公開日:2020/02/25
最終更新日:2022/03/31

確定申告で医療費控除を受けたい場合、どの費用が控除対象に該当するのかを知っておく必要があります。
病気やケガによる通院だけでなく、歯科治療や介護、妊娠・出産にかかった費用も対象になるほか、一見すると対象外になりそうな通院時の交通費も医療費控除の対象となります。
また、医療費控除の適用条件を満たせない場合であっても、市販薬の購入費用について控除を受けられるセルフメディケーション税制を利用できることもあります。
2017年以降、確定申告時の領収添付は不要になりましたが、医療費の明細書を作成する際に必要なので、申告期まで領収書を保管しておきましょう。
本記事では、医療費控除の適用要件や必要書類について、明細書の書き方や計算方法、セルフメディケーション税制、領収書や交通費の扱い方、簡単な確定申告書の作成方法などを解説しています。
目次
医療費控除とは
医療費控除とは、1年間にかかった医療費が10万円(総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%)を超えた場合に受けられる所得控除制度のひとつです。医療費控除の対象になる場合は、確定申告の際に還付金を受け取ることができます。
医療費控除は、ご自身が医療機関を受診した場合だけでなく、扶養家族(離れて暮らしていても)の医療費等についても計算に含めることができます。
治療費だけでなく、通院交通費(付き添いも含む)、医療費控除の対象となる薬代も含まれます。
医療費控除の適用要件
医療費控除の適用要件
- 納税者本人または納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であること
- その年の1月1日から12月31日の間に支払われたものであること(未払いの医療費は実際に支払った年の控除対象となります。)
- その年にかかった医療費が10万円(総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%)を超えること
医療費控除の対象者
医療費控除の対象者は自分自身と、生計を一にする配偶者やその他の親族です。子どもや収入のない家族、別居をしている家族の医療費を支払った場合でも、医療費控除の対象になります。
たとえば、母親の年収が少なく、息子からの仕送りで生活している場合、息子と母親は生計を一にしているものとして扱われ、息子が負担した医療費は医療費控除の対象となります。
医療費控除の対象期間
医療費控除の対象期間は、その年の1月1日から12月31日までです。適用を受ける年の12月31日時点で未払いの医療費は、翌年の医療費となります。

年末調整をしているサラリーマンなど、確定申告の義務がない人は、医療費を支払った年の翌年1月1日から5年以内に還付申告をすることができます。
医療費控除は1年間の医療費が10万円以上で受けられる
医療費控除の対象となる金額は、1年間に支払っ医療費のうち10万円を超えた部分です。
また、上述のとおり医療費控除の対象となる支出・費用には、本人が医療機関を受診した際の費用に加え、子どもや収入のない家族、別居をしている家族の分を計上することができます。
なお、「医療費」として扱われる範囲には、治療費や通院交通費(付き添いも含む)や薬代などが含まれます。
医療費控除で控除される上限金額は200万円までです。
医療費の合計金額が所得の5%を超えている場合
医療費控除の対象となる医療費の合計金額が年間10万円以上と思われている方もいらっしゃいますが、10万円未満でも医療費控除の対象となる場合があります。
税法上では、医療費控除の対象となる医療費の合計金額は、10万円または総所得金額の5%のいずれか低い金額を最低限度額と定められており、それを超えた金額が医療費控除として扱われます。
年間所得が200万円未満なら医療費が10万円以下でも控除が受けられる
1年間に支払った医療費が10万円未満であっても、総所得金額等が200万円未満であれば、5%をかけた金額は10万円未満になります。この場合、支払った医療費の合計金額が10万円未満でも、医療費控除の適用を受けることが可能です。
総所得金額等とは、総合・分離課税を問わずすべての所得の合計金額から、純損失または雑損失等の繰越控除を適用した後の金額を指します。
※純損失や雑損失の繰越控除、または以下に記載する損失の繰越控除の適用を受けている場合は、適用後の金額となります。
- 純損失や雑損失の繰越控除
