人事労務の基礎知識

扶養控除申告書とは?2026年版の書き方・記入例や提出期限、注意点などをわかりやすく解説

監修 北 光太郎 きた社労士事務所

扶養控除申告書とは?2026年版の書き方・記入例や提出期限、注意点などをわかりやすく解説

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」(以下、扶養控除申告書)は、従業員の所得税法上の扶養状況を勤務先に申告し、該当する所得控除を受けるための書類です。

会社は扶養控除申告書に記載された従業員の扶養状況をもとに、毎月の給与計算や年末調整を行います。扶養控除申告書は、雇用形態に関わらず、給与所得のあるすべての従業員が勤務先に提出しなければなりません。

本記事では、扶養控除申告書の概要や受けられる所得控除の詳細のほか、申告書の具体的な書き方を解説します。

目次

扶養控除申告書とは

扶養控除申告書とは、給与所得者が年末調整で扶養控除や障害者控除などを受けるために、勤務先へ提出する書類です。正式名称は「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」といい、法定様式の右上に丸で囲まれた「扶」の文字があることから「マル扶」とも呼ばれます。

勤務先は申告された配偶者や扶養親族などの情報をもとに、毎月の給与から源泉徴収する所得税額を計算します。さらに、年末調整の対象となる従業員については、1年間の給与や所得控除を踏まえて本来の所得税額を算出し、源泉徴収した金額との過不足を精算します。

扶養控除の申告について、国税庁のサイトでは以下のように概要が説明されています。

給与の支払を受ける人(給与所得者)が、その給与について扶養控除などの諸控除を受けるために行う手続です。なお、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」は、個人住民税の「給与所得者の扶養親族申告書」と統合した様式となっています。

出典:国税庁「[手続名]給与所得者の扶養控除等の(異動)申告

扶養控除申告書は年末調整そのものを受けるために必要となる書類で、個人住民税の「給与所得者の扶養親族申告書」も兼ねています。そのため、すべての給与所得者が勤務先に提出しなければなりません。

扶養控除申告書を提出しない場合、毎月の給与に対する源泉徴収では、原則として税額が高くなりやすい「乙欄」が適用されます。また、勤務先で年末調整を受けられないため、翌年に自身で確定申告を行う必要があります。確定申告の期間は、例年2月16日〜3月15日です。

扶養控除申告書の提出が必要な人

扶養控除申告書を勤務先に提出する必要があるのは、一般的に会社員や公務員だけでなく、パートやアルバイトといった非正規の従業員も含めた給与所得者全員です。

配偶者や扶養親族がいなくても、主な勤務先で源泉徴収を受けるには、原則として扶養控除申告書の提出が必要になります。扶養親族の有無だけで、提出の要否が決まるわけではない点に注意しましょう。

扶養控除申告書を提出すると、毎月の源泉徴収には原則として「甲欄」が適用されます。提出しなかった場合は、税額が高くなりやすい「乙欄」で所得税が計算され、勤務先で年末調整を受けられません。

2社以上から給与を受け取っている場合、通常の扶養控除申告書を提出できるのは、原則として主な勤務先1社のみです。主な勤務先以外の給与については、基本的に乙欄で源泉徴収されます。

扶養控除申告書の提出時期・提出先

扶養控除申告書は、その年の最初の給与が支払われる日の前日までに提出します。年の途中で就職した場合は、就職後に最初の給与を受け取る日の前日が提出期限です。

対象者提出時期
継続して勤務している人その年の最初の給与支払日の前日まで
年の途中で就職した人就職後、最初の給与支払日の前日まで
提出後に申告内容が変わった人変更が生じた後、速やかに申告

継続して勤務している場合は、翌年分の申告書が年末調整の時期に配布されることが一般的です。勤務先から提出期限を案内されたら、指定された期日までに提出しましょう。

提出先は、給与を受け取っている主な勤務先です。税務署長宛ての書類ですが、通常は勤務先が保管するため、給与所得者が税務署へ直接持参する必要はありません。

提出後に結婚や離婚、子どもの就職、扶養親族の所得の変化などがあった場合は、申告内容の変更が必要です。勤務先の担当者へ申し出たうえで、異動後の内容を記載した申告書を提出するか、提出済みの申告書を修正してください。

