青色申告の基礎知識

個人事業主のための消費税簡単計算法!確定申告で消費税の処理に悩まないために

最終更新日:2023/03/10

個人事業主のための消費税簡単計算法!確定申告で消費税の処理に悩まないために

消費税は担税者(税金を負担する人)と納税義務者が異なる間接税です

納税義務者には基準期間(課税期間の2年前)の課税売上高が1,000万円を超えた場合など、一定の要件を満たす個人事業主が含まれます。課税事業者となった個人事業主は、1月1日~3月31日までに消費税の申告と納付をしなければなりません。

一般課税による確定申告は個人事業主にとって重い負担となるため基準期間の課税売上高が5,000万円以下の場合、課税売上高に係る消費税額にみなし仕入率を乗じて仕入控除税額を計算する「簡易課税制度」が認められています。また、基準期間の課税売上高が1,000万円以下の場合、消費税の納付が免除されます。

2019年10月から消費税が10%へアップした際にに軽減税率8%が導入されました。税率の混在を防ぐため、現行は軽減税率の対象品目と税率ごとに区分して合計した対価の額を記載した区分記載請求書が発行されていますが、2023年からは仕入税額控除に適格請求書が必要になる「インボイス制度」が導入されます。

本記事では、個人事業主の方が知っておきたい消費税の基本的な仕組み、売上と仕入にかかる消費税から実際に納付する消費税の計算方法、消費税10%と軽減税率8%の処理から請求書や帳簿作成が変わっていく最新情報を解説していきます。

目次

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消費税の課税事業者か免税事業者かを確認する

消費税を直接負担するのは消費者ですが、間接税であるため納付義務があるのは事業主です。消費税を納める課税事業者か納税の義務が免除される免税事業者かは、前々年(2年前)の1年間と前年1月1日から6月30日までの課税売上高と給与の支払い額が1,000万円を超えているか超えていないかで判断されます。

※2019年10月1日から消費税率が10%になりました。

消費税を納税する課税事業者とは

消費税の課税事業者の要件を見てみましょう。

消費税の課税事業者の要件

  1. 基準期間の課税売上高が1,000万円超
  2. 前年の1月1日~6月30日の課税売上高(または給与支払額)が1,000万円超
  3. 「消費税課税事業者選択届出書」を提出している

消費税の「基準期間」とは、課税期間の前々年(2年前)のことです。個人事業主は暦年で確定申告をするため、前々年(2年前)の1月1日~12月31日までの課税売上高によって、その年の課税事業者になるかどうかが決まります。課税売上高が1,000万円を超える場合は課税事業者、1,000万円以下の場合は免税事業者となります。新規に事業を開始した場合は2年目までは基準期間がないため、その年の売上高にかかわらず免税事業者とになります。

また、前年の6ヵ月を「特定期間」といい、個人事業主の場合、1月1日~6月30日までの課税売上高が1,000万円を超えると、基準期間の課税売上高にかかわらず課税事業者となります。課税売上高に代えて、給与支払額で判断することもできまるので、特定期間の給与支払額が1,000万円を超えていなければ免税事業者として判断されます。

消費税の免税、フリーランスが消費税の納税を免税されるケースについて詳しく知りたい方は、別記事「フリーランスが消費税の納税を免税されるケースとは?」も参考にしてください。

「一般課税」と「簡易課税」で消費税を計算する

消費税額の計算方法には、一般課税と簡易課税制度の2通りあります。ここでは、この2つの違いについて紹介します。

課税売上高の消費税から課税仕入高の消費税を差し引く「一般課税」の計算

消費税は、課税売上高にかかる消費税額から課税仕入高にかかる消費税額を差し引いて計算します。わかりやすいように例を挙げて見ていきましょう。

  • 課税売上高10,000円
  • 課税仕入高8,000円

この場合、消費税が10%であれば課税売上高にかかる消費税額は1,000円、課税仕入高にかかる消費税額は800円になります。つまり、消費税の納付税額は以下のようになります。

1,000円 - 800円 = 200円

このように、課税売上高にかかる消費税額から課税仕入高にかかる消費税額を差し引いて計算する一般課税が、基本的な消費税の計算方法になります。

課税売上高の消費税にみなし仕入率をかけて差し引く「簡易課税制度」の計算

中小企業の事業主にとって、年間の取引きすべてを計算して消費税額を算出するのは容易ではありません。そこで、一定の要件を満たすことで「簡易課税制度」を選択することができます

簡易課税制度では、課税仕入高にかかる消費税額を「みなし仕入率」を使って計算します。課税売上高が10,000円(消費税1000円)の場合、みなし仕入率が80%であれば、1000円の80%(800円)が課税仕入高にかかる消費税額とみなされ、1000円から800円を引いた200円が納付する消費税額となります。なお、みなし仕入率は業種によって決められています。

みなし仕入率(業種例)

  • 第一種事業(卸売業):90%
  • 第二種事業(小売業):80%
  • 第三種事業(農業、林業、漁業、鉱業、建設業、製造業など):70%
  • 第四種事業(そのほか飲食業などの事業):60%
  • 第五種事業(運輸通信業、金融・保険業、飲食店以外のサービス業など):50%
  • 第六種事業(不動産業):40%

