確定申告の基礎知識

NISA口座で利益を得ても確定申告は原則不要! 例外的に必要なケースや書き方を紹介

監修 鶏冠井 悠二

NISA口座で利益を得ても確定申告は原則不要! 例外的に必要なケースや書き方を紹介

NISAとは、個人投資家向けの税制優遇制度です。近年、将来に向けた資産形成を目的として、NISA口座を開設し、株式などの金融商品を売買・保有する人が増加しています。

NISA口座で得た利益には税金がかからず、原則として確定申告も必要ありません。ただし、配当金の受取方法などによっては、確定申告が必要なケースもあります。

本記事では、NISAを利用する人に向けて、新・旧NISAの違いや、NISA口座で得た利益に関する税制上の特徴を紹介します。

確定申告が必要なケースや、NISAを利用するうえで知っておきたいポイント・注意点、NISAの始め方なども解説するので、ぜひ参考にしてください。

目次

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税金(所得税・住民税)が原則課されない「NISA口座」とは

NISA(ニーサ)とは、少額投資を行う個人投資家向けの「少額投資非課税制度」です。NISA制度で用いられる専用の口座は「NISA口座」と呼ばれ、ひとり一口座に限られます。

通常、金融商品の利益には20.315%の税金(所得税・復興特別所得税・住民税の合計)がかかります。しかし、NISA口座では、金融商品から得た利益に、原則として税金が課されません。

NISAの投資枠には「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の2つがあり、年間投資枠や投資対象商品などが異なります。成長投資枠では240万円、つみたて投資枠では120万円を上限として、年間合計360万円までを投資でき、利益に対して税金はかかりません。


出典:金融庁「NISAを知る」
出典:国税庁「株式・配当・利子と税」
出典:日本証券業協会「NISA口座」

新NISAと旧NISAの違い

NISAには、2024年1月から導入された「新NISA」と、2023年12月まで実施されていた「旧NISA」があります。両者の主な違いを下表にまとめました。


項目旧NISA新NISA
一般NISAつみたてNISA成長投資枠つみたて投資枠
併用不可
年間投資上限額120万円40万円240万円120万円
非課税
保有限度額
600万円800万円1,800万円
(うち成長投資枠1,200万円)
非課税保有期間5年20年無期限
出典:一般社団法人 投資信託協会「NISA(ニーサ・少額投資非課税制度)ってなに?」
出典:金融庁「NISAを知る」

新NISAでは、旧NISAの一般NISAが「成長投資枠」に、つみたてNISAが「つみたて投資枠」に再編され、両枠の併用が可能です。

また、旧NISAには18歳未満向けの少額投資非課税制度「ジュニアNISA」がありましたが、2023年12月末に廃止されました。


出典:金融庁「2023年までのNISA」

【関連記事】
新NISA制度は旧制度とどう違う?法改正に伴う変更点やメリット・デメリットを解説

NISA口座で利益を得ても確定申告は原則不要

NISA口座で運用して得た売却益や配当金・分配金は非課税とされるため、原則として確定申告が不要です。

特定口座や一般口座で運用した場合、株式や投資信託で得た利益には20.315%の税金が課されます。内訳は、所得税・復興特別所得税が15.315%、住民税が5%です。

原則として、自身で損益・所得を計算し、確定申告と納税を行う必要があります。ただし、源泉徴収ありの特定口座を利用している人は申告不要制度を選択できます。

一方、NISAで得た利益は非課税とされ、原則として確定申告する必要がありません。


口座の種類確定申告の要否
一般口座必要
特定口座(源泉徴収あり)原則不要
特定口座(源泉徴収なし)必要
NISA口座不要
出典:一般社団法人 全国銀行協会「「特定口座」とは何ですか?」

なお、確定申告とは、1年間(1月1日から12月31日まで)の所得と、それに対する所得税額を計算し、税務署に申告・納税する手続きです。源泉徴収や予定納税で納めた税額が本来の税額より少なければ追加で納税し、払いすぎていれば還付されます。


出典:国税庁「No.2020 確定申告」

NISAとiDeCoの違い

税制上の優遇を受けながら投資・資産運用できる制度には、NISAのほかにiDeCoもあります。以下では、両者の主な違いを紹介します。

NISAは所得控除や税額控除による非課税制度ではない

税制には、所得額を控除する「所得控除」や、税額を軽減する「税額控除」の仕組みがあります。確定申告して所得控除や税額控除の適用を受ければ、課税額が軽減されます。

NISA口座は、所得控除や税額控除はありませんが、利益に対して非課税になる仕組みです。


出典:国税庁「No.1100 所得控除のあらまし」
出典:国税庁「No.1200 税額控除」

iDeCoでは所得控除を受けられる

iDeCoの掛金は65歳まで拠出可能で、60歳以降に老齢給付金を受け取れます。iDeCoでは、給付の受け取り時に税金がかかりますが、優遇措置が講じられています。

掛金全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象となり、課税所得金額を軽減できる点が、NISAとの違いです。NISAでは、投資した資金は控除の対象とされず、運用益のみ非課税となります。


