人事労務の基礎知識

給与計算ソフトの比較ポイント2024年!選び方とメリット・デメリットを解説

給与計算ソフトの比較ポイント2024年!選び方とメリット・デメリットを解説

給与計算ソフトとは、従業員の給与額を算出するため、勤怠情報を元に自動で計算業務を行うシステムのことです。

給与計算ソフトがあることで、給与計算の専門的な知識が無くても計算がしやすくなります。

本記事では、給与計算ソフトの代表的な機能・種類から、選び方までわかりやすく解説します。

目次

給与計算を自動化してラクに

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給与計算ソフトとは

給与計算ソフトとは、従業員の給与額を算出するため、勤怠情報を元に自動で計算業務を行うシステムのことです。

給与の支払い時は従業員の各種手当・社会保険料・所得税などの計算をする必要があり、従業員数に応じて給与計算の業務量が増加します。

そこで給与計算ソフトを使用することによって業務量を簡略化することができ、人的・時間的コストの削減につながります。

給与計算ソフトの種類とメリット・デメリット

給与計算は主に以下の4つ方法で行うことができます。各ソフトの特徴と、メリット・デメリットを解説していきます。

①Excelなどの表計算ソフト
②インストール型の給与計算ソフト
③クラウド型の給与計算ソフト
④オンプレミス型の給与計算ソフト
項目①表計算ソフト②インストール型③クラウド型④オンプレミス型
導入の手軽さ
普段使用するソフトで可能

指定のOSにインストール。法改正ごとに更新

デバイスやOSを選ばずブラウザで使用可能
×
要件定義の策定・開発期間が発生
企業規模小規模小〜中規模中規模大規模
初期費用
無料

数万円〜数十万円

無料〜数万円
×
数百万円
月額費用
無料

無料

1人あたり数百円

サーバー費、メンテナンス費
無料期間の有無
無料

ソフトによっては無料期間あり

ソフトによっては無料期間あり
×
有料
数値計算
法改正の度にテンプレートを修正

法改正に合わせたソフトの更新

常に最新の料率や税率に自動更新

法改正の度に改修作業が必要
書類作成の手間
法改正の度にテンプレートの修正が必要

法改正の度に手動更新が必要

最新の書類様式に自動更新

法改正の度に改修作業が必要
業務量、情報共有の手間
ファイルがあるPCのみ作業可能。Googleスプレッドシートなら共有も便利

インストールしたPCのみ作業可能。共有の際はファイル出力と送付が必要

従業員や、税理士・社労士とのデータ共有が可能

インストールしたPCのみ作業可能。共有の際はファイル出力と送付が必要

◎:優、◯:良、△:可、×:不可

4つのソフトの特徴と、メリット・デメリットを順番にみていきます。

①Excelなどの表計算ソフト

まずは、Microsoft officeのExcelや、Googleスプレットシートといった表計算ソフトで給与計算を行う場合についてご紹介します。


Excelなどの表計算ソフトのメリット

  • 導入が手軽であること
  • 費用が安いこと
  • オフラインでも利用可能

最も手軽に導入しやすい方法としては、表計算ソフトを使うことでしょう。

無料の給与計算テンプレートがWeb上で多く公開されており、このようなテンプレートを活用すれば自身で1から計算式を組み立てる必要もありません。


Excelなどの表計算ソフトのデメリット

  • 計算ミスが起こりやすい
  • 法改正や料率変更による計算式の修正に手間がかかる

一方でExcelなどの表計算ソフトは、人力作業なので関数や計算式のミスが生じやすく、またそれらのミスを自身で修正しなければならないというデメリットがあります。

昇格による給与額の変更や、税率・社会保険料率の変更が起こると、手動での関数の見直し・修正がその都度必要になるため、人的なミスを誘発しやすいです。

②インストール型の給与計算ソフト

インストール型の給与計算ソフトとは、ローカル環境にソフトウェアをインストールし、パソコンやサーバー上で給与計算を行うソフトウェアのことです。


インストール型の給与計算ソフトのメリット

  • 高いセキュリティ
  • 高速な処理が可能
  • オフラインでも利用可能

インストール型のソフトウェアはローカル環境にインストールされるため、ネットワーク経由での情報漏洩や不正アクセスなどのリスクを低減できます。

オフラインでの作業も可能で、ネットワーク遅延しないことによる業務の効率化にも期待できます。


インストール型の給与計算ソフトのデメリット

  • メンテナンスやアップデートに手間がかかる
  • 複数人で利用する場合は各端末にインストールが必要
  • バージョン管理に注意が必要

インストール型の給与計算ソフトは、各端末にソフトウェアをインストールする必要があるため、複数人で利用する場合はメンテナンスやアップデートに手間がかかる場合があります。

利用人数に応じて導入コストが高くなるだけでなく、各端末のソフトのバージョンを統一しなければ、給与計算結果などに誤差が生じる可能性があるため、バージョン情報の管理を意識しなければなりません。

