確定申告の基礎知識

業務委託とは?請負・委任・派遣との違いやメリット・デメリット・注意点を解説

監修 松浦 絢子(弁護士)

監修 大柴良史 社会保険労務士・CFP

業務委託とは?請負・委任・派遣との違いやメリット・デメリット・注意点を解説

業務委託とは、正社員・契約社員のように雇用契約を結ばず、外部の企業や個人事業者に業務を依頼することを指します。

受注側としては、強みのある分野で柔軟性のある働き方ができることがメリットです。また、発注側も専門知識やスキルをもつ人材に依頼をしたり、ノンコア業務を委託して従業員をコア業務に集中させたりできるメリットがあります。

本記事では、業務委託とほかの働き方との違いやメリット・デメリット、業務委託として働くうえでの手順を解説します。

目次

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業務委託とは

業務委託とは、正社員・契約社員のように雇用契約を結ばず、外部の企業や個人事業者に業務を委託する契約形態のことです。

以下では、業務委託の働き方や契約の種類、そのほかの契約との相違点を紹介します。

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業務委託の働き方

業務委託は、企業と雇用関係を結ばず、特定の業務を受託する働き方です。

報酬は、業務委託契約書の当事者が定める条件次第ですが、成果物の納品ごとに支払われる「成果報酬型」を採用する事業者が多い傾向にあります。

業務委託で働くと個人事業主になる?

業務委託を含め、個人として継続的に事業収入を得る場合は、個人事業主に該当します。

個人事業主とは、法人を設立せず個人で事業を営む事業者を指す言葉です。業務委託を通じて個人で継続的に事業を行う場合も、個人事業主の定義に当てはまります。

業務委託として個人で事業を行う場合は、税務署に開業届を提出し、個人事業主として開業する手続きが必要です。開業届は、開業から1ヶ月以内に提出します。

出典:国税庁「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」

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業務委託の種類

業務委託における民法上の契約類型としては、請負契約・委任契約の2種類があります。以下では、2つの契約形態を解説します。

請負契約

請負契約は、成果物があらかじめ決まっており、受託者が期日どおりに依頼を完成させることを条件として報酬が支払われる契約です。

請負契約の特徴

  • 一定の成果を上げることがゴールとなる契約
  • 成果物の内容・期限が決まっている
  • 成果物の要件定義を定め、基準に満たないものに関しては修正・再納品が必要となる

委任契約

委任契約は、委託内容が法律行為の遂行または遂行による成果に応じて報酬が発生する契約です。

たとえば、弁護士への訴訟代理依頼・税理士への決算書作成依頼・司法書士への不動産登記依頼は、全て委任契約になります。

委任契約の特徴

  • 成果物の納品ではなく業務を遂行すること自体によって報酬が発生する契約
  • 期間が指定されるが、業務遂行場所は指定されないこともある
  • 成果ではなく、善管注意義務(善良な管理者の注意義務)に基づく業務遂行が求められる
  • 法律事務以外の業務を受託する「準委任契約」が大半である

なお、「準委任契約」となるのは、非法律行為の遂行(エンジニアへのシステム開発依頼、デザイナーへのロゴ制作依頼など)です。

委任契約・準委任契約の詳細や主な業務例に関しては、以下の記事を参考にしてください。

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準委任契約とは?他の契約形態との違いや種類、締結時の重要確認事項について解説

ほかの契約形態・働き方との違い

業務委託のほかに、「雇用契約」「派遣契約」などの契約形態があります。また、業務委託と類似する用語として、「フリーランス」「アウトソーシング」という言葉があります。

「業務委託」と「雇用契約」の違い

業務委託と雇用契約の違いは、雇用関係の有無です。

業務委託(準委任契約を除く)では、成果物や契約期間内の業務遂行状況に応じて報酬が支払われますが、雇用契約は企業と雇用契約を結び、所定の給与が支払われます。

正社員・契約社員・パート・アルバイトとして働く場合は、雇用契約を会社と結ぶため、「労働者」として雇用主の指揮命令にしたがって働き、労働法令による保護を受けることができます。

