確定申告の基礎知識

確定申告の還付金が多すぎるときはどうする?原因や対処法を解説

監修 北田 悠策 公認会計士・税理士

確定申告の還付金が多すぎるときはどうする?原因や対処法を解説

確定申告で還付金が多すぎる場合は、申告ミスをしていないかどうか確認が必要です。

確定申告では、1年間の所得から本来納めるべき税額を計算し、すでに納めた税金との差額を精算します。その結果、税金を多く納めていた場合には、払いすぎた分が還付されます。このように納めすぎた所得税の還付を受けるための手続きが「還付申告」です。

本来、還付申告は源泉徴収や予定納税などで納めすぎた税金を正しく精算するための手続きです。しかし、申告内容に誤りがあると、実際よりも多い還付金を受け取ってしまうことがあります。

申告ミスによって過剰な還付金を受け取ってしまうと、税務署からの指摘や追徴課税などの問題に発展する恐れがあります。

本記事では、確定申告で還付金が多すぎる原因や修正申告の手順、過剰な還付を避けるための対策を解説します。

目次

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還付申告とは

還付申告とは、給与からの源泉徴収や予定納税などで納めすぎた所得税を返してもらうための手続きです。確定申告の結果、実際の所得や控除額から算出された税額よりも多く納めていた場合、余分に支払った税金が還付されます。

会社員の場合は、通常、勤務先が行う年末調整によって所得税が精算されるため、原則として確定申告を行う必要はありません。しかし、年末調整では対応できない特定の控除を受ける場合は、還付申告をすることで税金の還付を受けることができます。

個人事業主の場合は自分で収支を申告しますが、源泉徴収された報酬や予定納税額によっては、確定申告後に還付が生じることがあります。

還付申告により税金の還付が発生する主なケースは以下のとおりです。

還付申告によって税金の還付を受けることができるケース

  • 医療費控除・寄附金控除・雑損控除など年末調整で処理できない所得控除がある場合
  • 住宅ローン控除の初年度にあたる場合
  • 年の途中で退職し、年末調整を受けないまま年を越した場合
  • 源泉徴収や予定納税で税金を支払いすぎていた場合
  • 所得控除や経費の申告漏れを修正した場合

還付申告は、通常の確定申告期間(翌年2月16日~3月15日)に関係なく、対象となる年の翌年1月1日から5年間申告が可能です。

ただし、青色申告特別控除(55万円・65万円)など、期限内提出が要件となる特例については、法定申告期限までに申告を行う必要があります。そのため、これらの特例は、期限後の還付申告では適用を受けることができません。


出典:国税庁「No.2030 還付申告」

還付金や還付申告について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

【関連記事】
還付金とは?還付の意味や対象者、申告のやり方をわかりやすく解説
還付申告とは?対象となるケースや確定申告・年末調整との違いを解説

確定申告の還付金が多すぎる原因

確定申告後、受け取った還付金が想定より多いと感じる場合は正確に申告できていたかを見直しましょう。

確定申告の還付金が多すぎる場合に考えられる原因は、以下のとおりです。

確定申告の還付金が多すぎる場合に考えられる原因

  • 正当な理由がある
  • 申告ミスをしている

正当な理由がある

以下のように正しく申告した結果として還付金が多くなっている場合は、心配いりません。

正しい申告の結果として還付金が多額になるケース

  • 経費や控除を漏れなく計上できた
  • 源泉徴収税額が想定よりも多かった

1年間の事業で使った経費や適用できる所得控除・税額控除を申告すると、課税所得が減少して納税額が少なくなります。

特に、新たに利用できる控除が増えた年や、高額な医療費を支払った年などは控除額が増え、還付金が多くなることがあります。

個人事業主の場合、原稿料や講演料など一定の業務に該当するものは、報酬の支払い時に定率(通常10.21%)で所得税が源泉徴収される仕組みです。

ただし、事業を始めたばかりの年や、売上が年度の後半に集中していた場合などは、年間の所得総額が想定よりも低くなることがあります。

このようなケースでは、天引きされている源泉徴収額が本来の納税額を上回ることがあり、納め過ぎた差額が還付金として戻ってきます。


出典:国税庁「No.2030 還付申告」

申告ミスをしている

以下のような申告ミスにより、還付金額が多すぎる状況になっている可能性があります。

還付金が多すぎる状況になる申告ミスの例

  • 経費の過剰計上
  • 控除額の誤り
  • 計算ミスや転記ミス

事業と関係のないプライベートな支出を誤って経費計上している場合、課税所得が減少し、結果として還付金が増えます。また、医療費控除や生命保険料控除などの計算を誤り、本来より多くの控除を適用してしまった場合も、還付金が増えます。

