監修 鶏冠井 悠二
扶養控除とは、所定の要件を満たす親族を扶養している納税者が、課税所得金額を減らせる制度です。
所得税や住民税の負担を軽減する目的で設けられており、生計をともにする子どもや高齢の親を扶養している世帯にとって重要な仕組みです。
本記事では、扶養控除の対象とされる親族の範囲や適用を受けるための要件・控除額・手続き(申告書の記入方法)などに関して詳しく解説します。
配偶者控除・勤労学生控除・寡婦控除・ひとり親控除など、ほかの制度との違いや最新の税制改正動向も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
目次
- 扶養控除とは?
- 扶養控除の対象とされる「親族」の範囲
- 扶養控除の対象とされる扶養親族の要件
- 同一生計要件
- 年齢要件
- 所得要件
- そのほかの要件
- 【年齢別】扶養控除の金額
- 控除対象扶養親族(一般)
- 特定扶養親族
- 老人扶養親族
- 扶養控除の適用例
- 扶養控除の適用を受ける方法と申告書の記入例
- 確定申告で扶養控除の適用を受ける場合
- 年末調整で扶養控除の適用を受ける場合
- 扶養控除とよく似た制度との違い
- 扶養控除と配偶者控除の違い
- 扶養控除と配偶者特別控除の違い
- 扶養控除と勤労学生控除の違い
- 扶養控除と寡婦控除の違い
- 扶養控除とひとり親控除の違い
- 税制上の「扶養控除」と社会保険の「被扶養者」の違い
- 扶養控除と特定親族特別控除(仮称)の違い
- 【2025年税制改正】扶養控除に関する変更はある?
- 扶養控除にも関連する年収の壁(110万・123万・130万)
- よくある質問
- 確定申告をかんたんに終わらせる方法
- よくある質問
扶養控除とは?
扶養控除とは、所定の要件を満たす扶養親族がいる人が、所得税や住民税を計算する際に課税所得金額を減らすことができる制度です。
控除の適用によって課税対象の所得が減少し、納めるべき税額が低く抑えられます。
扶養控除は、個々の納税者の事情に配慮して税負担を軽減する「所得控除」の一種です。所得税には15種類(2025年分からは16種類)、住民税には14種類(2025年分からは15種類)の所得控除が設けられています。
出典:国税庁「No.1180 扶養控除」
出典:国税庁「No.1100 所得控除のあらまし」
出典:東京都「個人住民税」
【関連記事】
税金の控除制度とは? 所得控除・税額控除の種類や違いを解説
扶養控除の対象とされる「親族」の範囲
扶養控除の対象とされる「親族」には、その年の12月31日時点で以下のいずれかに該当する人が含まれます。
扶養控除における「親族」の範囲
- 配偶者以外の親族のうち、6親等内の血族または3親等内の姻族
- 都道府県知事から養育を委託された児童(里子)
- 市町村長から養護を委託された老人
血族とは、血縁関係にある親族です。また、姻族とは、配偶者の血縁関係者を指します。扶養控除の「親族」には、納税者の子・孫・父母・祖父母などのほか、配偶者の父母・祖父母・甥・姪なども含まれます。
6親等内の血族または3親等内の姻族に当てはまる人の範囲は、以下のとおりです。


ただし、配偶者は配偶者控除の対象であり、扶養控除の対象には含まれません。
出典:国税庁「No.1180 扶養控除」
扶養控除の対象とされる扶養親族の要件
扶養控除の対象とされる扶養親族は、配偶者を除く「6親等内の血族および3親等内の姻族」のうち、12月31日時点で以下の全要件を満たす人です。要件をひとつでも満たさない場合は、扶養控除の対象外となります。
扶養親族の要件
- 納税者と生計を同じくしている
- 年齢が16歳以上である
- 年間の合計所得金額が58万円以下である
(給与のみの場合は給与収入が123万円以下) - 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて給与支払を受けていない、または、白色申告者の事業専従者でない
非居住者に関しては、単に16歳以上というだけでは要件を満たさないケースがあります。また、税制改正により、扶養親族の所得制限は令和7年分(2025年分)から58万円以下に引き上げられます。
