人事労務の基礎知識

介護施設で重要な常勤換算|計算方法と注意事項をわかりやすく解説

常勤換算は、介護事業所が人員基準を遵守しているかを確認する重要な指標です。常勤換算を計算するときは、パートタイマーや夜勤などの非常勤も考慮しなければなりません。

本記事では、介護施設で必須の「常勤換算」の計算法をわかりやすく解説します。常勤換算する際の3つの注意点もまとめているので参考にしてみてください。

目次

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常勤換算とは

常勤換算とは、介護施設における平均人数を表し、介護施設で「勤務しているのが実質的に何人か」を示すものです。

常勤換算では「フルタイム勤務の職員〇人が勤務している」という形で表現する必要があり、パートや夜勤など、勤務時間が異なる形態も考慮して計算しなければなりません。

つまり、常勤換算で算出された数値は、全職員の勤務時間をフルタイムの職員数に変換したものということです。

常勤換算しなければならない理由

常勤換算を行う理由は、介護保険法に基づき設定された人員配置基準を遵守するためです。

介護保険法における人員配置は、基準職員の最低人数を指し、職種ごとに定められています。もしこの基準に達しない場合、施設は認定の取り消しや業務停止といった厳格な措置を受ける可能性があります。

つまり、常勤換算を用いてフルタイムの職員数を確認し、人員配置の基準に適合させなければなりません。

常勤の定義

常勤とは、事業所が定めた規定の勤務時間内で勤務している職員です。たとえば、週40時間を所定勤務時間として定めている場合、1週間で40時間以上の勤務をしている職員は「常勤=フルタイム」となります。

正社員はもちろん、職場の定める勤務時間、勤務しているパートタイマーでも常勤として認められます。

非常勤は、勤務時間で常勤と区別されます。たとえば、1週間に最大で40時間働く職員が常勤とされる場合、週に20時間しか働かない職員は「非常勤」です。つまり、雇用契約で設定された常勤の所定勤務時間に達しない職員が「非常勤」に分類されます。

常勤換算の計算方法について

常勤換算は、常勤と非常勤の分類に基づいて行われます。常勤の職員を1.0人として、ほかの勤務形態の職員が何人分に該当するかを計算します。計算式は以下の通りです。

常勤職員の人数 +(非常勤職員の労働時間の合計 ÷ 所定労働時間)= 常勤換算人数

単位は「人数」で、小数点以下第2位は切り捨てて計算します。

わかりやすいように、以下の手順で常勤換算の計算を進めていきましょう。

常勤換算の計算方法

  • 週あたりの所定勤務時間を算出
  • 常勤の人数を把握
  • 非常勤職員の勤務時間を算出
  • 常勤と非常勤の常勤換算人数を算出

週あたりの勤務時間

まず、施設や事業所の就業規則に従って、所定の勤務時間を算出します。たとえば、1日8時間勤務で週に2日休む制度の場合は、8時間を5日間勤務で週40時間です。

就業規則で勤務時間が週32時間以下の場合は、計算は32時間を所定の勤務時間として行いましょう。

※令和3年度の介護報酬改定により、介護や育児が理由で週30時間勤務する場合も、「常勤」と認定されるように変更されました。

常勤の人数

次に、常勤の職員総数を確認します。常勤の職員を特定し、1.0人としてカウントしましょう。

通常、常勤は正職員を指しますが、介護業界では特例があります。たとえば、介護や育児のために週30時間勤務する非常勤職員も、常勤として扱われます。

パートやアルバイトも1日8時間・週5日の勤務を行い、就業規則で週休2日が確保されている場合は、常勤とみなされます。

非常勤職員の勤務時間

非常勤職員のAさんを例に、勤務時間を計算します。Aさんは非常勤職員で、週平均25時間働いています。

25時間(Aさんの1週間の勤務時間) ÷ 40時間(週の所定勤務時間) = 0.6

上記の計算式から、Aさんの常勤換算上の人数は0.6人ということが分かります。

常勤と非常勤の合計人数

最後に、常勤と非常勤の職員を例に挙げて、実際に計算してみましょう。

  • Aさん:非常勤(週27時間)
  • Bさん:非常勤(週20時間)
  • Cさん:常勤(週40時間)

