監修 北 光太郎 きた社労士事務所
世帯主とは、住民票に登録されている世帯の代表者のことです。世帯主は収入の多い人や家計を支える人とは限らず、住民票上の登録内容によって判断されます。
本記事では、世帯主の基本的な意味や確認方法、年末調整で世帯主情報の記載が必要な理由、ケース別の書き方、記入を間違えた場合の対処法までわかりやすく解説します。
目次
- 世帯主とは
- 世帯とは
- 世帯主と戸籍筆頭者との違い
- 世帯主を確認する方法
- 住民票
- マイナポータル
- 年末調整で世帯主情報の記載が必要な理由
- 年末調整書類には世帯主と続柄の記載欄がある
- 世帯主情報は本人確認や申告内容の確認に利用される
- ひとり親控除・寡婦控除への影響
- 年末調整での世帯主・続柄の書き方
- 記入が必要な申告書と記載欄
- 続柄の基本ルール(申告者本人から見た関係)
- 本人が世帯主の場合
- 配偶者が世帯主の場合
- 親が世帯主の場合
- 一人暮らし(住民票移動あり・なし)
- 同棲・世帯分離・単身赴任の場合
- 世帯主を間違えた場合の対処法
- 提出前に誤りが判明した場合
- 提出後に誤りが判明した場合
- 世帯主を変更したい場合の手続き
- まとめ
- 入退社管理や給与計算などをカンタンに行う方法
- よくある質問
世帯主とは
世帯主とは、住民票に登録されている世帯の代表者のことです。世帯は日常生活をともにする単位として住民票上で管理されており、その世帯ごとに1人の世帯主が定められています。
たとえば、共働き世帯で配偶者の方が収入が高い場合でも、住民票上で夫が世帯主として登録されていれば夫が世帯主です。反対に、妻が世帯主として登録されているケースもあります。そのため、世帯主は家計を支える人ではなく、「住民票上で世帯主として登録されている人」であることを理解しておきましょう。
なお年末調整では、各種申告書に世帯主の氏名や続柄を記載する欄があるため、世帯主が不明な方は住民票やマイナポータルから確認してください。
世帯とは
世帯とは、住居や生計をともにする人の集まり、または単身で生活している人を指します。住民基本台帳法に基づき、住民票は世帯単位で管理されています。
一般的には、夫婦や親子など同じ住居で生活し、生計を共有している人たちが1つの世帯という扱いです。一人暮らしの場合は本人のみで1つの世帯を構成します。
なお、同じ家に住んでいても必ず同じ世帯になるとは限りません。たとえば、親と同居していても生活費や家計が明確に分かれている場合には、住民票上で世帯を分ける世帯分離を行うことができます。この場合、同一住所に住んでいても別世帯として扱われ、それぞれに世帯主が存在します。
年末調整の世帯主欄を確認する際は、実際の生活実態だけでなく、住民票上でどのような世帯構成になっているかを確認することが大切です。
世帯主と戸籍筆頭者との違い
世帯主と混同されやすい概念に戸籍筆頭者があります。しかし、両者は役割や管理される制度が異なります。
戸籍筆頭者とは、戸籍の先頭に記載される人のことであり、戸籍上の家族関係を管理するための基準となる人物です。一方、世帯主は住民票上の世帯を代表する人物であり、日常生活の単位を示すために設定されています。
たとえば、結婚時に夫の名字を選んだ場合は「夫」、妻の名字を選んだ場合は「妻」が戸籍筆頭者になります。そのため、夫を戸籍筆頭者として戸籍を作成した場合でも、住民票上では妻が世帯主になっているケースがあります。
また、戸籍筆頭者は原則として変わらないのに対し、世帯主は世帯変更届の提出によって変更することが可能です。
世帯主を確認する方法
世帯主は住民票に基づいて判断されるため、正確な情報を確認したい場合は公的な記録を参照することが欠かせません。
ここでは、世帯主を確認する主な方法を紹介します。
住民票
世帯主を確認するもっとも確実な方法は、住民票を確認することです。
住民票には、氏名や住所などの基本情報に加え、世帯主の氏名や世帯主との続柄が記載されています。そのため、自分が世帯主であるか、または誰が世帯主として登録されているかを正確に確認できます。
住民票は市区町村の窓口で取得できるほか、マイナンバーカードを利用してコンビニエンスストアで取得できる自治体もあります。
マイナポータル
マイナンバーカードを保有している場合は、マイナポータルを利用して世帯情報を確認できる場合があります。
マイナポータルは、行政手続きや個人情報の確認をオンラインで行える政府運営のサービスです。自治体によって利用できるサービス内容は異なりますが、住民票関連の情報を確認したり、各種証明書の取得手続きを行ったりできるケースがあります。
スマートフォンやパソコンから利用できるため、市区町村窓口へ行く時間が取れない場合でも確認しやすい点がメリットです。