そのほか、源泉徴収税額の計算ミスや数字の入力・転記ミスにより、実際より多く税金を納めたことになっている場合も、還付金が増えることがあります。

申告内容に不安がある人は、還付金を受け取った際に、経費や控除証明書と申告内容を照らしあわせ、誤りがないか確認しましょう。

確定申告の還付金が多すぎると税務署から連絡や調査が来る?

確定申告で還付金が多い場合、税務署から指摘が入ることがあります。しかし、還付金が多いこと自体が不審と見なされるわけではありません。

税務署が申告者に対して連絡や調査をするのは、申告内容に不自然な点や不正の可能性があると判断したときです。

たとえば、事業の売上が前年と比べてほとんど変わっていないにもかかわらず、高額な還付金が発生している場合があります。また、事業内容から見て不自然な経費が計上されている場合などは、税務署から内容確認のために連絡や調査が入る可能性があります。

申告内容が根拠に基づいた正しいものであれば、還付金が多かったとしても問題はないため、過度に心配する必要はありません。

申告ミスによって還付金が多すぎるとどうなる?

申告ミスによって還付金が多すぎる状態は、本来納めるべき税金を少なく申告している「過少申告」に該当します。過少申告を放置すると、税務署から指摘されて以下のペナルティが課される可能性があります。


ペナルティ概要主な税率
過少申告加算税期限内に申告した税額が本来の税額より少なかった場合に課される新たに納める税額の5~15%
延滞税・納税期限までに納付しない場合に課される・納期限の翌日から2ヶ月以内:年2.4%
納期限の翌日から2ヶ月超:年8.7%
重加算税意図的な仮装・隠蔽行為があったとみなされた場合に課される新たに納める税額の35%
出典:国税庁「No.2026 確定申告を間違えたとき」
出典:国税庁「No.9205 延滞税について」
出典:国税庁「【申告が間違っていた場合】」

確定申告を行い還付金が多すぎると感じている個人事業主や会社員は、申告ミスに気づいた時点で、速やかに修正申告をしましょう。

修正申告とは、確定申告書に誤りがあった際に納税者が正しい納税額に訂正するための手続きです。

税務署から指摘を受ける前に自主的に修正申告をすれば、過少申告加算税が免除されるなど、ペナルティが軽減される可能性があります。


出典:国税庁「No.2026 確定申告を間違えたとき」

修正申告の手順

修正申告は、以下の3つのステップで進めます。

確定申告の修正方法について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

【関連記事】
確定申告のやり方を間違えたら?訂正申告・修正申告・更正の請求の違い・期限を解説

1 正しい申告内容を再計算する

まず、提出済みの確定申告書で誤りがあった部分を特定し、正しい所得額と納税額を再計算します。具体的には、収入の計上漏れ・経費の過大計上・医療費や保険料などの控除額の計算ミスなどの原因を明確にする必要があります。

修正内容の正確性を証明できるよう、領収書・請求書・支払調書などの関連書類を整理して保管しておきましょう。

再計算の際には、会計ソフトや国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用すると効率的です。これらのツールは自動計算や最新の税制反映によりミスを防ぎ、必要書類の作成から電子申告までスムーズに行えます。

このように、再計算によって本来納めるべき税額が確定し、追加で納付すべき税額が明らかになります。


出典:国税庁「No.2026 確定申告を間違えたとき」
出典:国税庁「【申告が間違っていた場合】」
出典:国税庁「確定申告書等作成コーナー 申告の内容を間違えていた場合の手続」

2 修正申告書を作成する

正しい納税額が確定したら、修正申告書を作成します。

修正申告書は、所轄の税務署窓口で入手するか、国税庁のWebサイトからダウンロードが可能です。

なお、会計ソフトや国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使えば、画面の案内にしたがって入力するだけで正確な修正申告書を作成できます。