一方、業務委託契約の場合は、原則として労働者扱いにならないため、指揮命令を受けない代わりに基本的には労働法令の保護がありません。ただし、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(いわゆるフリーランス法)は適用されます。

「業務委託」と「派遣契約」の違い

業務委託と派遣契約は、社外の人に業務を任せるという点では同じですが、「指揮命令権」と「報酬の対象」に違いがあります。

派遣契約の場合、派遣先企業には労働者に対する指揮命令権があります。そのため、派遣労働者は、業務の進め方について派遣先企業から指定を受け、社内ルールを遵守することが必要です。

また、派遣契約では、派遣労働者の報酬は事前に合意した条件に応じて派遣会社から支払われることが一般的です。

一方、業務委託は、業務の進め方は受託者の裁量に任されており、業務を委託した企業に指揮命令権はありません。報酬に関しても、準委任契約を除き、成果物に対して報酬が支払われる請負契約が一般的です。

【関連記事】
労働者派遣契約とは?業務委託契約との違いと契約書作成時の注意点について解説

「業務委託」と「フリーランス」の違い

フリーランスとは、組織や団体に所属せず個人で仕事を受注する働き方のことです。

フリーランスは主に働き方を指す概念であり、契約形態を示す業務委託とは意味が異なります。

業務委託は、フリーランスとして働く際に用いられる取引先との代表的な契約形態のひとつです。

【関連記事】
フリーランスとは?定義や仕事の種類、働き方ついてわかりやすく解説

「業務委託」と「アウトソーシング」の違い

アウトソーシングとは、業務の一部を外部の企業や個人に委託することです。企業の経営資源をコア業務に集中させ、業務や経営の効率化を図るための手段として活用されます。

アウトソーシングは経営上の施策であり、その具体的な手法のひとつに業務委託があります。

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アウトソーシングとは?導入メリットや注意点をわかりやすく解説

業務委託として働くメリット

業務委託として働くことで、以下3つのメリットが期待できます。

業務委託として働くメリット

  • 自由な働き方ができる
  • 自身の得意分野の業務を行える
  • 業務内容によっては高い報酬が期待できる

自由な働き方ができる

業務委託は働く場所・時間などを自身で調整できるため、働きやすい環境を自ら構築できます。

ワークライフバランスを意識して業務量を調整したり、稼働時間の配分を自ら決めることで複数の企業と業務委託契約を結んだりすることも可能です。

自身の得意分野の業務を行える

業務委託は、自ら案件を探し得意分野に特化した仕事を受注できるため、高いスキルを活かして働くことができます。

得意分野や専門スキルを活かせる仕事のみを受託することや、自分にとって理想的な環境をもつ企業に絞って契約することも可能です。

業務内容によっては高い報酬が期待できる

業務委託では、専門性の高い人材を募集している企業もあります。専門性の高い業務を担当できれば、企業に所属して働くよりも高い報酬が期待できるでしょう。

ただし、その分野での十分なスキルや実績がない場合は、契約に至らないこともあります。

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業務委託として働くデメリット

業務委託という働き方には、メリットだけでなくデメリットもあります。主なデメリットは以下のとおりです。

業務委託として働くデメリット

  • 原則として労働基準法・雇用保険・労災保険は適用されない
  • 収入が安定しない可能性がある
  • 経理業務や確定申告などを自身で行う必要がある

原則として労働基準法・雇用保険・労災保険は適用されない

労働基準法その他の労働関係法令は、「雇用契約を結んだ労働者」に適用される法律です。

一般的な業務委託契約(請負契約や(準)委任契約)に基づいて、受託者が自己の裁量で業務を行っている場合は、労働基準法上の「労働者」には該当しないのが通常です。

そのため、最低賃金の保証や残業代の支給など、労働者としての保護は原則として受けられません。

また、労働基準法と同様の理由から、雇用保険・労災保険(特別加入ができる場合などを除く)・厚生年金・健康保険に原則として加入できない点もデメリットです。

なお、従業員を使用しない個人事業主や、一人会社の代表者が業務委託の相手方として業務を受託する場合で、一定の要件を満たすときは、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(いわゆるフリーランス法)の保護対象となります。