- 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除
- 特定居住用財産の譲渡損失の繰越控除
- 上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除
- 特定投資株式に係る譲渡損失の繰越控除
- 先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除
参考・引用元:国税庁「専門用語集|総所得金額等」
医療費控除の対象になるもの
控除できる医療費は、その病状に対して一般的に発生する費用の水準を著しく超えない部分とされています。
医療費控除の対象になる費用の具体例
- 専門家や有資格者(※)による診療・治療、介助等の対価
※医師、歯科医師、あんまマッサージ指圧師、鍼灸師、柔道整復師、助産師、介護福祉士 - 保健師や看護師、准看護師等による療養上の世話の対価
- 治療や療養に必要な医薬品の購入の対価
- 病院、診療所または助産所などへ搬送・収容される際に要した労働の対価
- 診療などを受けるために直接必要となる通院費や医師等の送迎費
- 医療用器具の購入やレンタルにかかる費用
- 義手、義足、松葉杖や義歯等の購入の費用
- 介護保険制度の下で提供される一定の施設・居宅サービスの対価
一般的には、人間ドックや健康診断、特定健康診査の費用は控除の対象となりませんが、次のような場合は、健康診断や特定健康診査の費用は医療費控除の対象となります。
- 健康診断の結果、重大な疾病が発見され、引き続き治療を受けた場合
- 特定健康診査を実施した医師の指示により一定の特定保健指導を受けた場合
妊娠や出産、介護サービスも医療費控除の対象
治療目的で医療機関を受診しない場合でも、医療費控除の対象になるものがあります。
【妊娠・出産】
医療費控除の対象となる費用には、妊娠時の定期検診や通院費用だけでなく、入院中の食事代も医療費控除に含めることができます。また、出産などで移動が困難な場合のタクシーの利用も医療費控除の対象になります。
参考:国税庁「医療費控除の対象となる出産費用の具体例」
【介護サービス】
医療費控除は、医療機関の受診だけでなく、介護サービスにも適用することができます。主な介護サービスの種類は、訪問介護、リハビリテーション、ショートステイです。ケースによっては、訪問入浴介護やデイサービスなども対象になることがあります。
【おむつ代】
医療費控除を受けることが2年目以降で、介護保険法の要介護認定を受けている人は、市町村長等が交付するおむつ使用の確認書等を「おむつ使用証明書」に代えることができます。
【医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービス等の対価】
介護保険制度では、介護保険サービスは医療との連携に十分配慮した上で提供されなければならず、そのサービスには日常生活上の世話のほか、看護、医学的管理の下での療養上の世話等も含まれています。
居宅介護サービス事業者等が要介護者または要支援者に対して行う居宅サービス等には、訪問看護や訪問リハビリテーション、居宅管理指導のように看護師、保健師等により行われる居宅サービス等(医療系サービス)、訪問介護や訪問入浴介護のように介護福祉士等により行われる居宅サービス等(福祉系サービス)があります。
この居宅サービス等の対価のうち、看護、医学的管理の下での療養上の世話等に相当する部分の対価として利用者が負担する金額は、医療費控除の対象となります。
なお、これらの居宅サービス等を提供する居宅サービス事業者等が発行する領収証は、基本的に医療費控除の対象となる金額が記載されています。
参考:国税庁「医療費控除の対象となる介護保険制度下での居宅サービス等の対価」
交通費は領収書がなくても控除の対象
医療費控除には、バスや電車などの公共交通機関の交通費も含めることができますが、領収書が発行されないものも多くあります。
領収書がない場合は、いつ、どこの病院に行ったのか、どの公共交通機関を利用し、いくら支払ったのかなどを家計簿などで記録しておき、確定申告時に提出する明細書に、通院にかかった交通費として合計金額を記載しましょう。
市販薬で医療費控除の対象になるもの「セルフメディケーション税制」
2017年から始まった「セルフメディケーション税制」では、ドラッグストアなどで市販されている医薬品の購入費用も医療費控除の対象に含むことができます。
また、通常の医療費控除の適用を受ける場合は、セルフメディケーション税制を受けることはできません。
