確定申告の基礎知識

還付申告とは?対象となるケースや確定申告・年末調整との違いを解説

公開日:2017/09/22
最終更新日:2022/02/22

還付申告とは?確定申告の締切後に還付を申請する

還付申告とは、ひと言で説明すると「納め過ぎた所得税を返してもらうための申告手続き」です。会社員で、すでに年末調整を受けている場合であっても、「医療費控除」「雑損控除」「寄附金控除」などを適用したい場合や、年の途中で退職している場合などでは還付の対象者となるケースがあります。

還付申告は、過去5年分まで申告できるので、還付の条件を理解することで、以前支払った所得税の還付を受け取れる可能性があります。

本記事では、還付申告の申告方法や必要書類、対象者、確定申告との違いなどを解説します。

目次

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還付申告とは? 確定申告や年末調整との違い

還付申告とは、予定納税や源泉徴収で納めた所得税が本来納めるべき金額より多かった場合に、確定申告をすることで還付を受けられる制度です。

控除できる項目を見落としている場合もあるので、一度確認してみるとよいでしょう。特に、確定申告の義務がない人に対象者が多いです。

還付申告と確定申告の違い

還付申告には、確定申告書を使用するので、手続き自体は確定申告と同じになります。

ただし、確定申告の申告期間が原則として課税年度の翌年2月16日から3月15日までであるのに対し、還付申告は課税年度の翌年から5年間、通年で申告することができます。

還付申告と年末調整の違い

年末調整とは、1年間の収入や社会保険料、控除、源泉徴収した分の所得税額などを、会社が本人に代わってまとめて計算し、過不足を調整する仕組みのことです。

還付申告の場合は、これらの計算や手続き、あるいはその一部を本人が行います。手続き自体は前述の通り確定申告と同じです。

会社員などの給与所得者であれば年末調整を受けているケースが多いと思います。ただし、年末調整を受けていても還付申告をする方がよい場合があります。詳しくは後述します。

還付申告の対象者は?

予定納税をした個人事業主が還付申告できるケース

予定納税の対象者で、かつその年の確定申告をしなくてもよくなった場合でも、税金を納め過ぎている場合は還付を受けることができます。これも、還付申告に当てはまります。

予定納税とは?

予定納税とは、前年の所得金額や税額などをもとに計算した金額(予定納税基準額)が15万円以上の場合に、その年の所得税の一部をあらかじめ納税する制度です。

予定納税は年に2回に分けて行います。第1期は7月1日から7月31日までに、第2期は11月1日から11月30日までに、それぞれ予定納税基準額の3分の1の金額を納付しなければなりません。なお、予定納税額は同年6月15日までに所轄税務署から書面で通知されます。

なお、休廃業や業績の悪化により、本来納めるべき所得税額が、予定納税で実際に納めた税額より少なくなった場合、確定申告をする必要がなくなります。義務がなくなった場合でも、還付申告をすれば納め過ぎた税額分の還付を受けることができます。

例えば、2018年分の所得税額が30万円の場合、2019年は予定納税を行うことになります。このケースにおける予定納税額は次の通りです。

  • 2019年第1期(7月1日〜7月31日):10万円(30万円×3分の1)
  • 2019年第2期(11月1日〜11月30日):10万円(30万円×3分の1)
つまり、2019年分の確定申告で正確な税額が確定する前に20万円を納付することになります

仮に2019年に業績が大幅に悪化し、確定申告の結果、納税額が15万円となった場合、すでに予定納税で納めた20万円は、本来納めるべき金額の15万円より5万円多いことになります。

この場合、2020年2月から3月に2019年分の確定申告をすることで、事前に納め過ぎた5万円が還付されます。

給与所得者で還付申告できるケース

会社員の多くは、会社での年末調整で税金が精算されます。年末調整では正確な税額が計算されるため、通常、税金の払い過ぎは起こりません。

しかし、「医療費控除」「雑損控除」「寄附金控除」「住宅ローン控除」といった控除は、年末調整で処理することができませんので、自分で還付申告を行う必要があります。また、年の途中で退職し、年末調整を受けていないケースなどでも同様に還付申告が必要です。

