人事労務の基礎知識
源泉徴収票とは?わかりにくい見方を解説。大事な数字を理解しよう
最終更新日:2019年11月25日
企業は、源泉徴収という形で、会社に勤めている従業員全員の納税義務を代行して果たしています。そのため、源泉徴収額を計算したり、源泉徴収票などの必要な書類を作成したりすることは、重要な給与計算業務です。源泉徴収票の見方を知ることで、それぞれの数字の役割を理解でき、源泉徴収票を作成する際の効率もあがるはずです。
目次
源泉徴収表の作成はボタン1つで
源泉徴収票とは
(1)従業員の退職時
従業員が退職したときに、1月1日〜退職時点までの給与に基づいた源泉徴収票を発行する義務があります。 これはその従業員自身の確定申告や、次の職場での年末調整に使われることになります。
(2)年末調整の計算後
年末調整の計算が完了したら、源泉徴収票を発行しなければなりません。いわば、年末調整の「最終報告書」として作成するのです。
従業員と税務署にそれぞれ1部ずつ、市区町村に2部提出されるので、会社は従業員1人につき合計4枚作成する必要があります。
<源泉徴収票の提出先と提出する部数>
従業員:1部
税務署:1部
市区町村(給与支払報告書として):2部
こちらは、「税務署提出用」の書式です。

引用元:国税庁
源泉徴収票というと、横長の小さな紙を思い浮かべる方が多いでしょう。実はその小さな紙は、この正式な書式から従業員個人に向けて必要な情報のみを抜き出して凝縮させた、いわば「ミニチュア版」なのです。よく見ると、共通している欄も少なくありません。
源泉徴収票の見方
(1)支払金額
支払金額は、給与、残業代(時間外手当)、ボーナス(賞与)ほか、各種手当などを含んだ額面の給料のことです。1年分の合計額が記載されているので、年収とだいたい等しくなります。 ここで注意が必要なのが、次の2点です。
通勤費などの非課税扱いとすべき手当は、支払金額の中に算入してはなりません。通勤費のほか、出張などでの交通滞在費なども所得税が課されない手当ですので、間違って源泉徴収の支払金額に入れないようにしましょう。
年の途中で、他の会社から転職してきた従業員からは、前職の源泉徴収票を回収する必要があります。前職の支払金額や徴収額の情報がなければ、その年の支払金額を確定させることができないからです。すでに述べたとおり、企業は退職者に源泉徴収票を発行する必要がありますので、もしも未発行である場合は前の会社に請求し、発行してもらうようにしましょう。
(2)給与所得控除後の金額
年末調整では「給与所得控除」という控除があります。
これは「会社だけでなく従業員にも必要経費がある」との考えのもと、一定額を経費として年収から差し引くことで、払うべき税金を安くするという制度です。給与所得控除はそれぞれの年収(支払金額)に応じて金額が変わります。
給与などの収入金額 | 給与所得控除額 |
---|---|
162万5,000円以下 | 65万円 |
162万5,000円超180万円以下 | 収入金額×40% |
180万円超360万円以下 | 収入金額×30%+18万円 |
360万円超660万円以下 | 収入金額×20%+54万円 |
660万円超1,000万円以下 | 収入金額×10%+120万円 |
1,000万円超 | 220万円 |
参考:
源泉徴収のしかた 平成29年版
「給与所得控除後の金額」には、年収に応じた控除額を差し引いた金額が記載されます。
(3)所得控除の額の合計額
上でみた「給与所得控除」以外の控除の合計額が、ここに記載されています。この合計額には大きく分けて、次の2つが含まれています。
・これまで毎月の給与計算で控除してきた金額
毎月給料から天引きされてきた、健康保険料や厚生年金保険料、雇用保険料、企業共済掛金などの年間合計額です。前職分があればそれも含まれています。
・年末調整で初めて控除される金額
配偶者控除や基礎控除など、年末調整で初めて登場する控除です。源泉徴収票の下部には、その内訳が記載されています。
例えば、以下のような控除があります。
- <年末調整の際に適用される控除の例>
- ・基礎控除:すべての課税者について、一律に適用される控除
- ・雑損控除:盗難や災害などに遭ったとき、その損害額について適用される控除
- ・医療費控除:一部の入院治療代、介護費用などについて適用される控除
- ・寄附金控除:災害の義援金など、寄附した金額について適用される控除
- ・障害者控除:納税者自身や扶養親族に障害者がいる場合に適用される控除
- ・寡婦(夫)控除:配偶者と離婚・死別して、扶養すべき子どもなどがいる場合に適用される控除
- ・勤労学生控除:給与を得て働いている学生・生徒で、所得が水準以下の場合に適用される控除
- ・扶養控除:養うべき家族などがいる場合に適用される控除
- ・配偶者控除・配偶者特別控除:一定水準以下の収入の配偶者がいる場合に適用される控除
詳しくは下記のページもご参照ください。
>> 関連記事: 年末調整とは?その流れと必要な作業
(4)源泉徴収税額
1年間で徴収した所得税の合計額が記載されています。
「(2)給与所得控除後の金額」から「(3)所得控除の額の合計額」を差し引くと、課税対象となる金額が算出されます。この金額に税率をかけたものが、この「(4)源泉徴収税額」となるのです。
<課税所得ごとの所得税の税率>
課税給与所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万5,000円以下 | 5% | なし |
162万5,000円超〜330万円以下 | 10% | 9万7,500円 |
330万円超〜695万円以下 | 20% | 42万7,500円 |
695万円超〜900万円以下 | 23% | 63万6,000円 |
900万円超〜1,742万円以下 | 33% | 153万6,000円 |
※税額は「所得金額×税率-控除額」の式で求められる
参考:
源泉徴収のしかた 平成29年版
以上をまとめると、こうなります。

なお、先に述べた「退職時に発行される源泉徴収票」の場合、年末調整がまだ行われていないので、2や3は空欄のままになっています。
源泉徴収票と給与支払報告書の違い
源泉徴収票のうち、市区町村に提出する2枚のことを「給与支払報告書」と呼びます。
源泉徴収票とフォーマットはほぼ同じですが、「普通徴収か特別徴収か」を選ぶ項目がある点が微妙に異なります。
住民税は、この給与支払報告書に基づいて計算されることになります。詳しくは下記のページもあわせてご覧ください。
>> 関連記事: 給与計算における住民税の計算・更新・納付
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まとめ
源泉徴収票は、会社が従業員の代わりに納めた所得税の額を、従業員に知らせる重要な書類です。控除額などを間違えてしまうと従業員が不利益を被ることになるため、経理担当者は、金額や内訳など、内容の正確性に細心の注意を払って作成しましょう。
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