公開日:2017/09/15
最終更新日:2022/04/22
2022年提出分(令和3年分)の確定申告期間は、2022年(令和4年)2月16日(水)から2022年(令和4年)3月15日(火)までです。
申告期限を過ぎても、確定申告自体は可能です。しかし、期限後の申告は、「無申告課税」や「延滞税」の対象となり、罰金が発生します。
本記事では、確定申告が遅れた場合のペナルティや、還付申告の仕方、確定申告と同じ期限の諸手続きについて解説します。
確定申告の最新情報は以下の記事でも詳しく解説しています。
・2022年(令和3年分)の確定申告期間はいつからいつまで? 納税期限もまとめて解説
確定申告のやり方や必要書類について知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
・【2022年(令和3年分)】確定申告のやり方は? 必要書類の準備から提出までの流れをまとめました
・【2022年(令和3年分)】確定申告の必要書類と準備するものは? ケース別にまとめました
目次
確定申告が遅れた場合の申告と罰則
期限を過ぎてしまっても、確定申告は可能ですが、「期限後申告」として扱われます。
期限後申告は、ペナルティとして無申告加算税や延滞税が課せられる可能性があります。早く申告するほどペナルティは軽くなりますので、申告していないことに気付いたら、なるべく早く申告するようにしましょう。
なお、確定申告の相談は税務署のほか、各市町村でも行っている場合があります。初めての確定申告で不安な方は、一度相談してみてはいかがでしょうか。
参考:
・千葉市「市・県民税、所得税の申告はお早めに」
無申告加算税は最高20%
無申告加算税は、期限内に申告をしなかったことによるペナルティで、本来納めるべき税金に加算されます。なお、2022年提出分(令和3年分)の確定申告期間は、2022年(令和4年)2月16日(水)から2022年(令和4年)3月15日(火)までです。
無申告加算税は条件によって税率が異なります。
<無申告加算税の条件別税率>
- 税務署の調査通知を受ける前に自主的に期限後申告した場合:5%
- 税務署の調査通知を受けた後で自主的に期限後申告した場合:50万円までは10%、50万円を超える部分は15%
- 税務署から指摘された後で期限後申告した場合:50万円までは15%、50万円を超える部分は20%
各年分の無申告加算税は、原則として、納付すべき税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算した金額となります。
なお、税務署の調査を受ける前に自主的に期限後申告をした場合には、この無申告加算税が5%の割合を乗じて計算した金額に軽減されます。(ただし、平成29年1月1日以後に法定申告期限が到来するもの(平成28年分以後)については、調査の事前通知の後にした場合は、50万円までは10%、50万円を超える部分は15%の割合を乗じた金額となります。)
例えば、納税額が80万円の場合で無申告加算税額を計算してみましょう。
- 税務署の調査通知を受ける前に自主的に期限後申告した場合:
80万円×5%=40,000円 - 税務署の調査通知を受けた後で自主的に期限後申告した場合:
(50万円×10%)+(30万円×15%)=95,000円 - 税務署から指摘された後で期限後申告した場合:
(50万円×15%)+(30万円×20%)=135,000円
申告期限後、「税務署の調査通知を受ける前に自主的に申請した場合」と「税務署から指摘された後で期限後申告した場合」では、無申告加算税額は95,000円もの差が生じます。
なお、期限を過ぎてしまった場合でも、以下の条件をすべて満たしていれば、「無申告加算税」の対象にはなりません。
<無申告加算税が課されない条件>
- その期限後申告が、法定申告期限から1月以内に自主的に行われていること。
- 期限内申告をする意思があったと認められる一定の場合に該当すること。なお、一定の場合とは、次の(1)及び(2)のいずれにも該当する場合をいいます。
(1) その期限後申告に係る納付すべき税額の全額を法定納期限(口座振替納付の手続をした場合は期限後申告書を提出した日)までに納付していること。
(2) その期限後申告書を提出した日の前日から起算して5年前までの間に、無申告加算税又は重加算税を課されたことがなく、かつ、期限内申告をする意思があったと認められる場合の無申告加算税の不適用を受けていないこと。
延滞税は年利最高14.6%
延滞税は、納税が遅れたことに対して課されるもので、遅れた日数分だけ加算されます。最高税率は年14.6%と非常に高い税率となっています。