出典:国民年金基金連合会「iDeCoのご案内」

NISAでも確定申告が必要なケース

NISA口座で得た利益は原則として確定申告が不要ですが、特定の状況では確定申告が必要です。
制度を正しく理解し、必要な場合には確定申告をしてください。

確定申告のやり方や対象者について知りたい人はこちらの記事からチェック!


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配当金を「株式数比例配分方式」以外の方法で受け取っている場合

NISAで購入した上場株式の配当金などを非課税で受け取るには、証券会社で事前に手続きしなければなりません。具体的には、配当金の受取方法として「株式数比例配分方式」を選択し、証券会社の取引口座で配当金を受け取ることが条件とされています。

NISA口座で発生した配当金を「株式数比例配分方式」以外の方法で受け取ると、課税対象となり、20.315%の税率で源泉徴収されます。

配当金が課税対象とされる方式

  • 配当金受領証方式:配当金受領証をゆうちょ銀行や郵便局に持参して受け取る方式
  • 個別銘柄指定方式:銘柄ごとに指定した銀行口座で配当金を受け取る方式
  • 登録配当金受領口座方式:保有する全銘柄の配当金を指定する単一の銀行口座で受け取る方式

出典:金融庁「NISAを利用する皆さまへ」

NISAでも確定申告すれば損益通算・繰越控除で節税につながる

「株式数比例配分方式」以外を選択してNISA口座で受け取った配当金に関しては、確定申告の必要はありません。ただし、上場株式の譲渡損失と損益通算・繰越控除が可能で、節税につながることがあります。

たとえば、「課税口座で株式を売買して30万円の譲渡損失が生じ、NISA口座で受け取った配当金10万円が株式数比例配分方式以外で受領されたケース」を想定します。

この事例では、NISA口座の配当金10万円には20.315%の税金が源泉徴収されています。確定申告で申告分離課税を選択し、課税口座の30万円の譲渡損失と損益通算することで、配当金10万円分と相殺できます。

それでも控除しきれない損失20万円分が残るため、その年の株式等に係る所得は0円となり、残った20万円の損失は翌年以降に繰り越すことが可能です。


出典:国税庁「No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」
出典:日本証券業協会「NISA口座における上場株式の配当金等受取方式に関する注意事項」

旧NISAの非課税期間が終了して課税口座へ払い出された場合

旧NISAでの運用を継続している場合、非課税期間終了後は自動的に課税口座(特定口座または一般口座)に払い出されます。そのため、確定申告が必要なケースがあります。非課税期間終了後、新NISAには移管できません。

旧NISAの非課税期間

  • 一般NISA:最長5年
  • つみたてNISA:最長20年
  • ジュニアNISA:最長5年

ただし、非課税期間終了前に売却すれば、確定申告は不要です。また、課税口座のうち特定口座(源泉徴収あり)に払い出された場合も、原則として確定申告の必要がありません。

※18歳に達する前に非課税期間が終了した場合でも、 18歳になるまでは継続管理勘定で非課税のまま保有できます。


出典:金融庁「2023年までのNISA」

旧NISA口座から移管後の売却益は雑所得ではなく譲渡所得

旧NISA口座で購入した金融商品がある場合、非課税期間が満了するまで保有可能です。なお、新NISAの非課税保有限度額である1,800万円の外枠で管理されます。

非課税期間中に旧NISA口座の株式などを売却しなかった場合、期間満了後に課税口座に移管され、新NISA口座には移管されません。

課税口座に移管された株式などは「移管時の時価で取得した」とみなされるため、移管までの利益は非課税ですが、移管後の利益には課税されます。

その後、移管時よりも高い価格で売却すると、その差額が譲渡所得に該当し、課税されます。

たとえば、株価が5万円の時点で移管され、30万円に値上がりした時点で売却したケースでは、差額の25万円が譲渡所得とされます。


出典:金融庁「2023年までのNISA」

NISAを始める前に知っておくべきポイント・注意点

NISAは、投資によって得た利益が非課税となる制度です。ただし、制度の注意点を把握せずに利用を開始すると、税制上の優遇を十分に活かせない可能性があります。

非課税枠の範囲内なら購入回数に上限はない

NISAでは、年間の非課税投資額が最大360万円(つみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円)と定められています。非課税枠の範囲内であれば、購入回数に上限はありません。

