人事労務の基礎知識

給与計算ソフトを買うべき?エクセルや社労士に依頼など、給与計算ツール・方法を比較

毎月の給与事務、どのように行われていますか。給与計算ソフトを使う、エクセルなどの表計算ソフトを利用する、社労士さんに依頼するなど、様々な方法で作業されていると思います。

今回は、その他の各給与計算ツールや方法ごとに、メリット・デメリットを見ていきたいと思います。

エクセルなどの表計算ソフトで給与計算を行なう場合

メリット1. 手軽さでソフトウェア利用料が安い

エクセルなどの表計算ソフトは、手軽に給与計算を行えるのが特長です。Windows OSには初期状態でインストールされているケースが多く、まずやってみるといったときには取り組みやすいツールかもしれません。

ソフトウェアの更新料も基本的に発生しないため、設立して間もなく、資金面からなるべくお金をかけずに給与計算を行いたい場合に利用される方が多いようです。従業員数が少ない企業では、エクセルを利用して、給与計算と明細作成を行っている企業も少なくないのではないでしょうか。

デメリット1. 正確性の担保が難しい

エクセルを利用して給与計算を行なうデメリットの1つに、正確性の担保が難しい点が挙げられます。エクセル給与計算の場合、給与計算担当者の手入力の作業で計算式を作りますが、複雑な計算を手作業で正確に行なうのは難しいのが現状です。

たとえば、パートタイムの従業員の時給が時間帯や曜日によって異なる場合、時間帯別・曜日別の給与を計算できるようエクセルの数式を組む必要があります。

雇用体系・労働条件がシンプルな場合はエクセルで対応もできますが、細かい対応を手作業で行ないながら正確性を担保するのは難しいでしょう。

また手入力の多さによって、1行間違えてしまうといったヒューマンエラーを招きやすくなります。それによって起こる給与計算の間違いは、給与計算担当者にとって避けたい労務リスクの1つです。

デメリット2. 税率や保険料の変更、法改正への対応が大変

給与計算は、税率や保険料の変更、法改正の情報をキャッチし、正確に計算することが不可欠です。

具体的に何がどれくらい変わるのかといいますと、厚生年金保険料や住民税は年1回更新されますし、社会保険料は最低年1回+給与額の変更に応じて改定が必要となるほか、給与計算に関わる法改正も起こります。

各改定や法改正はほとんどの場合別々のタイミングで起こるため、給与計算担当者はこまめに情報収集を行い、内容を正しく理解した上でエクセルの計算式をアップデートする必要があるのです。これらをすべて自前で行なうのは、なかなか難しいのではないでしょうか。

デメリット3. 他ソフトウェアとの連携が難しい

給与計算には、業務に関連情報や処理を必要とします。たとえば、計算するのに従業員情報へのアクセスが必要であったり、経費精算額の給与への反映や給与支払い後の経理処理のために会計を行なう必要があったりします。

そのため、従業員情報の管理システムや会計ソフト・経費精算システムを、給与計算ツールと併用しているケースが多く見られます。

もちろん従業員情報の管理や会計処理をすべてエクセルで済ませるのは不可能ではありませんが、効率的に業務を行なうためにソフトウェアを利用しているのが一般的です。

ここで、各ソフトウェアを連携させることで業務を効率化できるのですが、給与計算をエクセルで行っている場合には、その連携が難しくなります。

エクセルなどの表計算ソフトで給与計算を行なう場合のまとめ

従業員人数も少なく、資金面でも不安がある場合には、エクセルを利用した給与計算がまず選択肢にあがるでしょう。

一方、正確な給与計算にプライオリティをおいたり、法改正の対応コストや他ソフトウェアとの連携効率を考えると、他のツールや方法などエクセル以外での給与計算の検討がおすすめです。

一般的な給与計算ソフト(インストール型)で給与計算を行なう場合

エクセルでの給与計算の代替として真っ先にあがるものの1つが、給与計算ソフトです。給与計算ソフトはインストール型(買い切り型)とクラウド型の2種類にわけられます。まずは、先に市場に流通していたインストール型の給与計算ソフトについて、メリット・デメリットを見てみましょう。

メリット1. 給与計算を自動化

エクセルの給与計算で手入力を求められていた部分の多くをソフトウェアで行い給与計算を自動化できるのが、給与計算ソフトを利用するメリットです。手入力が減ることにより、業務を効率化し、計算の正確性を向上することができます。業務効率化の結果、人件費の削減や人員配置を工夫するなどの効果も期待できます。

メリット2. 法改正対応を自動化

上述のような税率や保険料率、法制改正などに対し、ソフトウェアベンダーがバージョンアップなどの対応を行なう点も、給与計算ソフトを利用するメリットの一つです。給与計算担当者が情報収集を行い計算式を変更するといった手間は必要なく、いつでも正確に給与計算を行なうことができるでしょう。

メリット3. 属人性の排除

給与計算ソフトは、あまり知識のない担当者でも使用できるよう設計されていたり、各種のサポートがついていたりするケースが一般的です。このため、担当者の退職や配置転換があっても、後任の担当者が対応し、正しい給与計算業務をスムーズに始めることが可能となります。属人性を排除することで、人員配置の自由度を高めることができます。