この改正は2025年12月に行われる年末調整で反映され、令和7年分の所得について改正後の基礎控除額に基づいて精算が行われます。
出典:国税庁「No.1180 扶養控除」
出典:国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」
同一生計要件
扶養控除で「扶養親族」の対象とされるのは、生計を同じくする親族です。
同一生計は、必ずしも「同居」を意味するわけではありません。たとえば、以下のケースでは、一般的に同一生計として扱われます。
同居していなくても同一生計として扱われるケース
- 実家を出て一人暮らしを始めた子どもに親が常に生活費を送っている
- 同居していないが、余暇には生活をともにすることが常である
また、同じ家屋で生活しているケースは同一生計として扱われることが一般的ですが、例外もあります。具体的には、互いに独立した生活を営んでいることが明らかであれば、同一生計として扱われません。
出典:国税庁「No.1180 扶養控除」
出典:国税庁「No.1180 扶養控除(「生計を一にする」の意義)」
年齢要件
扶養控除で「扶養親族」の対象とされるのは、その年の12月31日時点で16歳以上の親族です。たとえば、2025年分の所得に対して適用を受けるためには、生年月日が2009年12月31日以前である必要があります。
非居住者に関しては、年齢要件の例外規定が設けられており、「16歳以上30歳未満」および「70歳以上」の非居住者は、居住者と同じように扶養親族として扱われます。
しかし、「30歳以上70歳未満」の非居住者が扶養親族として扱われるためには、12月31日時点で以下のいずれかに該当が必要です。
30歳以上70歳未満の非居住者が控除対象扶養親族として扱われるための条件
- 留学によって国内に住所や居所がない
- 障害者である
- 納税者から生活費か教育費の支払を38万円以上受けている
出典:国税庁「No.1180 扶養控除」
また、非居住者を扶養に含める際は、「親族関係書類」「送金関係書類」「ビザに類する書類の写し」などを提出しなければなりません。
出典:国税庁「No.1180 扶養控除(日本国外に住む親族を扶養控除の対象とする場合)」
所得要件
扶養控除で「扶養親族」の対象とされるのは、年間の合計所得金額が58万円以下の親族です。以下に示す各所得の合計額が58万円を超えている場合は、扶養控除の対象とされません。
合計所得金額の内訳
- 給与所得・事業所得・不動産所得・雑所得、および総合課税の利子所得・配当所得・短期譲渡所得を合計した金額(損益通算実施後の金額)
- 総合課税の長期譲渡所得と一時所得を合計した金額の2分の1(繰越控除適用後の金額)
- 退職所得の金額
- 山林所得の金額
出典:国税庁「専門用語集」
給与収入を得ている場合は、年収から給与所得控除額(65万円)を差し引いて、給与所得金額を算出します。
給与年収が103万円以下であれば、給与所得控除額55万円を差し引いた結果、所得金額が48万円以下に収まるため、扶養控除の適用対象とされます。
2025年12月以降に施行される税制改正により、令和7年分以後の扶養親族の合計所得金額要件が「48万円以下」から「58万円以下」に変更される予定です。
また、給与所得控除の最低額が55万円から65万円に、扶養の年収基準が103万円から123万円に引き上げられます。
出典:国税庁「No.1180 扶養控除」
出典:国税庁「No.1410 給与所得控除」
出典:国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」
そのほかの要件
親族が扶養控除の「扶養親族」として扱われるためには、以下の要件も満たさなければなりません。
個人事業主が家族を事業に従事させ、事業専従者として給与を支払うケースがあります。所定の要件を満たせば、青色申告の「青色事業専従者給与」や白色申告の「事業専従者控除」として給与を経費に計上でき、税負担が軽減されます。
ただし、これらの制度を利用する人は、扶養控除の適用を受けられません。
出典:国税庁「No.1180 扶養控除」
出典:国税庁「No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除」