医療費控除を受ける場合

医療費控除とは、1年間に支払った医療費が高額になった場合に、その一部を所得から控除できる制度です。

医療費控除は、以下の計算式で算出されます。

医療費控除の算出方法

医療費控除の金額 = 実際に支払った医療費の合計額 - 生命保険等の支給金額 - 10万円

※総所得金額等が200万円未満の場合は、10万円の代わりに総所得金額等の5%が差し引かれます。

雑損控除を受ける場合

雑損控除とは、災害や盗難、横領などで住宅や家財などに損害を受けた場合、次の金額のうち多い方を所得から差し引くことができる制度です。

雑損控除の算出方法

  • 差引損失額 - 総所得金額等 × 10%
  • 差引損失額のうち災害関連支出の金額 - 5万円

差引損失額とは、損害保険に加入している場合に、保険会社から受け取った保険金の額を損失合計額から差し引いた額です。

被害が大きく、その年の総所得金額等から差し引いても損失が解消されない場合は、残りの金額を翌年以降3年間繰り越すことができます。ただし、その都度還付申告が必要です。

寄附金控除を受ける場合

寄附金控除は、国や地方公共団体、特定公益増進法人などに寄附をしたときに、その一部を所得から差し引ける制度です。ここ数年、各自治体がさかんにアピールしている「ふるさと納税」も、この寄附金控除のひとつです。

寄附金控除額の算出方法

寄附金控除額 = 次のいずれか低い金額 - 2,000円


  • その年に支出した特定寄附金の額の合計額
  • その年の総所得金額等の40%相当額

なお、寄附金控除は基本的に所得控除に分類されますが、政治活動に関する寄附金、認定NPO法人等に対する寄附金及び公益社団法人等のうち条件を満たしていれば、より節税効果の高い「税額控除」を選択することもできます。

参考:国税庁「No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)」

住宅ローン控除を受ける場合(初年度のみ)

住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用してマイホームを購入した場合や、増改築・バリアフリー改修工事、省エネ改修工事を行った場合に、一定額を所得税から控除することができる制度です。

一般の住宅の場合は4,000万円を上限として、10年間にわたって年末の住宅ローン残高の1%の控除を受けることができます。

なお、住宅ローン控除は所得控除ではなく税額控除なので、年末の住宅ローン残高の1%が支払った所得税からダイレクトに戻ってくる節税効果が非常に高い控除です。

自分で還付申告するのは初年度のみで、2年目以降は年末調整の対象となります。

年末調整後にその他の控除が適用できる場合

年末調整後に成人した子どもの国民年金保険料を支払った場合、社会保険料控除として支払った全額を所得から差し引くことができます。

また、年末調整後に結婚したり、親と同居したりすると、配偶者控除や扶養控除を受けられるケースもあります。

年末調整を受けられなかった場合

年の途中で退職して年末調整を受けなかった場合や、会社が定めた年末調整書類の提出日を過ぎてしまった場合は、自分で源泉徴収税額や適用される控除額を計算して確定申告をすることになります。


退職者の確定申告

所得控除や税額控除には他にも多くの種類があります。詳しくは以下の記事もあわせてご確認ください。

【関連記事】
【2022年最新】確定申告の所得控除は15種類! 税額控除との違いも解説

還付申告の対象にならないケース

個人事業主など、確定申告が義務付けられている人

確定申告の義務がある人は、確定申告の際に控除額なども計算されるため、別途還付申告を行う必要はありません。

なお、確定申告の義務があるのは、以下の方です。

確定申告が必要な人

  • 個人事業主やフリーランスの方
  • 一定額の公的年金を受け取っている場合
  • 株取引で一定の利益を得た場合
  • 不動産などそのほかの所得があった場合
  • 給与所得が2,000万円を超える場合
  • 本業のほかに20万円を超える収入がある場合
  • 2か所以上から給与を受けていて一定の収入がある場合

ただし、過去に確定申告を済ませた年度について、本来受けられる控除の申請漏れや誤って所得税額を多く申告・納付したことに気付いた場合などには、5年以内に「更正の請求」をすることで還付を受けられます。

【関連記事】
確定申告の間違いはどう修正する? 条件別、訂正・修正申告と更正の請求について解説

還付申告の対象外の所得しかない場合

源泉分離課税とは、予め収入から20.315%(所得税15.315%、地方税5%)を源泉徴収し、それだけで所得税の納税が完結する制度です。つまり、事後的な還付はありません。

還付申告の対象とならない所得の例 摘要課税
預貯金や一般公社債の利子 源泉分離課税
抵当証券などの利息
一定の割引債の償還差益
一時払いの養老保険や損害保険の差益

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還付申告のやり方は? 必要書類と手続き

還付申告に必要な書類を準備し、必要事項を記入します。必要書類は基本的に確定申告と同じですが、給与所得者の場合は細かい帳簿を提出する必要はありません。

還付申告の必要書類

還付申告に必要な書類は、以下の通りです。個人事業主の場合は確定申告と同じです。

還付申告に必要な書類

  • 確定申告書AまたはB
  • 源泉徴収票
  • 控除証明書類
  • マイナンバーカードなどの本人確認書類

確定申告書

確定申告にはA、Bの2つの様式があります。

確定申告書A【令和二年分以降用】第一表
確定申告書B【令和二年分以降用】第一表

出典:国税庁「令和 年分の の確定申告書A(左)」「令和 年分の の確定申告書B(右)

