監修 北 光太郎 きた社労士事務所
保険料控除申告書とは、年末調整で1年間に支払った生命保険料や地震保険料などの金額を申告し、所得税や住民税の税負担を軽減するための書類です。本記事では、保険料控除申告書の基本概要から提出期限、添付する証明書の見方、各種保険料の記入方法・計算手順までを詳しく解説します。
本記事では、保険料控除申告書の基本概要から提出期限、添付する証明書の見方、各種保険料の記入方法・計算手順までを詳しく解説します。
目次
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保険料控除申告書とは
保険料控除申告書は、年末調整において会社員や公務員などの給与所得者が、その年に支払った保険料を勤務先に届出するための書類です。
日本には「所得控除」という制度があり、納めた保険料の一部を所得から差し引くことができます。所得が小さくなれば、その分だけ課税される所得税や住民税の負担が軽減されます。
年末調整でこの手続きを行わないと、払い過ぎた税金が還付されないため、忘れずに申告することが重要です。
控除対象となる保険料
保険料控除申告書で対象となる保険料は、大きく分けて以下の4種類です。
| 控除の種類 | 該当する保険 |
|---|---|
| 生命保険料控除 | 一般生命保険、介護医療保険、個人年金保険の3分類 |
| 地震保険料控除 | 損害保険のうち、地震等による損害を補償する保険 |
| 社会保険料控除 | 国民健康保険や国民年金、自身が支払った家族の社会保険料など |
| 小規模企業共済等掛金控除 | iDeCo(個人型確定拠出年金)や小規模企業共済の掛金 |
なお、上記のうち生命保険料・地震保険料は、契約者が本人の妻名義であっても、夫が実際に保険料を支払っており、保険金の受取人が夫または親族(配偶者含む)である場合は、夫の申告書で控除を受けることができます。
社会保険料については、妻名義の国民年金や国民健康保険を、夫の口座から引き落とすなどして夫が生計を一にして支払っている場合、夫の控除対象にできます。
保険料控除申告書の提出が必要な人・不要な人
原則として、年末調整の対象となる給与所得者で、対象となる保険料のいずれかを支払っている人は提出が必要です。
一方、保険に一切加入していない人や、支払っている保険料がない人は提出する必要はありません。もしくは、白紙のまま提出を指示されるケースもあります。
保険料控除申告書の提出期限と提出先
国税庁が定める法定提出期限は「その年の最後の給与の支払を受ける日の前日」ですが、企業の総務や人事部門での集計業務があるため、社内締め切りは11月中旬〜12月上旬頃に設定されるのが一般的です。社内アナウンスの期日をしっかり確認しておきましょう。
万が一、証明書が届くのが遅れたり社内提出期限に間に合わなかったりした場合は、勤務先での年末調整では申告できなくなる可能性があります。その場合、翌年2月16日〜3月15日までの間に個人で確定申告を行えば、控除を適用して還付を受けることが可能です。
保険料控除証明書の見方
保険料控除申告書を記入する際には、保険会社などから郵送されてくる「保険料控除証明書」を手元に準備しましょう。証明書は毎年10月中旬〜11月頃にかけてハガキや封書で届きます。
もし紛失してしまった場合は、加入している保険会社のカスタマーセンターやマイページなどから再発行の手続きを行ってください。発行・郵送までに数日から1週間ほどかかる場合があるため、早めの確認が必要です。
なお、該当する保険を年途中で解約した場合でも、その年(1月1日〜解約日)までに払い込んだ保険料の金額は控除できます。保険会社に連絡して「解約時点までの払込証明書」を発行してもらい、申告書に添付して提出してください。
生命保険料控除
生命保険料控除は、さらに以下の3つの枠に分かれています。
- 一般生命保険料:死亡保険、定期保険、終身保険、養老保険など
- 介護医療保険料:医療保険、がん保険、介護保険など
- 個人年金保険料:個人年金保険料税制適格特約が付いた個人年金保険
控除証明書には、どの枠に該当するかが明記されています。また、契約日に応じて「新制度(2012年1月1日以降の契約)」と「旧制度(2011年12月31日以前の契約)」に区分されます。
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地震保険料控除
地震保険料控除は、自宅や家具などを対象とした損害保険のうち、地震による損害を補償する部分が対象です。
火災保険とセットで加入しているケースが多くありますが、火災保険部分のみの金額は控除対象外となります。ただし、経過措置が適用される一部の旧長期損害保険を除きます。
社会保険料控除
毎月の給与から天引きされている社会保険料は会社側で把握しているため、申告書への記入は不要です。
申告が必要なのは、「年度の途中で転職した際に自ら納めた国民健康保険料」や「生計を一にする家族(子ども・配偶者など)の分を代わりに支払った国民年金保険料」などです。国民年金の場合は、日本年金機構から届く控除証明書(ハガキ)の添付が必要です。
小規模企業共済等掛金控除
小規模企業共済等掛金控除は、iDeCo(個人型確定拠出年金)や小規模企業共済の掛金を自ら支払っている場合に申告します。
iDeCoの場合は、10月〜11月頃に国民年金基金連合会から「小規模企業共済等掛金払込証明書」が届くため、そちらに記載された金額を確認します。
保険料控除申告書の書き方・計算方法
ここからは、保険料控除申告書の具体的な記入手順と計算方法を解説します。
基本情報欄
保険料控除申告書の一番上の欄には、基本情報を記入します。
記入項目
- 所轄税務署長(会社から指定・印刷されている場合が多い)
- 給与支払者の名称・所在地
- あなたの氏名・フリガナ・住所
生命保険料控除欄
生命保険料控除欄は申告書の中でもっとも記入量が多い部分です。以下の手順で進めましょう。