なお、会社によっては扶養親族に変更が生じた際には、扶養控除等申告書ではなく、会社所定の届出書の提出を求められることがあります。

扶養控除申告書で申告できる所得控除

扶養控除申告書では、扶養親族に関する情報のほか、申告者本人や家族の状況に応じて、以下の所得控除を申告できます。

扶養控除申告書で申告できる所得控除

  • 扶養控除
  • 障害者控除
  • 寡婦控除
  • ひとり親控除
  • 勤労学生控除

これらの所得控除が適用されると、所得税を計算する基礎となる所得から一定額が差し引かれます。ただし、対象者や所得などに要件があるため、自身や家族が該当するかを確認して記入しましょう。

なお、配偶者控除や配偶者特別控除、特定親族特別控除を年末調整で受ける場合は、扶養控除申告書とは別の申告書を提出しなければなりません。

扶養控除

扶養控除とは、申告者本人に控除対象となる扶養親族がいる場合に受けられる所得控除です。扶養親族に該当するには、原則としてその年の12月31日に以下の要件をすべて満たす必要があります。

扶養親族の要件

  • 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)または都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人
  • 納税者(申告者)と生計を一にしている
  • 年間の合計所得金額が62万円以下である(給与のみの場合は給与収入が136万円以下)
  • 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないまたは白色申告者の事業専従者でない

扶養控除の対象となるのは、原則としてその年の12月31日時点で16歳以上の扶養親族です。控除額は年齢や同居の状況によって異なります。

対象控除額
一般の控除対象扶養親族
(16歳以上19歳未満、23歳以上70歳未満)
38万円
特定扶養親族
(19歳以上23歳未満)
63万円
老人扶養親族
(70歳以上)
同居老親等以外の者48万円
同居老親など等58万円

なお、19歳以上23歳未満の親族の所得が扶養控除の要件を超えても、所得金額によっては特定親族特別控除を受けられます。この控除を年末調整で適用するには、「給与所得者の特定親族特別控除申告書」の提出が必要です。

特定親族特別控除では、従来の扶養控除(年収136万円以下が対象)とは別に、子のアルバイト収入などが年収136万円を超えても、給与収入が197万円以下であれば、親が一定の所得控除を受けられます。

控除額は子の所得に応じて以下のとおり変動します。

特定親族の合計所得金額
(収入が給与だけの場合の収入金額)※
控除額
62万円超85万円以下
(123万円超159万円以下)
63万円
85万円超90万円以下
(159万円超164万円以下)
61万円
90万円超95万円以下
(164万円超169万円以下)
51万円
95万円超100万円以下
(169万円超174万円以下)
41万円
100万円超105万円以下
(174万円超179万円以下)
31万円
105万円超110万円以下
(179万円超184万円以下)
21万円
110万円超115万円以下
(184万円超189万円以下)
11万円
115万円超120万円以下
(189万円超194万円以下)
6万円
120万円超123万円以下
(194万円超197万円以下)
3万円

※ 特定支出控除の適用がある場合、表の金額とは異なる

障害者控除

障害者控除とは、申告者本人、同一生計配偶者または扶養親族が、税法上の障害者に該当する場合に受けられる所得控除です。

障害者控除における障害者の区分は、障害者、特別障害者、同居特別障害者の3つに分かれます。障害者控除の対象となる障害者の範囲は以下のとおりです。

障害者控除の対象範囲

  1. 精神上の障害により、自分で有効的な意思表示ができない人(特別障害者)
  2. 児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、または精神保健指定医から知的障害者と判定された人(重度の知的障害者と判定された場合は、特別障害者に該当)
  3. 精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人(障害等級が1級と記載されている場合は、特別障害者に該当)
  4. 身体障害者手帳に、身体上の障害がある人として記載されている人(障害の程度が1級または2級と記載されている場合は、特別障害者に該当)
  5. 65歳以上で精神または身体に障害があり、(1)(2)または(4)に準ずるものとして市町村長や福祉事務所長の認定を受けている人(特別障害者に準ずるものとして市町村長、特別区区長や福祉事務所長の認定を受けている場合は、特別障害者に該当)
  6. 戦傷病者手帳の交付を受けている人(障害の程度が恩給法に定める特別項症から第3項症までの方は、特別障害者に該当)
  7. 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の規定により厚生労働大臣の認定を受けている人(特別障害者)
  8. その年の12月31日時点で、6ヶ月以上にわたって身体の障害により寝たきり状態で、自力で排便ができないなど複雑な介護が必要な人(特別障害者)

