人事労務の基礎知識

一人親方も必見!建設業における社会保険への加入

建設業には社会保険への未加入が多いことが問題となり、国土交通省による対策が進められています。社会保険に未加入だと、会社の評価が下がることもあります。今回は、建設業における社会保険の加入の意義や方法、などをご紹介していきます。

なぜ建設業の社会保険未加入が話題なの?

建設業界で社会保険に未加入が多い理由や国土交通省の対策について説明します。

公共工事の受注で社会保険の加入が厳格化

国土交通省は、建設業界で社会保険未加入業者が多いことが若手の人材が集まりにくい要因の一つとなる懸念し、社会保険を管轄する厚生労働省と連携して、対策を進めています。

国土交通省の直管工事では、平成27年4月から施工管理台帳をもとに、元請業者だけではなく、下請け業者の社会保険未加入が発覚した場合に、建設業担当部局に通報されることになっています。平成27年8月からは、入札公告を伴う工事で、元請業者が社会保険未加入の業者と一次下請け契約を結ぶことが禁止されました。

また、公共工事の入札のためには、建設業者を数値化して評価する「経営事項審査」を受ける必要がありますが、平成24年7月から社会性の評価基準などが見直されています。健康保険と厚生年金保険、雇用保険に未加入の場合、それぞれ40点ずつ減点されるなどの改正が行われています。

また、国土交通省では、元請業者に下請け業者の社会保険の加入を指導するように、指導しています。

建設業は一人親方が多い

建設業界は、元請けから下請け、さらに孫請けへ発注される多重構造です。単独企業のように、労務管理が一元管理されておらず、建設業界では社会保険への未加入業者が少なくありません。

建設業では企業に雇用されず、元請業者と直接契約して仕事を請け負う、大工やとび、左官などの「一人親方」と呼ばれる職人が多いのも特徴です。一人親方は個人事業主として、国民年金と国民健康保険への加入が義務付けられています。

社会保険に未加入だと何が起こるか

社会保険に未加入の場合、病気やケガの際の費用の問題だけではなく、仕事の受注や採用などにも関係してきます。

社会保険に未加入は仕事の受注に影響

公共工事の受注で社会保険の未加入業者は、前述のように、一次下請け契約ができなくなり、公共工事の入札では不利な扱いを受けることになります。

さらに平成29年以降については、「社会保険に未加入業者との契約をするべきではない」「未加入の作業員の現場入場を認めるべきではない」との国土交通省の見解も出されています。社会保険の未加入は、建設業者にとって死活問題になる可能性があります。

追徴金の発生や採用でのリスクも

社会保険事務所などの調査で、社会保険に加入義務のある事業所が未加入と発覚すると、最大で2年分の社会保険料が追徴金として課される恐れがあります。悪質とみなされた場合には、6か月以下の懲役あるいは50万円以下の罰金を科されるケースもあります。

またハローワークでは、社会保険へ加入していない場合、求人票を受け付けず、加入するように指導が入るため、。社会保険に未加入の事業者は、採用自体も不利になります。

個人の問題では生活の維持に影響

勤務先が社会保険に未加入で、個人で国民健康保険や国民年金を支払っていない場合は、健全な生活を維持することに影響を及ぼします。健康保険では病気やケガなどに掛かった場合に、全額自己負担となり費用負担が大きくなります。また、将来、公的な年金に未加入の期間が長いと、年金を受け取れない、あるいは、年金受給額が少額のため生活を維持できないことが想定されます。

建設業の社会保険の加入基準と必要な対応

労働者が何名いるかによって、建設業で加入の必要な保険が異なります。こちらでは、労働者の人数に応じて加入すべき保険や、基準、手続きなどについて説明していきます。

建設業の社会保険の加入基準

Web

建設業では、株式会社などの法人と個人経営の事業所のうち、常時使用する労働者が5人以上の場合は、雇用保険と健康保険、厚生年金への加入が義務付けられています。

雇用保険に加入する場合には、管轄のハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を要月10日までに提出します。初めて雇用保険の加入手続きを行う場合には、事前に保険関係成立に関する手続きを済ませておく必要があります。

健康保険・厚生年金(社会保険)に加入するためには、労働者を雇用した5日以内に、所轄の年金事務所へ「健康保険・厚生年金保険新規適用届」を提出します。

個人経営の事業所で、常時使用する労働者が一人親方を含め5人未満の場合は、雇用保険への加入が義務付けられ、国民健康保険と厚生年金保険への加入は義務付けられていません。

雇用保険に加入する場合には、5人以上の労働者がいる場合と同じように、管轄のハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。

国民健康保険と厚生年金保険への加入は、任意です。加入を希望する場合には、労働者がそれぞれ加入手続きを行います。国民健康保険は、労働者が居住している住所の自治体に、厚生年金保険は、年金事務所に届出を提出しましょう。

一人親方は国民健康保険、および国民年金への加入が基本です。しかし、実際には一人親方が労働者と認められる場合には、他の労働者と同じように、会社の雇用保険や健康保険、根厚生年金に加入させる必要があります。

なお国民健康保険には一般的な市町村組合のほかに、建設業界の労働者が加入できる国保組合として、全国土木建築国民健康保険組合や建設連合国民健康保険組合があります。国保組合に入っている場合は、事業主が健康保険適用除外承認を申請し、年金事務所の承認を得ることで、健康保険適用除外を受けることが可能です。この場合には、雇用保険と国民健康保険、厚生年金に加入する状態になります。

元請業者に法定福利費を明示した見積書を提出

国土交通省では元請業者に対して、社会保険料として法定福利費を尊重するように指導が行われています。元請業者に見積書を提出する際には、見積もり条件が決められているケースでも、法定福利費を内訳として明示し、納めるべき社会保険料を確保できるようにすることが大切です。法定福利費を含まない建設請負契約は、建設業法の不当に低い請負契約の禁止に触れる恐れもありますので、正当に要求できるものとなります。

まとめ

保険の加入有無は、建設業を営む事業所のビジネスに大きく影響します。公共工事等で下請けでの請負契約が締結できなかったり、現場入場を拒まれたりする事態とならないように、保険に加入しましょう。

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