収入が安定しない可能性がある

業務委託は「最低賃金」など経済的な保護がないため、収入が不安定になる可能性があります。業務委託で収入を得るには、自身で営業して仕事を獲得する必要があるためです。

一方、専門性の高い仕事を継続的に受注できれば、安定して高収入を得ることが可能です。

経理業務や確定申告などを自身で行う必要がある

雇用契約を結んで働く場合、経理業務や確定申告は企業側が源泉徴収や年末調整によって代行するのが一般的です。一方、業務委託の場合は、経理業務や確定申告の手続きを全て自身で行う必要があります。

そのため、日々の業務とは別に、事務作業のための時間も自身で確保しなければなりません。

業務委託を依頼する側(発注者)にはどんなメリットがある?

業務委託を依頼する「発注者側」としての主なメリットは、以下のとおりです。

業務委託を依頼する発注者側としてのメリット

  • 専門知識やスキルをもつ人材に依頼できる
  • 育成にかかるコストを削減できる
  • 従業員がコア業務に集中できる

業務委託であれば、特定の専門知識やスキルをもつ人材に、必要なタイミングで業務を依頼することが可能です。育成にかかる手間やコストが不要なため、即戦力として業務を任せることができます。

また、売上に直接関係しないノンコア業務を業務委託することで、社員をコア業務に集中させることが可能です。

企業側が業務委託を利用するメリットは、「企業側が業務委託を利用するメリットとデメリットとは?依頼する際の注意点も解説」で詳しく紹介しています。

業務委託で働く・依頼するときの注意点

業務委託で仕事を受注・依頼する際は、以下のような点がトラブルの原因となり得ます。

業務委託で働く/依頼するときの注意点

  • 納期・支払いにおける認識の違い
  • 修正対応における責任の所在が曖昧
  • 委託先の契約不履行
  • 機密情報の漏えい

納期・支払いや修正対応などを含め、依頼内容や契約に曖昧な点があると、トラブルの原因となる可能性があります。発注書や契約書の形で書面に残すなど、依頼や契約内容を明文化しておくことが有効な対策です。

また、特に発注側にとっては、契約不履行や情報漏えいのリスクも存在します。契約不履行では、訴訟や損害賠償請求を含む対応方法を契約書に定めておくなど、事前に対策しておきましょう。

そのほか、事前にNDA(機密保持契約書)を締結することで、情報漏えいのリスクを軽減できます。

業務委託でよくあるトラブル事例は、「業務委託でよくあるトラブル事例を紹介!契約時の注意点と回避するための対策とは」で詳しく紹介しています。

業務委託として働く手順

業務委託として働くには、まず業務委託の仕事を募集する企業を探す必要があります。その後、企業に連絡・応募し、業務委託契約を結ぶことで業務を開始できます。

以下では、業務委託として働く手順の詳細を解説します。

①業務委託の仕事を探す

業務委託の仕事を探すには、まず業務委託の人材を募集している企業を探さなければなりません。

求人サイトを活用して業務委託契約の求人を探し、応募して面談に進みましょう。

また、SNSを活用して探すことも有効です。たとえば、Webライターであれば、X(旧Twitter)で「#ライター 募集」と検索するだけで、募集しているユーザーを見つけ出すことができます。DMで連絡を取り、業務の詳細や採用条件を確認しましょう。

