
住宅ローン控除とは、正式には「住宅借入金等特別控除」といいます。ローンを組んで住宅を購入したり、バリアフリーや省エネなどの改築をしたりした際に税金が還ってくる制度で、原則13年間利用できます。
1年目の住宅ローン控除は確定申告での手続きが必要となりますが、2年目からの住宅ローン控除は、「住宅借入金等特別控除申告書」を用いた年末調整での手続きが必要になります。
本記事では、実際に住宅ローン控除を受けられる方に、2022年の税制改正後の内容を解説するとともに、具体的な「住宅借入金等特別控除申告書」の書き方と申請方法を解説していきます。
目次
- 2022年の住宅ローン控除の税制改正とは?
- 入居期限
- 住宅ローン控除率
- 控除期間
- 住宅ローン控除適用対象者の所得要件
- 控除対象限度額
- 新築住宅の建築確認
- 住民税の控除上限額
- 床面積要件
- 既存住宅の築年数要件
- 2年目以降に住宅ローン控除を受ける方法
- 2年目以降の住宅ローン控除で必要な書類
- 住宅ローン控除を申請する手順
- 住宅借入金等特別控除申告書の書き方と記載例
- 税務署長欄、給与の支払者の名称・所在地、あなたの氏名・住所
- ①「新築、購入及び増改築等に係る住宅借入金等の年末残高」
- ②「住宅借入金等の年末残高」
- ③「②と証明事項の取得対価の額又は増改築等の費用の額のいずれか少ない方の金額」
- ④「③×『居住用割合』」
- ⑤「住宅借入金等の年末残高等」
- ⑥「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算の基礎となる借入金等の年末残高」
- ⑦「特定増改築等の費用の額に係る住宅借入金等の年末残高等」
- ⑧「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額 」
- 「年間所得の見積額」
- 「連帯債務による住宅借入金等の年末残高」
- 「備考欄」
- 住宅ローン控除はいつ還付される?
- まとめ
- 最新の年末調整に対応!年末調整を簡単に行う方法
- よくある質問
2022年の住宅ローン控除の税制改正とは?
住宅ローン控除制度は、2022年度税制改正大綱によって内容が変更されました。以下では、税制改正によって変更された制度の内容について解説します。
項目 | 改正前 | 改正後 |
入居期限 | ~2021年12月31日 | 2022年1月1日 〜2025年12月31日 |
住宅ローン控除率 | 1% | 0.7% |
控除期間 | 10年(特例:13年) | 新築住宅の場合:13年 既存住宅の場合:10年 |
住宅ローン控除適用対象者の所得要件 | 合計所得金額3,000万円以下 | 合計所得金額2,000万円以下 |
【新築】控除対象限度額 | 5,000万円 | 5,000万円 |
【既存住宅】控除対象限度額 | 3,000万円 | 3,000万円 |
住民税の控除上限額 | 136,500円 | 97,500円 |
新築住宅の建築確認 | - | 2024年以降は、省エネ基準適合を要件化 |
床面積要件 | 50㎡以上 | 50㎡以上(合計所得金額1,000万円以下:40㎡以上) |
既存住宅の築年数要件 | 耐火建築物以外:築20年以内 耐火建築物:築25年以内 | 「1982年以後に建築された住宅」に緩和 |
出典:国土交通省「住宅ローン減税等が延長されます!~環境性能等に応じた上乗せ措置等が新設されます~」
入居期限
従来の住宅ローン控除制度では、従来、原則として2021年12月31日までに住宅を購入し、入居する必要がありました。
しかし、2022年度の税制改正により、入居期限が4年間(2022年〜2025年)延長されています。これにより、2025年12月31日までに住宅を購入し、入居すれば、住宅ローン控除の適用対象となります。
住宅ローン控除率
住宅ローンの控除率は、年末時点の住宅ローンの残高の1%から0.7%に引き下げられました。この変更は、住宅ローンの控除額が実際の支払利息を上回り、結果として支払利息より還付される税金の方が多くなる現象(逆ザヤ)を防止するための措置です。
なお、税制改正前にすでに住宅ローン控除を受けている場合は、2022年以降も改正前の控除率(1%)が適用されます。
出典:国土交通省「(別紙2) 令和4年度税制改正における住宅ローン減税の延長 Q&A」
控除期間
税制改正前は、控除期間は住宅の取得から原則として10年間でしたが、2022年の改正により13年間に延長されました。ただし、中古住宅に関しては最長で10年間となるため、その点には注意が必要です。
住宅ローン控除適用対象者の所得要件
2022年からは、住宅ローン控除の対象となる所得要件が変更され、住宅の購入者の合計所得金額が3,000万円以下から2,000万円以下へ引き下げられました。また、住宅ローン控除の対象となるには、上記を踏まえ、以下の要件をすべて満たす必要があります。
住宅ローン控除の対象要件
- 合計所得金額が2,000万円以下(一部の場合、1,000万円以下)
- 自らが居住するための住宅である
- 新築、または引渡し完了から6ヵ月以内に入居する
- 住宅ローン借入期間が10年以上ある
- 床面積が50㎡以上(一部40㎡以上)
- 1982年以降に建築または現行の耐震基準に適合
出典:国土交通省「住宅ローン減税」
控除対象限度額