ただし、利用できる機能や表示内容は自治体によって異なるため、世帯主情報を確認したい場合は、事前に自治体の案内を確認するとよいでしょう。
年末調整で世帯主情報の記載が必要な理由
年末調整では、従業員が提出する各種申告書に世帯主や続柄を記載する欄が設けられています。
ここでは、年末調整で世帯主情報の記載が求められる理由について解説します。
年末調整書類には世帯主と続柄の記載欄がある
年末調整では、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」などの申告書において、世帯主の氏名や続柄を記載する欄があります。
たとえば、世帯主が本人であれば「本人」、配偶者が世帯主であれば「夫」または「妻」、親が世帯主であれば「父」や「母」といった続柄を記入します。
記載内容は税額計算に直接影響する項目ではありませんが、申告書の記入事項のひとつであるため、空欄や誤記があると確認や修正が必要になる場合があります。
なお、年末調整で記載する世帯主情報は、その年の12月31日時点の状況に基づいて記入するのが原則です。たとえば、年明けに結婚や引っ越しによって世帯主が変わる予定があったとしても、年末調整では当年12月31日時点の住民票上の情報を記載します。
世帯主情報は本人確認や申告内容の確認に利用される
年末調整で世帯主情報の記載が求められるのは、申告内容の確認や本人情報の補足資料として利用されるためです。
たとえば、扶養親族や、配偶者に関する申告内容を確認する際、世帯主や続柄の情報が参考になる場合があります。また、税務署や自治体が保有する情報との整合性を確認するための補助的な情報として活用されることもあります。
なお、世帯主であること自体が所得税の計算や年末調整の結果に直接影響するわけではありません。
ひとり親控除・寡婦控除への影響
世帯主であること自体は税額や控除額に直接影響しませんが、世帯の状況は一部の所得控除の判定に関係する場合があります。
代表的なものが、ひとり親控除や寡婦控除です。これらの控除は、配偶者の有無や扶養する子の有無、生計を一にしている親族の状況など、一定の要件を満たした場合に適用されます。
そのため、世帯主であるかどうかよりも、実際の家族構成や扶養状況が重要な判断材料となります。ただし、申告内容を確認する際には、世帯主や続柄の情報が世帯状況を把握する手掛かりとなるため、正確に記載することが求められます。
年末調整での世帯主・続柄の書き方
年末調整では、世帯主の氏名と続柄を正しく記載する必要があります。しかし、「誰を世帯主として記入すればよいのか分からない」「続柄はどのように書けばよいのか迷う」といったケースは少なくありません。
ここでは、年末調整における世帯主と続柄の記載方法をケース別に解説します。
記入が必要な申告書と記載欄
世帯主の氏名と続柄は、主に「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」に記載します。
申告書には「世帯主の氏名」と「あなたとの続柄」を記入する欄が設けられており、住民票上の世帯主を記載する必要があります。
続柄の基本ルール(申告者本人から見た関係)
続柄は、世帯主から見た関係ではなく、申告者本人から見た関係を記載します。
たとえば、申告者本人の父親が世帯主であれば「父」、母親が世帯主であれば「母」と記入します。また、配偶者が世帯主の場合は「夫」または「妻」と記載します。
よくある間違いとして、世帯主から見た続柄を記載してしまうケースがありますが、年末調整では申告者本人を基準に判断します。
本人が世帯主の場合
申告者本人が住民票上の世帯主である場合は、世帯主の氏名欄に本人の氏名を記入し、続柄欄には「本人」と記載します。
一人暮らしで住民票を移している場合や、夫婦世帯で本人が世帯主として登録されている場合などが該当します。
配偶者が世帯主の場合
夫婦世帯では、夫または妻のいずれかが世帯主として登録されているケースがあります。
妻が世帯主で申告者が夫の場合は、世帯主氏名欄に妻の氏名を記入し、続柄欄には「妻」と記載します。反対に、夫が世帯主で申告者が妻の場合は、続柄欄に「夫」と記入します。
収入の多い方が必ず世帯主になるわけではないため、「家計を主に支えている人」ではなく、住民票上の世帯主を記載する点に注意が必要です。
親が世帯主の場合
実家で暮らしている場合は、父親または母親が世帯主になっていることが一般的です。
父親が世帯主であれば世帯主氏名欄に父親の氏名を記入し、続柄欄には「父」と記載します。母親が世帯主の場合は「母」と記載します。
社会人として働いていても、住民票上で親と同一世帯になっている場合は、親を世帯主として記載することになります。
一人暮らし(住民票移動あり・なし)