高齢化社会が進む中、健康保険の利用が増え、国や自治体の医療関連費用が膨らんでいます。そこで、公的保険制度をできるだけ維持するために、「病院に行かなくても、市販薬で治せる症状は、自分自身で治す」ことを推奨する新たな控除枠が設けられました。
所得税や住民税の課税対象となる個人の方が、市販の医薬品を購入した際の費用を控除をするためには、下記の条件を満たす必要があります。
適切な健康管理の下で医療用医薬品からの代替を進める観点から、健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組(※1)を行う個人が、平成29(2017)年1月1日から令和3(2021)年12月31日までの間に、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る一定のスイッチOTC医薬品(※2)の購入の対価を支払った場合において、その年中に支払ったその対価の額の合計額が12,000円を超えるときは、その超える部分の金額(その金額が88,000を超える場合には、88,000円)について、その年分の総所得金額等から控除する。
※令和4年1月以降、制度が5年延長され、税制対象医薬品の範囲が拡充されました。
医療費控除の対象にならないもの
医療費控除の対象となるのは、医療や治療に関わるものであれば、すべてのお金が対象となるわけではありません。医療に直接関係のない費用や、自己都合による療養は対象外です。
医療費控除の対象にならない費用の具体例
- 容姿を美化し、容貌を変えるなどの目的で行った整形手術の費用
- 健康診断の費用
- 自家用車で通院する場合のガソリン代や駐車料金
- 治療を受けるために直接必要としない、近視や遠視のための眼鏡等の購入費用
- 親族に支払う療養上の世話の対価
- 疾病の予防や健康増進のための器具やサプリメント等の購入費用
薬局で購入する医薬品としては、健康増進を目的としたビタミン剤などが挙げられます。また、健康診断を受けても病気が見つからなかった場合は、医療費控除の対象にすることはできません。
入院時の差額ベッド代も、自己都合で使用する場合は対象外です。
交通費のうち、マイカーのガソリン代や駐車場代は医療費控除の対象外です。歯列矯正治療も成人の場合、美容目的の手術とみなされるため、対象外です。
【関連記事】
医療費控除のしくみとは? 控除対象や対象になる費用、申請方法・確定申告での手続きについて
医療費控除の申請方法
医療費控除の申請手続きは、大きく5つのステップに分かれています。ここでは、各ステップ毎に説明します。

1.医療費の通知や領収書で医療費控除の対象になるか確認する
医療費控除は、基本的に1年間にかかった医療費の合計が10万円以上または総所得金額の5%のいずれか低い金額が条件となっており、生計を一にする家族全体の医療費がこの金額を上回っているか確認する必要があります。
ほとんどの健康保険組合から「医療費通知」や「医療費のお知らせ」などの書類が送られてくるので、自分の医療費の金額を確認することできます。
この医療費通知に記載されている金額以外に、病院への通院交通費(主に公共交通機関を利用)など、ほかの費用についても控除を申請できる場合があります。これらの費用の合計額が10万円または総所得金額の5%のいずれか低い金額であれば、医療費控除の対象となります。
2.医療費控除の金額を計算する
医療費控除の対象になることがわかったら、次に控除額と還付額を計算します。
医療費控除の計算方法の流れ
- 年間で支払った医療費を計算
- 高額療養費制度の払い戻し分や保険会社から支払われた保険金の額を計算
- 支払った医療費から差し引き
保険金などを差し引いた金額から10万円を差し引いても支払った医療費に余りがある場合は、医療費控除の対象となります。
詳しい計算方法については、後述「医療費控除の計算方法」で解説します。
3.確定申告書と医療費控除の明細書を作成する
税務署の窓口や国税庁のホームページから「確定申告書」や「医療費控除の明細書」を入手し、作成します。
必要書類と各書類の書き方については、医療費控除の申請のために必要な書類と医療費控除の明細書と確定申告書Aの書き方で後述しています。
【関連記事】
e-Taxでネットで確定申告:PC・スマホでのやり方とメリットまとめ
4.確定申告書と医療費控除の明細書を税務署に提出する
3.で作成した「確定申告書」と「医療費控除の明細書」を税務署に提出します。
確定申告は、通常の確定申告期間(2月16日〜3月15日)に行います。ただし、2022年は新型コロナウイルスの影響で、確定申告の期間が個別指定による期限延長が認められることになります。
