確定申告の基礎知識

確定申告書の控えを再発行する方法は?手続きの流れを解説

監修 前田 昂平(まえだ こうへい) 公認会計士・税理士

確定申告書の控えを再発行する方法は?手続きの流れを解説

確定申告書の控えは、「住宅ローンを組むとき」「融資を受けるとき」「保育園の入園手続きをするとき」など、さまざまな場面で用いられる証明書類です。大切な書類なので紛失しないよう管理するのが望ましいですが、万が一紛失してしまった場合でも、情報を確認・取得できる方法があります。

本記事では、確定申告書の控えを確認する3つの方法と、それぞれの手続きの流れを解説します。

目次

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確定申告書の控えを紛失したらどうする?

税務署に提出する確定申告書は、提出用の申告書とは別に「控え」を作成し、提出の証明として保管するのが望ましいといえます。

万が一、控えを紛失したり、誤って破棄してしまったりした場合、厳密にいうと控えの再発行はできないことになっています。ただし、税務署に保管されている申告書の情報やその写しを確認する方法、再取得に近い形で開示する方法がいくつか用意されています。

これらの所定の手続きを行うことで、控えの代わりとなる公的な証明書類を入手することができます。

なお、確定申告書の控えは、以下のようなさまざまな場面で証明書類としての利用が可能です。

  • 住宅ローンを組むとき
  • 事業用の融資を受けるとき
  • 保育園の入園手続きや扶養認定を受けるとき
  • 賃貸契約を結ぶとき
  • 所得証明として必要なとき

確定申告書の控えを確認する方法

確定申告書の控えを紛失した場合に、申告内容や提出事実を確認・証明するための3つの方法を解説します。

1.税務署窓口での閲覧請求

「閲覧請求」は、税務署に保管されている過去の確定申告書等の原本を、税務署の窓口で閲覧できる制度のことです。

申告書の写しをもらうことはできませんが、その場で申告内容を確認し、メモを取ることができます。詳細は下表のとおりです。


項目内容
対象者原則として本人または代理人
利用目的主に申告内容の確認
費用無料
取得できるもの申告書の原本を閲覧し、メモを取ることが可能。コピーは不可
対象期間過去7年分の申告書等

閲覧請求でできることは確定申告の内容の閲覧のみで、写しの交付は受けられません。そのため、確定申告の証明書類として写しを提出する必要がある場合は、この方法は適していません。

2.申告書等情報取得サービス

「申告書等情報取得サービス」は、書面または e-Tax で提出した所得税の確定申告書について、納税者本人が 直近3年分(令和2年分以降)の PDF を取得できるサービスです。

このサービスによって取得したPDFを印刷することで、控えの代わりとして利用できる場合があります。詳細は下表のとおりです。


項目内容
対象者e-Taxで申告書を提出した納税者本人(税理士による代理申請は不可)
利用目的控えのPDFデータの取得
費用無料
取得できるもの確定申告書等のPDFデータ
対象期間サービス利用時点から過去3年分の申告書等

申告書等情報取得サービスで取得した PDF や、受信通知から出力できる「電子申告完了済・受付日時・受付番号付き」の申告書は、e-Tax で申告した事実を示す資料として国税庁も想定しているものです。

ただし、最終的にどの書類を証明書類として認めるかは提出先の判断によるため、金融機関や勤務先などへの提出書類として利用可能かどうかは、提出先に確認する必要があります。


出典:e-Tax「申告書等情報取得サービス」

3.開示請求

「開示請求」は、行政機関の保有する個人情報の開示に関する法律に基づき、税務署に保管されている自身の申告書等の情報(写し)の開示を請求する手続きです。窓口での申請だけでなく、郵送やオンラインでも申請ができます。

確定申告書の控えの代わりとなる公的な書類を取得したい場合に、もっとも適した方法といえます。詳細は下表のとおりです。


項目内容
対象者本人または法定代理人、任意代理人(委任状が必要)
利用目的控えの写し(コピー)を公的な証明書類として取得
費用手数料300円(オンライン申請の場合は200円)
取得できるもの申告書等の写し(コピー)。原本ではなく「開示決定通知書」とともに交付される写し自体が公的な証明書として利用される
対象期間申告書等の保存期間は通常7年間(一部例外あり)

開示請求には、「開示請求書」の提出や本人確認書類の提示が必要です。また、請求から開示決定までには通常1ヶ月ほどの期間がかかるため、急いでいる場合は注意が必要です。


出典:国税庁「開示請求等の手続」

税務署窓口での閲覧請求の流れ

先に説明した税務署窓口での閲覧請求について、流れや必要となるものを説明します。

閲覧請求に必要なもの

  • 申告書等閲覧申請書
  • 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
  • 印鑑(任意の場合あり)
  • 代理人が請求する場合は委任状と代理人の本人確認書類

閲覧請求は必要なものが少なく、準備しやすいため、証明書類となる写しが不要な場合は、閲覧請求がもっとも簡単な方法といえます。以降は、閲覧請求の流れを解説します。

1.請求書作成

閲覧請求にあたって必要となる「申告書等閲覧申請書」を作成します。申告書等閲覧申請書は、国税庁のウェブサイト等から様式をダウンロードできるほか、税務署にも用紙で用意されています。