③クラウド型の給与計算ソフト

クラウド型の給与計算ソフトとは、ブラウザ上で利用が完結するソフトを指します。

最大の特徴は、データがクラウド上に存在するため操作端末を選ばず、インターネットに接続すればどこからでもアクセスできることです。

クラウド型の給与計算ソフトのメリット

  • 導入が手軽
  • データの共有が容易

クラウド型の給与計算ソフトは、専用サーバーやソフトウェアを自社で保有する必要がないため、導入コストを抑えられます。またカスタマーサポートやアップデートにより、煩雑な給与計算作業もスムーズに行うことが期待できます。

さらに、社内・社外を問わずデータ共有が容易であり、端末を選ばずアクセス可能なため、在宅勤務や出張などの際も利用できます。


クラウド型の給与計算ソフトのデメリット

  • インターネットに接続しなければ利用できない
  • カスタマイズの自由度が低い場合がある

クラウド型の給与計算ソフトは、インターネットに接続しなければ利用できません。ネット接続が不安定だったり回線速度が遅い場合には、快適に利用できない可能性があります。

また、あらかじめ機能を設定して提供されているため、カスタマイズの自由度が低いことがあります。自社独自のニーズに対応したカスタマイズを行いたい場合には、専門業者への乗り換えを検討しなければなりません。

④オンプレミス型の給与計算ソフト

オンプレミス型の給与計算ソフトは、社内サーバーを使用してシステムを構築し、自社で運用を行います。会社独自のニーズに合わせたカスタマイズが可能です。


オンプレミス型の給与計算ソフトのメリット

  • カスタマイズの自由度が高い
  • ネットワーク環境に依存しない

オンプレミス型の給与計算ソフトは、自社に必要な機能を依頼・開発するため、利便性の向上を図れるでしょう。

また、企業自身がサーバーを保有しシステム管理するため、適したセキュリティレベルを保って、不正アクセスやデータ漏洩などのリスクも低減できます。


オンプレミス型の給与計算ソフトのデメリット

  • 導入費用が高い
  • セキュリティに対する責任が自社にある

オンプレミス型の給与計算ソフトを導入する場合、要件定義から始まり、システム開発などの工数も発生します。利用開始後もメンテナンス・アップグレードを企業自身で行う必要があり、多くの手間やコストが発生します。

また、社内に設置されたサーバーに保存するため、サーバーへの不正アクセス・盗難・自然災害などによっては、貴重なデータが失われる可能性があります。
情報漏洩や不正アクセスなどのリスクに備えて、十分なセキュリティ対策が必要です。

社労士に依頼する方法も

給与計算の業務は、給与計算ソフトを使用する以外にも、社労士(社会保険労務士)に委託する方法があります。

給与計算の知識を持った社労士に業務を委託することで、計算の正確性が保障され、法改正にも対応可能です。

社労士によって業務範囲は異なりますが、主に以下のような業務を委託可能です。

  • 給与や賞与の計算
  • 給与明細書の作成
  • 年末調整(源泉徴収票、源泉徴収簿)の作成

ただし、給与計算ソフトなどを用いて内製化した場合と比較すると給与計算に掛ける金額が高くなる可能性があります。さらに、人が行う以上は人的ミスが発生する可能性がある点には留意しましょう。

給与計算ソフトを選ぶポイント

給与計算ソフトを選ぶポイントは、以下の3点が重要になります。

①企業規模や業務形態に適しているか
②支払うコストが見合っているか
③既存システムと連携できるか

順番に解説していきます。

①企業規模や業務形態に適しているか

給与計算のみ行いたい、従業員の勤怠情報と連携したいなど、給与計算ソフトに求める機能はさまざまです。そのため、給与計算ソフトを選ぶ際には、企業の規模・業務形態に合っているかを確認しましょう。

企業が小規模の場合、給与計算特化型ソフトの機能でも十分でしょう。しかし、中規模以上の企業の場合、従業員数が多くなると雇用形態・給与体系・手当などが煩雑になりやすいため、従業員情報や勤怠データとの連携ができるソフトがおすすめです。

②支払うコストが見合っているか

給与計算ソフトを導入する際は、メンテナンスやアップデートにかかるコストも含めた総費用を抑えることが重要です。

問題が発生した場合に備え、問い合わせ対応時間・サポート費用、技術サポートの充実度なども調べて把握しておきましょう。

また、多くのソフトではカスタマイズ次第で機能を追加できますが、内容によっては導入費用・運用費用が高くなるため、あらかじめ備わっているソフトウェアも比較・検討する必要があります。
このように日常の利用や機能を考えると考慮すべき内容は多いため、支払う総コストに対して導入するだけの価値があるかどうかを慎重に検討しましょう。

③既存システムと連携できるか

既存の給与計算ソフトを変更する場合、他のシステムやソフトとデータ連携できるかどうかも重要な選定ポイントになります。

もし連携していない場合は、既存ソフトのデータを出力して利用する手間が発生したり、オンプレミス型でカスタマイズして連携するなどの手段をとる必要があります。

給与計算ソフトの主な6機能

給与計算ソフトを導入する際には、自社に必要な機能が備わっているか確認しましょう。

給与計算ソフトの主な機能は、以下のとおりです。

給与計算ソフトの主な機能

  1. 給与の自動計算と一括振込
  2. 給与明細書の発行
  3. 法定料率変更の自動対応
  4. 年末調整の対応
  5. 法定三帳簿の作成
  6. マイナンバー管理