期限までに申告等ができなかった場合の個別延長
新型コロナウイルス感染症の影響により、期限までに申告・納付等することができないと認められるやむを得ない理由がある場合には、所轄税務署長に「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を申請し、その承認を受けることにより、その理由がやんだ日から2か月以内の範囲で個別指定による期限延長が認められることになります。
参考:国税庁「申告・納付等の期限の個別延長関係」
5.医療費控除で戻ってくる還付金を確認する
還付金は申請から約1ヶ月〜1ヶ月半後に、指定した銀行口座に振り込まれるか、最寄りのゆうちょ銀行・郵便局で受け取ることができます。
【関連記事】
還付申告とは?対象となるケースや確定申告・年末調整との違いを解説
医療費控除の計算方法
医療費控除の計算方法を流れに沿ってご説明します。
(A)年間で支払った医療費を計算
- 計算の際は領収書が必要です。
- 領収書はしっかり保管しておきましょう。
- 健康保険組合の医療費通知の書類に記載されているものを利用してその他の交通費を加算したものでも構いません。
(B)高額療養費制度の払い戻し分や保険会社から支払われた保険金の額を計算
(C)支払った医療費から差し引き
基本的に医療費控除は、10万円がベースです。
(C-F)保険金などを差し引いた金額から10万円を引いても支払った医療費が余る場合は、医療費控除の対象(G)となります。
(A)支払った医療費(合計) |
(B)保険金などで補填される金額 |
(C)差引金額(A-B)(赤字のときは0円) |
(D)総所得金額(確定申告書A第一表の「所得金額」の合計欄+退職所得金額) |
(E)D×0.05(赤字のときは0円) |
(F)Eと10万円のいずれか少ないほうの金額 |
(G)医療費控除額(C-F)(最高200万円、赤字のときは0円) |
医療費控除の計算例:年間所得が400万円の個人の場合
例:病気などで入院や通院にかかった費用
- ・荷物などを運ぶのに使った自家用車のガソリン代:1,000円
- ・個室で入院するための差額ベッド代:50,000円
- ・入院治療費:150,000円
- ・通院でのバス代:4,000円
- ・薬局で購入した医薬品:10,000円
- ・疲労回復のための栄養ドリンク代:2,000円
このうち、ガソリン代、差額ベッド代、栄養ドリンク代は医療費控除の対象外となります。その他の費用の合計は164,000円で、医療費控除の対象となるのは10万円を差し引いた分の64,000円となります。
また、年間所得が400万円の個人の場合に適用される税率は、所得税が20%、住民税が10%となり、64,000円にそれぞれの税率をかけた額を所得から差し引くことができますので、納税額が少なくなります。医療費控除を正しく申告することで、所得税と住民税の節税をすることができます。
医療費控除の金額が64,000の場合の所得税・住民税の節税額
- 所得税の節税額:64,000円×20%=12,800円
- 住民税の節税額:64,000円×10%=6,400円
医療費補填金は医療費から差し引く
医療費補填金(補てん金)とは、生命保険や社会保険から補填される金額を指します。生命保険や社会保険からの入院費の給付や出産育児一時金などがこれにあたります。
医療費に補てんされる保険金等が未確定の場合
受け取る保険金等の額を見積もり、その見積額を支払った医療費から控除します。医療費を支払った年の確定申告書を提出するまでに、医療費に充てる保険金等の額が確定していない場合は、受け取る保険金等の額を見積もり、その見積額を支払った医療費から控除します。
この場合、後に確定した保険金額が見積額と異なることが判明したときは、その年分の医療費控除の額を遡及して医療費控除額を訂正します。
参考:国税庁「医療費を補填する保険金等が未確定の場合」
医療費控除の申請のために必要な書類
医療費控除に必要な書類は以下の4つになります。
1. 医療費控除の明細書
医療費控除の明細書は税務署または国税庁「医療費控除の明細書【内訳書】」のページからダウンロードできます。
医療費控除の領収書やメモの保管について
2017年の確定申告から医療費の領収書を添付する必要はなくなりましたが、5年間保存する必要があります。領収書については、発行が難しい公共交通機関を利用した通院の場合は、支払いごとに領収書を受け取るほか、日付、金額、目的、人数などをメモして残しておくと、それが領収書の代わりとなります。