また、新NISAでは、NISA口座で金融商品を売却すると、その取得金額分の非課税投資枠が翌年以降に復活します。

たとえば、100万円で購入した金融商品が120万円に値上がりした時点で売却すると、100万円分の非課税枠が翌年に復活します。


出典:金融庁「NISAを知る」

元本割れの可能性がある

株式などの売買は、投資である以上、購入時の価格よりも低下し、元本割れするリスクがあります。価格変動リスクがあることを理解し、長期・分散・積立投資を心がけましょう。

さらに、旧NISAの非課税期間が経過して課税口座に払い出された場合、非課税期間の最終営業日の価格が課税口座での取得価額とみなされます。

たとえば、購入時が1株5,000円、非課税期間終了時が1株4,500円の場合、「4,500円」が課税口座での取得価額とされます。

元本割れした状態で課税口座に払い出されると、その後に価格が回復しても、投資家にとっては実質的に利益が出ていません。しかし、払い出し後に増加した資産額は「運用益」として課税対象とされます。


出典:金融庁「2023年までのNISA」
出典:金融庁「よくある質問」
出典:国税庁「NISA及びつみたてNISAの手続に関するQ&A」

非課税の場合は損益通算や繰越控除ができない

NISA口座で得た利益や損失は、損益通算や繰越控除の対象とされません。


用語意味
損益通算一定期間の利益と損失を相殺すること
繰越控除損失を翌年以降に繰り越して翌年以降の利益と相殺すること
出典:日本証券業協会「損益通算」
出典:日本証券業協会「繰越控除」

たとえば、A証券会社の課税口座で30万円の損失があり、B証券会社の課税口座で30万円の利益があったと想定します。このケースでは、確定申告により損益通算としてA証券会社での損失とB証券会社での利益を相殺できます。

さらに、損益通算しても控除しきれない損失がある場合は、繰越控除として、翌年以降の利益と相殺することも可能です。課税所得を減らせるため、節税につながります。

しかし、原則として、NISA口座で得た利益は非課税です。また、損失が出た場合も税務上は「なかったもの」とみなされるため、損益通算や繰越控除はできません。

NISA口座で損益通算や繰越控除ができないのは、株式の売却損益や配当金などを非課税で受け取るケースに限られます。配当金受領証方式や個別銘柄指定方式などで受け取る場合は課税対象とされ、確定申告によって損益通算や繰越控除が可能です。


出典:国税庁「No.1474 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除」

NISAの利益は配偶者控除・扶養控除に影響しない

NISA口座で利益を得ても、配偶者控除・扶養控除を適用できるかどうかの判定には影響しません。

これは、適用の可否を判断する際の「配偶者や親族の合計所得金額」に、NISAで得た利益が含まれないためです。

また、配偶者控除の控除額は、控除を受ける納税者自身の合計所得金額によっても変動します。ただし、NISAで得た利益は合計所得金額に含まれないため、控除額に影響しません。


出典:国税庁「No.1191 配偶者控除」
出典:国税庁「No.1180 扶養控除」

ジュニアNISAは18歳未満でも非課税で引き出せる

ジュニアNISAは、2023年12月31日で制度が終了したことに伴い、18歳未満の払い出し制限が撤廃されました。

以前は、18歳未満が払い出しを行うと、一部の利益が課税対象とされ、確定申告が必要でした。

2024年1月以降は、口座開設者本人が18歳に達していなくても非課税で払い出しが可能です。ただし、部分的な払い出しはできないため、ジュニアNISA口座を解約して、全額を払い出す必要があります。


出典:金融庁「2023年までのNISA」

【関連記事】
ジュニアNISAはいつまで利用できる?廃止後の代わりはどうなる?

NISAの始め方

NISA口座で資産運用を開始するためには、いくつかの手続きをしなければなりません。以下に、NISA口座で投資を開始するまでの流れを紹介します。

①金融機関の口座を開設する

NISAでの非課税投資を始めるためには、証券総合口座(銀行の場合は投資信託口座)の開設が必要です。NISAを取り扱っている証券会社や銀行の支店を訪れるか、オンラインまたは郵送で手続きをすることができます。