【年齢別】扶養控除の金額
扶養控除の金額は、扶養親族の年齢などによって変動します。所得税および住民税に関する控除額は、以下のとおりです。
| 区分 | 所得税の控除額 | 住民税の控除額 |
|---|---|---|
| 一般の控除対象扶養親族 | 38万円 | 33万円 |
| 特定扶養親族 | 63万円 | 45万円 |
| 老人扶養親族(同居していない) | 48万円 | 38万円 |
| 老人扶養親族(同居している) | 58万円 | 45万円 |
出典:国税庁「No.1180 扶養控除」
出典:調布市「住民税の所得から差し引かれる金額(医療費控除・生命保険控除・配偶者控除・扶養控除など)」
以下、扶養親族の区分ごとに詳しく解説します。
控除対象扶養親族(一般)
「一般の控除対象扶養親族」とは、扶養控除の適用対象とされる19歳以上の扶養親族のうち、特定扶養親族や老人扶養親族に該当しない人を意味します。
対象者1人あたり、所得税では38万円、住民税では33万円が所得金額から控除されます。
特定扶養親族
「特定扶養親族」とは、19歳以上23歳未満の扶養親族です。
特定扶養親族を扶養している場合は、控除額が一般の扶養親族よりも増額されます。具体的には、対象者1人あたり、所得税では63万円、住民税では45万円が所得金額から控除されます。
大学や専門学校などへの進学期と重なる年齢で、家計負担が増すことに配慮した制度設計です。
老人扶養親族
「老人扶養親族」とは、70歳以上の扶養親族です。老人扶養親族を扶養しているケースの控除額は、同居の有無によって異なります。
納税者や配偶者と同居している直系尊属(父母や祖父母など)は「同居老親等」として扱われます。この場合、所得金額から控除される金額は、所得税では58万円、住民税では45万円です。病気などで一時的に入院している人に関しては、同居しているとみなされます。
老人ホームへ入所しているなど、納税者や配偶者との同居が常ではない老人扶養親族は「同居老親等」に該当しません。この場合、所得控除額は所得税で48万円、住民税で38万円です。
扶養控除の適用例
会社員である納税者が以下3人の親族を扶養しているケースを例に、所得税に関する所得控除の金額を試算します。
ある会社員の年収および扶養親族の詳細
- 納税者:会社員(年収650万円)
- 第1子:大学1年生(19歳)
- 第2子:高校1年生(16歳)
- 母親:72歳で別居中(仕送りあり)
このケースでは、各親族が該当する区分と所得税の控除額は以下のとおりです。扶養控除による所得税の所得控除額は、合計で149万円です。
| 扶養親族 | 年齢 | 区分 | 所得税の所得控除額 |
|---|---|---|---|
| 第1子 | 19歳 | 特定扶養親族 | 63万円 |
| 第2子 | 16歳 | 一般扶養親族 | 38万円 |
| 母親 | 72歳 | 老人扶養親族(別居) | 48万円 |
不明な点がある人は、自己判断せずに税務署や税理士にご相談ください。
扶養控除の適用を受ける方法と申告書の記入例
個人事業主が扶養控除の適用を受ける場合は、確定申告の際に確定申告書の該当欄に記入して申請します。一方、会社員は「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を勤務先に提出し、年末調整の際に扶養控除が適用されるのが一般的です。
以下では、確定申告および年末調整で扶養控除の適用を受ける方法を解説します。
確定申告で扶養控除の適用を受ける場合
確定申告で扶養控除の適用を受ける場合は、確定申告書の第一表と第二表の該当欄に記入します。
第一表では、「所得から差し引かれる金額」にある「扶養控除㉓」欄に控除額を記入してください。扶養控除の「区分」欄は、国外居住親族がいる人が記入する欄です。国外居住親族がいない場合、記入する必要はありません。
また、第二表の「配偶者や親族に関する事項」欄に、氏名・個人番号・続柄・生年月日を記入します。対象の親族が障害者や国外居住などの各項目に該当する場合は、その項目に○を付けてください。
作成した確定申告書は、原則として、対象年の翌年2月16日から3月15日までの期間に所轄の税務署に提出します。