2. 確定申告書Aもしくは確定申告書B
確定申告書にはAとBの2種類があります。
確定申告書Aは、申告すべき所得が給与所得、公的年金等・その他の雑所得、配当所得、一時所得のみで、予定納税額がない人が利用できます。会社員の方はこの申告書を使用することができます。
確定申告書Bは、自営業の人も含めて誰でも使うことができます。確定申告書は、税務署で入手するか、国税庁のホームページからダウンロードしてください。


引用:国税庁「確定申告書A【令和元年分以降用】(左:第一表、右:第二表)」


引用:国税庁「確定申告書B【令和元年分以降用】(左:第一表、右:第二表)」
なお、2023年(令和5年)1月以降、確定申告書Aは廃止され、確定申告書Bに統一されます。
源泉徴収票の注意
2019年4月1日以降の確定申告については、確定申告書に源泉徴収票を添付する必要がなくなりました。税務署の相談コーナーなどで確定申告書を作成した場合は、確定申告書の記載事項の一部に源泉徴収票から転記する箇所があるので、源泉徴収票を持参する必要があります。
3. 医療通知書
医療通知書とは、ご自身が加入されている健康保険組合から送られてくる書類のことです。医療費控除のために提出する場合は、以下の内容が記載されている必要があります。
医療費控除に必要な記載事項
- 健康保険の加入者などの氏名
- 療養を受けた年月
- 療養を受けた人の名前
- 療養を受けた場所(病院、診療所、薬局など)の名前
- 健康保険加入者が支払った医療費の額
- 健康保険組合等の名称
なお、医療保険者等から交付を受けた医療費通知を添付することによって、明細書の記入を省略することが可能になっています。
令和4年1月1日以後に令和3年分以後の確定申告書をe-Taxにて送信する場合は「医療費通知に記載されている事項を、医療費控除の明細書に入力して送信することにより、医療費通知の添付に代えることができます。
参考・引用元:国税庁「医療費控除を受けられる方へ」
4. 本人確認書類
確定申告書を提出する際には、本人確認書類として、マイナンバーカードまたはマイナンバー(個人番号)が記載された「通知カード」か「住民票の写しまたは住民票記載事項証明書」のどちらか1つと、記載したマイナンバーの所有者が本人であることを確認する書類のいずれかが必要です。
記載したマイナンバーの所有者が本人であることを確認する書類
- 運転免許証
- 公的医療保険の被保険者証
- パスポート
- 身体障害者手帳
- 在留カード
- お持ちの方は、税務署から送付される「確定申告のお知らせ」はがき
また、確定申告書をインターネット(e-Tax)で送信する場合は、本人確認書類の提示又は写しの提出は不要です。
参考・引用元:国税庁「医療費控除が変わります!!!」
セルフメディケーション税制の適用を受ける場合に必要な書類
平成29年分以降にセルフメディケーション税制による医療費控除の特例の適用を受ける場合は、医療費控除の明細書の代わりにセルフメディケーション税制の明細書を使用します。
必要な書類は以下のとおりです。
セルフメディケーション税制の適用を受ける場合に必要な書類
- セルフメディケーション税制の明細書
- セルフメディケーション税制を適用し計算した確定申告書Aもしくは
- 本人確認書類

引用:国税庁「医療費控除の明細書【内訳書】」
セルフメディケーション税制の適用を受ける場合、一般用医薬品購入費の領収書の添付または提示は必要ありませんが、以下の書類を5年間保存する必要があります。
- 適用を受ける年分において一定の取組を行ったことを明らかにする書類
- 特定一般用医薬品等の領収書
「適用を受ける年分において一定の取組を行ったことを明らかにする書類」とは、氏名・取組を行った年・事業を行った保険者、事業者若しくは市区町村の名称又は取組に係る診察を行った医療機関の名称若しくは医師の氏名の記載があるものに限ります。
具体的な例として、以下の書類が挙げられます。
適用を受ける年分において一定の取組を行ったことを明らかにする書類の具体例
- インフルエンザの予防接種又は定期予防接種(高齢者の肺炎球菌感染症等)の領収書又は予防接種済証
- 市区町村のがん検診の領収書又は結果通知表
- 職場で受けた定期健康診断の結果通知表
(「定期健康診断」という名称又は「勤務先(会社等)名称」が記載されている必要があります。) - 特定健康診査の領収書又は結果通知表M
