴収され、年末調整によって所得税の過不足が精算されるため、確定申告は不要です。

なお、会社員の副業の確定申告を詳しく知りたい方は、別記事「副業は確定申告が必要?申告のやり方・必要書類をわかりやすく解説」をあわせてご確認ください。

個人事業主や自営業の人が初めて確定申告する際のポイント

個人事業主や自営業者が初めて確定申告する際の主なポイントは、以下のとおりです。

初めて確定申告する際のポイント

  • 確定申告の義務があるかどうかを確認する
  • 開業届と青色申告承認申請書の提出期限を守る
  • 自身に合った申告・提出方法を選ぶ
  • 帳簿は適切に保管する など

個人事業主や自営業者が初めて確定申告をする際のポイントは、まず自分に確定申告の義務があるかどうかを確認することです。

開業届は期限内に提出し、青色申告を希望する場合は「青色申告承認申請書」も事前に提出しておきましょう。

青色申告と白色申告のどちらが適切かは、収入や会計知識の有無によって異なります。提出方法も持参・郵送・オンラインから選べるため、自身に合った方法を選択してください。

また、日々の取引は、単式簿記または複式簿記で正確に記録し、帳簿として保存する義務があります。確定申告後も紛失しないよう適切に保管しましょう。

確定申告の必要書類や添付書類を詳しく知りたい方は、別記事「【2025年向け】確定申告の必要書類・添付書類は?準備するものをケース別にわかりやすく解説」をあわせてご確認ください。

まとめ

個人事業主で事業所得が95万円を超える人は、事業で得た売上や経費などを確定申告する必要があります。

確定申告の方法は青色申告と白色申告の2種類です。節税効果を重視する場合は、特別控除や赤字繰越などの税制優遇を受けられる青色申告の活用が有効です。

申告・納税期限や必要書類など、確定申告では押さえておくべきポイントが多くあるため、制度の概要を理解し、余裕をもって準備を進めましょう。

また、確定申告をスムーズかつ効率的に行うために、会計ソフトの活用も有効です。

確定申告をかんたんに終わらせる方法

確定申告の期間は1ヶ月です。それまでに正確な内容の書類を作成し、申告・納税しなければいけません。

ほかにも、青色申告の場合に受けられる特別控除で、最大65万円を適用するためにはe-Taxの利用が必須条件であり、はじめての人には難しい場面が増えることが予想されます。

そこでおすすめしたいのが、確定申告ソフト「freee会計」の活用です。

freee会計は、〇✕形式の質問で確定申告に必要な書類作成をやさしくサポートします。また、所得額や控除額の計算は自動で行ってくれるため、計算・入力ミスの削減できるでしょう。
ここからは、freee会計を利用するメリットについて紹介します。

1.銀行口座やクレジットカードは同期して自動入力が可能!

確定申告を行うためには、1年間のお金にまつわる取引を正しく記帳しなければなりません。自身で1つずつ手作業で記録していくには手間がかかります。

freee会計では、銀行口座やクレジットカードの同期が可能で、利用した内容が自動で入力されていきます。

日付や金額を自動入力するだけでなく、勘定科目も予測して入力してくれるため、日々の記帳がほぼ自動化でき、工数削減につながります。

freee会計 管理画面イメージ4

2.現金取引の入力もカンタン!

会計ソフトでも現金取引の場合は自身で入力し、登録しなければなりません。

freee会計は、現金での支払いも「いつ」「どこで」「何に使ったか」を家計簿感覚で入力できるので、毎日手軽に帳簿付けが可能です。

自動的に複式簿記の形に変換してくれるため、会計処理の経験がない人でも正確に記帳ができます。

freee会計 管理画面の例1

さらに有料プランでは、チャットで確定申告について質問ができるようになるので、わからないことがあったらすぐに相談できます。また、オプションサービスには電話相談もあるので、直接相談できるのもメリットの1つです。

freee会計の価格・プランについてはこちらをご覧ください。

3.〇✕形式の質問に答えるだけで各種控除や所得税の金額を自動で算出できる!

各種保険やふるさと納税、住宅ローンなどを利用している場合は控除の対象となり、確定申告することで節税につながる場合があります。控除の種類によって控除額や計算方法、条件は異なるため、事前に調べなければなりません。

freee会計なら、質問に答えることで控除額を自動で算出できるので、自身で調べたり、計算したりする手間も省略できます。

freee会計 管理画面の例2

4.確定申告書を自動作成!

freee会計は取引内容や質問の回答をもとに確定申告書を自動で作成できます。自動作成した確定申告書に抜け漏れがないことを確認したら、税務署へ郵送もしくは電子申告などで提出して、納税をすれば確定申告は完了です。

また、freee会計はe-Tax(電子申告)にも対応しています。e-Taxからの申告は24時間可能で、税務署へ行く必要もありません。青色申告であれば控除額が10万円分上乗せされるので、節税効果がさらに高くなります。

e-Tax(電子申告)を検討されている方はこちらをご覧ください。

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余裕をもって確定申告を迎えるためにも、ぜひfreee会計の利用をご検討ください。

よくある質問

個人事業主や自営業者は確定申告が必要?

個人事業主や自営業者は、原則として確定申告が必要です。しかし、基礎控除が適用される事業所得が95万円以下の場合は、確定申告を行う必要はありません

詳しくは記事内「確定申告とは」をご覧ください。

※2025年12月1日より税制が変わり、基礎控除の金額は最大48万円から、所得に応じて最大95万円に変更となります。

出典:国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」

個人事業主や自営業者はいくら稼いだら確定申告が必要?

個人事業主や自営業者は、事業によって得た収入から必要経費や各種控除を差し引いて、年間の事業所得が95万円を超える場合に確定申告が必要です。

詳しくは、記事内「個人事業主・自営業者は自分で確定申告が必要?」をご覧ください。

個人事業主が経費として申告できるものは?

個人事業主は、事業のための支出を経費として計上できます。対象となる主な支出は、仕入れ代金・交際費・旅費交通費・通信費・オフィスの家賃などです。

詳しくは記事内「経費として取り扱える項目と取り扱えない項目がある」をご覧ください。

監修 北田 悠策(きただ ゆうさく)

神戸大学経営学部卒業。2015年より有限責任監査法人トーマツ大阪事務所にて、製造業を中心に10数社の会社法監査及び金融商品取引法監査に従事する傍ら、スタートアップ向けの財務アドバイザリー業務に従事。その後、上場準備会社にて経理責任者として決算を推進。大企業からスタートアップまで様々なフェーズの企業に携わってきた経験を活かし、株式会社ARDOR/ARDOR税理士事務所を創業。

北田 悠策

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