人事労務の基礎知識

給与計算における住民税の計算・更新・納付について解説

給与計算における住民税とは、従業員が住民票のある市町村や都道府県によって課税される税金です。実際の計算方法や納付方法など詳しい内容を確認してみましょう。

目次

  • 住民税とは
  • 住民税の特別徴収と普通徴収
  • 会社の住民税の特別徴収義務
  • 住民税の特別徴収の対象になるのは?
  • 住民税の計算のために行なうこと
  • 毎月の納付額を正確に把握し、給与計算に反映させる
  • 住民税課税決定通知書の注意点1
  • 住民税課税決定通知書の注意点2
  • 年末調整において、1年間の所得額を各市区町村に知らせる
  • 住民税の計算方法と所得割・均等割
  • 住民税の納付方法と期限
  • 入退社する従業員の住民税の処理
  • まとめ
  • 住民税とは

    所得税と同様、本来は従業員が自分で手続きして支払うものを、会社が給料から差し引くことで代わりに徴収します。

    住民税と所得税の異なる点は、住民税は前年の所得をベースに計算されることです。よって、前年に所得がない場合は、通常住民税が発生しません。新卒2年目から税金が増える、などと言われるのはこのためです。

    住民税は所得税や保険料の計算に影響を与えないため、給与明細においても最後の項目として記載されることが多いようです。

    引用元:財務省


    住民税の特別徴収と普通徴収

    従業員の給料から住民税を差し引き、従業員の代わりに会社が徴収することを「特別徴収」と呼びます。特別徴収は、毎月にわたって行われるのが特徴です。

    一方、従業員が個々人で納付書などで支払い手続きを行うことを住民税の「普通徴収」と呼びます。特別徴収とは異なり、年間の住民税が10回分の納付書となって個人に送付されます。

    会社の住民税の特別徴収義務

    住民税は、前述のように従業員個人が納める場合もありますが、通常は特別徴収によって会社側が給与から天引きします。理由は、従業員から所得税の源泉徴収の義務がある事業所については、同時に住民税の特別徴収の義務も課せられているためです。

    また東京都や神奈川県、千葉県、埼玉県などでは、平成29年度から原則としてすべての事業主を対象として住民税の特別徴収を徹底するようになっています。(参考: 東京都主税局

    住民税の特別徴収の対象になるのは?

    会社での源泉徴収は、正社員に限らず、パートやアルバイトの社員までが対象です。源泉徴収を行っている場合は、住民税の特別徴収の対象になることから、原則は役員を含め、正社員、パート、アルバイトまですべての従業員が住民税の特別徴収の対象となります。

    住民税の計算のために行なうこと

    まず、基本的に住民税の金額を自分で計算する必要はありません。これは、市区町村が各従業員の毎月の納付額を計算し、納付書という形で会社に郵送してくれるからです。 その代わりに、会社に必要な作業は次の通りです。

    毎月の納付額を正確に把握し、給与計算に反映させる

    住民税課税通知書は、従業員の住んでいる各市区町村の役所から、6月〜5月の12ヶ月分が毎年5月に特別徴収義務者である会社にまとめて届きます。 住民税は6月から前年度分の給与をもとに決定されたこの税額を反映する必要があります。

    ■ 住民税課税決定通知書の注意点1

    注意したいのは、住民税の金額は最初の月だけ異なっていたり、新しい従業員が入ると納付書が更新される場合もある点です。 会社は、「今月はどの市区町村にいくら納付する必要があるか」を1年を通じて正確に把握しておく必要があります。

    ■ 住民税課税決定通知書の注意点2

    また、金額や対象者の確認はもちろんですが、届いた通知書に漏れがないかも確認しておきましょう。1月1日時点で対象の従業員が市町村に住民票がないという理由で、住民税課税通知書が届かない場合もあります。

    住所の変更などがあった場合は、新たな市町村への変更届を特別徴収義務のある会社側で行わなければなりません。

    年末調整において、1年間の所得額を各市区町村に知らせる

    年末調整によって1年間の所得税の金額を再計算し源泉所得税額が決定すると、「源泉徴収票」を従業員に配布し税務署に提出します。 同時に、各市区町村にも「給与支払報告書」を提出する必要があります。

