所得税と住民税はどちらも1年間の所得額に応じて税額が決まります。所得税は、年末調整や確定申告によって申告・納税を行い、住民税は住民税申告が原則として必要です。
ただし、年末調整や確定申告をしている場合は、住民税申告をする必要はありません。一方、年末調整や確定申告をしていない人で、その年に所得がある場合には住民税申告が必要になる可能性があります。
本記事では、確定申告と住民税申告の違いや住民税申告の対象者、手続きに必要な書類など詳しく解説します。
目次
確定申告と住民税申告の違い
住民税申告と所得税の確定申告はどちらも、1月1日から12月31日の1年間の所得額に課せられる税金を計算・申告する手続きですが、対象となる税金や、申告先に違いがあります。
| 項目 | 住民税申告 | 確定申告 |
|---|---|---|
| 申告の対象となる税金 | 住民税 | 所得税 |
| 税金の種類 | 地方税 | 国税 |
| 申告先 | 居住地がある自治体 | 所轄の税務署 |
| 申告期限 | 翌年の3月15日まで | 翌年の2月16日から3月15日まで |
| 納税方法 | 年に4回(普通徴収の場合) | 申告と同様に3月15日まで ※振替納税などでは引き落とし時期が4月末になる |
確定申告をしていれば住民税申告は不要!
所得税の確定申告を行うと、税務署から自治体に確定申告のデータが連携され、そのデータをもとに住民税額が決定されます。そのため、所得税の確定申告をしていれば、住民税申告を別途行う必要はありません。
また、年末調整の対象である会社員やアルバイト・パートなども、勤務先が年末調整をしていれば住民税申告を行う必要はありません。
なお、所得税の確定申告を行う個人事業主と、年末調整をしている会社員などの給与所得者では、住民税の納税方法が以下のように異なります。
| 個人事業主 | 会社員などの給与所得者 | |
|---|---|---|
| 住民税の納税方法 | 普通徴収 (年に4回) | 特別徴収 (6月から5月までの給与から天引き) |
住民税申告が必要な人
住民税申告は、住民税の納税義務があるすべての人が行う必要はありません。住民税申告が必要かどうかは、確定申告や年末調整の有無、所得額などいくつかの条件をもとに判断します。
住民税申告が必要となる主なケースは、以下のとおりです。
住民税申告が必要になるケース
- 所得税の確定申告を行わない人
- 退職により年末調整を受けていない人
- 給与所得者の給与・退職所得以外の所得が20万円以下で、確定申告の必要がない人
- 住民税の減免制度を申請する人 など
所得税は、1年間の所得額が一定額以下であれば確定申告が不要ですが、住民税は1円でも収入がある場合には申告が必要です。
たとえば、会社員が副業をしていて、その副業の所得が年間で20万円以下であれば、所得税の確定申告は不要です。ただし、住民税申告は別途で行わなければなりません。
住民税申告が不要な人
住民税申告が不要な人は以下のとおりです。
住民税申告が不要なケース
- 所得税の確定申告を行っている人
- 勤務先で年末調整を受けており、給与以外の所得や追加の控除申請がない人
- 公的年金収入のみで、医療費控除などの申請をしない人 など
確定申告が不要な人であっても、医療費控除やふるさと納税(寄附金控除)などを住民税に反映させたい場合は住民税申告が必要です。
給与以外の所得が年間20万円超えているなど確定申告が必要なケースに該当する場合は、住民税申告ではなく確定申告を行いましょう。
判断に迷う場合は、居住する各自治体のWebサイトを確認するか、窓口に問い合わせてください。
確定申告しないと住民税は高くなる?