延滞税額は、法定納期限の翌日から完納日までの日数に応じて、以下の画像のように計算した金額の合計額(①+②)となります。

引用:国税庁「延滞税の計算方法」
期限後申告すると青色申告特別控除が減額される
65万円の青色申告特別控除を受けるために準備をしていたにもかかわらず、申告期限を過ぎてしまった場合、控除額が10万円に減額されてしまいます。
※税制改正により、2020年分の確定申告から65万円の青色申告特別控除を受けるためには、従来の青色申告の要件に加えて、電子帳簿保存またはe-Taxによる申告が必須となりました。
参考:国税庁「令和2年分の所得税確定申告から65万円の青色申告特別控除の適用要件が変わります」
損益計算書などの書類を作成していた場合は、一部書類の修正が必要になるでしょう。期限後申告の場合、控除額が減るだけでなく書類の修正に手間がかかるなど、代償は大きくなります。
還付申告は確定申告期限後も提出できる
還付申告とは、源泉徴収で納めすぎた所得税及び復興特別所得税を還付してもらうための手続きで、確定申告期限を過ぎても申告することができます。
給与所得者の方は年末調整が行われるため確定申告の必要はありませんが、医療費や住宅ローンなどの所得控除が適用される場合は、還付申告を行うことで、それに応じた税金が戻ってきます。
<還付申告が適用される主な例>
- 年の途中で退職し、年末調整を受けずに源泉徴収税額が納め過ぎとなっているとき
- 一定の要件のマイホームの取得などをして、住宅ローンがあるとき
- マイホームに特定の改修工事をしたとき
- 認定住宅の新築等をした場合(認定住宅新築等特別税額控除)
- 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき
- 特定支出控除の適用を受けるとき
- 多額の医療費を支出したとき
- 特定の寄附をしたとき
- 上場株式等に係る譲渡損失の金額を申告分離課税を選択した上場株式等に係る配当所得等の金額から控除したとき
ただし、源泉分離課税となる預貯金の利子や抵当証券などの収益、一定の割引債の償還差益などは、還付申告の対象とはならないので注意が必要です。
【関連記事】
還付申告とは?対象となるケースや確定申告・年末調整との違いを解説
還付申告に必要な書類
年の途中で退職し、年末調整を受けずに源泉徴収税額を納め過ぎているとき
<必要書類>
- 退職した会社が作成した給与所得の源泉徴収票の原本
しかし、年の途中で退職したまま再就職せずに年末を迎えた場合は、年末調整を受けることができず、所得税は納め過ぎたままとなります。この納め過ぎの所得税は、退職した翌年から5年以内に申告すれば還付を受けることができます。
参考:国税庁「No.1910 中途退職で年末調整を受けていないとき」
一定の要件のマイホームの取得などをして、住宅ローンがあるとき
<必要書類>
- (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
- 建物・土地の登記事項証明書
- 建物・土地の不動産売買契約書(請負契約書)の写し
- 源泉徴収票
- 住宅ローンの残高を証明する「残高証明書」 など
参考:
・国税庁「住宅借入金等特別控除を受けられる方へ」
・国税庁「特定増改築等住宅借入金等特別控除を受けられる方へ」
災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)
<必要書類>
- その損害に関連した支出の領収書
参考:国税庁「No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)」
特定支出控除の適用を受けるとき
<必要書類>
- 会社(給与支払者)による特定支出に関する証明書
- 特定支出に関する明細書
- それぞれの支出額を証明する書類
これは、給与所得者の特定支出控除と呼ばれるもので、職務上の旅費や転居費、研修費、資格取得費など、会社は業務上必要と認めるが、従業員が自己負担した費用が対象となります。
参考:国税庁「No.1415 給与所得者の特定支出控除」
多額の医療費を支出したとき
<必要書類>
- 医療費控除の明細書
参考:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」
【関連記事】
確定申告 医療費控除の全知識!申告書と明細書の書き方から計算方法や領収書と交通費の準備まで徹底解説
特定の寄附をしたとき
<必要書類>
- 寄附金の受領証
- 寄付先の設立団体の証明書の写しなど
参考:国税庁「No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)」
各控除について詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