    給与支払報告書の構成は源泉徴収票とほぼ同じで、従業員ごとに1年間の所得や源泉徴収額が記入されています。 全従業員の給与支払報告書を作成したら、各市区町村ごとの合計を「総括表」に記入し、各市区町村の役所まで提出しましょう。

    住民税の計算方法と所得割・均等割

    住民税額の書かれた納付書は送られてはくるものの、住民税額の計算方法はどのようなものなのでしょうか。

    【住民税の計算方法】
    住民税は5つの要素からなっています。住民税の計算では、5つの項目から、負担軽減のために設けられた調整控除を差し引き、実際に課税される住民税の額を算出します。

    住民税=所得割+均等割+利子割+配当割+株式等譲渡所得割
    なお、利子割、配当割、株式等譲渡所得割は特定の所得があった場合のものですから、給与所得のみの場合は所得割と均等割が重要となります。所得割は、所得によって加算されるもの、均等割は市町村ごとに一律に加算される額のことです。

    所得割

    所得割の税率は、県民税4%、市民税6%です。給与所得から所得控除を差し引き、税額をかけたうえで、さらに配当控除、外国税額控除、寄附金税額控除の税額控除を差し引いたうえで算出します。

    (給与収入―給与所得控除―所得控除)×税額(10%)―税額控除
    なお、市町村によって異なりますが、扶養親族がいない場合、前年の総所得35万円以下は所得割が非課税になります。

    均等割

    均等割は、所得額に関わらず均等に加算される税額のことです。均等割額は、都道府県、市町村によって異なりますが、3,000~5,000円程度が相場となります。

    なお、市町村によって異なる可能性がありますが、前年の総所得35万円以下が非課税の対象です。

住民税の納付方法と期限

毎年5月に納付書(通知書)が送られる

前述のように、毎年5月ごろに各市町村により送付される住民税課税決定通知書には、納付書も同封されています。送付された納付書は特別徴収をした毎月の住民税の支払いで必要になるのでしっかり保管しておきましょう。

住民税の納付期限は "翌月10日"

住民税の支払期限は従業員から住民税を天引きした翌月の10日までとなります。納付期限日を過ぎてしまった場合は、延滞税が加算されてしまうので注意しましょう。

入退社する従業員の住民税の処理

従業員の入社と住民税の処理

転職による入社の場合は、従業員の前の職場より給与所得者異動届出書が送付されるので、「転勤先」など必要事項を記入して、従業員の住民票のある市町村に提出する必要があります。

入社する以前、従業員が普通徴収で住民税を支払っている場合は、特別徴収に切り替える必要があるため、市町村に特別徴収への切り替えについての書類の提出が必要です。

従業員の退社と住民税の処理

退社する従業員の転職先が決まっている場合は、入社同様、給与所得者異動届出書を転職先に送付して、引き続き特別徴収を行えるように処理をします。

問題は、転職先がまだ決まっていない場合です。転職先が決まっていない場合は、6月から12月末まで、1月から5月末までで徴収の方法が異なります。

  • 退社日が6月1日~12月31日
    基本的には通常通りひと月分を徴収。従業員からの希望があれば、翌年の5月分までを一括徴収します。
  • 退社日が1月1日~5月31日
    原則、5月分までを一括徴収。一括徴収分額が差し引く給与や退職金を超えた場合は、超過分は普通徴収になります。

給与所得者異動届出書とその注意点

給与所得者異動届出書は、従業員の退職などがあった際に会社が市町村に提出する必要のある書類です。提出が遅れると住民税の滞納に繋がる可能性もあるので、異動のあった翌月10日までには提出するようにしましょう。
詳しくは下記のページもご覧ください。

>> 関連記事: 源泉徴収票の見方って?大事な数字を理解しよう

まとめ

特別徴収義務者である会社は、従業員の住民税についてしっかりと納付し、異動などの手続きを行う必要があります。毎月の納付や入退職者などの対応はもちろん、源泉徴収票の作成や給与支払報告書の作成も、正しく行なうようにしましょう。

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