1.証明書の内容を書き写す
証明書を見ながら、以下の項目を枠内に記入します。
記入項目
- 保険会社等の名称
- 保険等の種類(終身、医療、個人年金など)
- 保険期間または年金支払期間
- 保険契約者の氏名
- 保険金受取人(氏名と続柄)
- 新・旧の区分
- あなたが本年中に支払った保険料の金額(「証明額」または12月まで払い込んだ場合の「申告額」)
2.新・旧制度別の計算式にあてはめる
枠ごとの「支払保険料の合計額」を出し、以下の計算式にあてはめて控除額を計算します。
| 新制度の控除限度額(2012年1月1日以降の契約・23歳未満の扶養親族なし) | |
|---|---|
| 年間の支払保険料等 | 控除額 |
| 20,000円以下 | 支払保険料の全額 |
| 20,001円〜40,000円 | 支払保険料 × 1/2 + 10,000円 |
| 40,001円〜80,000円 | 支払保険料 × 1/4 + 20,000円 |
| 80,001円以上 | 一律 40,000円 |
| 新制度の控除限度額(2012年1月1日以降の契約・23歳未満の扶養親族あり) | |
|---|---|
| 年間の支払保険料等 | 控除額 |
| 30,000円以下 | 支払保険料の全額 |
| 30,001円〜60,000円 | 支払保険料 × 1/2 + 15,000円 |
| 60,001円〜120,000円 | 支払保険料 × 1/4 + 30,000円 |
| 120,001円以上 | 一律 60,000円 |
| 旧制度の控除限度額(2011年12月31日以前の契約) | |
|---|---|
| 年間の支払保険料等 | 控除額 |
| 25,000円以下 | 支払保険料の全額 |
| 25,001円〜50,000円 | 支払保険料 × 1/2 + 12,500円 |
| 50,001円〜100,000円 | 支払保険料 × 1/4 + 25,000円 |
| 100,001円以上 | 一律 50,000円 |
なお、新契約と旧契約の両方がある場合は、有利な方を選びます。例えば、23歳未満の扶養親族なしで新・旧ともに10万円以上の支払保険料がある場合、最も控除額が高い旧制度の5万円が適用されます。
3.全体の合計控除額を出す
一般生命保険、介護医療保険、個人年金保険のそれぞれの控除額を計算し、合算します。全体の最高限度額は12万円となります。
なお、令和8年(2026年)の税制改正により、23歳未満の扶養親族(子など)がいる場合、新制度における「一般生命保険料控除」の所得税限度額が従来の4万円から6万円へと拡充されます。ただし、一般・介護医療・個人年金を合算した全体の最高限度額12万円に変更はありません。
地震保険料控除欄
地震保険料控除の計算手順です。
1.証明書の内容を書き写す
証明書を見ながら、以下の項目を枠内に記入します。
記入項目
- 保険会社名
- 保険の種類
- 保険期間
- 契約者氏名
- 対象建物の居住者氏名・続柄
- 区分(地震・旧長期)
- あなたが本年中に支払った保険料の金額(「証明額」または12月まで払い込んだ場合の「申告額」)
2.控除額を計算する
以下の方法で控除額を算出します。
| 地震保険料のみの場合 | 支払額の全額(限度額50,000円) |
|---|---|
| 旧長期損害保険料のみの場合 | ・10,000円以下:全額 ・10,001円〜20,000円:支払額 × 1/2 + 5,000円 ・20,001円以上:一律15,000円 |
| 両方がある場合 | それぞれの計算額の合計(最高50,000円) |
社会保険料控除欄
給与天引き以外の社会保険料がある場合に記入します。なお、社会保険料控除は全額がそのまま所得控除対象(上限なし)となります。
記入項目
- 社会保険の種類(国民健康保険、国民年金など)
- 保険料支払先(市区町村名や日本年金機構)
- 保険契約者・納付者(支払いを行った人の氏名と続柄)
- あなたが本年中に支払った保険料の金額(「証明額」または12月まで払い込んだ場合の「申告額」)
小規模企業共済等掛金控除欄
iDeCoや小規模企業共済を利用している場合の記入欄です。
該当する欄に、控除証明書に記載されている年間の払込金額をそのまま転記します。こちらも社会保険料控除と同様に、支払った金額の全額が控除対象(上限なし)となります。
まとめ
年末調整書類の集計や不備チェックは、毎年多くの人事労務担当者にとって負担となる業務の一つでしょう。
従業員側での手書き誤りや控除額の計算ミス、証明書の添付漏れなどの確認作業を効率化するためには、社内での丁寧なアナウンスとともに、手続きのペーパーレス化を進めることが有効な解決策です。年末調整業務の負担削減を推進する際は、人事労務ソフトの導入も検討してみてください。
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よくある質問
保険料控除申告書とは?
保険料控除申告書とは、給与所得者が1年間に支払った生命保険料や地震保険料などを勤務先に申告し、所得控除を受けるための書類です。申告により課税所得が減額され、所得税や住民税の負担軽減(還付)につながります。
詳しくは、記事内「保険料控除申告書とは」をご覧ください。
保険料控除申告書を提出すべき人は?
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保険料控除申告書を提出しないとどうなる?
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監修 北 光太郎
きた社労士事務所 代表
中小企業から上場企業まで様々な企業で労務に従事。計10年の労務経験を経て独立。独立後は労務コンサルのほか、Webメディアの記事執筆・監修を中心に人事労務に関する情報提供に注力。法人・個人問わず多くの記事執筆・監修をしながら、自身でも労務専門サイトを運営している。