【関連記事】
【2025年最新】確定申告書の書き方・見方を項目別にわかりやすく解説
年末調整で扶養控除の適用を受ける場合
年末調整で扶養控除の適用を受ける場合は、以下の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を勤務先に提出しなければなりません。
「B 控除対象扶養親族(16歳以上)」の欄には、主に以下に示す扶養親族に関する情報を記入してください。
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書への主な記入項目
- 氏名
- 生年月日
- 続柄
- 個人番号
- 同居老親や特定扶養親族などに該当しているかどうか
- 所得の見積額
- 住所または居所
以下は、具体的な記入例です。
税務署への提出期限は、その年で最初に給与の支払を受ける日の前日までと定められています。給与所得者は、勤務先から年末までに提出を求められることが一般的です。
出典:国税庁「A2-1 給与所得者の扶養控除等の(異動)申告」
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扶養控除申告書の書き方を記入例つきで解説【令和7年(2025年)版】
扶養控除とよく似た制度との違い
扶養控除と類似する制度として、配偶者控除・配偶者特別控除・勤労学生控除・寡婦控除・ひとり親控除があります。また、社会保険制度上の「被扶養者」も、税制上の「扶養控除」と混同しやすい概念です。
さらに、2025年から新たに「特定親族特別控除(仮称)」が創設される予定です。これは、扶養控除のうち「特定扶養親族(19〜22歳)」の対象年齢を超える親族を補完する仕組みで、一定の所得要件を満たす場合に適用されます。
扶養する家族がいる人は、税や社会保険料の負担を軽減する手続きを行う際に、これらの制度を混同しないように注意し、正確に理解しておきましょう。
扶養控除と配偶者控除の違い
扶養控除と配偶者控除は、いずれも所得控除の一種で、所得税・住民税を計算する際に適用可能です。ただし、扶養控除が配偶者以外の扶養親族を対象とし、配偶者控除は以下要件を満たす配偶者を対象とする点が主な違いです。
配偶者控除の適用要件
- 民法上の配偶者である
(内縁関係の人は該当しない) - 納税者と生計を一にしている
- 年間の合計所得金額が48万円以下である
(給与のみの場合は給与収入が103万円以下) - 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与支払を受けていない、または、白色申告者の事業専従者でない
税制改正により、2025年12月1日以降は、所得制限が「58万円以下」(給与のみの場合は給与収入が123万円以下)に変更されます。
出典:国税庁「No.1191 配偶者控除」
出典:国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」
控除される金額は、以下に示すように、納税者本人の合計所得金額や配偶者の年齢によって変動します。
| 納税者本人の合計所得金額 | 控除額 | |
|---|---|---|
| 一般の控除対象配偶者 | 老人控除対象配偶者 | |
| 900万円以下 | 38万円 | 48万円 |
| 900万円超950万円以下 | 26万円 | 32万円 |
| 950万円超1,000万円以下 | 13万円 | 16万円 |
老人控除対象配偶者とは、12月31日時点の年齢が70歳以上の配偶者です。
同一生計であることが条件とされ、配偶者の所得要件が「合計所得金額58万円以下」である点は、扶養控除や配偶者控除と共通しています。
ただし、扶養控除には納税者本人の所得制限がない一方で、配偶者控除には所得制限があります。具体的には、納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合、配偶者控除の適用を受けることができません。
出典:国税庁「No.1191 配偶者控除」
出典:国税庁「専門用語集」