2022年度からは、政府の「カーボンニュートラルの実現」に向けた措置として、環境に配慮された住宅性能に応じて控除対象限度額が変わります。
2022年〜2023年に入居する新築住宅の場合、認定住宅(長期優良住宅・低炭素住宅)の借入限度額は5,000万円です。ZEH水準の省エネ住宅は4,500万円、省エネ基準適合住宅は4,000万円、その他の住宅は3,000万円となりました。
2021年までは、その他の住宅の控除対象限度額は4,000万円でしたが、税制改正により、2022年〜2023年の入居分では3,000万円に減額されました。
住宅種類 | 環境性能 | 借入限度額 | 控除期間 | |
2022年・2023年 入居 | 2024年・2025年 入居 | |||
新築住宅・買取再販物件 | ・認定住宅 (長期優良住宅、低炭素住宅) | 5,000万円 | 4,500万円 | 13年間 |
・ZEH水準省エネ住宅 | 4,500万円 | 3,500万円 | ||
・省エネ基準適合住宅 | 4,000万円 | 3,000万円 | ||
・その他の住宅 | 3,000万円 | 0円 ※1 | ||
既存住宅 | ・長期優良住宅、低炭素住宅 ・ZEH水準省エネ住宅 ・省エネ基準適合住宅 | 3,000万円 | 10年間 | |
・その他の住宅 | 2,000万円 |
なお、2024年以降に新築の建築確認を受けた場合、省エネ基準を満たさない住宅は住宅ローン減税の対象外となります。
新築住宅の建築確認
原則として2024年以降に建築確認を受け新築された住宅で住宅ローン控除を受けるためには、省エネ基準への適合が必要となります。
そのため、2024年以降に住宅ローン控除を申請する際には、省エネ基準以上の適合を示す証明書として、以下のいずれかの書類を提出しなければなりません。
省エネ基準以上適合の証明書
- 建設住宅性能評価書(登録住宅性能表か機関のみが発行可能)
- 住宅エネルギー性能証明書(登録住宅性能評価機関等のほか建築士も発行可能)
出典:国土交通省「住宅の供給に携わる事業者の皆様へ」
住民税の控除上限額
住宅ローン控除は、住宅ローンを利用した際に所得税の控除が受けられる制度です。所得税から控除しきれない場合は翌年の住民税からも税金が控除されます。
2022年からは、住宅ローンで住民税から控除できる金額の上限が97,500円になりました。
床面積要件
住宅ローン控除には床面積に関する要件があり、原則として住宅の床面積は50㎡以上が対象です。ただし、2023年末までに建築確認を受けた新築住宅を取得する場合、合計所得金額が1,000万円以下であれば、床面積40㎡以上の住宅も住宅ローン控除の対象となります。
出典:国土交通省「住宅ローン減税」
既存住宅の築年数要件
住宅ローン控除の申請では建物の築年数に関する要件もあります。税制改正前では、非耐火住宅は築20年以内、耐火建築物は築25年以内であることが求められていました。
しかし、2022年の税制改正により、既存住宅の築年数要件が「1982年1月1日以降に建築された住宅(新耐震基準適合住宅)」に緩和されました。
2年目以降に住宅ローン控除を受ける方法
住宅ローン控除を受けるためには、住宅ローンを組んで住宅を購入したり、バリアフリーや省エネなどの改築をしたりした翌年の規定の期間内に確定申告を行わなければなりません。
なお、会社員の場合、住宅ローン控除で確定申告が必要なのは初年度のみで、2年目以降は年末調整で対応できます。
ここでは2年目以降に住宅ローン控除を受けるために必要な書類と、住宅ローン控除を受ける手順について解説します。
2年目以降の住宅ローン控除で必要な書類
2年目以降に住宅ローン控除の手続きを行う際には、一般的な年末調整で提出する書類以外に以下の書類が必要になります。
2年目以降に住宅ローン控除で必要な書類
- 「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」兼「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」
※以下、「住宅借入金等特別控除申告書」 - 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
※以下、「住宅ローンの年末残高等証明書」
出典:国税庁「年末調整で(特定増改築等)住宅借入金等特別控除の適用を受ける方へ」
住宅ローン控除を申請する手順
住宅ローンの初年度に確定申告を行うと、10月頃に税務署から「住宅借入金等特別控除申告書」と、11月下旬頃に金融機関から「住宅ローンの年末残高等証明書」が送付されます。
給与所得以外に収入のない会社員の場合、これらを年末調整の際にあわせて提出することで2年目以降の住宅ローン控除が受けられます。
個人事業主や年収2,000万円以上の会社員など、年末調整を利用しない場合は、2年目以降も確定申告が必要になります。
なお、この住宅借入金等特別控除申告書は1枚につき1年分で、2年目分以降の計12枚=12年分(控除期間13年の場合)が1回に送られますので、紛失に注意してください。
また、住宅ローンの年末残高等証明書については、金融機関ごとに名称が異なることもあります。
住宅借入金等特別控除申告書の書き方と記載例
住宅借入金等特別控除申告書とは、住宅ローン控除を適切に受けて毎年の税金を軽減するための書類です。
1枚の紙に申告書と証明書の両方が記載されているため、手元の申告書を確認してみましょう。

