青色申告の基礎知識

個人事業主が知っておきたい消費税の仕組みとは?

消費税は、商品の購入やサービスの利用といった消費行為を行う際に支払う間接税です。消費税を負担するのは消費者ですが、納付するのは事業主。青色申告の個人事業主であっても、一定の要件を満たすと消費税を納付する必要があります。ここでは個人事業主が知っておくべき、消費税の基本的な仕組みをご紹介します。

■消費税には、課税事業者と免税事業者がある

消費税を直接負担するのは消費者ですが、間接税の形態をとっているので、納付義務があるのは事業主になります。税率は平成26年4月1日から8%(国税6.3%、地方税1.7%)となっていますが、一定の要件を満たすと青色申告をしている個人事業主でも消費税の納税義務が生じます。まずは消費税の課税事業者の要件を見てみましょう。

【消費税の課税事業者の要件】

  • ・基準期間の課税売上高が1,000万円超
  • ・前年の1月1日~6月30日の課税売上高(または給与支払額)が1,000万円超
  • ・「消費税課税事業者選択届出書」を提出した場合



消費税の基準期間は、課税期間の前々年です。個人事業主は暦年で確定申告をするので、その年に消費税の課税事業者になるかならないかは、前々年の1月1日~12月31日までの課税売上高で判断し、課税売上高が1,000万円超であれば課税事業者、1,000万円以下の場合は免税事業者になります。新規に事業を開始した2年目までは基準期間がないため、その年の売上高に係らず免税事業者になります。

ただし、平成25年1月1日以降は、前年の課税期間の6ヵ月(特定期間といい個人事業主の場合1月1日~6月30日まで)の課税売上高が1,000万円を超えると、基準期間の課税売上高に係らず課税事業者となります。課税売上高に代えて、給与支払額で判断することもできるので、特定期間の給与支払額が1,000万円を超えていなければ免税事業者と判断されます。

消費税の免税事業者は納付義務がないので、免税事業者になった方がいい、と思うかもしれませんが、少し違うケースもあります。消費税では原則課税売上げに係る消費税(受け取った額)から課税仕入れに係る消費税(支払った額)を差し引いた額を納付します。例えば、新規開業をした場合など、売り上げよりも仕入れが多くなることもあります。基準期間がないので免税事業者となりますが、「消費税課税事業者選択届出書」を提出し課税事業者になることで、払い過ぎた消費税の還付を受けることができます。

タックスアンサー|納税義務の免除|国税庁
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6501.htm

■消費税の税額はこうやって計算する

消費税の税額の計算方法には、一般課税と簡易課税制度があります。まずは一般課税から見ていきましょう。

【一般課税の税額の計算法】

消費税は、課税売上高に係る消費税額から、課税仕入高に係る消費税額を差し引いて計算します。
分かりやすいように例を挙げて見ていきましょう。

  • ・課税売上高10,000円
  • ・課税仕入高8,000円



このような場合、消費税が8%であれば課税売上高に係る消費税額は800円、課税仕入高に係る消費税額は640円になります。つまり、消費税の納付税額は以下のようになります。

消費税の納付税額=800円-640円=160円


このように、課税売上高に係る消費税額から課税仕入高に係る消費税額を差し引いて計算する一般課税が、基本的な消費税の計算方法になります。
ただ、中小の事業主にとって、年間の取引すべてを計算して税額を算出するのは容易ではありません。そこで、一定の要件を満たすことで、簡易課税制度を選択することができます。

【簡易課税制度における計算方法】

簡易課税制度では、課税仕入高に係る消費税額を「みなし仕入率」を使って計算します。
課税売上高が10,000円(所費税800円)の場合、みなし仕入れ率が80%であれば、800円の80%(640円)が課税仕入高に係る消費税額とみなされ、800円から640円を引いた160円が納付する消費税額となります。
みなし仕入率は業種によって決められています。

簡易課税制度の事業区分とみなし仕入率

図1

参照元:タックスアンサー|簡易課税制度|国税庁
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6505.htm

簡易課税制度は中小事業者の事務負担を考慮して儲けられた制度なので、選択できるのは基準期間における課税売上高が5,000万円以下の事業主に限られます。
簡易課税制度を選択する場合は「消費税簡易課税制度選択届出書」を税務署に提出する必要がありますが、一度提出すると最低2年間は適用を取りやめることはできません。また、届出書を提出した場合でも課税売上高が5,000万円を超えると、その年は簡易課税制度の適用を受けることはできません。

消費税|消費税課税事業者選択届出手続|国税庁
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/annai/1461_01.htm

■課税事業者のメリット「消費税の還付」とは?

消費税では、課税売上高に係る消費税額から課税仕入高に係る消費税額を差し引いた額が、納付する消費税額となります。事業を開始した当初は設備投資などにお金が掛かり、売り上げから経費を引くとマイナスになってしまうことも考えられます。その場合の消費税はどうなるのでしょうか。

  • ・課税売上高:10,000円(消費税額800円)
  • ・課税仕入高:8,000円(消費税640円)
  • ・設備投資:4,000円(消費税320円)



この場合は、消費税額=800円-640円-320円=-160円となり、160円分払い過ぎているということで税務署から還付を受けることができます。

ただし、還付を受けられるのは消費税の納付義務のある者、つまり課税事業者のみです。事業開始から2年目までは、基準期間がないので前年の課税期間における特定期間が1,000万円以下であれば免税事業者になりますが、消費税の還付を受けるためには、「消費税課税事業者選択届出書」を提出して課税事業者になる必要があります。また、簡易課税制度は、実際の仕入れに基づいて消費税額を計算するのではなく、課税売上高から簡易的に消費税額を計算する方法であり、「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出して簡易課税制度を選択してしまうと還付を受けることはできません。

■消費税の申告方法と納付時期は?

個人事業者の場合、確定申告は毎年の1月1日~12月31日までの期間で計算する暦年課税制度によります。消費税も同様に、1年分の課税売上高をもとに計算し、申告・納付を行います。
消費税の申告・納付の期限は翌年の1月1日から3月31日までです。消費税には、国税と地方税がありますが、どちらも同じ申告書で所轄税務署に申告をします。納付の期限も同じで、税務署または金融機関で合計額を納付します。

まとめ

個人事業主であっても、事業が軌道に乗って売り上げが伸びてくると、消費税の課税事業者になります。免税事業者であっても、消費税の還付を受けられる課税事業者を選択した方が有利な場合もあります。また簡易課税を選択する場合も事前に届け出が必要となります。選択する場合には、その年だけでなく、翌年、翌々年も検討することが必要など、消費税の仕組みは複雑ですが、ぜひ、押さえておきましょう。

青色申告ソフト freee

青色申告ソフト freee なら、青色申告対応の決算書が自動で作成できます。是非お試しを!

バックオフィス基礎知識