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配偶者控除とは? 配偶者特別控除との違いや確定申告で申告する方法を解説
扶養控除と配偶者特別控除の違い
配偶者特別控除とは、配偶者に58万円を超える所得があり、配偶者控除が受けられない場合に適用される所得控除です。納税者本人に関しては、合計所得金額が1,000万円以下であることが要件とされています。
配偶者に関しては、以下に示す要件を満たさなければなりません。
配偶者特別控除の適用要件
- 民法上の配偶者である(内縁関係の人は該当しない)
- 納税者と生計を一にしている
- 年間の合計所得金額が48万円超133万円以下である
- 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与支払を受けていない、または、白色申告者の事業専従者でない
適用条件を満たす場合は、納税者本人および配偶者の所得金額に応じて、以下に示す金額の所得控除を受けられます。
| 配偶者の合計所得金額 | 納税者本人の合計所得金額 | ||
|---|---|---|---|
| 900万円以下 | 900万円超950万円以下 | 950万円超1,000万円以下 | |
| 48万円超95万円以下 | 38万円 | 26万円 | 13万円 |
| 95万円超100万円以下 | 36万円 | 24万円 | 12万円 |
| 100万円超105万円以下 | 31万円 | 21万円 | 11万円 |
| 105万円超110万円以下 | 26万円 | 18万円 | 9万円 |
| 110万円超115万円以下 | 21万円 | 14万円 | 7万円 |
| 115万円超120万円以下 | 16万円 | 11万円 | 6万円 |
| 120万円超125万円以下 | 11万円 | 8万円 | 4万円 |
| 125万円超130万円以下 | 6万円 | 4万円 | 2万円 |
| 130万円超133万円以下 | 3万円 | 2万円 | 1万円 |
同一生計要件がある点は、扶養控除と同様です。ただし、扶養控除には納税者本人の所得制限がない一方で、配偶者特別控除には所得制限があります。
また、配偶者の所得制限も、扶養控除と配偶者特別控除で金額が異なります。具体的には、扶養控除では配偶者の合計所得金額が48万円以下であるのに対し、配偶者特別控除では48万円超133万円以下です。
さらに、2025年12月からは配偶者特別控除の上限控除額が48万円から58万円に引き上げられる予定です。
出典:国税庁「No.1195 配偶者特別控除」
出典:国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について(源泉所得税関係)」
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配偶者控除とは? 配偶者特別控除との違いや確定申告で申告する方法を解説
扶養控除と勤労学生控除の違い
勤労学生控除とは、給与などの勤労所得を得ている学生が27万円の所得控除を受けられる仕組みです。
適用を受けるためには、学校教育法で規定されている高等学校・大学・高等専門学校などに在籍していなければなりません。
また、2025年12月からは、合計所得金額が85万円以下(従来は75万円以下)であり、かつ勤労所得以外の所得が10万円以下であることが適用条件とされています。
扶養控除は扶養している納税者が適用を受けるのに対し、勤労学生控除は学生本人が適用を受ける制度です。
出典:国税庁「No.1175 勤労学生控除」
出典:国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について(源泉所得税関係)」
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年末調整の勤労学生控除の書き方・申告方法を解説【令和6年(2024年)版】
扶養控除と寡婦控除の違い
寡婦控除とは、民法上の婚姻関係にあった配偶者との死別または離婚後に再婚していない女性が受けられる所得控除です。適用を受けるためには、合計所得金額が500万円以下、かつ、下記要件のいずれかを満たす必要があります。