障害者控除の控除額は、以下のとおり障害の程度や同居の状況によって異なります。

所得税の控除額住民税の控除額
一般の障害者27万円26万円
特別障害者40万円30万円
同居特別障害者(同一生計の配偶者か扶養親族が特別障害者)75万円53万円

同居特別障害者とは、特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族のうち、申告者自身または配偶者または申告者と生計を一にする親族のいずれかと同居している人です。

障害者控除は、扶養控除とは異なり、対象となる扶養親族が16歳未満でも受けられます。

寡婦控除

寡婦控除とは、申告者本人が税法上の寡婦に該当する場合に受けられる所得控除です。2020年の税制改正によって2019年以前の「一般の寡婦」「特別の寡婦」という区分がなくなり「寡婦控除」に統一され、控除額も一律で27万円となりました。

寡婦とは、原則としてその年の12月31日時点で後述の「ひとり親」に該当せず、次のいずれかに当てはまる女性を指します。

寡婦控除の要件

  • 夫と離婚した後婚姻をしておらず、扶養親族がいる人で、合計所得金額が500万円以下の人
  • 夫と死別した後婚姻をしていない人または夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下の人(この場合は扶養親族の要件はなし)

なお、申告者本人に事実婚関係(またはそれと同様の事情にある)と認められる人がいる場合は寡婦控除の対象となりません。

ひとり親控除

ひとり親控除とは、婚姻歴や性別を問わず、申告者本人が税法上のひとり親に該当する場合に受けられる所得控除です。2020年分から適用開始された控除区分で、2026年分の所得税における控除額は2025年分と変わらず35万円になります。

ひとり親とは、その年の12月31日時点で、婚姻をしていないまたは配偶者の生死の明らかでない人のうち、以下3つの要件すべてに当てはまる場合を指します。

ひとり親控除の要件

  • 申告者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいないこと
  • 生計を一にする子がいること(この場合の子どもは、その年分の総所得金額等が62万円以下であり、他の人の同一生計配偶者や扶養親族になっていない人に限られる)
  • 合計所得金額が500万円以下であること

なお、生計を一にする子は、2026年中の所得金額が62万円以下で、ほかの人の同一生計配偶者や扶養親族になっていない人に限られます。

勤労学生控除

勤労学生控除とは、申告者本人が学校に通いながら働いている場合に受けられる所得控除です。

2026年分からは、年間の給与収入の上限が従来の150万円以下から163万円以下に大幅に引き上げられ、勤労学生控除の所得要件も、合計所得金額85万円以下から89万円以下に引き上げられます。

勤労学生控除を受けられる条件は、以下のとおりです。

勤労学生控除の対象要件

  • 特定の学校に通っている
  • 勤労による給与所得などの所得がある
  • 1年間の所得金額が89万円以下
  • 1年間の給与所得以外の所得金額が10万円以下

勤労学生控除の控除額は、以下の表のとおりです。

所得税住民税
27万円26万円

扶養控除申告書の書き方【2026年分記入例】

扶養控除申告書の書き方【2026年分記入例】

扶養控除申告書は、申告者本人の基本情報を記入したうえで、配偶者や扶養親族などの状況に応じてAからDの各欄と「住民税に関する事項」欄を記載します。記載内容を誤ると毎月の源泉徴収税額や年末調整の結果に影響するため、家族の年齢や所得の見積額などを確認してから記入しましょう。

ここでは、扶養控除申告書の各欄の書き方を解説します。

基本情報

基本情報

用紙最上部の欄は、年末調整を受けるすべての従業員が記載すべき項目です。氏名や個人番号(マイナンバー)、住所など申告者本人の以下の基本情報を記入します。

  • 氏名
  • 個人番号(マイナンバー)
  • 住所または居所
  • 生年月日
  • 世帯主の氏名
  • 世帯主と申告者の続柄
  • 配偶者の有無

申告者本人が世帯主である場合、「世帯主の氏名」には本人の氏名を記入し、「あなたとの続柄」は「本人」とします。世帯主が夫や妻、父母などの場合は、「夫」「妻」「父」「母」などと記載してください。