そのほか、案件マッチングサービスの利用や知人の紹介も、業務委託の仕事を探す方法として有効です。自身に適した探し方を選び、複数の手段を並行して活用しましょう。

②業務委託契約を結ぶ

業務委託の人材を募集する企業とマッチしたら、業務委託契約を結びましょう。業務委託として契約を結ぶ際は「業務委託契約書」が必要です。

業務委託契約書とは、業務の委託にあたり、受託者が把握すべき業務内容や条件を明文化した書類です。

契約書の作成は法的に義務ではありませんが、書面で契約を交わさず、口頭やオンラインのやり取りだけで済ませると、後々トラブルの原因になる可能性があります。

また、業務委託契約書を作成して締結することで以下の内容も明確になり、トラブルの予防につながります。

業務委託契約書を結ぶことで把握できる内容

  • 契約不適合責任の期間
  • 有効期限・中途解約
  • 管轄裁判所

なお、フリーランスに対して業務委託する場合は、義務として取引条件を明示しなければなりません。

業務委託契約書に関するポイントや注意点は、以下の記事でも詳しく解説しています。

【関連記事】
業務委託契約とは?フリーランスとの違いや契約の種類、締結の流れなどを分かりやすく解説
業務委託契約書とは?具体的な書き方や契約書作成時の注意点などについてわかりやすく解説

業務委託で働く場合の税金

業務委託として働く場合、確定申告を行うため、自身で税額を計算し、納付まで行います。個人事業主の場合、具体的には以下の税金の支払いが必要になることがあります。

業務委託で働く場合の税金

  • 所得税・復興特別所得税
  • 住民税
  • 消費税
  • 個人事業税

また、税金のほか、国民年金・国民健康保険などの社会保険も自己負担です。会社員のように給与から天引きされるのではなく、自身で納付書・口座振替などを通じて支払う必要があります。

【関連記事】
個人事業主なら知っておきたい!納める税金と社会保険の種類
所得税だけじゃない!個人事業主が納める税金の種類とは?

まとめ

業務委託は、雇用契約を結ぶ場合よりも自由度が高く、ワークライフバランスの充実やより高い報酬の獲得が期待できる働き方です。

理想の働き方を実現するためにも、特徴やメリット・デメリットを把握しましょう。

また、発注側も業務委託を活用することで、専門的な知識やスキルをもつ人材に業務を依頼したり、ノンコア業務を外部に委託して従業員をコア業務に集中させたりできます。

双方にとって柔軟で効率的な関係を築ける点が、業務委託の大きなメリットです。

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よくある質問

業務委託とは

業務委託とは、正社員・契約社員のように雇用契約を結ばず、外部の企業や個人事業者に業務を委託する契約形態のことです。

詳しくは記事内「業務委託とは」をご覧ください。

業務委託とアルバイトの違いは?

業務委託とアルバイトの違いは、雇用契約の締結の有無です。アルバイトをはじめ、正社員・契約社員・パートで働く場合は、企業と雇用契約を結びますが、業務委託では雇用関係を結ばず、成果物の納品や業務遂行に対して報酬が支払われます。

詳しくは記事内「「業務委託」と「雇用契約」の違い」をご覧ください。

請負と委託の違いは?

請負契約は、成果物が決まっており、請負者が期日どおりに依頼を完成させることで報酬の支払いが発生する契約です。

一方、業務委託契約は請負契約に類似するものと委任契約・準委任契約に類似するものがあります。業務委託契約は、民法上定められた典型的な契約類型ではないため、契約条件は委託者との交渉次第です。

詳しくは記事内「業務委託の種類」をご覧ください。

監修 松浦 絢子弁護士

松浦綜合法律事務所代表。京都大学法学部、一橋大学法学研究科法務専攻卒業。東京弁護士会所属(登録番号49705)。法律事務所や大手不動産会社、大手不動産投資顧問会社を経て独立。IT、不動産、相続、金融取引など幅広い相談に対応している。さまざまなメディアにおいて多数の執筆実績がある。

松浦 絢子弁護士

監修 大柴 良史(おおしば よしふみ) 社会保険労務士・CFP

1980年生まれ、東京都出身。IT大手・ベンチャー人事部での経験を活かし、2021年独立。年間1000件余りの労務コンサルティングを中心に、給与計算、就業規則作成、助成金申請等の通常業務からセミナー、記事監修まで幅広く対応。ITを活用した無駄がない先回りのコミュニケーションと、人事目線でのコーチングが得意。趣味はドライブと温泉。

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