寡婦控除の適用要件
- 夫と離婚後に婚姻しておらず、扶養親族がいる
- 夫と死別後に婚姻していない(または、夫の生死が明らかでない)
控除額は27万円で、夫と死別したケース(夫の生死が不明なケース)では扶養親族がいなくても適用を受けられます。事実婚の状態にある場合は適用を受けられません。
寡婦控除では適用対象者の婚姻歴や性別に制限があるのに対し、扶養控除では婚姻歴・性別が問われない点が、両者の違いです。
出典:国税庁「No.1170 寡婦控除」
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寡婦控除とは? 適用される条件や申告方法について解説
扶養控除とひとり親控除の違い
ひとり親控除とは、納税者がひとり親である場合に35万円の控除を受けられる仕組みです。ひとり親とは、婚姻していない、または配偶者の生死が不明で、以下の3要件をいずれも満たす人です。
ひとり親控除の適用要件
- 事実婚の状態ではない
- 同一生計の子ども(所得金額が58万円以下)がいる
- 所得金額が500万円以下である
上記要件を満たせば、男女問わずひとり親控除の適用を受けられます。
扶養控除もひとり親控除も、控除を受ける納税者の性別が問われない点は同様です。ただし、扶養控除は子どもがいなくても適用を受けられる一方、ひとり親控除は子どもがいることが適用の要件となります。
出典:国税庁「No.1171 ひとり親控除」
出典:国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について(源泉所得税関係)」
税制上の「扶養控除」と社会保険の「被扶養者」の違い
税制と社会保険制度のいずれにも、扶養する家族がいる人の負担を軽減する仕組みがありますが、その内容や適用条件は異なります。
税金の計算では、扶養控除を適用できれば、扶養する側の課税所得金額が減少し、税負担が軽減されます。
社会保険では、所定の要件を満たす家族を「被扶養者」として登録可能で、被扶養者本人には健康保険料の負担が生じません。被扶養者の登録によって、扶養する側(被保険者)の保険料は変動しない仕組みです。
また、扶養親族の範囲や要件も異なります。社会保険の扶養の要件では勤務先の規模などにより、「年収106万円未満」または「130万円未満」が一般的な目安とされています。
勤務先の被保険者が常時51人以上で、週の所定労働時間が20時間以上、賃金が月額8.8万円以上などの条件を満たす場合は、「106万円の壁」が適用されます。
出典:全国健康保険協会「被扶養者とは? 」
扶養控除と特定親族特別控除(仮称)の違い
2025年の税制改正で新たに創設される「特定親族特別控除(仮称)」は、特定扶養親族(16~22歳)に該当しない23歳以上の親族を補完する仕組みです。
一定の所得要件を満たす場合に適用され、扶養控除との重複適用はできません。扶養控除の対象拡大と混同されやすいため、制度の趣旨と適用条件を正しく理解しておくことが大切です。
出典:財務省「令和7年度税制改正の大綱」
【2025年税制改正】扶養控除に関する変更はある?
2025年度税制改正の目的は、物価が上昇が続く中で納税者の負担を軽減することや、年収の壁を考慮した就業調整の緩和です。
今回の見直しにより、扶養親族の所得要件が「48万円以下」から「58万円以下」に引き上げられました。
また、19歳以上23歳未満の子を扶養する家庭を対象として、「特定親族特別控除」が新設されました。納税者が特定親族(19歳以上23歳未満かつ合計所得金額が58万円超123万円以下の親族)と生計を同じくしている場合に適用を受けられます。
特定親族特別控除の適用を受けると、親族の所得に応じた金額(3万円から63万円まで)が納税者の所得から差し引かれる仕組みです。
これにより、扶養控除の控除対象扶養親族としては所得要件を満たさない(58万円超の所得がある)親族にも、特定親族特別控除が適用されます。
出典:国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」
出典:財務省「令和7年度税制改正の大綱」
扶養控除にも関連する年収の壁(110万・123万・130万)