NISA口座は、1人1口座に限られます。金融機関ごとに取り扱う商品や手数料が異なるため、内容を比較して適切な金融機関を選ぶことが重要です。

証券総合口座または投資信託口座を開設済みの人は、②の手順に進んでください。


出典:一般社団法人 投資信託協会「NISAについてのQ&A」
出典:日本証券業協会「口座開設の時に必要な書類等は?」

②NISA口座を開設する

NISAで資産運用をするためには、NISA口座を開設する必要があります。

NISA口座は、金融機関で手続きだけでは開設できず、税務署の審査を通過しなければなりません。口座開設の申請から1週間から3週間程度かかるため、余裕をもって申請しましょう。

多くの金融機関では、NISA口座は手順①の証券総合口座(投資信託口座)の開設と同時に申し込むことが可能です。


出典:一般社団法人 投資信託協会「NISAを検討されている方へ〜NISAの始め方」
出典:一般社団法人 投資信託協会「NISAについてのQ&A」
出典:日本証券業協会「口座開設の時に必要な書類等は?」

③投資したい金融商品を選択して注文する

金融商品には上場株式・投資信託・ETF・REITなどがあり、取り扱いの有無は金融機関によって異なります。

また、NISAの投資枠によっても購入できる金融商品は異なります。つみたて投資枠は国が認めた所定の投資信託(旧つみたてNISAと同様)のみが対象ですが、成長投資枠では株式も購入可能です。

購入したい金融商品が見つかったら、内容を十分に確認のうえで、注文手続きを行いましょう。


出典:一般社団法人 投資信託協会「NISA(ニーサ・少額投資非課税制度)ってなに?」

NISA口座利用者が確定申告する場合の書き方

配当金を「株式数比例配分方式」以外の方法で受け取っているNISA口座利用者は、配当金の金額が「配当所得」として課税されます。


出典:金融庁「NISAを利用する皆さまへ」
出典:日本証券業協会「NISA口座における上場株式の配当金等受取方式に関する注意事項」

また、旧NISA口座で保有している株式などは、非課税期間が満了すると、課税口座に移管される仕組みです。その後、価格が上昇したタイミングで売却すると、差額が「譲渡所得」として課税されます。


出典:金融庁「2023年までのNISA」

国税庁公式Webサイトの「株式等の譲渡所得等の申告のしかた」を参照し、必要事項を記入してください。

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まとめ

NISAとは、金融商品の運用益が非課税とされる制度です。

NISA口座で得た利益は非課税とされるため、配当金を「株式数比例配分方式」で受け取っていれば、原則として確定申告は不要です。

それ以外の方式で配当金を受け取った場合も、原則として確定申告は必要ありません。ただし、課税口座で発生した譲渡損失との損益通算や繰越控除行うには、確定申告が必要です。

また、旧NISAの非課税期間が終了して課税口座へ払い出された場合には、確定申告が必要とされることがあります。正確に税金を納め、税制上の優遇措置を最大限活用するためにも、NISA制度に関する税金や確定申告の取り扱いを正しく理解しておきましょう。

確定申告のやり方を詳しく知りたい場合は、以下の記事をご覧ください。

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よくある質問

NISAとは?

NISAとは、金融商品の運用益が非課税とされる「少額投資非課税制度」です。

詳しくは、記事内「税金(所得税・住民税)が原則課されない「NISA口座」とは」をご覧ください。


出典:金融庁「NISAを知る」

NISA口座で利益を得た場合は確定申告が必要?

NISA口座で得た運用益は非課税とされるため、新NISA・旧NISAのいずれも、原則として確定申告は必要ありません。

新NISA口座では、以下の範囲内であれば、非課税とされます。

新NISA口座で運用益が非課税とされるための要件

  • 年間投資枠:つみたて投資枠は120万円、成長投資枠は240万円
  • 非課税保有限度額:1,800万円(そのうち、成長投資枠は1,200万円)

しかし、確定申告が必要になるケースもあります。

詳しくは、記事内「NISA口座で利益を得ても確定申告は原則不要」「NISAでも確定申告が必要なケース」をご覧ください。


出典:金融庁「NISAを知る」

しかし、確定申告が必要になるケースもあります。


出典:金融庁「NISAを利用する皆さまへ」

詳しくは、記事内「NISA口座で利益を得ても確定申告は原則不要」「NISAでも確定申告が必要なケース」をご覧ください。

監修 鶏冠井 悠二(かいで ゆうじ)

コンサルタント会社、生命保険会社を経験した後、ファイナンシャルプランナーとして独立。「資産形成を通じて便利で豊かな人生を送って頂く」ことを目指して相談・記事監修・執筆業務を手掛ける。担当分野は資産運用、保険、投資、NISAやiDeCo、仮想通貨、相続、クレジットカードやポイ活など幅広く対応。現在、WEB専門のファイナンシャルプランナーとして活動中。

監修者 鶏冠井 悠二

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