確定申告の基礎知識

確定申告の申告漏れはさかのぼって申告できる?対象期間・必要書類・やり方を解説

監修 北田 悠策 公認会計士・税理士

確定申告の申告漏れはさかのぼって申告できる?対象期間・必要書類・やり方を解説

個人事業主は、原則として毎年3月15日までに確定申告を行わなければなりません。給与所得者であっても、確定申告をすることで控除を受けられたり、税金が還付されたりするケースがあります。

申告を忘れてしまった場合でも、確定申告は後からさかのぼって行うことが可能です。ただし、延滞税や加算税などのペナルティが発生する可能性もあるため、早めの対応が重要です。

本記事では、確定申告をさかのぼって申告する際のパターンや申告できる期間、申告に伴って発生するペナルティなどを解説します。

目次

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確定申告はさかのぼって申告できる

個人の所得税に関する確定申告は、原則として毎年3月15日までに提出することが定められています。なお、3月15日が土曜日・日曜日・祝日にあたる年は、翌営業日が期限となります。

ただし、期限までに提出できなかった場合でも、確定申告書を後から提出することは可能です。申告を忘れてしまった場合は、そのままにせずに速やかに手続きを行いましょう。

また、期限までに申告した人でも、後日になって内容の誤りが判明した場合は訂正が可能です。


出典:国税庁「申告と納税」
出典:国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」
出典:国税庁「No.2026 確定申告を間違えたとき」

【関連記事】
確定申告とは?全くわからない人向けに申告の流れ・対象者について解説!

確定申告をさかのぼって申告・訂正する際のパターン

確定申告をさかのぼって行う方法は、大きく次の4つに分かれます。

確定申告をさかのぼって申告・訂正する際のパターン

  • 申告していなかった人が払いすぎた税金を取り戻す「還付申告」
  • 期限内に申告した人が内容の訂正を求める「更正の請求」
  • 本来の申告を期限後に行う「期限後申告」
  • 申告後に誤りが見つかった場合に修正する「修正申告」

以下、各パターンを詳しく説明します。

還付申告

還付申告とは、年末調整や確定申告で反映していなかった控除を申告することで、源泉徴収された所得税の一部を還付してもらえる制度です。医療費控除や住宅ローン控除などを申告し忘れていた人は、本来より多く納めていた税金を取り戻せます。

通常の確定申告では、その年の1月1日から12月31日に得た所得を原則として翌年3月15日の期限までに申告する必要があります。しかし、還付申告は期限を過ぎてからでも行うことが可能です。


出典:国税庁「No.2030 還付申告」

更正の請求

更正の請求とは、確定申告書を期限までに提出した人が、納税額の過大や還付税額の過少が判明した際に行う請求です。

所得金額の増減や所得控除の追加があっても、最終的な税額に変動がなければ、更正の請求を実施できません。


出典:国税庁「No.2026 確定申告を間違えたとき」

期限後申告

期限後申告とは、納めるべき税金があるにもかかわらず、期限までに確定申告していなかった人が行う申告です。

放置している期間が長いほど、延滞税の負担が増大します。確定申告書の提出を失念していたことに気づき次第、なるべく早く対処してください。


出典:国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」

修正申告

修正申告とは、期限までに確定申告した人が、後日になって納税額の過少や還付税額の過大が判明した際に修正を行うための申告です。

税務署から「更正・決定の予知があることの通知」を受ける前に自ら修正申告を行えば、原則として過少申告加算税は課されません。ただし、納付が遅れた分については延滞税がかかる場合があります。


出典:国税庁「No.2026 確定申告を間違えたとき」

確定申告をさかのぼって申告した際に発生するペナルティ

確定申告をさかのぼって申告すると、ペナルティが課されるケースがあります。以下、ペナルティが発生する条件や課される加算税などに関して詳しく説明します。

期限後申告する場合は無申告加算税などがかかる

納めるべき税金があるにもかかわらず確定申告していない場合、本来の税額に加えて無申告加算税が課されます。さらに、法定納期限の翌日から完納日までの日数に応じて延滞税も発生するため、できるだけ早い対応が重要です。

無申告加算税の割合は、申告のタイミングによって変わります。税務署から調査通知が届く前に自主的に申告すれば納付すべき税額の5%ですが、通知後や調査後に申告すると税率が高くなります。

以下は、状況ごとの無申告加算税の割合です。


状況納付するべき税額乗じる割合
調査通知が届き、税務調査を受ける前に申告するケース 50万円以下の部分 10%
50万円超、300万円以下の部分 15%
300万円超の部分 25%
税務調査後に申告するケース 50万円以下の部分 15%
50万円超、300万円以下の部分 20%
300万円超の部分 30%
出典:国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」