確定申告をしないと本来適用される所得控除が住民税に反映されないため、結果的に住民税が高くなることがあります。
医療費控除やふるさと納税(寄附金控除)など年末調整では適用されない所得控除もあるため、該当する場合は個人で確定申告を行いましょう。所得控除については、別記事「所得控除とは?種類・対象者・控除額の計算方法をわかりやすく解説」をあわせてご確認ください。
また、住民税の申告や納付が期限に遅れると、税額そのものは変わらなくても延滞金が発生します。本来の納税額以外にも支払わなければならなくなるため、必ず期限内で申告しましょう。
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住民税申告のやり方
上述した住民税申告が必要な人に該当する場合は、以下の方法で住民税申告・納税を行いましょう。
住民税申告のやり方
1. 申告に必要な書類を用意する
まずは、住民税申告書(市民税・県民税申告書)や源泉徴収票など、申告に必要な書類を用意します。住民税申告書は各自治体で様式が異なるため、役所で入手するか各自治体のWebサイトからダウンロードしましょう。
納税方法を選択する
住民税申告書に記載する納付方法は、自分で納付する「普通徴収」と、給与から天引きされる「特別徴収」の2種類があります。
たとえば、20万円以下の副業収入があり住民税申告を行う場合、会社に副業収入が知られたくないときは、「普通徴収」を選択しましょう。普通徴収を選択した場合、副業分の住民税は本業の給与収入から天引きされることなく、自身で納税することとなります。
住民税申告書で普通徴収を選択するには、各自治体の様式の住民税の納付方法の欄で「自分で納付」などを選択します(画像は東京都中央区の場合)。
住民税申告書の書き方の詳細は、自治体のWebサイトに掲載されている記載例を参考にしてください。直接役所でサポートを受けることもできます。
住民税申告書のほか、控除証明書や本人確認書類なども必要です。詳しい必要書類については、後述する「住民税申告の必要書類」をご確認ください。
2. 期限内に書類を各自治体に提出する
書類を用意したら、3月15日の申告期限までに居住地のある自治体に提出しましょう。提出方法は、郵送・窓口・eLTAX(エルタックス)の3種類があります。
3. 住民税を納税する
申告された内容をもとに各自治体が納税額を計算し、5〜6月頃に住民税決定通知書が届きます。
普通徴収では、一括納付または年4回に分けての納付のいずれかを選択できます。住民税決定通知書とともに届く納付書を用いて、期限までに支払いましょう。納税方法は、口座振替・クレジットカード・コンビニ払いなどがあります。
年4回に分けて納付する場合、期限は自治体によって異なりますが、6・8・10・1月が一般的です。
特別徴収を選択した場合、本業先の会社が、副業分の住民税もまとめて給与から天引きし納税者に代わって納税を行います。納税者自身での納税手続きは不要です。
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住民税申告の必要書類
住民税申告で必要とされている書類は主に以下のとおりです。
住民税申告に必要な書類
上記は一般的に必要とされている書類であり、自治体によって必要書類が異なる場合があります。詳しい必要書類については、各自治体のWebサイトをご確認ください。
住民税申告書
住民税申告書は、前年の収入・控除状況を報告し、住民税の課税額を正しく算出してもらうために提出する書類です。住民税申告書は自治体により書式が異なります。
各自治体のWebサイトからのダウンロードや、直接市役所に出向くことで入手できるので、期限に遅れないよう早めに用意しておきましょう。
収入を証明する書類
収入を証明する書類として、源泉徴収票や給与明細書が必要です。給与所得者は、会社から交付される源泉徴収票を用意しましょう。年金所得者である場合は公的年金の源泉徴収票を用意します。
個人事業主などの場合は、所得を証明するために帳簿が必要です。
控除を受けるための証明書
住民税にかかる所得で控除を受ける場合は、控除の種類ごとに証明書を添付書類として提出する必要があります。医療費控除・生命保険料控除・寄附金控除などが、代表的な控除です。
ただし、控除の種類によっては証明書が不要なケースもあります。控除を受ける際は、添付書類が必要かどうかを各自治体のWebサイトで確認しておきましょう。
本人確認書類
住民税申告では、個人番号・本人確認のための書類が必要です。
マイナンバーカードがあれば、1枚で番号確認と本人確認の両方が可能です。通知カードを利用するのであれば、運転免許証やパスポートなどの本人確認書類を組みあわせて提出する必要があります。
窓口で申請する際は印鑑が必要になることがあるため、念のため持参しておきましょう。
住民税申告書の書き方
東京都中央区を例に、住民税申告書の書き方を確認しましょう。東京都中央区の申告書では、氏名・住所などの基本情報のほかに、大きく以下の8つの記入項目があります。
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| ①収入金額等 | 個人事業主であれば売上金額、会社員であれば額面の年収を記入 |
| ②所得金額 | 収入金額から必要経費を差し引いた金額を記入 |
| ③所得から差し引かれる金額に関する事項 | 雑損控除、医療費控除、社会保険料控除など各種控除について記入 |
| ④所得から差し引かれる金額 | 特定の控除について所得から差し引かれる金額を記入 |
