人事労務の基礎知識

算定基礎届とは?毎年見直される定時決定と算定基礎届の作成について解説

毎月の保険料や保険給付の計算をするときには「標準報酬月額」を用いますが、その「標準報酬月額」は、①入社時に決められる「資格取得時決定」、②毎年決まった時期に見直される「定時決定」、③報酬が大幅に変動した場合に改定される「随時改定」、④産前産後休業者・育児休業者が職場復帰し報酬に変動があったときなどに改定される「産前産後休業終了時改定」「育児休業等終了時改定」によって見直しや改定が行われます。

ここでは、毎年決まった時期に見直される「定時決定(算定基礎届)」がどのような手続きで、いつ誰を対象にどのような書類を作成して届け出るのかなどについて解説します。[監修:山本 務(特定社会保険労務士)]

更新日:2019年4月2日

目次

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算定基礎届(定時決定)とは?

事業主は毎年1回、事業所に使用される従業員など健康保険・厚生年金保険の被保険者の報酬月額を届け出て、各被保険者の標準報酬月額を決定します。これを「定時決定」といい、その届け出を「算定基礎届」といいます。

被保険者が実際に受ける給料などの報酬は、昇給や手当の支給などにより変動します。そうすると、実際に受ける報酬がすでに決められている標準報酬月額と大きくかけ離れてしまうことがあります。それを毎年1回定期的に届け出て見直すために定時決定(算定基礎届)が行われます。

算定基礎届の提出時期、提出先と適用期間

算定基礎届は、原則として毎年7月1日から7月10日の間に提出します。

提出先については、全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)の事業所は、事務センター(年金事務所)へ、組合管掌健康保険(健康保険組合)の事業所は、事務センター(年金事務所)および健康保険組合へそれぞれ提出します。なお、厚生年金基金に加入している事業所は、厚生年金基金への提出も必要になります。

提出により決定された標準報酬月額は、その年の9月から翌年の8月までの保険料や保険給付の額の基礎となります。

算定基礎届(定時決定)の対象となる人・ならない人

◆対象となる人

定時決定は、7月1日現在、被保険者である人全員が対象になります。長期欠勤や休職中の人、育児休業や介護休業などを取得している人も含みます。

◆対象とならない人

6月1日以降に被保険者になった人は、資格取得時の決定によってすでに標準報酬月額が翌年8月まで決まっているため、定時決定の対象には含まれません。また、6月30日以前に退職した人や、7月に随時改定のための月額変更届を提出する人も対象外です。

随時改定を行うのは、昇給や降給などで給与水準が大きく変わる人です。たとえば、4月に昇給があり、4月から6月に支払われた給与等の平均額と現在の標準報酬月額が大きく異なる場合(2等級以上の差)、7月に随時改定が必要になるため定時決定を行いません。

報酬月額の算定方法

算定基礎届に記入する報酬は、毎年4月から6月に実際に支払われた報酬が対象になります。その際、その月の報酬を計算する基礎となった日数(「支払基礎日数」という)に17日未満の月がある場合は、その月を除外して計算します。

なお、パートタイム労働者については、4月・5月・6月とも支払基礎日数が17日未満の場合は支払基礎日数15日以上の月の報酬を対象に算定します。また、短時間労働者については、4月・5月・6月の支払基礎日数11日以上の月の報酬を対象に算定します。

報酬となるもの・ならないもの

報酬とは、標準報酬月額の算定のもととなるもので、その名称を問わず、労働者が労働の対償として受けるものをいいます。金銭(通貨)に限らず、現物で支給される食事や住宅、通勤定期券も報酬に含まれます。臨時に受けるものは報酬の対象となりません。

◆標準報酬となるもの

通貨で支給されるもの

  • 基本給(月給・週給・日給など)
  • 各種手当
    (通勤手当、家族手当、住宅手当、役職手当、残業手当、休業手当など)
  • 賞与、決算手当などで年4回以上支給されるもの

現物で支給されるもの

  • 通勤定期券・回数券
  • 食事代・食券
  • 社宅・独身寮

◆標準報酬とならないもの

通貨で支給されるもの

  • 事業主が恩恵的に支給するもの(結婚祝金、病気見舞金、災害見舞金など)
  • 公的保険給付として受けるもの(傷病手当金、休業補償給付、年金など)
  • 臨時的、一時的に受けるもの(大入袋、解雇予告手当、退職金など)
  • 実費弁償金的なもの(出張旅費、交際費など)
  • 年3回まで支給されるもの(賞与など)