常勤職員の人数 +(非常勤職員の労働時間の合計 ÷ 所定労働時間)= 常勤換算人数

1 +(47÷ 40)= 2.1人

上記の例では、2.1人が常勤換算人数です。

常勤換算するときの3つの注意点

常勤換算を計算するときは、以下3つの注意点を考慮しなければなりません。

常勤換算するときの3つの注意点

  • 有給休暇や出張
  • 育児休暇
  • 兼務

有給休暇や出張について

有給休暇と出張の取り扱い方は、常勤職員と非常勤職員の分類によって異なります。常勤社員は、有給休暇や出張を「勤務時間」としてカウントします。

一方で、非常勤社員は「実際に働いた時間」だけが常勤換算の対象となります。有給休暇や出張は基本的に計算に入れません。

さらに、常勤社員でも1ヵ月以上の長期出張や休暇がある場合は、その期間は勤務時間の計算から除かれるので、注意が必要です。

育児休暇について

育児休暇や産後休暇は、通常1ヶ月以上の長期休暇となるので、常勤換算の計算から除かれます。育児休暇後に短時間勤務をしている常勤職員は、非常勤職員と同じく「実際に働いた時間」で計算されます。

ただし、以下の3つの条件を全て満たしていれば、常勤として扱われます。

育児休暇について

  • 事業所の就業規則で、育児による短時間勤務の時間が明確に設定されている
  • 就業規則によって定められた時間が週30時間以上である
  • 現状の勤務形態でもサービスに支障がないように体制を整えている

これらの条件が満たされている場合、その職員は常勤として扱われます。

兼務について

介護職での常勤換算において、複雑なのが「兼務」の取り扱いです。介護職員が複数の施設や業種で働いているケースは珍しくありません。また、兼業などの扱いは地域によっても基準が異なります。

基本的には、同じ場所で同じ法人が運営している施設で兼務をしているのであれば、合算して常勤換算されます。ただし、兼務を同時進行できると判断された場合に限ります。

遠くにある施設や同時に行うのが難しいと判断される業務については、職種ごとの時間で別々に計算されます。

常勤換算は自動ツールに任せよう

介護や福祉業界において非常に重要な常勤換算ですが、複数の施設や職種で働いている職員がいる場合、手作業での計算は複雑で時間がかかります。そのため、正確な人員配置や法的な基準を満たすためには、効率的な常勤換算の方法を取らなければなりません。

このような課題を解決するには、freeeが提供する常勤換算ツール“常勤換算キット”がおすすめです。

常勤換算キットのメリット

  • 簡単な出勤簿作成
    配置基準や加算要件のチェックが簡単になる
  • 勤務形態一覧表の自動出力
    同一人物が複数の職種や拠点で働いている場合でも、勤務時間に応じて一覧表を自動で出力できる
  • 業務負荷の削減
    シフト表作成から勤務形態一覧表まで、手作業での転記ミスや作業工数を大幅に削減できる

さらにこんなお悩みを解決できます。

  • シフト作成の複雑さ
    さまざまな条件や人員配置基準を考慮しながらシフトを作成する手間を省略できる
  • 法的リスクの軽減
    常勤換算の自動計算とアラート通知により、配置基準の未達リスクを早期に察知できる

まとめ

常勤換算は、施設で働く全職員の勤務時間をフルタイム換算で表す方法で、介護保険法に基づく人員配置基準を遵守するために不可欠です。手作業での常勤換算は複雑で時間がかかるため、自動ツールの利用がおすすめです。

特に、freeeが提供する「常勤換算キット」は、出勤簿作成から法的リスクの軽減まで多くの課題を解決してくれるでしょう。

よくある質問

常勤換算人数の計算式は?

常勤換算人数は、以下の計算式で求められます。

常勤職員の人数 + (非常勤職員の合計勤務時間 ÷ 事業所が定めた規定の勤務時間)= 常勤換算人数

常勤換算の計算方法」で詳しい計算方法をご参照ください。

常勤パートと非常勤パートの違いは?

一般的に、勤務時間によって「常勤」と「非常勤」が区別されます。

たとえば、所定勤務時間を40時間に設定している場合、週5日で1日8時間働いている職員は「常勤」とされます。

一方1日8時間を週3日や、1日5時間で週5日勤務のように、所定労働時間に満たない職員が「非常勤」です。

常勤の休憩時間は?

労働基準法によれば、勤務時間が6時間を超えて8時間以内の場合、最低でも45分の休憩が必要です。また、8時間を超える場合は、少なくとも60分の休憩が必要とされています。

6時間ぴったりの勤務時間であれば、法的な休憩は必要ありません。8時間以上働く場合も、60分の休憩を取れば労働基準を満たしていると判断されます。

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