通知が届いてから修正申告すると過少申告加算税などがかかる

税務署からの通知が届いてから修正申告した場合、新たに納める税金に加えて過少申告加算税がかかります。さらに、法定納期限の翌日から完納日までの日数に応じて延滞税もかかるため、できるだけ早く対処しましょう。

通知が届く前に自主的に修正申告すれば、過少申告加算税はかかりません。過少申告加算税額は、新たに納める税額に下表に示す割合を乗じて算出されます。


状況納付するべき税額乗じる割合
通知が届き、税務調査を受ける前に申告するケース 「50万円」と「当初の申告納税額」のいずれか多い金額以下の部分 5%
「50万円」と「当初の申告納税額」のいずれか多い金額を超える部分 10%
税務調査後に申告するケース 「50万円」と「当初の申告納税額」のいずれか多い金額以下の部分 10%
「50万円」と「当初の申告納税額」のいずれか多い金額を超える部分 15%
出典:国税庁「No.2026 確定申告を間違えたとき」

どのような場合に確定申告をさかのぼって申告するべきなのか

控除・還付を受けられることや、納付すべき税金を納めていないことが判明したら、さかのぼって確定申告すべきです。以下では、各ケースに関して詳しく説明します。

控除・還付を受けられるのに確定申告していなかったケース

各種控除を申告していなかった場合、条件を満たせばさかのぼって申告することで控除や還付を受けられます。

以下、それぞれの控除について説明します。

医療費控除を受けるためにさかのぼって確定申告する場合

医療費控除を申告していなかった人は、還付申告や更正の請求を通じてさかのぼって控除を受けることができます。

医療費控除額を求める計算式は以下の通りです。

  • 医療費控除額 = 実際に支払った医療費の合計額 - 保険金などで補填される金額 - 10万円
    (※)総所得金額等が200万円未満の人は、「10万円」ではなく「総所得金額等の5%」が差し引かれ、控除上限額は200万円まで

還付申告する際は、「医療費控除の明細書」を作成・添付します。更正の請求を行う際は、医療費を支払った事実を証明する書類(領収書など)を添付します。なお、領収書の数が多い場合は事前に税務署に問い合わせてください。


出典:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」
出典:国税庁「医療費控除を受ける方へ」


【関連記事】
医療費控除とは?確定申告のやり方・計算方法についてわかりやすく解説

ふるさと納税の控除を受けるためにさかのぼって確定申告する場合

ふるさと納税をしたのに確定申告をしていなかった人も、後日「還付申告」を行うことで控除・還付を受けられます。また、すでに申告を済ませているものの、ふるさと納税に関する記入を忘れていた場合は「更正の請求」で控除を受けられます。

申告には、寄附先の自治体から送付される「寄附金受領証明書」などの証明書類が必要です。また、全額控除される年間の寄附上限額は所得や家族構成によって異なるため、事前に総務省公式Webサイトで目安を確認してください。


出典:国税庁「No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)」
出典:国税庁「ふるさと納税に係る寄附金控除に関する証明書等について」
出典:国税庁「ふるさと納税に係る更正の請求書の作成例」
出典:総務省「税金の控除について」

住宅ローン控除を受けるためにさかのぼって確定申告する場合

住宅ローン控除を受け忘れていた人も、後日「還付申告」や「更正の請求」を行うことで、さかのぼって控除や還付を受けられます。

控除を受けるためには、初年度は給与所得者でも確定申告しなければいけません。給与所得者の場合、2年目以降は年末調整で控除を受けられます。

確定申告書を提出しなかった人は、後日に還付申告を実施すれば、所得税からの控除・還付を受けることが可能です。また、住宅ローン控除に関する事項を記入せずに確定申告した場合は、法定申告期限から5年以内であれば更正の請求で控除を受けられます。

なお、住民税納税通知書送付後に申告・請求した場合は、住民税からの控除を受けられない可能性があります。


出典:国税庁「No.1212 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)」
出典:総務省「新築・購入等で住宅ローンを組む方・組んでいる方へ 個人住民税の住宅ローン控除がうけられる場合があります。」
出典:国土交通省「住宅ローン減税」

控除・還付を受けられる場合でも、納めるべき税金が発生していなければ確定申告しなくてもペナルティはありません。

しかし、納めるべき税金があるにもかかわらず、確定申告・納税の義務を履行していなかった場合は、加算税などのペナルティを受ける可能性があります。

義務があるのに申告できていなかったことが判明したら、速やかに期限後申告をしましょう。また、期限までに確定申告書を提出していても、後日になって納税額が不足していることが判明した場合は、修正申告を実施してください。


出典:国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」
出典:国税庁「No.2026 確定申告を間違えたとき」