デメリット1. 法改正対応のため、バージョンアップの更新料や再購入費がかかる

バージョンアップの更新料や再購入が必要となるのがインストール型給与計算ソフトのデメリットとなります。前述の内容になりますが、税率や保険料の変更、法改正はそれぞれ1年に1回かそれ以上にあります。バージョンアップのたびに、費用の負担やアップデートの手間がかかることは、導入前の意思決定の際に考慮するべきでしょう。

デメリット2. データ破損・消失の対策が必要

インストール型の給与計算ソフトでは、給与計算データがPCのローカルディスクに保存されているケースが多く、PCの故障や紛失などでデータが破損・消失した際、データを復元できない可能性やソフトウェアが使用できなくなる可能性があります。不慮の事態にそなえて、日頃バックアップをとるなどの一手間が必要となりますし、再購入が必要になるかもしれない点は頭の片隅においておきたいところです。

それでは次に、クラウド型の給与計算ソフトについて、メリット・デメリットを見てみましょう。

一般的な給与計算ソフト(クラウド型)で給与計算を行なう場合

インストール型の給与計算ソフトと比較されるのが、クラウド型の給与計算ソフトになります。インストール型ソフトウェアのメリットである給与計算の自動化や属人性の排除といった点はそのままで、インストール型のデメリットをクラウドのよさで解消するのがクラウド型の給与計算ソフトです。具体的なメリット・デメリットは次のようなものになります。

メリット1. 法改正対応をより自動化してスピードアップ

ソフトウェアベンダーが法改正対応を行なうのはインストール型のソフトウェアと同様ですが、クラウド型はその対応スピードとさらなる自動化がメリットとなります。

インストール型では1年に1回や数ヶ月に1回のバージョンアップが提供されユーザーの手でアップデートする必要がある一方、クラウド型は法改正対応は開発され次第サービスに自動的に反映・提供されます。

最新バージョンの利用に対して特別な動作は必要ないため、インストールの手間も発生しません。

メリット2. 更新料や再購入費なしでバージョンアップ可能

上記の対応スピードに加えて、バージョンアップの更新料を必要とせず、毎月の給与計算ソフトの利用料だけで最新バージョンを利用できるのもクラウド型の強みとなります。

メリット3. データのバックアップが自動

クラウド型の給与計算ソフトの場合、データ自体がクラウドにあるため、バックアップはすべて自動でクラウドに保存されます。個別にバックアップをする手間が省けます。また、別のPCで利用するのにも、同一アカウントであれば再購入費や追加の利用料を必要としないのも特長です。

デメリット1. 操作スピードが落ちる場合もある

大きなデータを処理する際に操作が遅くなる場合がある点は、クラウド型給与計算ソフトのデメリットとなります。給与計算ソフトにかかわらずオンラインで作業を行なう際には必ずつきまとう問題です。

従業員規模が大きい企業がクラウド型の給与計算ソフトを検討する場合には、予めソフトウェアベンダーに対応人数は何人の想定かどうか、操作感はどのようになるかを問い合わせることをおすすめします。

給与計算ソフトで給与計算を行なう場合のまとめ

給与計算と法改正対応を自動化し、属人性を排除するなら、給与計算ソフトを検討してみましょう。インストール型とクラウド型とありますが、バージョンアップをスピーディに更新料なく行え、バックアップも自動で行えるクラウド型がおすすめです。

社労士(社会保険労務士)に給与計算を依頼する場合

給与計算ソフトよりも作業量を減らしたい、という場合には、社労士に給与計算業務を依頼するという方法もあります。

メリット1. 正確性の保障

社労士に給与計算を依頼した場合、給与計算の専門知識をもった人が業務を行なうことになるので、計算の正確性は保障されるでしょう。法改正などの情報収集も本業になりますので、正しく給与計算が行われることが期待されます。

作業の大部分を社内で行う必要がなくなり、その分の時間や人材を他の活動に当てることも可能です。

デメリット1. 高い費用

専門性による給与計算の正確性という価値に対してお金を払うことになりますので、自社で給与計算を行なう場合に比べて費用は高くつく場合が多いでしょう。

デメリット2. 自社に合う社労士探しのコスト

毎月行なう給与計算業務ですので、1年間など継続して依頼するケースが見受けられます。

社労士も人で、人と人の付き合いとなりますので、給与計算ソフトなどに比べて「少しお試しして合わなかったら他のところに変える」といったこともしづらいのではないでしょうか。

自社にあう社労士を探すことが大切ですが、通常の業務を行いながら社労士を探すのはなかなか大変なのが現状のようです。

社労士(社会保険労務士)に給与計算を依頼する場合のまとめ

費用や社労士探しなどの懸念点はありますが、何よりも正確性を求めるなら、社労士への給与計算業務の依頼を検討するのがおすすめです。

まとめ

エクセルやインストール型給与計算ソフト、クラウド型給与計算ソフト、社労士に依頼した場合の給与計算について各メリット・デメリットをお送りいたしましたが、いかがでしたでしょうか。

自社の状況にあったツール・方法を検討し、毎月の給与計算をラクに行うための参考になれば幸いです。

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