人事労務の基礎知識

源泉徴収の対象期間とは

公開日:2020/08/24
最終更新日:2021/03/30

源泉徴収とは、事業者が給与所得者に代わって、給料から税金を天引きして納税する制度のことです。源泉徴収票の交付期限を過ぎてしまうと、法律で罰せられる可能性があります。また、転職した人の場合は、転職先に源泉徴収票を提出する期限が決まっています。

ここでは、源泉徴収の対象となる期間や交付期限について説明します。

源泉徴収の対象期間とは

目次

源泉徴収票の作成はボタン1つで

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源泉徴収とは

源泉徴収とは
源泉徴収とは、給与や報酬を支払う事業者が、あらかじめ所得税を差し引いて納税する制度のことを指します。基本的には、個人の給与等に対して個人に代わって所得税を支払う制度です。企業間で報酬のやりとりをしている場合には発生しません。

源泉徴収義務者とは

源泉徴収制度では、所得税や復興特別所得税を源泉徴収して国に納付する義務を負う者を「源泉徴収義務者」といいます。源泉税の対象となる所得の支払者は、会社や協同組合、学校、官公庁、個人や人格のない協会や財団など、すべて源泉徴収の義務があります。

ただし、個人が常時2人以下の家事従事者にのみ給与等を支払う場合には、給与、退職金、その他の報酬・料金については、源泉徴収の必要はありません。また、税理士報酬などの報酬・料金については、源泉徴収の必要はありません。

源泉徴収の対象範囲

源泉徴収税の対象となる所得の範囲は、所得を受ける人の区分によって変わります。

支払先 支払内容 具体例 支払者
個人 給与 給与や賞与 全ての者
(一定の個人を除く)
報酬 ・原稿料、デザイン料、講演料などの報酬
・弁護士、公認会計士、税理士、司法書士、社労士等への報酬
・外交員、集金人、検針人、プロスポーツ選手等への報酬
・演出家、芸能人への報酬
・ホステスへの報酬
その他 利子・配当、退職金、年金
法人 利子・配当
海外住居者
(外国法人)
利子・配当

源泉徴収の対象となるものは、ほとんどが給与所得です。他にも、コンサルティングの報酬や賞金、広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金、プロスポーツ選手の契約金なども源泉徴収の対象となります。

もちろん、フリーランスのように一つの組織や団体に所属していない人でも、企業やクライアントから報酬が振り込まれた段階で源泉徴収され、納税されます。給与所得者などの代わりに会社やクライアントが納税をしていると考えでいいでしょう。

法人の場合の源泉徴収の対象となる範囲

馬主である法人に支払う競馬の賞金

参考・引用元:「源泉徴収が必要な報酬・料金等とは

源泉徴収の対象期間

源泉徴収の対象期間は、その年の1月から12月までです。

その期間に受け取った給与は年末調整を行い、その結果を源泉徴収票に記載します。会社によっては、12月分の給与が翌月に振り込まれる仕組みになっている場合があります。その場合、原則として1月に振り込まれた給与は翌年の源泉徴収の対象となります。

年の途中で転職した場合、年末調整のために現在の会社と前の会社の源泉徴収票が必要になります。そのため、現在の会社の支給額と前の会社での支給額の合計が年末調整の源泉徴収の対象となります。

給与の支払月と源泉徴収票の対象期間

給与の対象期間
(実際に働いた期間)
給与が支給される期間 源泉徴収票の対象期間
(○年分)
令和元年12月 令和年2年1月 令和2年分
令和2年1月〜令和2年11月 令和2年2月〜令和2年12月
令和2年12月 令和3年1月 令和3年分
令和3年1月〜令和3年11月 令和3年2月〜令和3年12月
令和3年12月〜令和4年11月 令和4年1月〜令和4年12月 令和4年分

実際に給与が支払われている期間が、源泉徴収票の対象期間となります。

源泉徴収をするタイミング

所得税および復興特別所得税の源泉徴収のタイミングは、源泉徴収の対象となる所得が実際に支払われたときです。所得の支払いが確定していても、実際に支払われていなければ、原則として源泉徴収の必要はありません。また、源泉徴収を目的とした「支払い」には、実際の金銭の受け渡しだけでなく、元本や預金口座に振り替えるなど、支払い債務を消滅させる行為も含まれます。

配当等、役員賞与、組合契約に基づく恒久的施設を通じた事業からの利益の分配は、実際に支払われていなくても、一定期間が経過した日に支払われたものとみなされ、源泉徴収が必要となります。