※業種は参考です。同じ業種でも取引内容によって、みなし仕入率が異なることがあります。


出典:国税庁「簡易課税制度の事業区分」
出典:国税庁「簡易課税制度」

消費税簡易課税制度選択届出書とは

簡易課税制度は、中小事業者の事務負担を軽減することを考慮して設けられた制度となるため、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業主のみが対象となっています。

消費税の簡易課税制度を選択するには「消費税簡易課税制度選択届出書」を税務署に提出する必要があります、一度提出すると2年間以上は申請を取り下げることができません。届出書を提出しても、課税売上高が5,000万円を超える場合は、その年は簡易課税制度の適用を受けることができません。


消費税簡易課税制度選択届出書
出典:国税庁「消費税簡易課税制度選択届出書」

払いすぎた消費税の還付を受ける方法

納付する消費税は、課税売上高にかかる消費税額から課税仕入高にかかる消費税額を差し引いた金額です。事業を始めたばかりの頃は設備投資などにお金がかかり、売上から経費を引くとマイナスになってしまうこともあるでしょう。

その場合、消費税はどのように支払うのでしょうか。下の例で見ていきましょう。

  • 課税売上高:10,000円(消費税額1000円)
  • 課税仕入高:8,000円(消費税800円)
  • 設備投資:4,000円(消費税400円)

この場合の消費税額は「1,000円 - 800円 - 400円 = -200円」となり、200円分払い過ぎていることになるため、税務署から還付を受けることができます。

消費税の還付を受けるには課税事業者になる

還付を受けられるのは、消費税の納付義務のある者、つまり課税事業者のみが還付の対象となります。事業開始から2年目までは基準期間がないため、前年の課税期間における課税所得が1,000万円以下であれば免税事業者(非課税)となります。

ただし、消費税の還付を受けるためには「消費税課税事業者選択届出書」を提出して、課税事業者になる必要があります


消費税課税事業者選択届出書
出典:国税庁「消費税課税事業者選択届出書」

簡易課税制度とは、実際の仕入れに基づいて消費税額を計算するのではなく、課税売上高から簡易的に消費税額を計算する方法です。消費税簡易課税制度選択届出書を提出して簡易課税制度を選択した場合は、消費税の還付を受けることができません。

複雑になった消費税を簡単に計算する

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インボイス制度で請求書と帳簿処理が変わる

2019年10月1日から消費税率が10%にアップしておりますが、酒類を除く食料品や新聞については標準税率(10%)より低い軽減税率(8%)が導入されています。

このため、標準税率(10%)と軽減税率(8%)という複数の税率が混在していると、どの商品にどちらの税率が適用されているのかがわかりづらく、正しい納税額を算出しにくくなります。

標準税率と軽減税率、どちらが適用されているのか区分するため、2019年10月から従来の請求書に軽減税率の対象品目と税率ごとに区分して合計した対価の額を記載した「区分記載請求書」が導入されました。現行では、この請求書と区分経理に対応した帳簿を保存すれば、仕入税額控除の適用が受けられます。

2023年10月からは、区分記載請求書に適格請求書発行事業者登録番号と適用税率及び消費税額等が記載された「適格請求書」が必要になる「インボイス制度(適格請求書等保存方式)」が導入されます

この制度で適格請求書を発行できるのは「適格請求書発行事業者」として登録を受けた課税事業者に限られます。

インボイス制度について詳しく知りたい方は、別記事「2023年10月から始まるインボイス制度とは?図解でわかりやすく解説!」をあわせてご確認ください。

消費税の申告と納付は翌年の1月1日~3月31日まで

個人事業者の場合、確定申告は毎年の1月1日~12月31日までの期間で計算する暦年での課税制度になります。消費税も同様に、1年分の課税売上高を基に計算し、申告と・納付を行います。

消費税の申告と納付の期限は、翌年の1月1日~3月31日までとなります。

消費税には国税と地方税(国税:7.8%、地方税:2.2%)がありますが、どちらも同じ申告書で所轄税務署に申告をします。納付の期限も同じで翌年の1月1日〜3月31日までとなり、税務署または金融機関で合計額を納付してください。

2023年(令和4年分)提出の確定申告アップデート情報

確定申告期間:2023年2月16日(木)〜2023年3月15日(水)まで
※ 所得税 / 贈与税の申告・納税期間:2023年3月15日(水)まで
※ 個人事業者の消費税等の申告・納税期間:2023年3月31日(金)まで

<2023年(令和4年分)から変わること>

  1. 確定申告書Aが廃止され、確定申告書Bの様式で一本化されます。
    (正式名称:令和 年分の所得税及び復興特別所得税の申告書)
  2. 副業収入を「事業所得」として申告するには帳簿や請求書の保存が原則必須となります。(出典: 国税庁
  3. 住宅ローン控除の適用期限が4年延長し、2025年12月31日までに入居した人が対象なります。
    そのほか控除率や所得要件の変更内容についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

詳しくは国税庁ホームページ「令和4年分 確定申告特集」をご参照ください。

まとめ

課税事業者と免税事業者の判別や消費税の計算方法、インボイス制度などについてご紹介しました。個人事業者でも売上が伸びれば課税事業者になります。

消費税の増税に伴い軽減税率が導入されたことで、消費税の計算方法はさらに複雑になりました。標準税率と軽減税率を区分するため、2019年から区分記載請求書等保存方式が開始されました。2023年からは適格請求書発行事業者が発行した適格請求書の保存が仕入税額控除の要件になるインボイス制度が導入されます。

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