前述のように12年分(控除期間13年の場合)の書類があるため、必ず「○年分」の年号が合っているか確認してください。
今回は新築の住宅を購入したケースについて、書類の上部から順を追って書き方をご紹介していきます。
税務署長欄、給与の支払者の名称・所在地、あなたの氏名・住所
税務署長欄は勤務先の会社を所轄している税務署名を記載しますが、空欄でも構いません。
給与の支払者の名称・所在地欄は勤務先の会社名、その住所を、あなたの氏名・住所欄は自身の名前・住所を記載します。
①「新築、購入及び増改築等に係る住宅借入金等の年末残高」

その年の12月末日現在の住宅ローンの残高を記入します。もし2ヶ所以上から借りている場合は、合算した金額になります。また、夫婦で連帯債務者となっている場合は、自身の負担割合をかけてください。
「住宅のみ」の住宅ローンであればA欄に、「土地等のみ」であればB欄に記入します。
②「住宅借入金等の年末残高」
個人債務者としてローンを借入している場合は、①の金額を転記します。一方、連帯債務者がいる場合は、申請者が負担している金額と負担割合をかけた金額を記入してください。
③「②と証明事項の取得対価の額又は増改築等の費用の額のいずれか少ない方の金額」
②の金額と、「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」(用紙下部)にある「取得対価の額(ロ欄+ホ欄)」を比較し、金額がより少ない方を記入します。
④「③×『居住用割合』」
「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」(用紙下部)には、「居住用割合(へ欄)」があります。もし申請者が住宅をすべて居住用として使用している場合、「ヘ欄」に「100%」と記入します。そして「③」の金額を転記してください。
⑤「住宅借入金等の年末残高等」

④の金額を転記します。なお、「住宅のみ」及び「土地等のみ」をそれぞれ記入している場合、両方の④の金額を合算した金額を記入してください。
⑥「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算の基礎となる借入金等の年末残高」
特定増改築等住宅借入金等特別控除を受ける人のみ記載します。
⑦「特定増改築等の費用の額に係る住宅借入金等の年末残高等」
特定増改築等住宅借入金等特別控除を受ける人のみ記載します。
⑧「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額 」
⑤の金額に0.7%をかけて記入します。ただし、100円未満は切り捨てです。
「年間所得の見積額」
年間所得の見積額には、年収ではなく年間の所得、つまり源泉徴収後の金額を記入することに注意してください。前年度の源泉徴収票があれば、「給与所得控除後の金額」を転記すれば問題ありません。
住宅ローン控除は、年間所得が2,000万円以下の場合に受けられるため、記入が必要となるのですが「見積額」なので正確でなくても構いません。
「連帯債務による住宅借入金等の年末残高」
夫婦など連帯債務者がいる場合に記入します。金融機関から送付される、年末残高証明書の額を記入してください。2社以上の場合は、残額を合算して記入します。
「備考欄」
「連帯債務による住宅借入金等の年末残高」を記入した場合、連帯債務者の負担金額・氏名・住所・勤務先を記入します。記載例の「私」とは、主債務者ではなく、連帯債務者のことを指します。
以上を記入・確認して、年末調整の用紙とともに期限までに会社に提出してください。あわせて、金融機関からの残高証明も忘れずに添付してください。
住宅ローン控除はいつ還付される?
年末調整で住宅ローン控除を申請すると、12月の給与に上乗せするかたちで振り込まれるのが一般的ですが、会社によっては年末の賞与や1〜2月の給与に上乗せされる場合もあります。不明な場合は、会社に確認するようにしましょう。
まとめ
住宅ローン控除は、初年度の確定申告では手続きが煩雑ですが、2年目以降は年末調整で申告を行うことができます。また、年末調整での申告を忘れた場合でも確定申告を行えば控除を受けることができます。
ただし、2022年の改正により、申告方法や要件に一部変更がある点に関しては注意が必要です。改正された住宅ローン控除の内容や要件をしっかり理解して、控除のメリットを最大限に活用しましょう。
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よくある質問
住宅ローン控除で必要な書類は?
住宅ローン控除の申請を2年目以降(年末調整)で行う場合、一般的な年末調整で提出をする書類以外に必要になってくる書類は以下のとおりです。
- 「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」兼「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」
※本記事では、「住宅借入金等特別控除申告書」と表記 - 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
※本記事では、「住宅ローンの年末残高等証明書」と表記
詳しくは「2年目以降の住宅ローン控除で必要な書類」をご覧ください。
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