在職証明書は、従業員や公務員が特定の企業や組織に在籍していることを証明する書類です。
本記事では、在職証明書の提出が必要になるケース、在職証明書のフォーマット・項目、作成する際の注意点について解説します。
目次
- 在職証明書とは
- 在職証明書の発行義務
- 在職証明書が必要になるケース
- 保育園・学童保育の入園・入所申請時
- 転職活動時
- 住宅ローンや賃貸契約の審査時
- 公営住宅の入居申込時
- 配偶者の扶養に入る手続き時
- 外国人労働者等の在留資格(ビザ)申請・更新時
- 在職証明書にフォーマットはある?
- 在職証明書に書くべき項目
- 在職証明書を作成する流れ
- 1. 従業員からの発行依頼の受付と内容確認
- 2. フォーマット(様式)の準備
- 3. 必要情報の収集
- 4. 書類への記入・データ入力
- 5. 社印(代表者印)の押印
- 6. 従業員への交付
- 在職証明書を作成する際の注意点
- 使用目的を確認する
- 正確な情報を記載する
- 個人情報の取り扱いに気を付ける
- 虚偽情報は記載しない
- 電子申請で提出可能なケースもある
- まとめ
- 入退社管理や給与計算などをカンタンに行う方法
- よくある質問
在職証明書とは
在職証明書とは、従業員が現在、特定の企業や組織に在籍し就労していることを証明する書類です。「就労証明書」「雇用証明書」「勤務証明書」などと呼ばれることもあります。
在職証明書は、従業員本人ではなく、その従業員を雇用している企業や組織が発行します。企業等に在籍し働いていることを示す必要があるさまざまな場面の証明書類として用いられます。
在職証明書のほか、企業と個人の関係を証明する書類に「退職証明書」があります。これは、その企業をすでに退職したことを証明する書類です。在職証明書は「現在働いていること」を、退職証明書は「過去に働いており現在は退職していること」を証明します。
在職証明書の発行義務
在籍している従業員に対して発行する在職証明書は、企業側に発行を義務付ける法律は設けられていません。一方で退職証明書は、労働基準法第22条で従業員から退職時に証明書(退職証明書)の発行を求められた場合、企業は遅滞なく発行しなければならないと定められています。
しかし、法律上の義務がないことを理由に企業側が在籍証明書の発行を拒否してよいというわけではありません。正当な理由なく発行を拒否し、従業員が保育園に入れないなどの不利益を被った場合、労使間のトラブルや損害賠償の問題に発展する可能性があります。
そのため、法的な発行義務はないものの、実務上は拒否するべきではありません。従業員から依頼があった場合は、速やかに発行するのが企業側の適切な対応といえます。
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在職証明書が必要になるケース
在職証明書は公的・私的にかかわらず、さまざまな手続きで提出を求められることがあります。主に、個人の信用や状況を証明するときに提出を求められます。
具体的にどんな場面で在職証明書が必要になるかを説明します。
保育園・学童保育の入園・入所申請時
子どもの保育園・学童保育の入園・入所申請時に、保護者の在職証明書が求められるケースがあります。
2026年4月から、子ども・子育て支援法に基づく新たな制度として、保護者が就労していない場合でも預け入れできる「こども誰でも通園制度」が順次実施されます。この制度は就労要件を問わないものの、月10時間までなどの利用上限があることに注意が必要です。この制度を除けば、保護者が就労していることは保育園や学童保育を利用するための基本条件となるのが一般的です。
入園・入所を希望する際には、保護者が現在働いていることを証明するために、在職証明書の提出が求められます。在職証明書は、自治体によっては「就労証明書」などの名称で扱っています。在職証明書で証明される勤務時間や日数は、入園の可否や保育時間の決定に関わる重要な情報です。
なお、内閣府・こども家庭庁では在職証明書のフォーマットとして就労証明書の標準的な様式を公表しています。以前は自治体ごとに独自の形式が混在していましたが、現在では作成する企業側の負担を軽減するため、全国標準のExcelフォームを使用するケースも増えています。
転職活動時
転職活動に際し、転職先の企業から現在の勤務状況や職務経歴を確認するために、在職証明書の提出を求められることがあります。とくに、内定後や入社手続きの際に要求されることが多いといえます。
まれに、応募段階で在職していることの証明として求められるケースもあります。
住宅ローンや賃貸契約の審査時
住宅ローンや賃貸契約の審査時に、在職証明書の提出が求められることがあります。
金融機関で住宅ローンを組む際や、アパート・マンションの賃貸契約を結ぶ際は、申込者に安定した収入があるかどうかが重要な審査ポイントになります。申告した収入の裏付けとして、在職証明書や収入証明書の提出を求められることがあります。
公営住宅の入居申込時
公営住宅への入居を申し込む際に在職証明書が必要になることがあります。
この場合、収入基準など入居資格を満たしているかどうか確認するために、世帯全員の収入や就労状況を証明する書類の一部として提出が求められます。
配偶者の扶養に入る手続き時
配偶者の扶養に入る手続きの際、企業で働いている場合は在職証明書が必要になるケースがあります。これは、健康保険の被扶養者、国民年金の第3号被保険者の認定時に収入が基準内であることを証明するためです。
ただし、上記の確認は収入証明書や他の書類で代用できる場合も多いため、必ずしも在職証明書が必要なわけではありません。
外国人労働者等の在留資格(ビザ)申請・更新時
外国人の方が、就労に関する在留期間更新許可(就労ビザ更新)や配偶者ビザ(日本人の配偶者等)の申請を行う際に、出入国在留管理局から雇用されていることの証明として在職証明書の提出を求められます。
また、日本人が海外のビザを申請する場合や海外の学校へ留学する際にも「Certificate of Employment(英文の在職証明書)」として提出が求められるケースがあります。
在職証明書にフォーマットはある?