| ⑤寄附金に関する事項 | ふるさと納税を含む寄附金控除について寄附金額などを記入 |
| ⑥給与所得及び公的年金等に係る所得以外の特別区民税・都民税の納税方法 | 給与以外の所得について、特別徴収または普通徴収を選択 |
| ⑦住宅借入金等特別税額控除 | 住宅借入金等特別税額控除可能額や居住開始年月日を記入 |
| ⑧収入がなかった人の記入欄 | 扶養・援助・生活保護などについての情報を記入 |
給与収入がある人は源泉徴収票をもとに、収入金額等と所得金額の欄にそれぞれの金額を記入することになります。
記入方法は、自治体のWebサイトなどに手引きとして案内が示されていることがあるので、確認してみてください。
住民税の計算方法
住民税は、前年の所得に基づいて課税される「所得割」と、一定額が課される「均等割」の2つで構成されており、これらを合算した金額を納付します。
「所得割」は、課税所得に税率10%を掛けた金額です。住宅ローン控除などの税額控除がある場合、税額控除を差し引いた額が住民税額となります。
一方、「均等割」の金額は、道府県民税が1,000円、市町村民税が3,000円、森林環境税(国税)が1,000円で、合計5,000円が徴収されます。ただし、自治体によっては超過課税や独自減税を採用しており、上記金額と異なる可能性があります。
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住民税申告・納税の期限
住民税申告の期限は、対象となる年の翌年3月15日までです。申告期限が土日・祝日の場合は、翌開庁日が期限です。
たとえば、2025年の所得にかかる住民税申告を行う場合は、2026年3月16日(月)までに申告しなければなりません。
住民税の納付期限は、自治体によって異なります。一般的な普通徴収の納税方法である年4回払いの例として、東京都中央区の場合は、6月30日・8月31日・10月31日・翌年1月31日が期限です。
納付期限も申告と同様に、期限日が土・日曜、祝日の場合は、翌開庁日が期限となります。
出典:中央区「住民税(特別区民税・都民税)の納期限はいつですか?」
住民税申告をしないとどうなる?
住民税申告が必要にもかかわらず、住民税申告書を提出しなかった場合は、住民税が未納となり延滞金が発生します。延滞金の割合は以下のとおりです。
| 期間 | 延滞金の割合 |
|---|---|
| 納期限の翌日から1ヶ月経過日まで | 延滞金特例基準割合 + 1%(上限7.3%) |
| それ以後 | 滞金特例基準割合 + 7.3%(上限14.6%) |
本来納める住民税額とは別に支払わなければならなくなるため、住民税申告が必要な人は必ず期限内に申告を行うようにしましょう。
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住民税申告の注意点
住民税申告では、以下の点に注意が必要です。
住民税申告の注意点
- 申告期限に遅れないようにする
- 住民税申告が必要かどうか確認する
申告期限に遅れないようにする
住民税の申告期限に遅れると、納付書の送付も遅れ、納付期限までの期間が短くなってしまいます。また、ペナルティが発生し、延滞金が課される可能性があります。
延滞金の割合は自治体や年によって異なるため、自治体のWebサイトを確認しましょう。
住民税申告が必要かどうか確認する
まずは、自身が住民税申告が必要かどうかを事前に確認しましょう。たとえば、給与を受けている会社で年末調整を受けていたり、所得税の確定申告を行っていたりする人は、住民税申告が不要です。
所得税の確定申告が必要であるにもかかわらず確定申告を行わなかった場合、確定申告と住民税申告の両方で申告漏れとなる恐れがあります。必ず期限までに申告しましょう。
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よくある質問
確定申告で住民税は控除の対象になる?
住民税(市町村民税・都道府県民税)は控除の対象となりません。国民年金・国民健康保険料・社会保険料は社会保険料控除として適用することができます。
確定申告をしなかったら住民税はどうなる?
確定申告や年末調整をしていないままだと、住民税も申告されておらず、未納扱いになる可能性があります。住民税は1年間で所得が1円以上あれば申告が必要です。確定申告の対象外である場合には、住民税申告を忘れずに行うようにしましょう。
確定申告をかんたんに終わらせる方法
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まとめ
住民税申告とは、住民税の税額を決定するために、前年の所得や控除の内容を申告する手続きです。
会社員で年末調整を受けている人や、所得税の確定申告をしている人は住民税申告が必要ありません。年末調整を受けていない人や、確定申告をしておらず医療費控除などを住民税に反映させたい人は、住民税申告をしなければなりません。
住民税の申告先は居住地のある自治体で、申告期限は申告が必要になる年の3月15日です。申告には源泉徴収票などの収入証明書や、控除を受けるための証明書などが必要になるため、漏れなく用意しましょう。
監修 好川寛(よしかわひろし)
プロゴ税理士事務所。元国税調査官。国税(調査・相談2万件・審判実務)×民間(事業会社実務・PdM)の複眼的な視点が強み。クリエイター/IT・SaaS等の現代的ビジネス、海外取引・非居住者税務に明るい。