現物で支給されるもの

  • 食事(本人からの徴収金額が現物給与価額の2/3以上の場合)
  • 社宅(本人からの徴収金額が現物給与の価額以上の場合)
  • 制服・作業服などの勤務服など

算定基礎届と算定基礎届総括表の作成

算定基礎届の用紙は、毎年6月中旬ころに事業所宛に送られてきます。届出用紙にはあらかじめ、5月中旬までに社会保険に加入済みの被保険者の氏名や生年月日、従前の標準報酬月額などが記載されているので、間違いがないか確認しましょう。様式は、日本年金機構のホームページで確認することができます。

◆算定基礎届の書き方

標準報酬月額を決定するためには、「算定基礎届」を作成し提出しなければなりません。
算定基礎届には、4月・5月・6月の各月に受けた報酬の支払基礎日数、各月に支払われた通貨による報酬および現物で支給されたものを通貨に換算した額、各月の合計報酬額、対象月数で求めた平均報酬月額などを記入します。

◆報酬支払基礎日数とは

報酬の支払基礎日数については、月給制の場合は、出勤日数に関係なく1ヶ月分の給与が支払われるため、給与計算の前月の締切日の翌日からその月の締切日までの暦日数になります。日給制の場合は、出勤日数および有給日数が支払基礎日数となります。

◆特別な算定方法(保険者算定)になるケースも

一般的な方法では報酬月額が算定できない場合や算定結果が著しく不当になる場合は、保険者等(日本年金機構または健康保険組合)が特別な算定方法により、報酬月額を決定することとしており、その算定方法を「保険者算定」といいます。

一般的な算定方法が困難な場合とは?

  • 4月・5月・6月の3ヶ月とも、支払基礎日数が17日未満のとき(パートタイマーを除く)
  • 病気などによる欠勤で4月・5月・6月の3ヶ月間に全く報酬を受けないとき
  • 産前産後休業・育児休業等や会議休業で4月・5月・6月の3ヶ月間に報酬の全部を受けないとき
    →上記のような場合は、従前の標準報酬月額が引き続き適用されます。

算定結果が著しく不当になる場合の例
3ヶ月平均額と年平均額の間に2等級以上の差が生じるとき

業務の性質上、4月から6月に繁忙期があり残業代が増加する事業所の場合、4月・5月・6月の3ヶ月間の報酬をもとに算出した標準報酬月額と、前年7月から当年6月までの1年間の報酬の月平均額によって算出した標準報酬月額の間に2等級以上の差があり、この差が業務の性質上、例年発生することが見込まれる場合は、被保険者の同意を得て申し立てることにより、過去1年間の月平均報酬月額により標準報酬月額を算定します。

算定基礎届と算定基礎届総括表の提出

作成した算定基礎届と算定基礎届総括表は、7月1日から10日の間に、前述した事務センター(年金事務所)に提出します。厚生年金基金や企業年金基金、健康保険組合に加入している事業所は、そちらにも決められた様式で提出します。

算定基礎届と一緒に、保険者が各事業所の報酬の支払状況や被保険者数などを把握するための「算定基礎届総括表」も提出します。
また、70歳以上の従業員(被用者)がいる場合も同様に算定基礎届に各被用者の報酬を記入し、69歳以下の算定基礎届とともに提出します。

電子媒体申請や電子申請も可能

算定基礎届のように大量または定期的に必要となる届け出は、CD等の電子媒体により年金事務所等へ届け出することができます。また、申請・届け出の手続きをパソコンからインターネットを利用して行う電子申請を利用することも可能です。各手続きについて詳細は日本年金機構ホームページもご確認ください。

標準報酬月額は通知される

算定基礎届を提出した後は、標準報酬月額が決まると保険者から「標準報酬月額決定通知書」が送られてきます。通知書の内容をもとに毎月の給与計算を行っていきましょう。

まとめ

算定基礎届の作成・定時決定では、どの従業員が対象になるのか、どの報酬が標準報酬月額のもととなるのかを正しく把握し、期限内に提出することをこころがけましょう

監修:山本務 <やまもと つとむ>
(特定社会保険労務士)

やまもと社会保険労務士事務所、代表の山本です。労働相談、あっせん代理、労務環境調査、行政調査対応、人事労務管理、就業規則の作成・見直し、労働保険・社会保険の電子申請、給与計算、助成金申請支援など幅広く展開しています。

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