年収が特定の金額を超えると、税金や社会保険に影響が生じます。境界線とされる年収のライン(110万円・123万円・130万円など)は、「年収の壁」と呼ばれます。
主な「年収の壁」は、以下のとおりです(給与収入のみの場合)。
主な「年収の壁」
- 110万円の壁:住民税の課税・非課税の境界線
- 123万円の壁:扶養控除の適用可否の境界線
- 130万円の壁:社会保険の被扶養者に該当するかどうかの境界線
- 160万円の壁:所得税の課税・非課税の境界線
これらは、2025年12月1日施行の税制改正後の基準に基づくものです。改正前は「103万円の壁」が扶養控除の基準でしたが、2025年改正により123万円へ引き上げられ、扶養控除の適用対象が広がりました。
以下に、税制改正が施行される2025年12月1日以降の「年収の壁と各制度の関係」をまとめました。
| 扶養親族の 住民税 | 扶養親族の 所得税 | 扶養控除 | 社会保険の 「被扶養者」 | ||
|---|---|---|---|---|---|
| (扶養親族の) 給与収入 | 110万円以下 | ― | ― | 適用可 | 扶養内 (保険料なし) ※ただし、130万円未満でも以下の条件をすべて満たす場合は社会保険料が発生(いわゆる「106万円の壁」) 勤務先の被保険者が常時51人以上/週の所定労働時間が20時間以上/賃金が月額8.8万円以上(残業代を除く)/継続して2ヵ月を超えて雇用される見込み/学生でない(夜間学生などは対象) |
| 110万円超 123万円以下 | 発生 | ||||
| 123万円超 130万未満 | 発生 | ― | |||
| 130万円以上 160万円以下 | 扶養外 (保険料発生) | ||||
| 160万円超 | |||||
出典:国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」
出典:東京都江戸川区「2026年(令和8年)度分住民税から適用されるもの(いわゆる「年収の壁」の変動)」
税制や社会保険制度は改正されることが多いため、国税庁などの公式サイトで最新情報の定期的な確認が大切です。
【関連記事】
年収の壁とは? 金額の一覧や支援強化パッケージ・令和7年度税制改正大綱の内容を紹介
まとめ
扶養控除とは、生計をともにする16歳以上の親族を扶養している場合に、所定の条件を満たすことで適用される所得控除制度です。
配偶者は、扶養控除の対象とされる「扶養親族」には含まれません。ただし、所得などの条件を満たす場合は、配偶者控除や配偶者特別控除の適用を受けることが可能です。
扶養控除の控除額は、扶養親族の年齢などの条件によって異なります。所得税では1人あたり最大63万円、住民税では最大45万円が控除されます。
扶養控除の適用を受けるには、確定申告または年末調整での手続きが必要です。要件を満たしていても、納税者の申告がなければ控除は適用されないため、忘れずに手続きしてください。
確定申告をかんたんに終わらせる方法
確定申告の期間は1ヶ月です。それまでに正確な内容の書類を作成し、申告・納税しなければいけません。
ほかにも、青色申告の場合に受けられる特別控除で、最大65万円を適用するためにはe-Taxの利用が必須条件であり、はじめての人には難しい場面が増えることが予想されます。
そこでおすすめしたいのが、確定申告ソフト「freee会計」の活用です。
freee会計は、〇✕形式の質問で確定申告に必要な書類作成をやさしくサポートします。また、所得額や控除額の計算は自動で行ってくれるため、計算・入力ミスの削減できるでしょう。
ここからは、freee会計を利用するメリットについて紹介します。
1.銀行口座やクレジットカードは同期して自動入力が可能!
確定申告を行うためには、1年間のお金にまつわる取引を正しく記帳しなければなりません。自身で1つずつ手作業で記録していくには手間がかかります。
freee会計では、銀行口座やクレジットカードの同期が可能で、利用した内容が自動で入力されていきます。
日付や金額を自動入力するだけでなく、勘定科目も予測して入力してくれるため、日々の記帳がほぼ自動化でき、工数削減につながります。
2.現金取引の入力もカンタン!