【関連記事】
【2022年最新】確定申告の所得控除は15種類! 税額控除との違いも解説
還付申告できる期間
還付申告は、確定申告の期限に関係なく、翌年1月1日から5年間まで申請することができます。
また、確定申告で還付されるはずの税金を本来よりも少なく申告していた場合は、「更正の請求」という手続きを行うことで、所得税の還付が受けられることがあります。更正の請求ができるのは、原則として法定申告期限から5年以内です。特に、年末調整から漏れている所得控除は気付きにくいので注意しましょう。
確定申告と期限が同じ手続きを解説
確定申告期間は、基本的に2月16日から3月15日までとなっており、3月15日が土日祝日にあたる場合はその翌月曜日が期限となります。
また、青色申告適用申請や贈与税などの税務手続きの期限も確定申告の提出期限と同日になっています。納税の場合は、期限内に申告・納付しないと追徴課税や延滞税が課せられることがあります。
65万円分の「青色申告特別控除」を適用するには
青色申告をするためには、まず「青色申告承認申請書」を税務署に提出する必要があります。
新たに事業を開始する人は、原則として開業日から2カ月以内に「青色申告承認申請書」を提出しなければなりませんので、開業届と一緒に提出してしまいましょう(開業日が1月1日から1月15日の場合はその年の3月15日まで)。
今まで白色申告を行っていた方が青色申告に変更する場合は、「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
なお、確定申告と同期限までに手続きをすることで青色申告できるのは、「その年の所得」です。
青色申告では、最大65万円の青色申告特別控除などさまざまなメリットが受けられます。現在は会計ソフトも普及し、青色申告も白色申告もさほど手間は変わらないと言われており、節税のメリットを享受できる青色申告をおすすめします。
※税制改正により、2020年分の確定申告から65万円の青色申告特別控除を受けるためには、従来の青色申告の要件に加えて、電子帳簿保存またはe-Taxによる申告が必須となりました。
参考:国税庁「令和2年分の所得税確定申告から65万円の青色申告特別控除の適用要件が変わります」
freee開業を活用すれば、ステップに沿って簡単な質問に答えるだけで青色申告承認申請書を作成できます。出力する際に、提出先の宛先もプリントアウトできるので、封筒に貼ってポストに投函するだけで完了です。
「青色申告承認申請書」を一度提出すれば、その年以降は青色申告となります。毎年提出する必要はありません。
【関連記事】
【2022年(令和3年分)】青色申告とは? 節税メリットや必要な手続き、申告方法をわかりやすく解説
家族や親族に給与を支払う場合の届け出
青色申告者が事業に携わる家族に支払った給与のことを「青色事業専従者給与」といい、「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出することでその給与額を必要経費に算入することができます。
提出期限は確定申告と同日になります。
また、白色申告の事業専従者控除は、配偶者が86万円、他の親族がそれぞれ50万円ですが、青色申告の事業専従者給与の金額は決まっていません。
【関連記事】
青色申告の専従者給与 家族への給与支払いで節税効果を高める方法
贈与税の申告と納税
贈与税とは、個人から財産をもらったときにかかる税金で、財産を受け取った人がその翌年の2月1日から確定申告と同期限までに申告・納税しなければなりません。一度に納付できない場合は延納手続きもできます。
なお、会社などの法人から財産をもらったときは贈与税はかかりませんが、所得税がかかります。
減価償却方法変更の手続き
減価償却を行っている資産がある場合は、毎年一定額の減価償却が必要な定額法から、より早く減価償却できる定率法に変更することができます。
なお、減価償却方法を変更する場合は、変更しようとする年の確定申告と同期限までに「所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の変更承認申請書」を提出し、手続きを行わなければなりません。
【関連記事】
減価償却費とは?計算方法と青色申告における特例について
まとめ
青色申告をする場合は、期限を過ぎると65万円の青色申告特別控除が10万円に減額される可能性がありますので、提出期限に間に合うように準備をしておきましょう。
還付申告に関しては、翌年1月1日から確定申告の期限に関係なく5年間ですが、早めに申告しておきましょう。
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