マイナンバーは原則として記入しますが、会社によって記入が不要な場合があります。記入の要不要については、勤務先に確認しましょう。

なお、申告者に扶養対象の配偶者や親族がいない場合には、基本情報以降の欄への記入は必要ありません。基本情報のみを記入し、勤務先に提出します。

A 源泉控除対象配偶者

A 源泉控除対象配偶者

源泉控除対象配偶者とは、毎月の給与から源泉徴収する所得税額を計算する際に、扶養親族等の数へ含められる配偶者です。

以下の要件をすべて満たす配偶者を扶養控除申告書のA欄に記入します。

源泉控除対象配偶者の要件

  • 申告者の所得金額が900万円以下であること
  • 申告者と生計を一にしていること
  • 配偶者の合計所得金額が95万円以下であること
  • 配偶者が青色事業専従者として給与の支払いを受けていない、または白色事業専従者でないこと

源泉控除対象配偶者に該当する配偶者がいる場合には、記入例のとおり、以下の項目について配偶者の情報を記入します。

①氏名など基本情報
配偶者の氏名、個人番号(マイナンバー)、生年月日を記載します。

②令和8年中の所得の見積額

配偶者の2026年の所得額を見積もり額で算出し、記載します。

所得額は年間の収入額から必要経費(給与所得の場合は給与所得控除)、公的年金等控除額を差し引いて算出します。

たとえば、配偶者がパートタイム労働者として年間150万円の給与収入を得ていた場合、計算式は以下のとおりです。

1,500,000円(年間の収入額)- 740,000円(給与所得控除額) = 760,000円(給与所得額)

この場合、記入例のように「760,000」と記載します。

③非居住者である親族
配偶者が非居住者の場合は、○印を付けます。該当する場合は、親族関係書類の添付などが必要です。

居住者とは、国内に住所を有し、または現在まで引き続き1年以上居所を有する個人のことです。居住者以外の個人は、非居住者と規定されます。

④住所又は居所
源泉控除対象配偶者の住所または居所を記載します。申告者本人と同じ住所(居所)であれば、「同上」と記入します。

⑤異動月日及び事由
源泉控除対象配偶者がその年に異動した場合、異動月日と事由を記載します。

たとえば、結婚の場合は「○月○日結婚のため」、配偶者が産休に入った場合は「○月○日産休のため」、配偶者が死亡した場合は「○月○日死亡のため」と記載します。年の途中で異動がなければ、記入する必要はありません。

なお、年末調整で配偶者控除や配偶者特別控除を受けるには、別途「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」を提出する必要があります。

B 源泉控除対象親族(旧:控除対象扶養親族)

B 控除対象扶養親族(16歳以上)

満16歳以上(2011年1月1日以前生まれ)の扶養親族がいる場合、「B 控除対象扶養親族(16歳以上)」欄に該当者の情報を記入します。

①氏名など基本情報
扶養親族の氏名、申告者本人との続柄、個人番号(マイナンバー)、生年月日を記載します。

②老人扶養親族または特定扶養親族
その扶養親族が老人扶養親族または特定扶養親族に該当する場合に、該当欄にチェックをします。

扶養親族の年齢が70歳以上の場合は老人扶養親族に該当するため、「同居老親等」または「その他」にチェックを付けます。

  • 同居老親等:自身または自身の配偶者の直系尊属で、自身または自身の配偶者のいずれかと同居を常としている
  • その他:上記以外

扶養親族の年齢が19歳以上23歳未満の場合は特定扶養親族に該当します。上記の記入例では特定扶養親族に該当するため、チェックを付けています。

③令和8年中の所得の見積額
扶養親族の2026年の所得額を見積もり額で算出し、記載します。

所得額は収入金額から必要経費(給与所得の場合は給与所得控除)、公的年金等控除額を差し引いて算出します。

④非居住者である親族と生計を一にする事実
扶養親族が非居住者であり、以下の項目に該当する場合には、該当欄にチェックを付けます。

  • 16歳以上30歳未満または70歳以上である(16歳以上30歳未満又は70歳以上)
  • 30歳以上70歳未満かつ、留学している(留学)
  • 30歳以上70歳未満かつ、障害者である(障害者)
  • 30歳以上70歳未満かつ、扶養親族に年間38万円以上の支払いをしている(38万円以上の支払)