給与などの一部未が支払われている場合の源泉徴収について

給与などの一部が支払われ、残りが未払いの場合には、実際に支払われた給与等の金額に対応する所得税及び復興特別所得税の部分を源泉徴収しなければなりません。

本来30万円の給与を支払うところを、20万円しか支払えなく、残りの10万円が未払いになっていた場合を例として、計算をしてみます。

実際に源泉徴収をされる、所得税及び復興特別所得税額は以下の手順で算出します。

① 支払われるべきだった所得税及び復興特別所得税額を計算する

まず、その月に支払われるべきだった給与額(30万円)を「給与所得の源泉徴収税額表」に当てはめて、所得税及び復興特別所得税額を計算します。

給与所得の源泉徴収税額表の見方

その月の手取り金額(社会保険料等控除後の給与等の金額)が30万円、扶養親族0人の列に該当する金額(8,420円)が、所得税及び復興特別所得税額です。

② 実際に支払った給与に対する所得税及び復興特別所得税額の計算

①で算出した所得税及び復興特別所得税額に、本来支払われるべきだった給与の額(30万円)を分母とし、実際に支払われた給与の額(20万円)を分子とした比率を乗じて算出します。

8,420円 × 20 ÷ 30 = 5,613円(所得税及び復興特別所得税額)
5,613円が実際に源泉徴収する税額になります。

参考・引用元:国税庁「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)

役員に対する賞与の源泉徴収について

役員に対する賞与は、支払が確定した日から1年を経過する日までに支払いが行われなかった場合、源泉徴収の対象となり、1年を経過した日に支払われたものとみなされます。

【関連記事】
賞与とは? 社会保険料や源泉所得税の計算方法も解説

源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税の納税地

源泉徴収義務者が源泉徴収した所得税及び復興特別所得税は、支払地を所轄する税務署に納付します。納税地は源泉徴収の対象となる所得の支払いを取り扱う事務所または事業所の所在地となります。

支払いを取り扱う事務所等が移転した場合、移転前の支払に係る源泉所得税及び特別所得税の納税地は、移転通知書に記載された移転後の事務所等の所在地となります。

取り扱う事務所または事業所の所在地を管轄する税務署がわからないときは、国税庁ホームページ「税務署の所在地などを知りたい方」を利用して、税務署を検索してください。

参考・引用元:国税庁「給与等に係る源泉所得税及び復興特別所得税の納税地

源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税の納付について

源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税の納付期限

源泉徴収義務者が源泉徴収した所得税及び復興特別所得税は、原則として、源泉徴収の対象となる所得が発生した月の翌月10日までに納付しなければなりません。また、納付期限が土・日曜日、祝祭日に当たる場合は、休日の翌日が納付期限になります。

期日までに支払いが行われない場合、源泉徴収義務者は延滞税と不納付加算税などを支払う必要があります。

源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税の納期の特例

常時10人未満に給与等を支払う源泉徴収義務者は「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出して承認を受けることで、給与等や退職手当等、税理士等の報酬・料金について所得税と復興特別所得税を以下のように年2回に分けて納付する納期の特例制度があります。

申請書が提出された月の翌月末日までに税務署長から承認または却下の通知がない場合は、申請書が提出された月の翌月末日をもって承認されたものとみなし、申請書が提出された月の翌々月の支払いに特例を適用します。

区分 納付期限
1月から6月までの間に源泉徴収をした
所得税及び復興特別所得税
7月10日
7月から12月までの間に源泉徴収をした
所得税及び復興特別所得税
翌年1月20日

源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税の納付の手続き

源泉徴収された所得税及び復興特別所得税の納税手続きは、e-Taxを利用するか、「所得税徴収高計算書(納付書)」を添えて最寄りの金融機関や税務署で支払うことができます。

所得税徴収高計算書(納付書)の記載のしかたは、国税庁ホームページ「所得税徴収高計算書(納付書)の記載のしかた」を参考にしてみてください。

【関連記事】
【2021年版】e-Taxでネットで確定申告:PC・スマホでのやり方とメリットまとめ|e-Taxでできる手続き
給与所得等にかかる復興特別所得税とは?その計算方法と納付方法

源泉徴収票の交付期間

源泉徴収票は、会社側に発行が義務付けられています。源泉徴収はその年に支給した金額で計算されるため、従業員が転職して入社した場合には、前の会社の源泉徴収票と現在の会社の源泉徴収票との2通が必要になります。