所得の種類が「給与所得」「雑所得(公的年金等、その他)」「配当所得」「一時所得」のみの人は「確定申告書A」を使用し、「事業所得」「不動産所得」「利子所得」「譲渡所得」などがある人は「確定申告書B」を使用します。

ただし、確定申告書Aは、2023年提出分(令和4年分)から廃止される予定です。

【関連記事】
【2022年(令和3年分)】確定申告書(A・B)の書き方を記入項目別に解説

源泉徴収票

還付申告において、源泉徴収票を提出する必要はありませんが、確定申告書に所得金額等を記入する際に必要です。

通常、1月末頃に勤務先から発行されます。退職した場合は、退職後1ヶ月以内に発行してもらえますが、勤務先が発行に応じない場合は税務署に相談しましょう。

業務委託契約などの場合は、年明け頃に契約事業者から送られてくることが多いですが、事業者側に発行の義務はありません。もし必要であれば、無理のない範囲で早めに発行を依頼するとよいでしょう。

控除証明書類

源泉徴収票に記載されていない国民年金保険料や国民健康保険料を支払った場合も控除の対象となります。

国民年金保険料については、毎年11月に控除証明書が送付されますので、大切に保管してください。なお、10月1日以降にその年の最初の支払いがある場合は翌年2月の送付となります。

また、医療費や生命保険料、寄付金など、控除の対象となるものがある場合も、その証明書が必要となります。

マイナンバーカードなどの本人確認書類

還付申告をするには、マイナンバーカードなど本人確認ができる書類が必要です。

マイナンバーカードを持っていない場合は、マイナンバー通知カードなどの個人番号がわかるものと、運転免許証やパスポートなどの身分証明書の提出が必要です。

還付申告の期限・期間

還付申告の申告期間は、対象年の翌年から5年間です。

例えば、2021年に納めた所得税の還付申告期間は、2022年1月1日から2026年12月31日までとなります。

国としては本来受け取るべき税金をすでに受け取っており、納税者が損をしていることになるため、還付申告についてはゆとりのある期間設定となっています。

確定申告期間(2月16日~3月15日)やその前後は避けたほうがよい

確定申告の期間は、通常2月16日から3月15日までです。

この期間とその前後は税務署が大変混み合うので、窓口で確定申告の内容を相談したい場合は、オフシーズンに提出することをおすすめします。

一方、少しでも早く還付金を受け取りたい場合は、確定申告期間前の1月中に、必要な書類が揃い次第、書類を提出することをおすすめします。

還付申告の書類の提出方法

還付申告の書類を提出する方法は、確定申告と同様に、以下の3つがあります。

  • 税務署窓口での直接提出
  • 郵送での提出
  • e-Taxでの電子申告

税務署の窓口に直接提出する方法

税務署の窓口で書類を直接提出する方法です。開庁時間内であれば、記載内容の確認などを依頼することも可能です。

郵送で提出する方法

「郵便物」(第一種郵便物)または「信書便物」として所轄の税務署に送付する方法です。期間内の消印があれば有効とみなされます。

e-Taxを使ってオンラインで提出する方法

パソコンやスマートフォンを使って、インターネット上で申告手続きを行う方法です。

24時間いつでも利用でき、還付金が振り込まれるまでの期間が短いなどのメリットがあります。

【関連記事】
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還付金はいつ振り込まれる?

還付金が振り込まれるまでの時間は、還付申告の提出方法によって異なります。

目安としては、税務署窓口での直接提出と郵送の場合は1~2ヶ月程度、e-Taxで提出する場合は3週間程度です。確定申告期間中は税務署の業務量が増えるため、多少の遅れが生じることも予想されます。

なお、還付金の金額や振込予定日などの処理状況は、e-Taxにログインして確認することができます。

還付金の受け取り方法

還付金の受け取りには、預貯金口座への振り込み、もしくは、ゆうちょ銀行各店舗または郵便局に出向いて受け取る方法があります。

まとめ

還付申告のポイントは、源泉徴収の取られ過ぎや控除の適用漏れに気付くかどうかです。ちょっとした気づきが、5年遡れば大きな還付につながることもあります。

過去5年分の源泉徴収や控除など、一度腰を据えてじっくりと確認してみるとよいでしょう。

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