(「特定健康診査」という名称又は「保険者名(ご加入の健保組合等の名称)」が記載されている必要があります。) - 人間ドックやがん検診をはじめとする各種健診(検診)の領収書又は結果通知表
(「勤務先(会社等)名称」又は「保険者名(ご加入の健保組合等の名称)」が記載されている必要があります。)
参考・引用元:国税庁「セルフメディケーション税制の明細書」
医療費控除の明細書と確定申告書Aの書き方
医療費控除を申告する場合は、医療費控除の明細書や確定申告書の所定の場所に医療費を記載する必要があります。その記載方法について説明します。
1. 医療費控除の明細書の書き方
1. 医療費通知に関する事項

(1)自身が負担した医療費の合計額を記入します。通知が複数ある場合は全ての合計額です。
(2)(1)のうち、その年に実際に支払った医療費の合計額を記入します。
(3)生命保険契約、損害保険契約または健康保険契約等の規定に基づき受け取った保険金や給付金(入院費給付金、出産育児一時金、高額療養費など)がある場合に記入します。
2. 医療費(1以外)の明細

その年に自身または生計を一にする配偶者、その他親族のために支払った医療費について、領収書から必要事項を記入する箇所です。
領収書ごとではなく、「医療を受けた人」「病院等」ごとにまとめて記入できます。
3. 控除額の計算

上記で算出した合計額を元に控除額を計算します。
複数の医療機関を受診しており、計算が複雑な場合は、国税庁の医療費集計フォームなどを利用して計算を行うとスムーズに計算することができます。
参考・引用元:国税庁「医療費控除の明細書」
参考:あきる野市「医療費控除の明細書の書き方について」
2. 確定申告書Aの書き方
会社員の方は確定申告書A、自営業の方は確定申告書Bを使用します。
ここでは確定申告書Aの書き方を説明します。確定申告書Bも大きな差はありませんので、こちらを参考に記入ください。
<第一表>
(18)欄・・・『医療費控除の明細書』で計算した金額を転記します。※「区分」の□は、記入しません。
<第二表>
上記の欄に該当事項を記入します。
引用元:国税庁「所得から差し引かれる金額(所得控除)を計算する」
【関連記事】
確定申告書(A・B)の書き方を記入項目別に解説
生命保険料などは別の控除として申告
医療費控除では保険金は差し引かれるとご紹介しましたが、支払った保険料については、生命保険料控除として申請することができます。
確定申告を行う際、医療費と同じ所得控除の欄に該当します。生命保険料控除を受けたい場合は、保険会社の控除証明書が必要となりますので、必ず手元に用意しておきましょう。
【関連記事】
確定申告と生命保険の関係とは?生命保険料控除の基礎知識
確定申告を簡単に終わらせる方法
確定申告には青色申告と白色申告の2種類があります。どちらを選択するにしても、期限までに書類を作成し納税をすることが重要です。
青色申告と白色申告の違いを知りたい!という方は、「青色申告と開業届の基礎知識!青色申告のメリットと白色申告との違い」をご参照ください。
書類の作成には、手書きのほか、国税庁の「確定申告等作成コーナー」や会計ソフトで作成する方法がありますが、「確定申告書の作成は難しいのでは?」と苦手意識をお持ちの方も多いでしょう。
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4.あとは確定申告書を税務署に提出するだけ
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【関連記事】
【2022年版】e-Taxでネットで確定申告:PC・スマホでのやり方とメリットまとめ

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【初めての向けにオススメ】そもそも確定申告とは?スマホ申告の活用など
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まとめ
確定申告を行う義務のある個人事業主だけではなく、サラリーマンであっても一定額以上の医療費を支出していれば医療費控除によって節税したり還付を受けたりすることが可能です。
確定申告をするためには、医療費控除の明細書などの必要書類を準備する必要がありますので、本記事を参考に、しっかりと準備して医療費控除の確定申告を行いましょう。
書類の準備や作成を少しでも簡単に終わらせるためには、確定申告ソフトfreeeの活用がおすすめです。こちらの記事を参考に、医療費控除の申請や確定申告をスムーズに行っていただければ幸いです。