一人暮らしの場合でも、住民票を移しているかどうかによって記載内容が異なります。
住民票を現在の居住地へ移している場合は、本人が世帯主となるため、続柄は「本人」と記載します。
一方、進学や就職などで一人暮らしをしていても住民票を実家のままにしている場合は、住民票上の世帯主である親を記載することになります。実際には一人で生活していても、住民票上の情報を基準に判断する点に注意が必要です。
同棲・世帯分離・単身赴任の場合
同棲している場合は、住民票上の世帯構成によって記載内容が変わります。住民票を別世帯として登録している場合は、それぞれが世帯主となるため、続柄は「本人」となります。一方で、同一世帯として登録している場合は、住民票上の世帯主を記載します。
世帯分離をしている場合も同様です。同じ住所に住んでいても住民票上で世帯を分けている場合は、それぞれの世帯主を基準に記載します。
また、単身赴任中の場合は、住民票をどこに置いているかによって取り扱いが異なります。住民票を家族のいる住所に残している場合は、その住民票上の世帯主を記載します。単身赴任先へ住民票を移し、単独世帯として登録している場合は、本人が世帯主となります。
世帯主を間違えた場合の対処法
年末調整の申告書を作成する際、「父と書くべきところを本人と記入した」「配偶者が世帯主なのに自分を世帯主として記載した」など、世帯主に関する記入ミスが発生することがあります。
世帯主欄は税額計算に直接影響する項目ではありませんが、申告内容の正確性を保つためにも、誤りに気付いた場合は速やかに修正することが大切です。
ここでは、誤記に気付いたタイミングごとの対処法を解説します。
提出前に誤りが判明した場合
会社へ提出する前に誤りに気付いた場合は、正しい内容に修正してから提出します。
紙の申告書の場合は、勤務先の指示に従って訂正を行います。修正液の使用を認めていない企業もあるため、二重線と訂正印による修正や、書類の再作成を求められるケースもあります。
電子申告システムを利用している場合は、提出期限前であれば内容を修正して再提出できることが一般的です。
提出後に誤りが判明した場合
会社へ提出した後に誤りが判明した場合は、できるだけ早く人事・総務担当者へ連絡しましょう。
年末調整の処理前であれば、会社側で申告内容を修正できる可能性があります。書類回収期間中や年末調整の計算前であれば、比較的スムーズに対応できるでしょう。
また、年末調整が完了した後に誤りが見つかった場合でも基本的に世帯主欄の誤記のみで税額計算に影響はありません。
ただし、年末調整に関する申告書類は企業側に7年間の保存義務が定められています。企業が税務調査等で指摘を受けないよう、世帯主欄のミスが判明した時点で人事・総務担当者へ連絡しましょう。
なお、配偶者控除や扶養控除など、税額に直結する項目にも誤りがある場合は、再年末調整による修正が必要になります。
まとめ
世帯主とは、住民票上で世帯の代表者として登録されている人のことです。年末調整では、12月31日時点の住民票に基づき、世帯主の氏名と続柄を正しく記載する必要があります。
世帯主情報は税額計算に直接影響するものではありませんが、申告内容の確認に利用されるため、正確に記入してください。不明な場合は住民票やマイナポータルで確認し、誤りのない年末調整を行いましょう。
入退社管理や給与計算などをカンタンに行う方法
入退社時に必要な書類の作成がラクに
よくある質問
世帯主とは?
世帯主とは、住民票上で世帯の代表者として登録されている人のことです。収入の多さや年齢によって決まるものではなく、住民票に記載された人物が世帯主となります。
詳しくは、記事内「世帯主とは」をご覧ください。
年末調整に記載する世帯主はいつ時点の情報?
年末調整では、その年の12月31日時点の住民票上の世帯主を記載します。年明けに結婚や引っ越しなどで世帯主が変わる予定があっても、当年分の年末調整には12月31日時点の情報を記載します。
詳しくは、記事内「年末調整で世帯主情報の記載が必要な理由」で解説しています。
続柄はどのように記入する?
続柄は世帯主から見た関係ではなく、申告者本人から見た関係を記入します。父親が世帯主であれば「父」、配偶者が世帯主であれば「夫」または「妻」、本人が世帯主であれば「本人」と記載します。
詳しくは、記事内「続柄の基本ルール(申告者本人から見た関係)」をご確認ください。
監修 北 光太郎
きた社労士事務所 代表
中小企業から上場企業まで様々な企業で労務に従事。計10年の労務経験を経て独立。独立後は労務コンサルのほか、Webメディアの記事執筆・監修を中心に人事労務に関する情報提供に注力。法人・個人問わず多くの記事執筆・監修をしながら、自身でも労務専門サイトを運営している。


