人事労務の基礎知識

アルバイト・パートの有給休暇の計算方法

最終更新日:2021/05/25

監修 河島 桃世 特定社会保険労務士

アルバイト・パートの有給休暇の計算方法

有給休暇は正社員のもの、というイメージが強いですが、パートやアルバイトの従業員も、6ヵ月の継続勤務と所定の労働日の8割以上出勤している場合には、年次有給休暇付与の対象となります。

有給休暇の付与日数は、所定労働日数に比例したものになります。本記事ではでは、パート・アルバイトの従業員の、年次有給休暇の計算方法や運用時の注意点について紹介します。

目次

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年次有給休暇制度とは

年次有給休暇制度とは、労働基準法第39条に規定されている、採用日から6ヶ月間継続して勤務し、全労働日の8割以上を出勤した労働者に与えられる有給休暇のことです。

年次有給休暇
第三十九条
使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

アルバイト・パートの年次有給休暇は、正社員と同じ条件

年次有給休暇は、6ヵ月の継続勤務と所定の労働日に8割以上出勤している場合に最低10日が付与され雇用形態について問いません。そのため、正社員だけでなく、パートやアルバイトについても、年次有給休暇を取得する権利があります(労働基準法 第39条)。
参考:労働基準法 e-Gob法令検索

2020年4月※に施行された短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(いわゆる「パートタイム・有期雇用労働法)9条において、「通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者に対する差別的取扱いの禁止」を定めています。

すなわち、正社員と同じだけの労働を行っているパートやアルバイトには、正社員と同じだけの年次有給休暇を付与すべきであることが示されています。
※中小企業におけるパートタイム・有期雇用労働法の適用は2021年4月
参考:労働基準法 e-Gob法令検索

<有給休暇の付与日数(基本)>

勤務年数 0.5年 1.5年 2.5年 3.5年 4.5年 5.5年 6.5年以上
付与日数 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日

参考:東京労働局

年次有給休暇は、付与条件を満たしている場合、6ヵ月後に10日が発生し、その後2年6ヵ月までは毎年1日、3年6ヵ月後からは毎年2日、付与日数が追加されます。最大付与日数は20日です。

有給休暇の権利は2年で時効となりますから、最大40日まで貯めておくことが可能です。付与日から1年間で使い切れなかった有給休暇は翌年に繰り越し、新たな休暇日数に加算しますが、さらに1年間使わなかったときは時効により消滅します。

所定労働時間が週30時間以上、所定労働日数が週5日以上の場合は、この基準どおりの付与日数となります。所定労働時間に満たない場合には、比例付与という方式が採られます。

所定労働時間および所定労働日数が規定以下の場合に行われる比例付与

アルバイトやパートで、所定労働時間が週30時間未満、かつ所定労働日数が4日以下の場合には、所定労働日数・勤務年数に応じた日数を「比例付与」します。
例えば、入社してから3年2ヵ月が経過したアルバイト(週3日勤務)の場合、年次有給休暇は6日です。

短時間従業員の有給休暇の付与日数

週所定 1年間の所定 勤務年数
労働日数 労働日数 0.5年 1.5年 2.5年 3.5年 4.5年 5.5年 6.5年以上
4日 169日から216日 7日 8日 9日 10日 12日 13日 15日
3日 121日から168日 5日 6日 6日 8日 9日 10日 11日
2日 73日から120日 3日 4日 4日 5日 6日 6日 7日
1日 48日から72日 1日 2日 2日 2日 3日 3日 3日

※所定労働日数が週によって決まっている場合は「週所定労働日数」、それ以外の場合は「1年間の所定労働日数」で判断します。
※所定労働日数は付与時点の週所定労働日数で計算します。

参考:東京労働局

年の途中で所定労働日数が変更された場合

年次有給休暇は、雇用から6ヵ月経過した日を「基準日」として付与します。基準日時点の状況に基づいて判断されるため、年の途中で契約により所定労働日数などが変更となった場合でも、すでに付与した年次有給休暇の日数はそのまま有効です。次回の基準日に到達した時点で、その時の契約状況により付与日数が変更されます。