①給与の自動計算と一括振込

給与計算は、残業代や社会保険料や源泉所得税など複数項目の計算も必要でミスが起こりやすいでしょう。

勤怠管理システムと連携した給与計算ソフトであれば、残業時間や残業代のほか、社会保険料や源泉所得税の計算も自動で行えます。

給与計算ソフトの中には、給与をオンラインバンキングから一括で振り込めるものもあります。

②給与明細書の発行

自動計算された給与の情報を元に、給与明細書を発行します。給与計算ソフトによっては、電子給与明細書の発行も可能です。

電子給与明細の発行によりペーパーレス化ができ、印刷時間や費用などのコスト削減にもつながります。

③法定料率変更の自動対応

社会保険料は、その年度の税率や従業員の年齢、給与額に応じた等級を元に計算をします。

給与改定の際に以前の等級のまま社会保険料の計算を行うことはよくあるミスのひとつですが、給与計算ソフトの中には、等級の変更登録を自動で行うだけではなく、社会保険料の料率改定があった際に自動で反映し、計算を行うものもあります。

④年末調整の対応

毎月の給与計算データをもとに従業員の年末調整ができます。源泉徴収された税金額が正確であることを確認し、年末調整に必要な書類や申請書を作成可能です。

紙での作業と比較すると手間を大きく削減でき、正確かつスピーディーな年末調整の手続きができます。

従業員もシステム上で設問に答えるだけで、簡単に年末調整に必要な情報を登録・修正できるので、書類の記入・回収・修正という作業を簡略化できます。

⑤法定三帳簿の作成

企業に備え付けが必要とされている法定三帳簿(労働者名簿・賃金台帳・出勤簿)の作成と保管が、給与計算ソフト上でできます。

⑥マイナンバーの管理

従業員のマイナンバーを給与計算ソフトに登録・管理できます。源泉徴収税額の計算や年末調整の手続きを正確に実施できるため便利で、個人情報の漏洩防止にもつながるでしょう。

給与計算ソフトのその他の機能

これらの機能は、給与計算ソフトを選定する上で必要となる基本的な機能です。そのほか、給与計算ソフトによってはさまざまな機能があります。

勤怠管理機能

従業員の出退勤日時から、休憩時間・休日出勤日数・有給保有日数などの情報を管理できます。従業員の勤務時間を自動的に集計するので、労働時間や残業時間の把握が容易になるでしょう。

勤怠管理機能を利用することで人的ミスを減らし、正確な給与計算や業務効率の向上が期待できます。

組織図の自動作成機能

支店や支部、部署・役職などを事前に登録しておくことで組織図を自動で作成する機能です。

人事異動などに伴う組織図の変更作業といった業務負担を軽減することも可能です。

労務管理に必要な書類の発行

給与明細書以外にも、所得税徴収高計算書や月額変更届、賃金台帳などの書類が発行可能です。

さらに、従業員の入退社に必要な社会保険の被保険者資格取得届、喪失届などの必要書類も作成できます。

給与計算ソフトの例10選【2024年最新版】

ここまで給与計算ソフトのメリット・デメリットや機能を解説してきました。

最後に、2024年最新版として実際に給与計算ソフトを提供しているサービス例を10社紹介します。


名称提供会社
freee人事労務フリー株式会社
マネーフォワードクラウド給与株式会社マネーフォワード
ジンジャー給与jinjer株式会社
弥生給与Next弥生株式会社
ジョブカン給与計算株式会社DONUTS
PCAクラウド 給与ピー・シー・エー株式会社
フリーウェイ給与計算株式会社フリーウェイジャパン
KING OF TIME 給与株式会社ヒューマンテクノロジーズ
給与奉行クラウド株式会社オービックビジネスコンサルタント
スマイルワークス株式会社スマイルワークス

まとめ

給与計算ソフトには、表計算ソフトを使用するほかにもインストール型やクラウド型、オンプレミス型のソフトがあり、それぞれの特徴が異なります。

また、それぞれに発生する料金や導入のしやすさなどにも違いがあるため、自社にあった給与計算ソフトを導入するようにしましょう。

よくある質問

給与計算ソフトの選び方は?

給与計算ソフトには以下のような選び方(注意点)があります。

  • 企業規模や、業務形態に適しているか
  • 利用している他のシステムと連携できるか
  • 給与計算ソフトに支払うコストとして見合っているか

詳しくは記事内「給与計算ソフトを選ぶポイント」をご覧ください。

給与計算ソフトにはどのような機能がある?

給与計算ソフトに実装されている主な機能は、以下のとおりです。

  1. 給与の自動計算と一括振込
  2. 給与明細書の発行
  3. 法定料率変更の自動対応
  4. 年末調整の対応
  5. 法定三帳簿の作成
  6. マイナンバー管理

詳しくは記事内「給与計算ソフトの主な機能」をご覧ください。

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