出典:国税庁「No.2026 確定申告を間違えたとき」
出典:国税庁「【申告が間違っていた場合】」
出典:国税庁「確定申告書等作成コーナー 申告の内容を間違えていた場合の手続」

3 税務署に提出・納税する

修正申告書を作成できたら、所轄の税務署に提出します。

申告書の提出方法は、以下の3つです。

申告書の提出方法

  • 税務署の窓口へ持参
  • 税務署へ郵送
  • e-Taxによるオンライン提出

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過剰な還付を避けるための対策

確定申告で還付金が多すぎる原因が申告ミスである場合、ペナルティが課されるリスクがあるため、申告ミスを未然に防ぐことが重要です。

過剰な還付を避けるための効果的な対策としては、以下のようなものが挙げられます。

過剰な還付を避けるための対策

  • 経理処理を習慣化する
  • 源泉徴収額を把握する
  • 専門家に相談する

経理処理を習慣化する

申告ミスや経費の過剰計上を防ぐには、日々の経理処理の習慣化が大切です。

申告時期に慌てて1年分の領収書を整理すると、私的支出を経費に含めたり必要書類を見落としたりするミスが起きやすくなります。

会計ソフトや経理アプリを導入し、日々の経費をこまめに記録するようにしましょう。経理処理の習慣化により、経費の計上漏れや経費に含めるべきか判断が難しい支出を早期に発見でき、申告ミスの防止につながります。

源泉徴収額を把握する

個人事業主は、報酬から源泉徴収された税額を正確に把握することで、還付金の予測や申告ミスの防止につながります。

報酬から源泉徴収がある場合は、発行された請求書や支払調書で天引きされた税額を確認し、年間で納税された総額を把握しておきましょう。

源泉徴収額を正確に集計しておくことで、申告書の源泉徴収税額欄への記入ミスを防ぐことができます。

専門家に相談する

自分で申告するのに不安がある場合や、事業規模が拡大してきた場合は、税理士への相談も検討しましょう。

税理士に依頼することで、法令に則った正しい経理処理や控除の適用が可能です。そのため、申告ミスによる過剰な還付やペナルティへのリスク回避につながります。

専門的な知識を活用することは、時間や労力の節約になるだけでなく、安心して事業に専念することにもつながります。

まとめ

確定申告の還付金が多すぎる原因は、正しい申告の結果として発生するケースと、経費の過剰計上や計算ミスなどの申告ミスによるケースの2つです。

申告ミスが原因で過剰な還付を受けた場合は、税務署からの指摘によって過少申告加算税や延滞税などのペナルティが課されるリスクがあります。ミスに気づいたら、税務調査の事前通知が届く前に、自主的に「修正申告」を行いましょう。

また、日頃から経理処理を習慣化する・源泉徴収額を把握することが重要です。不安がある場合は、専門家である税理士に相談するなど、申告ミスを未然に防ぐようにしましょう。

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よくある質問

確定申告の還付金が多すぎる原因は?

確定申告の還付金が多すぎる原因は、正しい申告の結果または申告ミスです。

詳しくは、記事内「確定申告の還付金が多すぎる原因」をご覧ください。

申告ミスによって還付金が多すぎるときはどうすればいい?

申告ミスに気づいた時点で、正しい納税額に訂正するための「修正申告」をしましょう。税務署から指摘を受ける前に自主的に修正申告を行えば、ペナルティが軽減される可能性があります。

詳しくは、記事内「申告ミスによって還付金が多すぎるとどうなる?」「修正申告の手順」をご覧ください。

監修 北田 悠策(きただ ゆうさく)

神戸大学経営学部卒業。2015年より有限責任監査法人トーマツ大阪事務所にて、製造業を中心に10数社の会社法監査及び金融商品取引法監査に従事する傍ら、スタートアップ向けの財務アドバイザリー業務に従事。その後、上場準備会社にて経理責任者として決算を推進。大企業からスタートアップまで様々なフェーズの企業に携わってきた経験を活かし、株式会社ARDOR/ARDOR税理士事務所を創業。

北田 悠策

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