いずれの場合でも、扶養親族が非居住者であることを証明する親族関係書類等の添付が必要です。また、「留学」にチェックを付けた場合は、留学ビザなど留学していることが証明できる書類を添付します。

直下の欄には「生計を一にする事実」として、2026年中にその扶養親族に送金等をした金額の合計額を記載します。

⑤住所又は居所
配偶者の住所または居所を記載します。申告者と同じ住所(居所)であれば、「同上」でも問題ありません。

⑥異動月日及び事由
2026年中に異動があった場合に、異動月日と事由を記載します。

たとえば、扶養親族が死亡した場合は「○月○日死亡」と記載します。その年の中途で扶養親族が死亡した場合でも、死亡時点で「扶養控除」で記載した条件を満たせば、その年の配偶者控除を受けられます。

C 障害者、寡婦・ひとり親又は勤労学生

C 障害者、寡婦・ひとり親又は勤労学生

「C 障害者、寡婦・ひとり親又は勤労学生」欄では、申告者本人や配偶者、扶養親族が障害者に該当する場合や、本人が寡婦・ひとり親・勤労学生に該当する場合に記入します。

該当する欄にチェックを入れ必要事項を記載することで、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除の適用を申告できます。それぞれ、①および②の欄に以下のとおり記入します。

障害者の場合

①チェック欄
申告者本人や同一生計の配偶者が障害者に該当する場合にはチェックを付け、扶養親族に該当者がいる場合にはあてはまる箇所にチェックを入れ、人数を記入します。

②障害者又は勤労学生の内容
左側でチェックした障害者に該当する事実や、その人の氏名を記載します。障害者に該当する事実とは、たとえば障害の状態や交付を受けている手帳などの種類と交付年月日、障害の程度(等級)など障害者に該当する事実です。

障害者控除に関する申告書の記載方法について詳しく知りたい場合は、以下の記事もご覧ください。

寡婦・ひとり親の場合

①チェック欄
申告者本人が寡婦やひとり親に該当する場合は、該当箇所にチェックを入れます。

寡婦またはひとり親の場合は、②への記入は不要です。

勤労学生の場合

①チェック欄
申告者本人が勤労学生に該当する場合はチェックを入れます。

②障害者又は勤労学生の内容
勤労学生に該当する事実を記載します。勤労学生に該当する事実とは、その年中の所得額(勤労の事実)と、通学する学校名や入学年度(学生である事実)などです。

D 他の所得者が控除を受ける扶養親族等

D 他の所得者が控除を受ける扶養親族等

同じ世帯に所得者が2人以上いる場合は、配偶者や扶養親族を分けて、それぞれの所得者が控除を受けても問題ありません。たとえば、共働きで子どもを扶養親族としていなかった場合などで記載する欄となります。

主な記入項目は以下のとおりです。

  • 扶養親族等の氏名
  • 申告者本人との続柄
  • 生年月日
  • 住所または居所
  • 控除を受けるほかの所得者の氏名
  • 申告者本人との続柄
  • 控除を受ける所得者の住所または居所
  • 異動月日および事由

年の途中で扶養する所得者を変更した場合は、「異動月日および事由」欄に変更日と「夫の扶養へ変更」などの理由を記入します。

住民税に関する事項

住民税に関する事項

申告書下部の「住民税に関する事項」には、16歳未満の扶養親族や退職手当等を有する配偶者・扶養親族がいる場合に必要事項を記入します。

①16歳未満の扶養親族

2026年12月31日時点で16歳未満の扶養親族がいる場合は、その扶養親族に関する以下の情報を記入します。

  • 氏名
  • 個人番号(マイナンバー)
  • 申告者との続柄
  • 生年月日
  • 住所または居所
  • 控除対象外国外扶養親族かどうか
  • 令和8年中の所得の見積額※
  • 異動月日および事由