在職証明書には、法律で定められた統一のフォーマットは存在しません。そのため、企業によって発行する在職証明書の様式が異なる場合があります。
しかし、在職証明書の提出先によっては、記載項目やフォーマットを指定していることもあります。保育園の入園申請で使用する場合は自治体の指定の様式を用いることが多く、金融機関や不動産会社などでも、独自のフォーマットを保有しているケースが一般的です。
基本的に、提出先指定のフォーマットがある場合はそれを使用して在職証明書を作成します。従業員が提出先からフォーマットを受け取り、企業側に渡して作成を依頼する流れになります。提出先からとくに指定がない場合は、会社独自のフォーマットを使用して問題ありません。
なお、在籍証明書のテンプレートは「在籍証明書の無料Wordテンプレート」からダウンロードできます。フォーマットを定めていない場合には、ぜひご活用ください。
在職証明書に書くべき項目
在職証明書が証明書として有効性を保ち、提出先の要求を満たすためには、一般的に以下の項目を記載する必要があります。
在籍証明書に書くべき項目
- 証明書の発行年月日
- 証明を受ける従業員の氏名
- 従業員の生年月日
- 従業員の現住所
- 従業員の入社年月日
- 従業員の所属部署・役職
- 従業員の雇用形態
- 証明する会社(発行者)の情報
- 会社の社印または代表者印
ただし、これはあくまで主な例であり、提出先によって求められる項目は異なるため、必ず事前に確認しましょう。
在職証明書を作成する流れ
通常、在籍証明書の発行を依頼してから手元に届くまでの期間は、一般的に3日〜1週間程度が目安とされています。
在職証明書が作成・発行されるまでの基本的な流れは以下のとおりです。
- 従業員からの発行依頼の受付と内容確認
- フォーマット(様式)の準備
- 必要情報の収集
- 書類への記入・データ入力
- 社印(代表者印)の押印
- 従業員への交付
1. 従業員からの発行依頼の受付と内容確認
まずは企業が従業員から在職証明書の発行の申し出を受けます。その際、企業側は主に以下の点を確認します。
- 使用目的( 保育園の入園、住宅ローン審査、ビザ申請など)
- 提出先が指定するフォーマットの有無
- 必須の記載項目(収入証明や具体的な業務内容の記載が必要かなど)
- 希望する受取日(期限)
2. フォーマット(様式)の準備
提出先が指定するフォーマットがある場合は、従業員は企業に指定の用紙(またはデータ)を提出します。
保育園の場合は、全国標準のExcelフォーム(就労証明書)での作成が主流であるためその旨を企業側に伝えます。指定フォーマットが存在しない場合は、就労の実態(勤務時間、日数、役職など)が記載された書面を企業側が用意します。
3. 必要情報の収集
企業の担当者は労働者名簿や賃金台帳などを基に、在職証明書に必要な情報を集めます。必要な情報については指定のフォーマットにより異なります。
在職証明書に書く主な項目は前述の「在職証明書に書くべき項目」のとおりです。
4. 書類への記入・データ入力
必要な情報を指定の書類またはフォーマットに記入・入力します。なお、事実と異なる情報記載をすると、企業側が私文書偽造等罪に問われるリスクや従業員が不利益を被るおそれがあるため、正確な記載が必要です。
5. 社印(代表者印)の押印
企業として正式に証明した書類であることを示すため、社印(丸印や角印)を押印します。
近年はPDFファイルに電子印鑑を押印してデータ形式で発行するケースも増えています。提出先によっては紙の原本を求められることがあるため、事前に確認しておくと安心です。
6. 従業員への交付
完成した在職証明書を従業員に渡します。手渡しのほか、郵送やデータ送信など、従業員の希望や提出先の要件に合わせて交付します。企業としては、後々のトラブルを防ぐためにいつ・誰に・どんな内容で発行したかがわかる控え(コピーやデータ)を保管しておくことをおすすめします。
在職証明書を作成する際の注意点
企業が従業員から在職証明書の作成を求められた場合の注意点を解説します。
使用目的を確認する
従業員から在職証明書の作成を依頼されたら、作成前に使用目的を確認しましょう。
前述のとおり、在職証明書は提出先によって求められる記載項目が異なります。従業員から発行依頼を受けたら、必ず「何に使うのか」「どこに提出するのか」「指定のフォーマットや記載必須項目はあるか」を確認してください。
