確定申告の基礎知識

確定申告書類の保存期間は?個人事業主の帳簿・領収書・請求書は何年保管が必要か解説

監修 前田 昂平 公認会計士・税理士

確定申告書類の保存期間は?個人事業主の帳簿・領収書・請求書は何年保管が必要か解説

確定申告に使った書類は、法律によって保存期間が定められています。保存期間は、申告の種類や書類の種別によって異なります。

本記事では、確定申告書類の保存期間の概要をはじめ、帳簿・領収書・請求書などの保存期間、書類を保存しなかった場合の罰則、紙・電子それぞれでの保存方法までわかりやすく解説します。

目次

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確定申告後の書類は保存期間が決められている

確定申告に使用した帳簿や領収書・請求書などの書類は、確定申告を終えた後も、一定期間保存することが義務付けられています。これは、税務調査などがあった際に申告内容の根拠を明確に示せるようにするためです。

税法上、保存義務の対象となるものは「帳簿」と「書類」の2つに大別されます。それぞれの具体例は次のとおりです。


区分具体例
帳簿仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、固定資産台帳など
書類請求書、領収書、契約書、預金通帳、棚卸表など

保存期間は、書類の種類や申告の種類(青色申告・白色申告)によって異なるため注意が必要です。帳簿や主な書類の保存期間については、この後で詳しく解説します。

【関連記事】
帳簿とは?台帳との違い、主要簿と補助簿の分類を簡単に解説

確定申告後の「帳簿」の保存期間

帳簿の保存期間は、青色申告者と白色申告者で異なります。青色申告の場合と白色申告の場合の、各帳簿の保存期間は下表のとおりです。


項目保存期間
青色申告 仕訳帳、総勘定元帳などの主要な帳簿は7年間
現金出納帳、売上帳などのその他の帳簿も7年間
白色申告 法定帳簿(収入金額や必要経費を記載したもの)は7年間
その他の帳簿は5年間

保存期間の起算日は、所得税法上は「その年分の確定申告書の提出期限の翌日」です。

個人事業主の所得税の確定申告期限は毎年3月15日なので、2024年分の帳簿であれば、2025年3月16日から数えて7年間保存する必要があります。

確定申告後の「領収書」の保存期間

領収書やレシートには、「いつ、どこで、何を、いくらで」購入・利用したかが記載されているため、経費による支出を証明する重要な書類となります。税務調査では、この領収書と帳簿の記載内容が一致しているかが確認されます。

青色申告と白色申告の場合の、それぞれの領収書の保存期間は下表のとおりです。


項目保存期間
青色申告 原則として7年間
ただし、前々年分の所得が300万円以下の場合は5年間でよいとされているが、基本的には7年保存が安全
白色申告一律5年間

確定申告後の「請求書」の保存期間

請求書も、帳簿に記載のある取引の事実を証明する重要な書類です。自身が受け取った請求書だけでなく、自身が発行した請求書の控えも保存義務の対象とされます。

請求書の保存期間は下表のとおりです。


項目保存期間
青色申告原則として5年間
白色申告一律5年間

ただし、消費税の課税事業者が、仕入税額控除のために保存する適格請求書(インボイス)については、消費税法上、7年間の保存が必要とされています。そのため、消費税の課税事業者の場合、所得税上は5年保存で足りる請求書であっても、インボイスに該当するものは7年間保存しておくと考えるのが安全です。

また、契約書、見積書、納品書なども請求書と同様に、取引関係書類の扱いになるため、上記の期間保存しなければなりません。いずれも、帳簿の記載を裏付ける証拠として機能します。

書類を保存していなかった場合の税法上の罰則

仮に確定申告書類を適切に保存していていなかった場合、税法上の定めによって、罰則を科される可能性があります。

具体的な罰則の内容は次のとおりです。

推計課税の適用

推計課税とは、税務署の判断により、該当課税者の実態として妥当とされる所得金額を推計し、その金額に基づいて課税する制度です。推計課税の適用となるケースには、「帳簿書類の保存がない」または「帳簿書類に著しく不備がある」などが挙げられます。

これはいわゆる「罰則」ではなく、所得を計算するための特別な課税方法ですが、帳簿に基づいて実額計算をした場合よりも高い所得が認定され、結果として実際より重い税負担になるリスクがあります。