※「令和8年中の所得の見積額」欄には、退職所得を除いた所得の見積額を記載

16歳未満の扶養親族には所得税の扶養控除が適用されません。ただし、住民税の非課税判定などに扶養親族の人数が用いられるため、この欄への記入が必要です。

年の途中で子どもが生まれた場合などは、「異動月日および事由」欄に「○月○日 出生」などと記載します。

②退職手当等を有する配偶者・扶養親族

また、退職手当等を有する配偶者・扶養親族は、2023年分以降の扶養控除申告書に新たに追加された欄です。各種控除の対象となる配偶者・扶養親族に退職手当等の退職所得が見込まれる場合は、退職所得を除いた所得の見積額等を申告しなければなりません。

住民税は所得税と異なり、税額の計算に用いる合計所得額に退職所得を含まないことから、正しい税額の計算のために当欄が設けられました。

当欄には、該当する配偶者・扶養親族に関する以下の情報を記入します。

  • 氏名
  • 個人番号(マイナンバー)
  • 申告者との続柄
  • 生年月日
  • 住所または居所
  • 非居住者の区分
  • 令和8年中の所得の見積額※
  • 障害区分
  • 異動月日および事由
  • 寡婦またはひとり親かどうか

※「令和8年中の所得の見積額」欄には、退職所得を除いた所得の見積額を記載

2026年(令和8年)分の扶養控除申告書に関する主な変更点

2026年分の扶養控除申告書には、2025年度税制改正で創設された特定親族特別控除に対応するため、B欄の名称や記載対象に変更が加えられています。

さらに、2026年度税制改正により、扶養親族や配偶者などの所得要件が引き上げられました。この改正は2026年12月1日に施行され、同年12月の年末調整から反映されます。

なお、多くの会社では2026年の年末調整時に2027年(令和9年)分の扶養控除申告書を配布します。2027年(令和9年)分の扶養控除申告書は、2026年度税制改正による所得基準の引き上げを除き、2026年(令和8年)分の扶養控除申告書と大きな変更点はありません。

特定親族特別控除の創設

2025年度税制改正により、19歳以上23歳未満の親族を対象とする「特定親族特別控除」が創設されました。

従来は、学生アルバイトなどの所得が扶養控除の要件を超えると、親が受けられる扶養控除は一度に適用されなくなっていました。特定親族特別控除の創設後は、親族の所得が扶養控除の要件を超えても、所得金額に応じて段階的に控除を受けられます。

収入が給与のみの場合は、年収136万円超197万円以下が対象となる目安です。控除額は親族の所得に応じて3万円から63万円までの範囲で変わり、合計所得金額が62万円超85万円以下の場合は63万円となります。

扶養控除申告書のB欄に記載するのは、特定親族のうち、毎月の源泉徴収税額の計算に反映できる一定の人です。特定親族特別控除を年末調整で正式に申告する場合は、別途「給与所得者の特定親族特別控除申告書」を提出します。

B欄「源泉控除対象親族」への呼称変更

2025年(令和7年)分までの扶養控除申告書では、B欄の名称は「控除対象扶養親族(16歳以上)」でした。2026(令和8年)分からは「源泉控除対象親族」に変更され、従来の控除対象扶養親族に加えて、一定の特定親族も記載対象となっています。

源泉控除対象親族とは、以下のいずれかに該当する親族です。

区分2026年中の合計所得金額給与収入のみの場合の目安
控除対象扶養親族62万円以下136万円以下
特定親族
(19歳以上23歳未満)
62万円超100万円以下136万円超174万円以下

特定親族の合計所得金額が100万円以下であれば、毎月の源泉徴収税額を計算する際の扶養親族等の数に含められるため、B欄へ記入します。

一方、合計所得金額が100万円を超え123万円以下の特定親族は、特定親族特別控除の対象となる可能性はありますが、B欄には記入しません。年末調整の際に「給与所得者の特定親族特別控除申告書」で申告します。

配偶者の所得要件引き上げ

2026年度税制改正により、同一生計配偶者に該当するための合計所得金額の要件が、58万円以下から62万円以下に引き上げられました。給与所得控除の最低保障額も74万円へ引き上げられたため、収入が給与のみの場合は年収136万円以下が目安となります。

また、扶養控除申告書のA欄へ記入する源泉控除対象配偶者は、配偶者の合計所得金額が95万円以下であることが要件です。この所得要件自体は変わりませんが、給与所得控除の引き上げにより、給与収入のみの場合の目安は年収160万円以下から169万円以下へ広がります。