2.税務署へ連絡

事前に管轄の税務署に電話で連絡を入れます。閲覧したい申告書の年度や種類を伝え、必要な持ち物や予約の有無を確認します。

3.税務署へ訪問

作成した申請書と必要な持ち物を持参し、税務署の窓口を訪問します。来署するのは原則として本人です。代理人が請求する場合は、別途委任状などが必要となります。

4.本人確認

窓口で本人確認書類を提示します。本人確認書類と認められるのは、マイナンバーカード、運転免許証、健康保険証などです。

5.閲覧

税務署職員の立ち会いのもと、申告書等の原本を閲覧します。閲覧時間には制限が設けられることもあります。

閲覧時は、原則として書き写しによる記録になりますが、条件に同意した場合には スマートフォン等での写真撮影も認められています(コピーの交付は不可)。

申告書等情報取得サービス利用の流れ

前述のとおり、e-Taxで確定申告を行った人で、PDFデータとして控えを取得したい場合は、申告書等情報取得サービスの利用をおすすめします。

このサービスは、e-Taxによる電子申告分のみが対象で、書面で提出した申告書は取得できないため注意しましょう。

1. e-Taxソフトの起動

パソコンもしくはスマートフォンから、利用しているe-Taxソフトを起動します。マイナンバーカードやICカードリーダーが必要になりますので準備しておきましょう。

2.サービスへのアクセス

e-Taxソフト内の「申告書等情報取得サービス」のメニューを選択します。メニューの名称はソフトのバージョンにより異なる場合があります。

3.情報の選択

取得したい申告書等の年度や種類を選択します。確定申告書類は過去5年分が取得対象となっています。

4.取得

選択した申告書等のPDFファイルをダウンロードします。ダウンロードしたPDFファイルを印刷することで控えとして利用できます。

5.提出先への確認

取得したPDFを公的な証明書として利用したい場合は、事前に提出先に確認するようにしましょう。申告書等情報取得サービスで取得した書類には、収受日付印がないため、使用できない場合があります。

開示請求の流れ

申告書の控えの代わりとして、公的な証明力を持つ写しが欲しい場合は開示請求を行いましょう。

開示請求の際に提出が必要な書類

  • 保有個人情報開示請求書
  • 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
  • 手数料300円(オンライン申請の場合は200円)
  • (郵送の場合)本人確認書類の写し+公的な証明書、郵送料分の切手

開示請求の流れは、以下のとおりです。

1.請求書の作成

開示請求を行う場合は、「保有個人情報開示請求書」を作成する必要があります。国税庁のウェブサイト等から様式をダウンロードできるほか、税務署に用紙で準備されています。

この請求書には、開示を希望する申告書等の種類や年度を正確に記載する必要があります。

2.税務署への提出

作成した請求書と必要な持ち物を持参し、管轄の税務署の窓口に提出します。郵送でも提出可能です。郵送の場合は、本人確認書類の写しに加えて、住民票の写しなどの公的な証明書が必要になります。

3.本人確認

窓口で本人確認書類を提示します。運転免許証やマイナンバーカードなどが本人確認書類として認められます。

4.開示決定の通知

税務署内で審査が行われ、原則として30日以内に開示の可否が決定されたのち、「開示決定通知書」が郵送されます。開示されない場合は「不開示決定通知書」が届きます。

5.開示実施

通知書に記載された方法(窓口受領または郵送)で、申告書等の写しを受け取ります。窓口受領の場合は再度税務署へ訪問し、郵送の場合は手数料を納付した後に送付されます。

申告書等の控えへの収受日付印の押なつが廃止

「収受日付印の押なつ」とは、確定申告書の提出時に、確定申告書の控えに税務署の「収受日付印」(受付印)を押印してもらうことです。

これまで、収受日付印の押なつがあることは、確定申告書の提出事実としてもっとも明確な証拠とされていました。

しかし、近年の提出方法の多様化や行政のデジタル化推進に伴い、税務署の窓口や郵送で提出された申告書等の控えへの収受日付印の押なつは見直され、2025年1月から廃止されています。これには、e-Taxによる電子申告を推進する目的もあります。

今後、提出事実を確認したい場合には、本記事で紹介した「税務署窓口での閲覧請求」「申告書等情報取得サービス」「開示請求」に加え、e-Taxのメッセージボックスから受信通知を確認する方法が推奨されています。

なお、当分の間の対応として、希望者には、窓口で交付するリーフレットに申告書等を収受した日付や税務署名を記載したものが渡されます。郵送の場合は提出時に切手を貼付した返信用封筒を同封していれば、窓口の場合と同様にリーフレットを返送してもらえます。

まとめ

確定申告書の控えを紛失してしまった場合、手続きによって、利用できる人が限定されていたり、写しが取得できるかどうかなどが異なります。

必要な書類を揃える必要があるほか、手続きにかかる期間も異なるため、事前に準備を整えておくことが重要です。

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参考文献

監修 前田 昂平(まえだ こうへい)

2013年公認会計士試験合格後、新日本有限責任監査法人に入所し、法定監査やIPO支援業務に従事。2018年より会計事務所で法人・個人への税務顧問業務に従事。2020年9月より非営利法人専門の監査法人で公益法人・一般法人の会計監査、コンサルティング業務に従事。2022年9月に独立開業し現在に至る。

前田 昂平

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