人事労務の基礎知識

月額変更届とは? 標準報酬月額の随時改定の条件や月額変更届の書き方・提出方法

公開日:2019/04/08
最終更新日:2020/10/19

被保険者の報酬が昇給や降給などにより増減したとき、パートから正社員に雇用契約を変更したときなど、給与が大きく変わる場合は標準報酬月額の随時改定が必要になります。標準報酬月額の随時改定とは何か、どんなケースで被保険者の標準報酬月額変更届が必要になるのかをまとめました。

なお、健康保険の保険者(運営主体)には全国健康保険協会(協会けんぽ)と健康保険組合がありますが、ここでは協会けんぽのケースを中心にご説明します。
[監修:山本 務(特定社会保険労務士)]

月額変更届とは? 社会保険の随時改定の条件や月額変更届の書き方・提出方法

目次

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標準報酬月額の随時改定とは?

標準報酬月額の随時改定とは、標準報酬の月額変更のことです。

標準報酬月額は、通常、年に1回7月に算定基礎届に基づいて決定されます。これを「定時決定」といい、4~6月の3ヶ月間の報酬総額から1ヶ月の平均額を求め、標準報酬月額が決定されます。定時決定については下記の記事を参考にしてください。

【関連記事】【2020年最新版】算定基礎届とは? 定時決定から算定基礎届の作成方法までわかりやすく解説

しかし、年間の途中で昇給や降給、雇用契約の変更などにより、報酬額が大きく変動することがあります。このような場合、標準報酬月額を変更しないと実際に受け取った報酬に対して社会保険料の額が多すぎたり、少なすぎたりすることがあります。これを防ぐ方法は、標準報酬月額を随時改定することです。随時改定を行う際には、月額変更届を提出しなければなりません。

被保険者報酬月額変更届
引用元: 日本年金機構「健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額変更届/厚生年金保険 70歳以上被用者月額変更届」

随時改定の条件

具体的には下記の条件がすべて当てはまれば随時改定の手続きが必要になります。

  • 基本給などの固定賃金が変更している
  • 支払基礎日程が17日ある
  • ※変動した月から3ヶ月の平均に該当する標準報酬月額と変動前の標準報酬月額に2等級以上の差がある

健康保険・厚生年金保険の保険料額表

随時改定の対象になる被保険者の具体例

月額変更届を提出するのは、上述の条件に当てはまり、被保険者の標準報酬が「2等級以上変動」した場合です。

「2等級以上変動」があった場合とは、具体的には次のような場合に起こります。

  • 昇給(ベースアップ)、降給(ベースダウン)
  • 時給制・日給制などから月給制になったなど給与形態の変更があった場合
  • 時間給・日給などの基礎単価が変わり賃金が変動した場合
  • 請負給や歩合給制の単価や歩合率の変更があった場合
  • 資格手当や役付手当、住宅手当、家族手当、通勤手当などの固定的な諸手当が新たに支払われることになった、もしくは支払手当額の変更があった場合
  • 一時帰休(レイオフ)による通常の賃金よりも低額な休業手当の支給

随時改定の対象にならない被保険者

固定的賃金の変更がなく、時間外手当(残業代)や一時的な手当(臨時手当)などの非固定的賃金(稼働実績などによって支給されるもの)の変更のみで2等級以上の報酬の差が生じた場合は、随時改定の対象とはなりません。

また、固定的賃金が減少しても残業代など非固定的賃金が増加して全体の報酬が増加する場合や、固定賃金が増加しても非固定的賃金が減少して全体の報酬が減少する場合などは、その結果として標準報酬月額に2等級以上の差が生じた場合でも、随時改定は行われません。

2等級以上の差が生じるかどうかについては、全国健康保険協会が提供する保険料額表にてご確認いただけます。

▼等級表の例(東京都)

随時改定の対象についての注意

昇給・降給の他、通勤手当や家族手当などの各種固定手当の変更や勤務形態の変更なども標準報酬月額を決定する際の対象となりますので、定期的に注意することが大切です。 平成28年10月1日現在、1週間の所定労働時間及び1ヶ月の所定労働日数が正社員の4分の3未満のパートタイムなどの短時間労働者は、従業員501人以上の特定適用事業所に勤務する者については、一定の条件を満たすことにより社会保険の適用を受けることができるようになりました。そのため、被保険者である人人は、支払基礎日数が11日以上で随時改定が適用されることになります。 標準報酬月額等級の上限あるいは下限の等級変更があった場合は、2等級以上の差が生じなくても随時改定の対象となることがあります。条件に当てはまる従業員がいたら、忘れずに「被保険者報酬月額変更届」を忘れずに提出しましょう。

随時改定の留意事項などは日本年金機構のページを参照ください

月額変更届

月額変更届は、「健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額変更届」の略で、日本年金機構の都道府県ごとの事務センターまたは管轄の年金事務所に提出します。

窓口持参、電子申請などで、厚生年金基金や企業年金基金、健康保険組合に加入している事業所は、そちらにも決められた様式で提出します。

原則として添付書類は必要ありませんが、以下の場合は、固定的賃金を改定前の月に変更した月の前月分の賃金台帳の写しまたは出勤簿の写しなどが必要となります。

  • 標準報酬月額の等級が5等級以上下がる場合
  • 標準報酬月額の改定月の初日から起算して60日以上届け出が遅延した場合

月額変更届の書き方は、日本年金機構「算定基礎届の記入・提出ガイドブック」を参考にしてください。

月額変更届の提出

随時改定の条件」で述べたように、随時改定が必要になった場合は、次回の定時決定を待たずに、できるだけ早く報酬月額変更届を提出します。月額変更届を提出することによって、報酬月額が本来支払うべき社会保険料の額に変更されます。

月額変更届を提出後、新しい保険料率で給与計算するのはいつから?

報酬月額変更届を提出した後、「固定的賃金の変動があった月から連続する3ヶ月の翌月」、つまり報酬の変動があったときから数えて4ヶ月目からです。社会保険料は翌月に納付することになりますので、標準報酬月額改定月の翌月(報酬の変動があった月から5ヶ月目)に支払われた給与から新たな保険料を納付することになります。

ただし、給与からの社会保険料控除を「当月」としている事業所では、報酬の変動があったときから数えて4ヶ月目に支払われる給与から、新たな保険料額となります。

社会保険料が変更になる場合は、標準報酬月額変更により社会保険料が変更になる旨の通知書などを給与明細書に入れておきましょう。

随時改定による変更で改定される標準報酬月額は、改定月が6月以前の場合はその年の8月まで、改定月が7月以降の場合は翌年の8月まで適用されます。

申出書様式・添付書類は日本年金機構のページでご確認いただけます。

監修:山本務 <やまもと つとむ>
(特定社会保険労務士)

やまもと社会保険労務士事務所、代表の山本です。労働相談、あっせん代理、労務環境調査、行政調査対応、人事労務管理、就業規則の作成・見直し、労働保険・社会保険の電子申請、給与計算、助成金申請支援など幅広く展開しています。

まとめ

従業員の報酬に2等級以上の変動があった場合は、随時改定による報酬月額変更届の提出が必要です。提出が遅れると、後から保険料の差額精算が生じる場合があります。そのようなことがないように、随時改定の条件に当てはまる従業員がいないか常に確認するようにしましょう。

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