所得要件の変更により、新たに対象となる配偶者がいる場合は、扶養控除申告書に配偶者の氏名や所得の見積額などを記載して勤務先へ提出します。

扶養控除申告書で注意すべきポイント

扶養控除申告書の記載内容は、毎月の源泉徴収税額や年末調整に影響します。扶養控除申告書を記入・提出する際には、以下の注意点を押さえておきましょう。

年末調整には扶養控除申告書の提出が必須

扶養控除申告書は前述のとおり、年末調整そのものを受けるために必要な書類です。配偶者や扶養親族がいない人も、本人の基本情報を記入して主な勤務先へ提出します。

提出しなければ年末調整を受けられず、毎月の給与から天引きされている源泉徴収税額が本来の所得税額より多かったとしても、還付金を受け取れません。その場合、過剰分を取り戻すには確定申告が必要になります。

また、扶養控除申告書を提出しなければ扶養控除等も適用されません。所得から扶養控除等が差し引かれなければ課税所得額が正しく計算されず、翌年の住民税や所得税が高くなります。

扶養控除申告書は、本申告書で申告できる各所得控除の対象でなくとも提出が義務付けられており、すべての給与所得者が期限内に勤務先へと提出することが重要です。

子どもの年齢に応じて控除額が変わる

扶養する子どもの年齢によって、扶養親族の区分が異なります。

子どもの年齢が16歳以上19歳未満であれば「一般の控除対象扶養親族」に、19歳以上23歳未満であれば「特定扶養親族」に該当します。一般の控除対象扶養親族の場合の控除額は38万円、特定扶養親族の控除額は63万円です。

なお、16歳未満は「年少扶養親族」という区分に該当します。所得税の扶養控除は適用されませんが、住民税の非課税判定などに関係します。そのため、扶養控除申告書の「住民税に関する事項」欄へ記入してください。

1社にしか提出できない

扶養控除申告書は、主たる給与の支払を受けている勤務先1社にしか提出できません。仮に2ヶ所以上で勤務している場合は、もっとも給与が多い勤務先に提出します。

提出しなかった勤務先では年末調整は行われません。そのため、毎月の源泉徴収税額が「乙欄適用」となり自ずと高くなります。

また2ヶ所以上で勤務している場合は、確定申告で所得を合算して納税しなければならないことに注意が必要です。

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まとめ

扶養控除申告書は、年末調整を受けるために必要な書類であり、すべての給与所得者が勤務先に提出しなければなりません。

扶養控除申告書を提出しなければ所得税の扶養控除等の控除が受けられず、還付金や来年度の所得税・住民税に影響します。申告漏れがないよう必要事項を正しく記入し、必ず期限内に勤務先へ提出しましょう。

よくある質問

扶養控除申告書の提出義務がある人は?

扶養控除申告書を勤務先に提出する必要があるのは、会社員や公務員だけでなく、パートやアルバイト、非正規の従業員も含めた、年末調整の対象となるすべての給与所得者です。

詳しくは、記事内の「扶養控除申告書の提出が必要な人」をご覧ください。

扶養控除申告書を提出しないとどうなる?

扶養控除申告書を勤務先に提出しないと、扶養控除等の所得控除が受けられないだけでなく、年末調整そのものが受けられません。

年末調整が受けられなかった場合、毎月の給与から天引きされる源泉徴収税額が本来納めるべきの所得税額より高かったとしても、還付金を受け取れません。この場合、還付金を受け取るには、自身で翌年2月16日〜3月15日の期間に確定申告する必要があります。

詳しくは、記事内の「扶養控除申告書とは」で解説しています。

扶養控除申告書は2社以上に提出できる?

扶養控除申告書は、主たる給与の支払を受けている勤務先1社にしか提出できません。2ヶ所以上で勤務している場合は、もっとも給与が多い勤務先に提出するのが一般的です。

詳しくは、記事内の「扶養控除申告書で注意すべきポイント」をご覧ください。

参考文献

監修 北 光太郎

きた社労士事務所 代表
中小企業から上場企業まで様々な企業で労務に従事。計10年の労務経験を経て独立。独立後は労務コンサルのほか、Webメディアの記事執筆・監修を中心に人事労務に関する情報提供に注力。法人・個人問わず多くの記事執筆・監修をしながら、自身でも労務専門サイトを運営している。

北 光太郎

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