確定申告をさかのぼって申告できる期間

還付申告書は、確定申告期間とは関係なく、翌年1月1日から5年間提出できます。また、更正の請求が可能な期間は、原則、法定申告期限から5年以内です。

期限後申告や修正申告は、原則として、税務署が更正・決定できる期間が5年のため、法定申告期限から5年間は申告書を提出可能です。

ただし、税務調査によって「虚偽の資料を作成して申告漏れを隠蔽した」などの不正行為が認定されると、更正・決定できる期間が7年に延長されます。

その場合、7年前までさかのぼって申告しなければいけない可能性があります。この「7年」は、納税者が自主的に申告できる期間ではありません。


出典:国税庁「No.2030 還付申告」
出典:国税庁「No.2026 確定申告を間違えたとき」

【関連記事】
確定申告期間はいつからいつまで?期限を過ぎた場合のペナルティや対処法について解説

確定申告をさかのぼって申告する際の必要書類

還付申告・期限後申告・修正申告を行う際は、通常の「確定申告書」や「修正申告書」に必要事項を記入し、添付書類と一緒に提出します。

更正の請求を行う際は、「更正の請求書」を税務署に提出してください。


出典:国税庁「確定申告が間違っていたとき・確定申告を忘れていたとき」
出典:国税庁「No.2026 確定申告を間違えたとき」
出典:国税庁「A1-2、H1-1 所得税及び復興特別所得税の更正の請求手続」

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【2025年向け】確定申告の必要書類・添付書類は?準備するものをケース別にわかりやすく解説

確定申告をさかのぼって申告するやり方

確定申告をさかのぼって申告するやり方には、紙の書類を提出する方法以外に、e-Taxを利用する方法もあります。以下でそれぞれのやり方を詳しく説明します。

書類を持参・郵送して確定申告をさかのぼって申告するやり方

確定申告書や修正申告書、更正の請求書に必要事項を記入し、添付書類も用意して、所轄の税務署に持参してください。

所轄税務署の所在地・電話番号は、国税庁公式Webサイトで検索可能です。開庁時間は、原則として平日の午前8時30分から午後5時までです。閉庁時は、時間外収受箱に投函してください。

税務署の窓口に持参すれば提出前に内容の相談ができますが、時間や交通費がかかります。

税務署から遠い場所に住んでいる人は、郵送による提出も選択肢としてご検討ください。郵送で提出すると、通信日付印によって表示された日が提出日とされます。


出典:国税庁「所得税の確定申告」
出典:国税庁「国税局・税務署を調べる」
出典:国税庁「税務署の開庁時間」

e-Taxを利用して確定申告をさかのぼって申告するやり方

国税庁公式Webサイトにある「確定申告書等作成コーナー」では、画面の案内に沿って入力・選択し、申告書や更正の請求書を作成できます。

完成した電子的な申告書・請求書は、e-Taxで税務署に送信可能です。e-Taxで送信するにはマイナンバーカードや読み取るためのスマホ、またはICカードリーダーが必要なので、事前に準備してください。


出典:国税庁「所得税の確定申告」
出典:国税庁「確定申告書等作成コーナー」

【関連記事】
e-Tax(電子申告)で確定申告をするやり方とは?スマホでの流れや必要書類を解説

まとめ

確定申告を忘れていた人や、後日になって内容の誤りに気付いた人は、さかのぼって申告を実施しましょう。税金を納め過ぎている人は、さかのぼって申告すれば還付を受けることが可能です。

納めるべき税金があるにもかかわらず、確定申告・納税の義務を怠った場合は、無申告加算税がかかります。また、税額を過少に申告していた場合は、過少申告加算税がかかります。

放置している期間に応じて延滞税の金額が増えるため、早めに対処すべきです。

確定申告をさかのぼって申告するやり方としては、税務署に申告書を持参・郵送するほか、e-Taxを利用する方法もあります。e-Taxで申告するためには、インターネット回線・マイナンバーカード・ICカードリーダーが必要なので、事前に準備してください。

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よくある質問

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確定申告は何年前までさかのぼって申告可能なのかを詳しく知りたい場合は、記事内「確定申告をさかのぼって申告できる期間」をご覧ください。

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確定申告をさかのぼって申告する方法に関して詳しく知りたい場合は、記事内「確定申告をさかのぼって申告するやり方」をご覧ください。

監修 北田 悠策(きただ ゆうさく)

神戸大学経営学部卒業。2015年より有限責任監査法人トーマツ大阪事務所にて、製造業を中心に10数社の会社法監査及び金融商品取引法監査に従事する傍ら、スタートアップ向けの財務アドバイザリー業務に従事。その後、上場準備会社にて経理責任者として決算を推進。大企業からスタートアップまで様々なフェーズの企業に携わってきた経験を活かし、株式会社ARDOR/ARDOR税理士事務所を創業。

北田 悠策

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