したがって、基準日以後に週所定労働時間が30時間未満に変更された場合でも、基準日前に発生した年次有給休暇分については、そのまま有効です。

比例付与の場合も計画的付与の対象となる

年次有給休暇を効率的に取得できるようにするために「計画的付与」があります。労使協定を締結する等で、年次有給休暇から年5日を除いた残りの日数を、使用者側が予め日付を指定して有給を付与できるという制度です(会社の設立記念日を対象とする等)。比例付与となっているパートやアルバイト従業員も、この計画的付与の対象となります。

ただし、注意すべき点もあります。比例付与対象など年次有給休暇の日数が少ない従業員が、この制度の利用により会社を休まざるを得なくなった場合、使用者側は、該当する従業員に対して特別の有給休暇を付与するか、60%の休業手当を支払わなければなりません。

【関連ページ】
有給休暇とは?有給休暇付与日数の計算方法を雇用形態別に詳しく説明します

有給休暇の義務化

2019年4月から、労働基準法の改正により有給休暇の取得が義務化されました。

使用者は、年10日以上の年次有給休暇が付与される従業員(管理監督者や有期雇用労働者も対象)に対して、年次有給休暇の日数のうち5日については必ず取得させなければいけません。

また、その5日は年次有給休暇を付与した日(基準日)から1年以内に取得させる必要があります。

時季指定にあたっては、「(使用者による)できる限り労働者の希望に沿った時季指定」、「従業員自らの請求・取得」、「計画年休」の方法があり、取得させた年次有給休暇の合計が5日に達した時点で、使用者からの時季指定をすることはできません。

労働者が自ら請求・取得した年次有給休暇の日数や、労使協定で計画的に取得日を定めて与えた年次有給休暇の日数(計画年休)については、その日数分を時季指定義務が課される年5日から控除する必要があります。

年次有給休暇中の賃金の計算方法

アルバイトやパートの場合は月給制でない場合が多く、年次有給休暇時の賃金の計算が必要です。賃金の計算方法は3つありますが、どの方法を用いるかは、就業規則等によって定めなければなりません。

平均賃金

過去3ヵ月間の賃金から平均を算出し、次のうち、どちらか高い方の金額を選択します。労働日により労働時間が異なる場合に適しています。

  • 過去3ヵ月間の賃金合計/過去3ヵ月間の日数
  • (過去3ヵ月間の賃金合計/過去3ヵ月間の労働日数)×0.6

通常の賃金

所定労働時間勤務した場合に支払われる、通常の賃金を用います。1日の労働時間が一定の場合に用いられることが多いようです。

標準報酬日額

健康保険法に基づく標準報酬日額(標準報酬月額の30分の1相当額)を用いる方法です。この方法を用いるには、労使協定締結が必要となります。

年次有給休暇請求に対する時季変更権とは

従業員は、事前に請求することで、希望の日に有給休暇を取得できます。使用者側には、事業の運営上支障をきたす場合には、有給休暇をほかの日に変更して与える権利があります。これを「時季変更権」といい、従業員がパートやアルバイトの場合にも適用される使用者側の権利です。

ただし、使用者側は、有給休暇の日程を変更できますが、有給休暇の取得自体を認めないとすることは禁じられています。また、単に「忙しい」「代わりの人がいない」という理由だけでは変更できません。

事業の運営上支障をきたす場合とは、「専門的な業務内容でほかの人員への代替が困難な場合」や「同じタイミングに有給休暇の申請が集中した」等の、限られた場合のみというのが一般的な解釈となります。

このほか、時季変更権が行使できない事例には、次のようなものが挙げられます。

<有給休暇の時季変更権を行使できない例>

  • 退職前に有給休暇を消化する場合など、その日でないと取得が不可能な場合
  • 変更により、取得日が産後休業・育児休業の期間にかかる場合
  • 計画的付与に指定されている日
  • 有給休暇の権利が時効により消滅する場合