確認せずに作成すると、情報が不足していて再発行の手間が発生する可能性があります。
正確な情報を記載する
在職証明書に記載する内容は、必ず、事実に即した正確な情報でなければなりません。
従業員の氏名や入社年月日、所属、役職、雇用形態などの基本情報はもちろん、勤務時間や業務内容などを記載する場合も、実際の状況と相違ないように注意深く確認する必要があります。
万が一、虚偽の内容を記載してしまうと私文書偽造等罪に問われるリスクがあり、会社としての信頼を損なうことになりかねません。
個人情報の取り扱いに気を付ける
在職証明書は従業員の氏名、住所、生年月日、場合によっては給与額など、多くの個人情報を含む書類です。そのため取り扱いには十分注意しましょう。
作成・保管・受け渡しなどの各工程において、個人情報保護の観点から情報の漏洩や紛失がないよう、細心の注意を払って取り扱う必要があります。
虚偽情報は記載しない
在職証明書は事実と異なる虚偽の情報を記載してはなりません。場合によっては、従業員から「保育園の審査に通るよう勤務時間を長く書いてほしい」「ローンの審査のために給与を多めに書いてほしい」など求められるケースがあります。しかし、これに応じて事実と異なる内容を記載することは、企業にとって大きなリスクを伴う行為です。
万が一、虚偽の記載が提出先に発覚した場合、従業員自身が保育園の退園処分やローンの契約解除、ビザの取り消しといった深刻な不利益を被ります。影響は個人にとどまらず、発行した企業側も社会的信用を大きく失墜させかねません。さらに悪質なケースでは、企業が私文書偽造罪や詐欺罪の共犯として法的な責任を問われるおそれがあります。
在職証明書は、あくまで企業が従業員の現在の就労事実を客観的に証明するための書類です。そのため、従業員からどのような要望があったとしても、必ず労働者名簿や賃金台帳などのデータに基づき、実際の労働条件や勤務実績を正確に記載するよう徹底しましょう。
電子申請で提出可能なケースもある
2026年現在、行政手続きのデジタル化や企業のペーパーレス推進に伴い、在職証明書を従来の紙の原本ではなく、電子データで提出できるケースが増えています。具体的にはマイナポータルを活用した電子申請の導入が進んでおり、企業が作成したデータをそのままオンラインで自治体に送信できる仕組みです。
また、住宅ローンの審査や不動産契約といった民間取引においても、電子署名が付与されたPDFファイルでの提出を認める場合もあります。データでのやり取りは、企業側にとって押印や郵送の手間を大幅に削減できるだけでなく、従業員にとっても迅速に証明書を受け取れるというメリットがあります。
ただし、すべての手続きで電子化が完了しているわけではありません。提出先によっては社印が押された紙の原本を必須とする場合や、独自の指定フォーマット以外は受理しないケースもあります。電子データで提出する前に、提出先の最新の要件を確認しましょう。
まとめ
在職証明書とは、従業員が現在、特定の企業や組織に在籍し就労していることを証明する書類です。企業側は、従業員から依頼され在職証明書を作成する際は、正確に情報を記載しましょう。
また、情報漏えいが起きないように、取り扱いは慎重にしてください。
入退社管理や給与計算などをカンタンに行う方法
入退社時に必要な書類の作成がラクに
よくある質問
在職証明書とは?
在職証明書とは、従業員が現在、特定の企業に在籍していることを証明するための書類です。
詳しくは、記事内の「在職証明書とは」をご覧ください。
在職証明書は就労証明書や勤務証明書とは異なる?
在職証明書、就労証明書、勤務証明書は、名称が異なるだけで基本的にはすべて「現在その会社で働いていること」を証明する同じ役割の書類です。法律で定められた統一の名称や書式がないため、提出先によって呼び方が変わっています。
詳しくは、記事内の「在職証明書とは」をご覧ください。
在職証明書の書き方は?
在職証明書には法律で定められた統一のフォーマットがないため、提出先がフォーマット等を定めている場合はそれに沿って作成、提出先から指定がない場合は作成者である各企業の判断で作成します。
詳しくは、記事内の「在職証明書にフォーマットはある?」をご覧ください。