会計ソフトでも現金取引の場合は自身で入力し、登録しなければなりません。
freee会計は、現金での支払いも「いつ」「どこで」「何に使ったか」を家計簿感覚で入力できるので、毎日手軽に帳簿付けが可能です。
自動的に複式簿記の形に変換してくれるため、会計処理の経験がない人でも正確に記帳ができます。
さらに有料プランでは、チャットで確定申告について質問ができるようになるので、わからないことがあったらすぐに相談できます。また、オプションサービスには電話相談もあるので、直接相談できるのもメリットの1つです。
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3.〇✕形式の質問に答えるだけで各種控除や所得税の金額を自動で算出できる!
各種保険やふるさと納税、住宅ローンなどを利用している場合は控除の対象となり、確定申告することで節税につながる場合があります。控除の種類によって控除額や計算方法、条件は異なるため、事前に調べなければなりません。
freee会計なら、質問に答えることで控除額を自動で算出できるので、自身で調べたり、計算したりする手間も省略できます。
4.確定申告書を自動作成!
freee会計は取引内容や質問の回答をもとに確定申告書を自動で作成できます。自動作成した確定申告書に抜け漏れがないことを確認したら、税務署へ郵送もしくは電子申告などで提出して、納税をすれば確定申告は完了です。
また、freee会計はe-Tax(電子申告)にも対応しています。e-Taxからの申告は24時間可能で、税務署へ行く必要もありません。青色申告であれば控除額が10万円分上乗せされるので、節税効果がさらに高くなります。
e-Tax(電子申告)を検討されている方はこちらをご覧ください。
freee会計を使うとどれくらいお得?
freee会計には、会計初心者の方からも「本当に簡単に終わった!」というたくさんの声をいただいています。
税理士などの専門家に代行依頼をすると、確定申告書類の作成に5万円〜10万円程度かかってしまいます。freee会計なら月額980円(※年払いで契約した場合)から利用でき、自分でも簡単に確定申告書の作成・提出までを完了できます。
余裕をもって確定申告を迎えるためにも、ぜひfreee会計の利用をご検討ください。
よくある質問
扶養控除の金額はいくら?
扶養控除の金額は、扶養親族の年齢や、同居しているか・別居しているかによって異なります。
所得税の場合、一般の扶養親族は38万円、特定扶養親族(19歳以上23歳未満)は63万円です。また、別居している老人扶養親族(70歳以上)は48万円とされています。ただし、老人扶養親族が「同居している直系親族」の場合、控除額は58万円です。
住民税に関しては、所得税と金額設定が異なります。
詳しくは、記事内「【年齢別】扶養控除の金額」をご覧ください。
扶養控除と配偶者控除の違いは?
扶養控除は配偶者以外の親族を対象とする控除であるのに対し、配偶者控除は法的に婚姻関係にある配偶者が対象とされます。
また、配偶者控除には、年齢要件がありません。納税者本人の所得に応じて控除額が段階的に変化する点も、扶養控除と異なります。
詳しくは、記事内「扶養控除とよく似た制度との違い」をご覧ください。
扶養控除に関する最新の動向は?
2025年度の税制改正により、控除対象扶養親族の所得要件が従来の「48万円以下」から「58万円以下」に緩和されました。
また、大学生世代の子を扶養する家庭に向けて「特定親族特別控除」も新設されています。
詳しくは、記事内「【2025年税制改正】扶養控除に関する変更はある?」をご覧ください。
監修 鶏冠井 悠二(かいで ゆうじ)
コンサルタント会社、生命保険会社を経験した後、ファイナンシャルプランナーとして独立。「資産形成を通じて便利で豊かな人生を送って頂く」ことを目指して相談・記事監修・執筆業務を手掛ける。担当分野は資産運用、保険、投資、NISAやiDeCo、仮想通貨、相続、クレジットカードやポイ活など幅広く対応。現在、WEB専門のファイナンシャルプランナーとして活動中。
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