これらに該当する場合、使用者側は時季変更権を行使できず、従業員の権利が優先されます。

参考までに、長野労働局に寄せられた有給休暇の時季変更権に関する相談を見てみましょう。

Q5. 「今月末でやめたい。」と言ってきた労働者が「残っている年次有給休暇を全部取ってやめたい。」と言い出し、結局今日から休んでしまいました。今月末まで2週間以上もあり、そんな年次有給休暇でも与えなくてはならないのでしょうか。 (使用者)

A5.労働基準法第39条では、会社は、時季変更権の行使により年次有給休暇を他の日へ変更することが可能です。しかしながら、今回のケースは変更すべき他の日がないことから時季変更権を行使する余地がなく、請求どおり付与しなければなりません。
なお、当該労働者の業務の引継ぎ等も考慮した上、事情を話されて退職日を先に延ばしてもらう等検討してみてはいかがでしょうか。

(4の問いと併せて、使用者側はこのような問題を防ぐために、普段から労働者の年次有給休暇取得・付与について、配慮しておく必要があります)

有給休暇の時季変更権の考え方に関しては、こちらも参考になるかもしれません。
厚生労働省「労働基準法第39条(年次有給休暇)について

また、今回の義務化以前から、会社や事業主がパートやアルバイトに有給休暇をまったく取得させないのは違法です。その違反態様が悪質な場合、労働犯罪として労働基準監督署の捜査が行われ、裁判所により6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金を科される可能性があります。

【関連ページ】
年次有給休暇の管理にまつわる疑問と正しい対応例

有休の取得理由は聞いてはいけない

有給休暇は、「その日数だけ給与付きで仕事を休んでいい」という労働者の権利です。そのため、休養やレジャーなど利用目的を問わずに取得でき、従業員に対して取得理由の説明を要求してはいけません。

例外として、正当な理由で有給休暇の時季変更権を行使する際に、必要に応じて理由を尋ねることができます。例えば、複数人のパートやアルバイト、社員が同時に有給休暇を申請し、すべてを認めることで職場が回らなくなる場合には、会社はそれぞれに取得理由を聞いて、有給休暇を認める優先順位をつけていいことになっています。

そして、その日に有給休暇を取らせないと決定をした従業員には、必ず別の日に取得できるようにしなければなりません。

パートやアルバイトが退職する際、あまった有給休暇の消化を申し出てきたら

法律上はともかく、未だ日本の職場では、有給休暇を取得しづらい空気があることも現実です。パートやアルバイトが辞める際に、「使っていない有給休暇を消化してから退職したい」と申し出てきたとき、事業主はどのように対応すればいいのでしょうか。

あらかじめ有給休暇の買取りを予約することは、仕事を休ませて従業員をリフレッシュさせるという有給休暇の制度趣旨に反することもあり、原則的に認められていません(行政通達による)。しかしながら、退職などの理由で結果的に取得していない分の有給休暇を会社が金銭的に補償する「有給休暇の買取り」は違法ではありません。

企業としては、有給休暇を取得したいという要望を拒否することはできませんし、退職後は有給休暇を消化することは不可能ですから、従業員と話合うなど、退職日までに余っている有給休暇をまとめて取らせることにならざるを得ないでしょう。

【関連ページ】
有給休暇を管理する

まとめ

年次有給休暇は、「勤続6ヵ月以上、出勤率80%以上」という基準を満たす全従業員が付与の対象です。付与日数が変動しやすいパートやアルバイトの場合は、基準日の前後に契約や勤務状況を確認することが不可欠です。

有給休暇は、従業員がリフレッシュし、元気に働く活力を得ることを目的とした大切な権利です。事業主は、有給休暇の付与にかかるコストを、予め人件費の中に織り込んでおくのがいいでしょう。

監修 河島 桃世 特定社会保険労務士

日本年金機構(旧:社会保険庁含む)に15年勤務後、社会保険労務士に。
「人事労務freee認定アドバイザー」社労士事務所。就業規則、労務問題の対応だけでなく、バックオフィス(クラウド給与計算、勤怠管理システムやテレワーク導入など)の効率化の為に積極的にIT導入支援を行っています。
行動指針でもある「私たちは”しません”5つのこと」を掲げている個性的な事務所です。

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