源泉徴収票が必要になるのは、まず年の途中で転職した場合、新しい会社では前職の源泉徴収票の内容と現職の源泉徴収の内容を合算して年末調整を行います。そのため、転職の際には前職の源泉徴収票の提出が必要になります。

また、年収が2,000万円を超える場合、副業の収入が20万円を超える場合、住宅ローン控除や扶養控除など、各種所得控除の申告をする際にも、確定申告を自分で行う必要があり、その際にも源泉徴収票が必要になります。

経理処理を効率化するために、12月や1月の給与時に年末調整を行い、給与明細と一緒に源泉徴収票を交付する企業が多いようです。

また、源泉徴収票を交付する会社は、給与所得者からの依頼があったにも関わらず源泉徴収票の発行を怠ると、所得税法により懲役や罰金の対象になる可能性があるので注意が必要です。また、法律に触れない範囲でも、源泉徴収票の発行や提出が遅れると税務署から指導を受けることになります。

年末調整後でも交付は可能?

会社の状況によっては、12月中に源泉徴収票の発行が間に合わない場合もあります。年明けまで業務を持ち越さないためにも、できれば12月中に発行を完了しておくことが理想ですが、遅くても発行は可能です。

源泉徴収票は、支給が確定した年の翌年1月31日までに支給者の所轄税務署に提出しなければなりません。また、会社などの給与等の支払をする者は、翌年の1月31日までにすべての受給者に交付しなければなりません。

(源泉徴収票)

第二百二十六条 居住者に対し国内において第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等(第百八十四条(源泉徴収を要しない給与等の支払者)の規定によりその所得税を徴収して納付することを要しないものとされる給与等を除く。以下この章において「給与等」という。)の支払をする者は、財務省令で定めるところにより、その年において支払の確定した給与等について、その給与等の支払を受ける者の各人別に源泉徴収票二通を作成し、その年の翌年一月三十一日まで(年の中途において退職した居住者については、その退職の日以後一月以内)に、一通を税務署長に提出し、他の一通を給与等の支払を受ける者に交付しなければならない。ただし、財務省令で定めるところにより当該税務署長の承認を受けた場合は、この限りでない。

退職者がでた場合の源泉徴収票の記載

源泉徴収票
退職者が出た場合は「中途就・退職 」の欄に、該当する年月日を記入し、「受給者生年月日」の欄に該当する方の生年月日を記入します。

また、支払いをする事業者は退職者が出た場合、1ヶ月以内に源泉徴収票を発行する義務がありますので、必ず1ヶ月以内に発行するようにしましょう。

源泉徴収票の発行をスムーズに行うべき理由

前項の「年末調整後でも交付は可能?」で説明したように、法定調書の一つである源泉徴収票は、1月末までに税務署長に提出しなければなりません。 万が一、源泉徴収票を発行しなかった場合、退職者は新しい勤務先で年末調整をすることができません。

そうなると、退職者が税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」という書類を提出する可能性があります。提出された場合、税務署から直接会社に源泉徴収票不交付に関する事実確認を求められたり、最悪の場合は税務調査の対象となる可能性があります。

源泉徴収票は、所得税法第226条で「翌年1月31日までに1通を税務署長に提出し、もう1通を本人に交付する」と義務付けていますので、十分に注意しましょう。

また、退職者が転職して新しい会社に入社する場合、入社時の必要書類として前の会社の源泉徴収票の提出が必要になるケースが多くあります。提出が間に合わない場合は、遅くとも年末調整の申告書を提出するまでが、提出期限と考えておいた方が良いでしょう。

【関連記事】
源泉徴収票の作成と計算方法
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年末調整の法定調書合計表・支払調書の書き方

まとめ

源泉徴収とは、事業者が給与所得者の給与や報酬から所定の金額を天引きし、給与所得者に代わって納税する制度です。源泉徴収の対象期間は、その年の1月から12月までとなっています。転職した従業員がいる場合は、前職の源泉徴収票を提出する必要があります。

源泉徴収票は1月末に事業所等の住所を管轄する税務署長に提出する法定調書の一つですので、期限に注意して漏れのないように発行しましょう。

今回の記事では源泉徴収の対象期間について解説をしましたが、給与所得の源泉徴収事務や退職所得の源泉徴収事務などについて、詳しくになりたい方は、国税庁ホームページの「源泉徴収のしかた令和3年版」もご覧ください。

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