実務上は、帳簿書類が整備されていない場合に生じ得る、非常に不利な事態の一つといえます。

青色申告の承認取り消し

青色申告者が、帳簿書類の備え付けや保存を怠った場合、青色申告の承認を取り消される可能性があります。

承認が取り消されると、最大65万円の青色申告特別控除が利用できなくなり、青色申告による税制優遇が得られなくなります。

確定申告後の帳簿書類の保存方法

帳簿書類の保管方法には、紙媒体での保存・電子データでの保存の2種類があります。各書類の保存期間を守ることはもちろん、何かあったときにいつでも確認できる状態で保存することが大切です。

紙・電子それぞれの保存について、コツや注意点を解説します。

紙媒体での保存

帳簿書類を紙で保存する場合、年別、月別、勘定科目別、取引先別など、後から探しやすいように分類してファイリングするのが望ましいといえます。

紙という性質上、直射日光や湿気の影響を受けない場所に保管する必要もあります。倉庫などに保管する場合は、水濡れや害虫などによる毀損がないよう、注意しましょう。

また、領収書やレシートには感熱紙が使われているため、印字が消えないようノートや台紙に貼り付けるといった工夫も必要です。印字が消えやすい書類などは念のためスキャンを取るなど、電子データと併用して管理すると安全性が高まります。

紙媒体での保存は物理的なスペースを要するため、保管期間内の書類をすべてしまっておけるかどうかの確認も必要になります。

電子データ(電子帳簿保存法)での保存

電子帳簿保存法の定める要件を満たせば、帳簿書類を電子データで保存することが可能です。

また、2022年の電子帳簿保存法改正により、「電子取引データ」(メール、クラウド経由で受け取った請求書など)は原則として電子データのまま保存することが定められ、電子取引の記録を紙に出力して保存する方法が認められないものとされています。

これは猶予期間を経て2024年に完全義務化されており、法人・個人にかかわらず全事業者が対象となっています。

つまり、電子取引データ以外のものを紙で保管している事業者であっても、電子取引データは電子保管しなくてはなりません。ただし、一定の条件を満たしている事業者に対しては、電子帳簿保存法の要件が緩和される「猶予措置」が適用されます。

電子取引データを保存する際は、以下の2つの要件を満たす必要があります。


保存要件概要
真実性の確保 以下のいずれかの措置を講じる
・タイムスタンプが付与されたデータの受領
・遅延のないタイムスタンプの付与
・データの訂正・削除の履歴が残る、または、訂正・削除ができないシステムの利用
・改ざん防止の事務処理規定と遵守
可視性の確保 ・PCなどの機器に電子取引データを確認するための装置を設置
・検索機能の確保
・電子計算機処理システムの概要を記載した書類をそなえつける

電子データでの保存は書類の管理を効率化できますが、税法上の要件が細かく定められているため十分に確認を行いましょう。

【関連記事】
電子帳簿保存法とは?対象書類や保存要件・改正内容についてわかりやすく解説

まとめ

確定申告後の書類の保存期間は、申告の種類や書類によって異なるほか、紙・電子という保管方法によって満たすべき保存要件が異なります。

適切に書類を保存していない場合は税法上の罰則が適用される可能性もあるため、ご自身に合った保管方法で、必要な要件を守れるように管理していきましょう。

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よくある質問

確定申告の書類は何年保存すればよい?

確定申告書類の保存期間は、書類の種類や申告の種類(青色申告・白色申告)によって異なります。「帳簿」であれば、青色申告の場合は7年間、白色申告の場合は法定帳簿(収入金額や必要経費を記載したもの)は7年間、その他の帳簿は5年間と定められています。

このほか、「領収書」の保存期間については記事内「確定申告後の「領収書」の保存期間」を、「請求書」の保存期間については記事内「確定申告後の「請求書」の保存期間」をご覧ください。

参考文献

監修 前田 昂平(まえだ こうへい)

2013年公認会計士試験合格後、新日本有限責任監査法人に入所し、法定監査やIPO支援業務に従事。2018年より会計事務所で法人・個人への税務顧問業務に従事。2020年9月より非営利法人専門の監査法人で公益法人・一般法人の会計監査、コンサルティング業務に従事。2022年9月に独立開業し現在に至る。

前田 昂平

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